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PICK UP PLAYER | 早川隼平
安心感に加えて、期待感もある。20歳の早川隼平は、ただの『クローザー』ではない。今季はリードしている試合の終盤に投入されているが、出場時間は計10分ながら1ゴール、1アシストをマーク。ピッチに立った3試合全てで仕事をきっちりこなし、いずれも完勝に貢献している。途中出場する5分前にコーチに名前を呼ばれると、すぐに頭の中を整理する。監督に指示される前にも考えるのだ。いま自分に求められるものは何なのか--。
「100パーセントに近い状態で、任務を遂行することが大事。チームの規律をどれだけ守れるか。ゼロで抑えて勝つためには、プレスのかけ方も変わってきます」
開幕戦のジェフユナイテッド市原・千葉戦では2-0で迎えた88分から投入され、攻守のバランスを取りつつ、高い位置から果敢にプレスをかけた。短い稼働時間で目立った働きはなかったものの、ミッションはきっちり完遂。自らの役割を淡々と口にする。
「勝っているときのタスクは分かりやすいです。負けないようにしながら、チャンスがあれば仕留めにいきます。ボールを持っているときは保持しますし、ボールを持っていないときはチームを助けるために走ります。僕自身、エゴを出すタイプではないので」
それでも、随所で見せる質の高いプレーは目を引く。3節の横浜F・マリノス戦では83分から途中出場し、ファーストプレーで大きなインパクトを残した。相手GKのパスをカットしたマテウス サヴィオからパスを呼び込み、フリーでGKと1対1に。ゴールの位置を冷静に確認し、ペナルティーエリア外から得意の左足できれいにニアサイドへ流し込んだ。レッズでは2023年4月のYBCルヴァンカップ 湘南ベルマーレ戦以来となるゴール。17歳でプロ契約を結び、はや4年目である。思わず、安堵の笑みが漏れた。
「自分としては、やっと点を取れたという感じですね。ほっとしています。シュートの場面は、フリーすぎて緊張しましたけど。何よりも、チームに良い影響をもたらす2点目だったのが良かった。1-0で試合を進めていくよりも、2-0のほうがいいですからね。点が決まると、みんなもいい意味で余裕が生まれるし、体も動くので」
ゴールネットを揺らせば、昔の記憶もよみがえった。浦和ユース時代は好機を演出するだけではなく、得点を多く重ねていた。横浜FM戦後、当時の感情を思い出し、ゴールへの欲も少し芽生えたという。ただ、それは利己的な考えではない。
「途中出場する選手は、チームに100パーセントを尽くした上で、仕留め切らないといけない。あそこで決め切ったのは、自分としても大きな意味がありました」
自ら望んで“ジョーカー”に立候補する選手はいないだろう。スターティングメンバーに名を連ね、フル出場するのが理想。結果を残せば残すほど、先発出場の意欲をのぞかせてもおかしくないが、早川は常に平静を保っている。5節の水戸ホーリーホック戦でもアディショナルの90+1分からピッチに入り、涼しい顔で大仕事をやってのけた。終了間際、ゴール前の狭いスペースでボールを受けると、照内利和のプロ初ゴールをお膳立て。裏に抜け出すタイミングにピタリと合わせ、絶妙なラストパスを届けた。
「もともと僕は出し手。前の選手の動きを見ながら、リアクションを取ってプレーしています。もちろん、パスの選択だけではなく、自分でシュートを打つこともあります。どちらの役回りもできるのが、僕の持ち味です」
出し手の素養は、受け手への気遣いにも見て取れる。浦和ユースの後輩が斜めに走り出したとき、視界にはフリーの中島翔哉も入っていた。選択肢は二つ。一瞬の判断だったが、頭によぎったのはプロ2年目を迎えるストライカーの心情である。その1分前に決定機を逃していたのだ。
「あそこでパスを出していなければ、テルは決定的な場面でシュートを外したまま試合を終えていました。それに『あいつだったら、決めてくれる』という思いもあったんです。練習で、あのような形からよく決めていますから。シュートはうまいですよ」
1学年下の照内から「“ジュンペイ”だったら、あそこに走れば、パスを出してくれると思った」とさり気なく呼び捨てにされても、気に留めることはない。「僕は優しいんで」と冗談交じりに笑う。試合後は先輩らしく、気前よく後輩に食事をご馳走したようだ。
「最初は『寿司がいい』と言っていたのですが、当日に『肉でもいいですか』と言うので、焼き肉になりました。寿司は次ですかね」
報道陣の前では滑らかな口調であけすけに話すこともあるが、基本的には地に足をつけている。短い時間で結果を残していても、浮かれる様子は一切ない。「どれだけ続けていけるかが大事なので」と自らに言い聞かせる。3月14日の東京ヴェルディ戦に向けても、早い段階から攻略するイメージを膨らせていた。対戦相手のフォーメーションは、今季初めての3バック。あらゆる勝ちパターンを想定し、気負わずに100パーセント以上の力を注ぎ込むつもりだ。目指すは連勝。継続は力なり――。
(取材・文/菊地正典)
「100パーセントに近い状態で、任務を遂行することが大事。チームの規律をどれだけ守れるか。ゼロで抑えて勝つためには、プレスのかけ方も変わってきます」
開幕戦のジェフユナイテッド市原・千葉戦では2-0で迎えた88分から投入され、攻守のバランスを取りつつ、高い位置から果敢にプレスをかけた。短い稼働時間で目立った働きはなかったものの、ミッションはきっちり完遂。自らの役割を淡々と口にする。
「勝っているときのタスクは分かりやすいです。負けないようにしながら、チャンスがあれば仕留めにいきます。ボールを持っているときは保持しますし、ボールを持っていないときはチームを助けるために走ります。僕自身、エゴを出すタイプではないので」
それでも、随所で見せる質の高いプレーは目を引く。3節の横浜F・マリノス戦では83分から途中出場し、ファーストプレーで大きなインパクトを残した。相手GKのパスをカットしたマテウス サヴィオからパスを呼び込み、フリーでGKと1対1に。ゴールの位置を冷静に確認し、ペナルティーエリア外から得意の左足できれいにニアサイドへ流し込んだ。レッズでは2023年4月のYBCルヴァンカップ 湘南ベルマーレ戦以来となるゴール。17歳でプロ契約を結び、はや4年目である。思わず、安堵の笑みが漏れた。
「自分としては、やっと点を取れたという感じですね。ほっとしています。シュートの場面は、フリーすぎて緊張しましたけど。何よりも、チームに良い影響をもたらす2点目だったのが良かった。1-0で試合を進めていくよりも、2-0のほうがいいですからね。点が決まると、みんなもいい意味で余裕が生まれるし、体も動くので」
ゴールネットを揺らせば、昔の記憶もよみがえった。浦和ユース時代は好機を演出するだけではなく、得点を多く重ねていた。横浜FM戦後、当時の感情を思い出し、ゴールへの欲も少し芽生えたという。ただ、それは利己的な考えではない。
「途中出場する選手は、チームに100パーセントを尽くした上で、仕留め切らないといけない。あそこで決め切ったのは、自分としても大きな意味がありました」
自ら望んで“ジョーカー”に立候補する選手はいないだろう。スターティングメンバーに名を連ね、フル出場するのが理想。結果を残せば残すほど、先発出場の意欲をのぞかせてもおかしくないが、早川は常に平静を保っている。5節の水戸ホーリーホック戦でもアディショナルの90+1分からピッチに入り、涼しい顔で大仕事をやってのけた。終了間際、ゴール前の狭いスペースでボールを受けると、照内利和のプロ初ゴールをお膳立て。裏に抜け出すタイミングにピタリと合わせ、絶妙なラストパスを届けた。
「もともと僕は出し手。前の選手の動きを見ながら、リアクションを取ってプレーしています。もちろん、パスの選択だけではなく、自分でシュートを打つこともあります。どちらの役回りもできるのが、僕の持ち味です」
出し手の素養は、受け手への気遣いにも見て取れる。浦和ユースの後輩が斜めに走り出したとき、視界にはフリーの中島翔哉も入っていた。選択肢は二つ。一瞬の判断だったが、頭によぎったのはプロ2年目を迎えるストライカーの心情である。その1分前に決定機を逃していたのだ。
「あそこでパスを出していなければ、テルは決定的な場面でシュートを外したまま試合を終えていました。それに『あいつだったら、決めてくれる』という思いもあったんです。練習で、あのような形からよく決めていますから。シュートはうまいですよ」
1学年下の照内から「“ジュンペイ”だったら、あそこに走れば、パスを出してくれると思った」とさり気なく呼び捨てにされても、気に留めることはない。「僕は優しいんで」と冗談交じりに笑う。試合後は先輩らしく、気前よく後輩に食事をご馳走したようだ。
「最初は『寿司がいい』と言っていたのですが、当日に『肉でもいいですか』と言うので、焼き肉になりました。寿司は次ですかね」
報道陣の前では滑らかな口調であけすけに話すこともあるが、基本的には地に足をつけている。短い時間で結果を残していても、浮かれる様子は一切ない。「どれだけ続けていけるかが大事なので」と自らに言い聞かせる。3月14日の東京ヴェルディ戦に向けても、早い段階から攻略するイメージを膨らせていた。対戦相手のフォーメーションは、今季初めての3バック。あらゆる勝ちパターンを想定し、気負わずに100パーセント以上の力を注ぎ込むつもりだ。目指すは連勝。継続は力なり――。
(取材・文/菊地正典)
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