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PICK UP PLAYER | オナイウ阿道
自分がチームを牽引していく。その気概がこもったプレーだった。
鹿島アントラーズのホームに乗り込んだ第11節、キックオフからわずか30秒で見せたオナイウ阿道のプレーに思わず腰が浮いた。
相手のセンターバックがボランチへとつけた縦パスに猛然とプレッシャーを掛け、身体を入れてボールを奪い切る。前を向いてドリブルで前進すると、ためらうことなく右足を振り抜いた。
「(相手との)距離も遠くなかったし、少し余裕があるように見えたので、これは(ボールを)取れるなと思って奪いにいきました。他の選手が近くにいるのも見えていましたけど、(ゴールまでの)距離もそこまで遠くなかったのでシュートを狙いました。ああいうところから積極的に狙っていくことも、チームとして必要なことだとも思っていました」
前からボールを奪いにいく積極性に加えて、ゴールに向かう果敢な姿勢は、勝利から遠ざかるチームの状況を自らの力で打開しようとする決意であり、自分がチームを引っ張っていこうとする覚悟の表れでもあった。
2月23日にドイツの1.FCマクデブルクから完全移籍で加入することが発表され、直後に行われた第4節の鹿島戦で途中出場を果たした。
第7節の柏レイソル戦で初先発すると、その後、5試合連続で先発出場を続けている、着実に出場機会を増やしているのは、それだけ自身のコンディションが整ってきた証拠でもある。
「個人的には、シーズン中に浦和レッズへと加入させてもらえることになり、チームがうまくいっていないなかで、何かチームに還元できることはないかを、常に考えながらやってきました。試合の回数も重ね、いろいろな選手ともコミュニケーションが取れるようになってきたし、コンディション面も良くなってきたというのは感じています」
最前線を担う彼に課されるタスクは多い。鹿島戦の開始30秒で見せたプレスが示すように、守備ではファーストディフェンダーとして相手DFにプレッシャーを掛け続け、チームの指標の一つであるハイプレスを体現する。
攻撃では、ポストプレーで起点となり、チームが前進をうながしている。DFを背負ってプレーできる強さは、チームの攻撃に新たな選択肢をもたらしている。
コンディションの向上とともに、アジリティーも研ぎ澄まされている。マチェイ スコルジャ監督が「ゾーン3」と呼ぶ、アタッキングサードではチームメートとの細かいパスワークから、幾つも決定機を生み出している。
第10節の東京ヴェルディ戦の15分に見せたプレーがまさにその象徴だ。右サイドで相手DFを背負ってスローインを受けると、金子拓郎からリターンを受けて、中央をこじあけた。シュートに持ち込むことはできなかったが、粘り強く足を出して、チャンスにつなげようとした。
加入して8試合。多くのタスクを全うする一方で、ストライカーとして結果を残せていない現実に、強い自責の念を抱いている。
「FWとしてプレーしている以上、得点で応えられていない時間が長いので、そこがすごく悔しい。自分としては決してパフォーマンスが悪いという感覚はないですが、やっぱりチームの結果に直接的に結びついてくるポジションなので、責任は感じています。だからこそ、今、(肥田野)蓮治がゴールを取ってくれていますけど、同じポジションの選手としては負けたくない。たくさんの選手が得点を取れることは、チームとしても良いことだと思いますし、僕がその中心にならなければいけないと思うので、そこは今、自分に対して、一番求めていることです」
ストライカーがゴールを決めることで、チームは勢いづき、ファン・サポーターも沸く。自身のゴールによって、スタジアムに熱が帯びる感覚を、彼は知っている。
「ゴールが取れるならば、正直、その場所はどこでもいいという思いはありますけど、ホームでゴールを取ることができれば、また違った喜びがあると思っています。自分が点を取って、埼玉スタジアムに来てくれた人たちに喜んでもらって、最後にみんながいい気持ちで帰ってもらえることが、一番の幸せなので、その姿を早く見せることができたらと思っています」
ホーム3連戦となる初戦は、彼にとって古巣でもある横浜F・マリノスだ。在籍は2シーズンながら、「ひと皮、ふた皮も成長させてくれたクラブ」であり、「ヨーロッパに挑戦できるチャンスをもらえた場所」でもある。
思い出すは、横浜F・マリノスの選手として浦和レッズを迎え撃った2020年11月14日、明治安田J1リーグ 第27節だ。
「日産スタジアムで浦和レッズと対戦した試合は、楽しかったですね。まだ、そのときは槙野(智章)君や橋岡(大樹)を始め、浦和レッズで一緒にプレーした選手たちがいて、彼らと対戦する新鮮さもありました。しかも、横浜F・マリノスが勝つことができたんです」
「だから」と言葉は続く。
「今度は浦和レッズの選手として逆のことをやりたい。当時、一緒にやっていた選手にも絶対に負けたくないですからね。ホームで戦えるというのは絶対にアドバンテージになる。(加入してから)何度も言っていますけど、埼玉スタジアムは特別。そこでしっかりと勝って、次の試合につなげていきたい。ホームで自分たちが良いパフォーマンスをして、いつもサポートしてくれるファン・サポーターに、ホームで浦和レッズが勝つ姿を見せたいですね」
浦和レッズに在籍していた2017シーズン、声援の多くをスタンドから聞いた。ピッチのなかで聞けるようになった今、その力強さを感じている。その思いに応えるべく、オナイウ 阿道は勝利を目指す。そして、そのために自らのゴールが必要であることを、誰よりも理解している。
(取材・文/原田大輔)
鹿島アントラーズのホームに乗り込んだ第11節、キックオフからわずか30秒で見せたオナイウ阿道のプレーに思わず腰が浮いた。
相手のセンターバックがボランチへとつけた縦パスに猛然とプレッシャーを掛け、身体を入れてボールを奪い切る。前を向いてドリブルで前進すると、ためらうことなく右足を振り抜いた。
「(相手との)距離も遠くなかったし、少し余裕があるように見えたので、これは(ボールを)取れるなと思って奪いにいきました。他の選手が近くにいるのも見えていましたけど、(ゴールまでの)距離もそこまで遠くなかったのでシュートを狙いました。ああいうところから積極的に狙っていくことも、チームとして必要なことだとも思っていました」
前からボールを奪いにいく積極性に加えて、ゴールに向かう果敢な姿勢は、勝利から遠ざかるチームの状況を自らの力で打開しようとする決意であり、自分がチームを引っ張っていこうとする覚悟の表れでもあった。
2月23日にドイツの1.FCマクデブルクから完全移籍で加入することが発表され、直後に行われた第4節の鹿島戦で途中出場を果たした。
第7節の柏レイソル戦で初先発すると、その後、5試合連続で先発出場を続けている、着実に出場機会を増やしているのは、それだけ自身のコンディションが整ってきた証拠でもある。
「個人的には、シーズン中に浦和レッズへと加入させてもらえることになり、チームがうまくいっていないなかで、何かチームに還元できることはないかを、常に考えながらやってきました。試合の回数も重ね、いろいろな選手ともコミュニケーションが取れるようになってきたし、コンディション面も良くなってきたというのは感じています」
最前線を担う彼に課されるタスクは多い。鹿島戦の開始30秒で見せたプレスが示すように、守備ではファーストディフェンダーとして相手DFにプレッシャーを掛け続け、チームの指標の一つであるハイプレスを体現する。
攻撃では、ポストプレーで起点となり、チームが前進をうながしている。DFを背負ってプレーできる強さは、チームの攻撃に新たな選択肢をもたらしている。
コンディションの向上とともに、アジリティーも研ぎ澄まされている。マチェイ スコルジャ監督が「ゾーン3」と呼ぶ、アタッキングサードではチームメートとの細かいパスワークから、幾つも決定機を生み出している。
第10節の東京ヴェルディ戦の15分に見せたプレーがまさにその象徴だ。右サイドで相手DFを背負ってスローインを受けると、金子拓郎からリターンを受けて、中央をこじあけた。シュートに持ち込むことはできなかったが、粘り強く足を出して、チャンスにつなげようとした。
加入して8試合。多くのタスクを全うする一方で、ストライカーとして結果を残せていない現実に、強い自責の念を抱いている。
「FWとしてプレーしている以上、得点で応えられていない時間が長いので、そこがすごく悔しい。自分としては決してパフォーマンスが悪いという感覚はないですが、やっぱりチームの結果に直接的に結びついてくるポジションなので、責任は感じています。だからこそ、今、(肥田野)蓮治がゴールを取ってくれていますけど、同じポジションの選手としては負けたくない。たくさんの選手が得点を取れることは、チームとしても良いことだと思いますし、僕がその中心にならなければいけないと思うので、そこは今、自分に対して、一番求めていることです」
ストライカーがゴールを決めることで、チームは勢いづき、ファン・サポーターも沸く。自身のゴールによって、スタジアムに熱が帯びる感覚を、彼は知っている。
「ゴールが取れるならば、正直、その場所はどこでもいいという思いはありますけど、ホームでゴールを取ることができれば、また違った喜びがあると思っています。自分が点を取って、埼玉スタジアムに来てくれた人たちに喜んでもらって、最後にみんながいい気持ちで帰ってもらえることが、一番の幸せなので、その姿を早く見せることができたらと思っています」
ホーム3連戦となる初戦は、彼にとって古巣でもある横浜F・マリノスだ。在籍は2シーズンながら、「ひと皮、ふた皮も成長させてくれたクラブ」であり、「ヨーロッパに挑戦できるチャンスをもらえた場所」でもある。
思い出すは、横浜F・マリノスの選手として浦和レッズを迎え撃った2020年11月14日、明治安田J1リーグ 第27節だ。
「日産スタジアムで浦和レッズと対戦した試合は、楽しかったですね。まだ、そのときは槙野(智章)君や橋岡(大樹)を始め、浦和レッズで一緒にプレーした選手たちがいて、彼らと対戦する新鮮さもありました。しかも、横浜F・マリノスが勝つことができたんです」
「だから」と言葉は続く。
「今度は浦和レッズの選手として逆のことをやりたい。当時、一緒にやっていた選手にも絶対に負けたくないですからね。ホームで戦えるというのは絶対にアドバンテージになる。(加入してから)何度も言っていますけど、埼玉スタジアムは特別。そこでしっかりと勝って、次の試合につなげていきたい。ホームで自分たちが良いパフォーマンスをして、いつもサポートしてくれるファン・サポーターに、ホームで浦和レッズが勝つ姿を見せたいですね」
浦和レッズに在籍していた2017シーズン、声援の多くをスタンドから聞いた。ピッチのなかで聞けるようになった今、その力強さを感じている。その思いに応えるべく、オナイウ 阿道は勝利を目指す。そして、そのために自らのゴールが必要であることを、誰よりも理解している。
(取材・文/原田大輔)
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