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Press conference by Minoru Shimizu, the newly appointed Representative Director and President.

1日、さいたま市内のホテルで、同日付で浦和レッズの代表取締役社長に就任した清水 稔新代表の就任会見が行われた。

【清水 稔新代表】
「みなさん、こんにちは。このたび、浦和レッドダイヤモンズ株式会社の代表取締役社長に就任をいたしました、清水でございます。
これまで取締役副社長として、田口前代表とクラブ運営に携わってまいりました。このたび田口より確かなパスを受け、浦和レッドダイヤモンズというクラブの代表を務めることになりましたことを、大変光栄に感じております。同時に、ファン・サポーターのみなさまから寄せられるご期待の大きさを思うと、身の引き締まる思いでございます。

私は2023年4月に取締役としてこのクラブに着任いたしました。それからの3年余り、経営に携わる立場として、浦和レッズというクラブがどのようにみなさまのご期待に応えながら、健全な成長を遂げていけるかを考えて続けてまいりました。
クラブには、なお改善できる課題が数多くあると認識はしております。しかし、これまで目の当たりにしてきた課題を一つひとつ着実に解決し、競技面、経営面の双方で好循環を生み出していくこと、そしてその積み重ねの先に、浦和レッズがみなさまの生活を彩り、寄り添い、夢を語り合えるクラブになること。それが私に課せられた使命であると考えております。

私が代表に就任するにあたり、4つの方針を定めました。
まず始めにお伝えしたいのが、ファン・サポーター、そしてホームタウンのみなさまとの一体感の再構築です。
私は日本にサポーター文化を切り開いてきた浦和レッズのファン・サポーターのみなさまの熱量と、100年を超えるサッカーの歴史を持つ、このホームタウンの情熱こそが、浦和を背負い、世界と闘うことを目指すこのクラブのアイデンティティーを形成していると考えております。
だからこそ、みなさまの思いと熱量を、このクラブの最大のエネルギーに変えていくことは、ごく自然なことであると考えております。私は浦和レッズに着任して間もなく、ACL(AFCチャンピオンズリーグ)優勝の場面に立ち合うことができました。今あらためて振り返ると、それはファン・サポーターのみなさま、選手、そしてクラブが同じ方向を向き、一つになることができたからこそ、つかみ取ることができたものだったと思っております。

そのような一体感を日常からどのように作り出すことができるのか。これからは私自らが先頭に立ち、考えていく必要がございます。
現在は、ファン・サポーターのみなさまをはじめ、多くの方々から十分な信頼をいただけている状況ではないと感じております。この要因の一つとして、ここ数年間の、クラブの考えを十分にお伝えできなかったことに加え、みなさまとの密なコミュニケーションが減少してしまったことがあると考えております。そこで、私は浦和レッズの代表に就任するにあたり、ファン・サポーターのみなさまとの建設的な対話の場を設け、改めてみなさまと正面から向き合いながら進んでいくことをまずお約束したいと思います。

また、ホームタウンにおいては、この浦和という街により深く根ざしたクラブを目指していきたいと考えております。すでに昨年10月、本社を浦和駅の近くへ移転いたしましたが、今後は選手やクラブスタッフがさいたま市内の学校や地域イベントへ参加する機会をこれまで以上に増やしていくことを考えております。そして、より多くの子どもたちにまずは浦和レッズを知っていただき、好きになってもらう。そういったことと、「スタジアムで浦和レッズを応援したい」と思っていただける機会を創出し、ホームタウンのみなさまとともに未来のファン・サポーターを大切に育てていきたいと考えております。

2つ目の方針は、毎年継続してタイトルを狙えるチームの基盤の確立です。
攻守に主導権を握るフットボールというチームコンセプトに基づき、必要な監督の招聘、選手の補強を行いながらチーム作りを進めてまいりました。しかしながら、2023年のACL優勝を最後に、私たちはタイトルから遠ざかっております。ピッチで目に見える成果が出ていない時期が続く中でも、強くて魅力あるチームを作るプロセス作りはピッチ外においても着実に進めてまいりました。

具体的には、チーム管理部門の立ち上げをはじめ、スカウト体制や育成分野の強化が挙げられます。チーム管理部門は、競技に直接関与することはなく、トップチームにおける法務的な業務や財務面のサポート、クラブ内の事業連携、そしてガバナンスの維持など、トップチームが円滑かつ健全に運用されるよう、客観的な立場から支援するとともに、適切な管理・監視を行う役割を担い、チームが競技に集中できる環境を整えていきます。

また、昨今のチームの主力になっている選手や、今季加入した大卒選手をご覧いただければ、すでに浦和レッズのスカウトスタッフが着実に成果を上げていることをご理解いただけるかと思います。しかし、その現状に満足することなく、今後はさらにスカウト体制が有機的かつ精緻に機能する仕組みづくりを進めてまいります。

一例を挙げますと、国内の主要エリアに担当スカウトを配置することで、情報の質・量の向上と、効率的なスカウティング活動の両立を実現することができました。また、スカウトのリストを精緻化していく過程に、本年1月に就任したテクニカルダイレクター(TD)が関与することで、選手獲得の精度も従来以上に高まっております。

そして、選手の育成面では、U-21 Jリーグが始まります。U-21の活動における最も重要なミッションは、トップチームで活躍する選手を育成・輩出することです。U-21の活動を軸としながら、育成年代からの海外クラブへの短期留学や提携クラブへの期限付き移籍を活発化させることも含めて、若手選手の育成をさらに充実させることで、長期的かつ持続的にチーム強化を図れるよう努めてまいります。

チーム管理部門のように、一見すると競技に直結しないように見える取り組みも、スカウトや育成といった基盤づくりも、そのすべてが勝利へ向かうための不可欠なプロセスの一部でございます。私は、これからの数年間を、継続的にタイトルを狙えるチーム基盤としてこれらの施策を結実させていく重要なフェーズにあると考えております。組織力を最大限に生かし、継続的に成果を生み出せる強化部門として機能させていきたいと考えております。

続いて、3つ目の方針は、世界で闘うための財政基盤の拡大です。
私はこの3年間、経営に携わる立場としてクラブ全体に関わる中で、浦和レッズが持つ大きな力をあらためて実感してまいりました。2年連続で70万人を超えるホームゲーム入場者数が生み出すスタジアムの熱量、4期連続で40億円を超えるご支援をいただいているパートナー企業のみなさまとの信頼関係、ホームタウン・行政からのご支援、そしてレディース、アカデミーを含めたクラブ全体の可能性。これらは浦和レッズのかけがえのない財産です。

一方で、その財産を将来にわたって守り、さらに発展させていくためには、経営の面でも進化を続けていかなければなりません。入場料収入、グッズ収入、広告料収入といった収益の3本柱を強化することはもちろんですが、これらはいずれもチームの魅力や成績、そしてファン・サポーターのみなさまとの心のつながりによって支えられ、伸びてくるものだと考えております。
また、現代においてはデジタルを通じてファン・サポーターのみなさまとの接点をいかに広げていくかも重要な課題でございます。公式アプリにつきましても、今季中のリリースに向けて準備を進めております。

海外展開についても触れておきたいと思います。どれほどブランドを強化し、商圏を広げようとも、私たちの原点は常に『サッカーのまち 浦和』にあります。この地域に根ざした強さと熱量があるからこそ、アジアに挑戦し、世界へ向けて発信する意義があります。
海外クラブとの交流やパートナーシップは、さいたまと世界をつなぎ、浦和レッズの価値をさらに高めるための取り組みです。トップチームとレディースチームが強くなり、その姿に多くの人が集い、スタジアムが熱気に包まれる。そして、そこで生まれた力を再びチームやスタジアム、地域に還元していく。そうした好循環を生み出しながら、浦和レッズらしい成長の形を実現したいと考えております。

最後の方針は、安全な観戦環境の提供です。私がこのクラブに着任した2023年の8月、天皇杯において浦和レッズサポーターによる重大な違反行為が発生いたしました。決して起こしてはならない事案であったことを深く反省するとともに、コンプライアンス担当役員として当事案と向き合うにあたり、まずクラブ側に矢印を向け、第三者委員会を通じて、クラブとして何が足りなかったのかを徹底的に検証いたしました。ルール確立の重要性はもちろんでございますが、その前提にはファン・サポーターのみなさまとのきめ細かなコミュニケーションが不可欠であるという大きな教訓を得ることができました。
トラブルを未然に防ぎ、発生させないということが何より重要ですが、スタジアムでの違反行為に対しては、毅然とした態度でルール遵守を徹底してまいります。そして、私自身が先頭に立ち、安全・快適で熱気のある満員のスタジアムを実現するため、環境整備を進めてまいりたいと思っております。

また、コンプライアンスの観点から、我々が期待を持って招聘をした曺貴裁監督の就任にあたっては、多くの方々から意見を頂戴いたしました。代表として、全ての意見を真摯に受け止めております。ハラスメント防止についても、クラブとして重点的に取り組んでおります。Jリーグの最新の知見を踏まえ、「防止」「早期発見」「発生時対応」の3つの観点からクラブの体制を整備しております。これは法令遵守にとどまらず、クラブが果たすべき社会的責任として当然の義務であり、今後も適切なガバナンスを機能させてまいります。

私は以上の4つの方針を掲げ、クラブ運営を進めてまいります。

30年以上のJリーグの歴史の中で、我々は未だに一度しかリーグ優勝を果たせていないクラブでございます。それでもなお、浦和レッズが目指すべき場所は、Jリーグの王者にとどまることではございません。昨年同時期に開催されたFIFAクラブワールドカップで、ファン・サポーターのみなさま、クラブを支えてくださるすべてのみなさま、そしてゴール裏からホームスタジアムの雰囲気を作ってくださったサポーターのみなさまの声援を受けながら世界で戦ったあの3試合は、私の記憶から決して消え去ることはありません。だからこそ、私たちが目指すべきは、再びあの舞台に立つことです。アジアを代表し、世界と対等に闘うクラブ。その実現に向けて、全力を尽くしてまいります。

「強くて魅力あるチーム」「安全・快適で熱気ある満員のスタジアム」「自立し責任あるクラブ」という理念に掲げる3つの姿を愚直に追求し、みなさまとともに新しい黄金期を築いていきたいと考えております。そのためには、選手、スタッフ、そして私自身を含めた一人ひとりが、自分自身に矢印を向け、変化をし続けなければなりません。クラブをより良い方向へ進めるために、自分には何ができるのか。その問いを常に持ち続け、私自身も前に出るべき場面では決して躊躇うことなく進み出てまいります。
浦和レッズというクラブがこの街にあって本当に良かった。少しでも多くの方にそう思っていただけるよう、全力を尽くしてまいる所存でございます。
引き続き熱いご支援とご鞭撻を賜りますよう、心よりお願い申し上げます。

[質疑応答]
(今回の監督人事にあたり、社長としては、クラブとファン・サポーターとの溝や乖離を感じているのか?もし感じているとしたら、どのように埋めていきたいのか?)
「まず、今回の曺監督招聘にあたり、ファン・サポーターのみなさまが、浦和レッズに対してさまざまな思いを抱かれているということは、真摯に受け止めております。一体感という点では、まずはクラブがしっかり一枚岩になることが重要だと考えています。先日も曺監督を交えて、クラブスタッフが集い、お互いの紹介も含めて、今後目指したい姿というのを話す機会がございました。そういった中で、今度はクラブスタッフが大原サッカー場やいろいろなところに出ていき、『共に闘う』という姿勢を持ちながら、クラブとしての一体感を作っていきたいと思っております。
そして、ファン・サポーターのみなさまには、クラブとして説明責任を果たし、私たちの考えを丁寧にお伝えすることが、これまで十分ではなかったと受け止めております。今後は、ファン・サポーターのみなさまとのタッチポイントを増やしてまいります。以前行っていた「Talk on Together」など、ファン・サポーターのみなさまと意見交換の場を設け、クラブが現在どこを目指し、どのような考えで歩んでいくのかをしっかりお示しするとともに、ファン・サポーターのみなさまのご意見にも真摯に耳を傾けてまいります。そうした対話を積み重ねながら、ファン・サポーターのみなさまとともに一体感を築いていきたいと考えております。」

(チームは生き物なので来シーズンはどうなるかわからないが、成績が低迷してしまったと仮定すると、監督の過去にフォーカスされるリスクもあると思う。代表としてその辺りのリスクヘッジはどのように考えているのか?)
「今後、成績によってさまざまな議論が生じる可能性はあると考えております。それはクラブとしても十分に認識しております。一方で、我々がそれ以前に取り組むべきことは、まずハラスメント行為が存在しない、存在させないクラブであり続けることです。そのための体制をクラブが適切に管理していきたいと思っています。
その前提のもとで、成績が悪い際には、何が原因かといったところにしっかりフォーカスをし、クラブとして適切に判断したいと思います。私どもの役割は、曺監督率いるチームが、しっかりサッカーに集中ができるようにサポートをする、その体制をしっかりと維持して機能させていくということだと思っています。その責任を果たしながら、ハラスメントを決して発生させない、という姿勢で取り組んでまいります。」

(4月の株主総会で代表、副社長も含めて再任され、その翌日には監督交代、そして今日までの間にこうして代表交代という経緯はどうなっていたのか?)
「ご質問いただいたように、一連の意思決定の流れがみなさまにとって非常に不透明であったということはお詫び申し上げます。会社の流れとしては、例年通り4月の末に株主総会を開催し、役員の選任についてご承認をいただきました。そのため、株主総会では、私どもも重任という形で意思決定をいただいております。
一方で、クラブとしては新たに新シーズンを迎え、事業年度も7月から開始いたします。そのため、少し分かりづらい形にはなりましたが、事業年度の開始に合わせ、新たな体制でクラブ運営を進めていくという意思決定がなされました。
私は、そのような新体制への移行という考え方のもとで、新たに社長推薦を受けたと理解しております」

(それに関して、監督交代は大きな影響がなかったという認識でいいのか?)
「全く別の問題です。監督の交代については、そのタイミングで然るべき判断を下したということで、社長交代のタイミングとは全く関連はございません」

(先日発表された田口前代表からのメッセージの中で、曺監督を含め複数の候補者の中からプレゼンテーションの結果、選定されたということがあった。ここまでの質問にもあるように、あるいは清水代表が所信表明でたくさん話されたように、多くの議論を呼ぶ、言ってみればとてもコストのかかる人事だと思う。経営判断としてこれだけのコスト、あるいはリスクという言い方が正しいのか分からないが、重たいものが天秤の片方のお皿に乗るようなことを承認した一番の理由は?)
「浦和レッズは以前、フットボール本部を立ち上げ、チームコンセプトをしっかり作ってチーム運営を進めていく体制を構築しました。現在、組織自体は変更しておりますが、チームコンセプトをしっかり実現していくという姿勢は変わってございません。マチェイ スコルジャ前監督をはじめ、それ以前も、縦に速く攻撃的に戦っていくという、元々の思想の中で監督を選任してまいりました。しかし、Jリーグでは我々の戦力も含めて、私たちが目指す戦い方ができずに、というところがありました。そうした中で、クラブが目指すフットボールを実現してくれる監督は誰なのか検討した結果、曺監督がそれに値すると判断いたしました。加えて、曺監督は非常に情熱家ですし、熱い気持ちを持った指導者です。浦和レッズというクラブにとって、そういった思いはなくしてはならない大切な要素であると考えています。気持ちの面、そして監督としてのマネジメントも含めて、また浦和レッズが目指すサッカーを体現できるという点について、堀之内(聖)スポーツダイレクター(SD)からプレゼンがありました。当時は田口前代表も含め、当然、私も選定の場におりました。そのような中で、浦和レッズのチームを強くしてくれるのは、曺監督しかいないという判断を下したというのがプロセスです」

(バランスの問題という話にはなるが、曺監督の実績や期待感と、今のこの状況とのバランスが取れていると判断できているのか?)
「まず、先ほどもお話ししましたように、浦和レッズが目指す戦い方を実現してくれるのは曺監督ということで判断をしております。現場に対して、特にいびつなバランスになるといった心配は実際には持っていません。先ほど述べたように、それ以外の部分では、決して(ハラスメントは)ないだろう、ということではなく、クラブがしっかりと管理をしていく、ということは忘れずにやっていきたいと思っています」

(クラブとして管理していく、サッカーに集中できるように現場のチームをサポートしていくという話があったが、具体的にどのようにクラブとして対応していくのか?)
「まずは根本的に、ハラスメントの防止という観点は、クラブとしても日頃から継続的に取り組んでおります。現場の管理という意味では、先ほど説明したように、チーム管理部門を設置しております。そこが現場に寄り添いながら、適切なサポートを行ってまいります。
加えて、昨年からフットボール委員会という会議体を設けております。少なくとも週に一回は、現場と経営陣が意見交換を行う機会を設けており、そこに曺監督にも日頃から参加いただいて、クラブの経営側も含めて、継続的にコミュニケーションを図りながら、我々自身が適切な管理をしていくということは欠かさずやりたいと思います。
また、クラブとしていわゆる通報窓口を設置しております。選手の契約に際しても、通報窓口について適切に案内しており、必要な際には、相談・通報できる仕組みを整えています。
さらに、この特別大会では、試験的に、臨床心理士をチームにつけています。これは特別大会のときにテストしましたが、2026/27の新シーズンからは正式に導入してまいります。当然、サッカーという競技のパフォーマンス向上を図ることに加え、日頃から選手たちの競技以外のところについても相談・ケアができるような環境を整えることを目的としています。そういった機能を有効的に働かせながら、我々は現場で起こり得るという前提にたち、クラブとして適切な管理とサポートを行ってまいります」

(清水代表はサッカー界よりも野球界の方が長かったと聞いている。野球界とサッカー界はかなり違いがあると思う、サッカー界でも生かしていきたいと思う野球界のいいところはあるか?)
「私事で大変恐縮ですが、私は野球一筋で来ました。クラブ着任前日まで甲子園で解説をさせていただいておりました。ですから、野球で生きてきて、野球で社会貢献をしていくことが、自分の使命、生涯のライフワークだと思っていました。前所属は三菱重工になりますので、当時の上司から『浦和レッズに』というお話がありました。その心は、私も野球だけでしたが、野球を通じて様々な形でスポーツのあり方を学び、現場も当然、経験しておりますし、コーチ、監督も行いました。悔しい思いもしましたし、勝てない厳しさもありました。日本選手権で優勝させていただいたこともあります。そういった『スポーツの何たるか』を分かっている人間が浦和レッズに行って、それを経営に生かすべきだと上司から話がありました。これは三菱重工として、おそらくそういった人間を送り込むという当時のお考えだったと思います。
サッカーのことは分かりませんでしたが、野球を通じて、組織運営、組織をどう作っていくか、強いチームを作るための補強はどうするか、そういったことはサッカーも野球も相通ずるものがあると思います。よく現場にはお話ししますが、阪神タイガースが強くなったときに星野(仙一)監督の存在が大きく取り上げられました。でも星野監督だけの力でチームが強くなったわけではないと思います。そこにおそらく、金本(知憲)さんというリーダーになる人間を据えたことでチームが強くなったのではないかと考えています。一例ですが、そういった形でチーム強化を考えるべきではないかという話も、現場とさせていただいたことがあります。
スポーツに携わってきたという部分では、私は素直に野球もサッカーも垣根をなくしてこう考えるべきではないかということは、お互いに意見をかわしていきたいと思っております」

(明治安田J1百年構想リーグの最終戦が終わった後、埼玉スタジアムのゴール裏にいくつか横断幕が掲げられた。横断幕に共通するのは、三菱重工がサッカークラブの経営をどう考えているかを問う趣旨のものと思う。まずこの点について清水代表に何か考えはあるか?もう一つ、クラブのトップがほぼ4年間で交代してしまうというのは、他の会社とは違うサッカークラブにはふさわしくないのではないかと以前から思っていた。就任にあたり、いきなり任期のことを問うのもおかしいが、そのことについて何か考えはあるか?」
「最終戦の横断幕は当然のことながら拝見しております。まず代表として真摯に受け止めるというところですが、私は代表になってやるべきことというのが、まさしく今おっしゃっていただいたように、この浦和レッズを強くするために、三菱重工に対して、私がどういったアプローチをしていくかということが、これからの役目として非常に大事になってくると思っております。三菱重工は、『スポーツチャレンジ』という考えのもと、スポーツを大切に扱ってございます。ただ、スポーツビジネスという観点では、まだまだ我々がクラブの考えや将来像について丁寧にお伝えし、コミュニケーションを取って理解をしてもらわなければならない、というプロセスが非常に大事だと思っています。我々にはまだそれが足りなかったという観点に立てば、しっかりと三菱重工とお話をさせていただき、強いチームをつくり、再びFIFAクラブワールドカップに出場し、世界で勝てるチームを目指すには、やはり三菱重工の理解も必要になってくるということは、私の責任として伝えてまいります。
任期のお話がございましたが、短期で変わってしまうというところをどう考えるかということも合わせて、一般企業とは事業特性が異なる会社になりますから、我々が感じているところをしっかりお話しをして、ご理解をいただきながら、また違った形で、改善という言い方がいいのか分からないですが、みなさんにいい形で見てもらえるような状況にできるということを、しっかりと働きかけていきたいと感じております」

(浦和レッズの過去の案内を見ていると、細かい組織変更についても通知されていたと思うが、最近はそれがなく、フットボール本部という大きなものがいつの間にかなくなっていたようなこともあった。その辺りの説明がもっと必要なのではないかということと、4月の株主総会後の会見で「社長専任のアナリスト」という言葉が出てきて、これもあまりにセンセーショナルで、もしかしたら誤解を受けているのではないかと思う。ここも説明が必要な部署や役割だと思うが、実際にはどういうことなのか?)
「フットボール本部を解体したとき十分なご説明ができていなかったというところも我々は非常に反省しております。2023年の4月に私が着任した当時、フットボール本部の中にはトップチームだけではなく、育成部門も含まれておりました。この体制ではトップチームとの縦のラインというのは、非常に効率よく進行できるものでしたが、一方でスクール事業を拡大したいということもあり、そのような状況の中で、所掌範囲が広すぎるという判断から、経営として組織変更の判断に踏み切りました。
当時フットボール本部に本部長、スポーツダイレクター(SD)、テクニカルダイレクター(TD)がおり、その中での意思決定が非常に難しかったという声が現場にありました。フットボール本部の中に育成部門とスクール事業の双方を抱える体制では、やはり所掌が広すぎるという判断に至りました。そこを分解して、育成部門とスクール事業を整理するとともに、もう一つはトップチームを独立した組織として位置づけ、トップチームを管轄するという意味で、意思の疎通や意思決定の迅速化を図るために、社長直下という体制といたしました。
これからの整理になりますが、目指すところはフットボール本部という一つの組織の中に、トップチーム、レディースチーム、育成、スクールといったところの組織体制を構築することが理想だとは考えております。現状では、人的リソースなども踏まえ、迅速な意思決定と、チーム作りをしていく上で経営側もいろいろなコミュニケーションを素早く取れるという観点で組織を分けたというのが、当時の実態でございます。

また、『社長専任のアナリスト』という表現につきましては、誤解を招くものであったと認識しております。
チームには当然チーム専属のアナリストがおります。一方で、クラブ経営の立場からは、私どもはトップチームの上におりますので、チームの状態やチームの戦い方、今の組織をしっかり客観的に見ていく役割も必要になります。社長以下、関係者が集まり、チーム専属のアナリストと観点が違った、クラブ側のいろいろな要望を調査してくれるアナリストを必要としました。例えば選手の市場環境の調査といったことも、我々には客観視をしてチームを管理したいという思いがあり、そのための指標が必要だというところで、チームを客観的に分析し、その分析結果をもとに、現場との議論や意思決定の材料として活用している、というのが正しい言い方になります。決して社長の専属としてアナリストをつけているということではなくて、クラブ全体としてチームを客観視する上で一つの指標を作ってもらい、適切な判断を行うための役割を担うアナリストでございますので、決して社長の専属ということではございません。そこは誤解いただかないようにお願いしたいと思います」

(今は強化部の顔が見えにくくなっているというか、堀之内SDが喋らないのではなく、喋れないのではないかとか憶測してしまわざるを得ない状況になっている。その辺りの風通しをどう良くしていこうと考えているのか?)
「ご指摘はごもっともでございます。私どもも発信という部分が欠けているところがありました。それぞれの部署、それぞれの役割からしっかりと発信していくということは、我々にとって課題でありますし、解決をしていかなければならないテーマだと思っています。堀之内SDには当然、現場の責任を委譲しております。そういった中で、彼がファン・サポーターのみなさまに対して発信をしていくということはもちろん大切だと思っています。今までそういった部分で、発信をしてこなかったクラブ側の責任がございます。私は当然ながら、彼も前面に出して、いろいろな考え方などを発信していく。そういう重要性は今、非常に感じておりますので、おっしゃる通り、どんどん発信をしながら、みなさまにご理解いただくというようなところは示していきたいと考えています」

(百年構想リーグの結果の受け止めと、次のシーズンに向けての意気込みは?)
「結果は12位ということで、非常にふがいない成績になりました。半年間という特別大会は当然、我々のコンセプトの中でも、2026/27シーズンに向けてチャレンジをしながら勝っていくという目標はございました。出だしのところは良かったですが、なかなか戦い方の一貫性が欠けていたり、結果として連敗を重ねるという状況が続いてしまったというところで、負の連鎖が働いたと思います。そういった中で、マチェイ監督との契約を途中で解除するという流れで、選手たちにも申し訳ないと思いながら、暫定監督として田中達也監督に指揮を執っていただきました。彼のキャリアという部分でも、非常にリスクもありますし、我々もどうしたものかというところは悩みましたが、彼自身から『ぜひやらせていただきたい』というお返事をいただき指揮を託しました。その結果、4連勝を収めるなどチームは息を吹き返し、新たにポジティブにサッカーをする姿をみなさまにお見せすることができたと思っています。
反省といえば、やはり成績を残せなかったことはありますが、田中達也監督のもと、新たな可能性も含めて、戦術にはそれぞれ違いがあり、そういったところは出していただいたので、シーズンとしては最終的には残りのトップ争いのチームには勝ちたかったというのもありますし、プレーオフも勝ちたかったというのはありますが、まだまだ力がないという評価をさせていただいておりますので、2026/27シーズンはそこをしっかりと修正していきたいと思います」

(FIFAワールドカップが行われていて、世界的にサッカーが盛り上がっている状態だと思うが、その盛り上がりを浦和レッズの盛り上がりにつなげていく思いや考えはあるのか?)
「まず(鈴木)彩艶選手が活躍していることがクラブにとっての最大の誇りになります。また、このワールドカップの盛り上がりから新シーズンに入っていきますが、ファン・サポーターのみなさまには必ず応援していただけると思っております。ただ、戦う上で勝利をしていくことは不可欠でございます。勝つチーム、かつコンセプトを体現できるチームというのを、これから8月の初旬のスタートまでに固めていくという時期には来ていますが、そういったチームの形、チームの信頼、一体感、全てを整えて開幕に臨んでまいります。そして何より成果を出していくということがプラスの連鎖になっていくと判断をしていますので、勝負の厳しさという観点では、やはり勝ちをもぎ取ってくるという強い思いでスタートダッシュしていきたい。それがさらに盛り上がっていただく一つの大きな要因になると感じております」

(ワールドカップでは遠藤 航選手の離脱や彩艶選手の目覚ましい活躍があった。クラブとしてこの2人をどのように見ていたのか?)
「遠藤選手の離脱はチームにとって非常に大きかったのだろうと思います。出だしのところで1人欠けてしまったというところは、チームに影響がなかったかと言われたら、そうではないと思います。これを浦和レッズに置き換えると、やはり主力選手が離脱してしまうということはあってはならない。そういう意味では、クラブは現在メディカル改革にも取り組んでおりますが、日頃のコンディション管理を徹底し、常にベストの体調を維持していくこと、万が一負傷した場合でも、一日でも早くピッチに戻れる環境を整えることの重要性を遠藤選手を見て改めて感じました。
一方で彩艶選手はスーパーセーブをしていたということで、私も野球ではキャッチャーをやっていましたので、やはり後ろを守る強さっていうのは何より代えがたい、選手たちに攻撃に集中させるという良い連鎖を生む一つの大きな力だと思っています。そういった意味で、彩艶選手が日本代表の後ろを守ってくれているということは、チームのみならず日本全体にとっても非常に心強かったのではないかと思います。我々のGKとしては西川周作が頑張っておりますが、ここに競争をしっかりと植え付けながら、しっかりと後ろを守ってもらうGKも『彩艶に続け』ということで頑張っていきたいと思っています」

(彩艶選手の活躍を受けて、クラブ内での反響やクラブ外からクラブに対しての反響はどのようなものがあったのか?)
「彩艶選手が頑張ってくれたおかげで、浦和レッズという名前が当然出てまいります。彼が活躍してくれたおかげで、その恩恵をクラブとして様々な形で受けることができます。先だって、与野八王子グランドのアカデミー選手たちが利用する環境の中にコンテナハウスを建て直しました。これは育成世代のしっかりした管理ということで、クラブとして経営判断をして建て替えたということになります。その資金の一部は、彩艶選手の活躍による連帯貢献金を活用させていただいて、次の若い世代に継いでいくということで実施しております。そういう感謝を彩艶選手にもしていますし、浦和レッズの名前を上げていただいているということにクラブとして感謝しています」

(日本サッカー協会は2005年宣言として、「2050年にFIFAワールドカップを日本で開催し、日本代表チームはその大会で優勝チームになる」という壮大な目標を掲げている。これは非常に重要だと私は思っているし、Jリーグもサッカーファミリーの一員なので、JFAの2005年宣言に倣って動いてほしいと思っている。これまで浦和レッズの長になった人は「いつまでにどうしたい」という具体的なビジョンを描けなかった。JFAの2005年宣言に倣って、例えば2050年前後にクラブワールドカップで優勝するために今どうするのか。2005年は今から21年も前だが、日本サッカー協会は中間目標も示しているが、その中で女子サッカーの拡大を掲げている。浦和レッズにも三菱重工浦和レッズレディースがあるが、残念ながら平均観客数は3,000人くらいで、ビジネスとして考えたときに非常に厳しいと思う。これが1万人あるいは1万5,000人を動員できるような施策も見えない。清水社長はこれについても手を加えようとしているのか?)
「昨シーズンにつきましては、ホーム最終戦の日テレ・東京ヴェルディベレーザ戦につきましては、埼玉スタジアムで実施し、そこで1万人を集めるという施策をクラブとして行っています。結果的には8,400人強の方へ来ていただきましたが、クラブのレディースの観客動員としては最多となりました。
レディースも2028年にクラブワールドカップが実施されると発表されています。そこにまず出場したいということで、一昨年、AWCL(AFC Women’s Champions League)の決勝に行くべく臨みましたが、手前のところで負けてしまいました。我々はやはりリーグで優勝して、AWCLに出場して、トップを取ってクラブワールドカップに出場するというプロセスを進んでいきたいという思いがあります。レディースの方も環境作りということで、昨年は特にタッチポイントをかなり増やしております。子どもたちと触れ合う時間といったところ、あとは各学校とかいろいろなところに赴いて、応援に来てほしいというお話はさせてもらっております。
1万人という施策を前回やっておりますので、引き続きそういった施策は続けていきたいと思っております。ただ、それを実施したおかげで実際に人数が増えるかと言われたら、昨年の平均観客数は2,500人くらいの状況になっています。ここは我々もファン・サポーターを増やす、人気を増やしていくというところは、あらゆる手を使って考えていきたいと思っております。いつまでにというところを、本来考えるべきだと思いますが、そこは実際に単年度で何ができるかについても一度考えてみたいと思っております」

(埼玉スタジアムをホームのスタジアムとしているが、世界の流れ、あるいは日本の流れを見ても新しいスタジアムというのは非常に魅力的だが、浦和レッズが主体となって新スタジアムのようなものを考えているのか?そういったものが観客動員あるいは地域との一体化を進めていくと思うが?)
「まさしくお話しいただいたように、浦和レッズとして新拠点、新スタジアム構想を高らかに打ち上げたいという思いはございます。ただ、その前段のところで、行政の方や利害関係者も含めて、いろいろな方と相談をしながら、いわゆる地域が一体となってそれを進めていくということが非常に望ましいと感じております。そういったところは正直、埼玉スタジアムの指定管理者として、いろいろなことを進めていくストーリーはありましたが、それが叶わない中でどうするべきかということはいろいろ考えており、やはり拠点構想というのは浦和レッズとしてはしっかり出していきたいとは思っています。そのバックボーンとして、少なくとも地域とのお互いの理解やコミュニケーションはしっかり取って、また可能であれば三菱重工を含めて、そういった可能性がないかということを探りながら、何かみなさまに夢を持っていただけるようなことも発信するべく、クラブとしては考えなければならないとは思っております」

(Talk on Togetherの復活も含めて、どう観客動員数を伸ばしていくのか?以前は3年で平均4万人という目標が淵田敬三代表のときにあったと思うが、そのような具体的な目標はあるのか?)
「クラブとしては、入場者数平均4万人で推移するということで目標値を立てております。集客という意味では、埼玉スタジアムに来れば『REDS WONDERLAND』として、何かワクワクする、楽しいというところをイベント部門でも作り出していく、またホームタウンと協力し、ホームタウンからのご来場に直結するようなイベントや、地域貢献を含めて人を呼んでくるということもありますが、何より強いチームを作って、それを見に来るという動機につなげるべく、やはり成績は譲れない部分だと感じています。

ですが、チームが勝ち続けるのは難しいですし、山もあれば谷もあるという中で、クラブとして何ができるかということは常に全員で意識しています。クラブが一体となって、例えば調子が悪いときでもしっかりと事業面が盛り上げて、観客動員を高めていくことはクラブの考え方やアイデンティティーとして、みなが思っておりますので、チームと事業がお互いに補完し合って、それが両方いい形で出れば、とんでもなく跳ねた結果を出してくれるのではないかと期待しています。その昔は平均観客動員が4万5000人という時期もあったと聞いております。2023年に来た私にとっては未知の数字ですが、開幕戦で6万人に迫るような方々が来られたのも目の当たりにしていますので、そういったところを目指していきたいと思います。平均人数が4万人ということなので、おしなべてしっかりと集客していきたいと思っております」

(チーム強化に対しては、どういった関係を構築していきたいと考えているのか?)
「Jリーグ全体でスポーツダイレクター(SD)の教育や育成は、課題に挙がっております。私どもには堀之内がSDでおりますが、就任から丸2年が経つか経たないかという時期になります。経験も浅いところで、私どもは堀之内を孤立させないこと、彼に責任、権限は委譲していますが、お互いが意見を交わす中でお互いの気づきやクラブの意思決定、クラブが共有すべき問題などについて、組織力を持って解決していくことが、これからの姿だと思っています。
先ほど述べたように、我々はこういったプロセスを経て、いい強化組織を作りたいと思っています。でもそれは属人的なものではなくて、組織としてしっかりとした考え方、そこにいい人が集まってくるのでいいチームが作れる、というような構図で組織を成長させたいと感じています。決して我々、社長が口を出して堀之内のやりたいことを阻止するということではなくて、普段のコミュニケーションをいかに取れるか。彼が悩んでいたら、我々は話を聞いて、どういったサポートができるか、といった組織づくりを目指しています。SDの責務はしっかり確立していますが、組織としていいものが作れる、いいアウトプット、いい決断ができるようなことを、我々は考えております」

【浦和レッズオフィシャルメディア(URD:OM)】




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