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西川周作「誇りと責任、自信を持って挑むべき大会」

FIFAクラブワールドカップ2025の初戦、グループステージ MD1 CAリーベル・プレート戦を2日後に控えた日本時間16日、西川周作の囲み取材がオンラインで行われ、メディアからの質問に答えた。

(FIFAクラブワールドカップ2025の初戦は38歳最後の公式戦となる(※6月18日が誕生日、現地時間では時差の関係で誕生日を迎えていない状態)。心身ともに整っているか?)
「ポートランドよりお送りしていますが、気候も環境もすごくいいですし、非常にいいトレーニングができていますので、ここまで順調に来ていると思います。言われて、確かにもうすぐ誕生日だといま知りました(笑)」

(食事面では栄養士の石川三知さんやシェフの西芳照さん、現地スタッフの方々からおいしい食事が提供されていると思うが、食事をどのような時間にしているのか?あらためて西シェフの料理で好きなものは?)
「しっかりサラダから、味噌汁もありますし、西さんが作ってくれるパスタも種類が豊富で毎日同じではなく、日替わりで出してくれたりしています。日本食も食べられていて、今日は西さんがうなぎを出してくれて、『パワーを付けてくれ』というメッセージもいただいたので、みんなペロッといただいて、パワーを付けられたと思います。

僕自身、西さんが作るパスタはすごく好きで毎食いただいています。みんながコミュニケーションの場として、食べ終わっても残って話す時間がすごく長いですし、トレーニングキャンプ以上に時間がある分、みんなと周辺を散歩してみたり、カフェが周りにたくさんあるので気晴らしに行ってみたり、そういう時間を過ごせています」

(ポートランドでどこまで感じられているかは分からないが、大会自体の盛り上がりはどうか?いままでのFIFAクラブワールドカップやブラジルでのFIFAワールドカップと比べてどうか?)
「32チームになったということで毎日試合がある環境ですし、昨日は(リオネル)メッシ擁するインテル・マイアミが試合をしていて、テレビでも普通に放送されていますし、今日も3試合くらい予定されているので、みんなでトレーニング帰りにパリ・サン=ジェルマンとアトレティコ・マドリードの試合を見たり、僕たちが試合をするシアトルのスタジアム、ルーメンフィールドで行われる試合もいま行われているので、スタジアムの雰囲気や芝生の状態を見たりしていました。食事会場でも大きいスクリーンで放送されているので、日中はみんなで見たりしていました」

(西川選手自身は2014FIFAワールドカップブラジルのときと比べて心境に違いはあるのか?)
「ブラジルのときは初めてのワールドカップで、すごく緊張していたのを覚えていますが、いまの精神状況、体を含めていい緊張感というか、余裕と緊張感の間くらいで過ごせていると思います」

(国際大会だと直前に選手ミーティングがあったりするが、行っているのか?)
「選手ミーティングを行う予定はないですし、こちらに入ってからも行ってはいないです。トレーニング中はキリッとできていますし、ホテルでもみんなと楽しく話したり、先ほども言いましたがトレーニングキャンプとはまた違ういい時間を過ごせていると思います。(トレーニングキャンプでは二部練習も多いが)一部練習ということで午後に時間もあるので、いい時間が過ごせています」

(代表チームとは違って日頃から顔を合わせていて、意思疎通ができているし、平常心でいられるような雰囲気なのか?)
「みんなで同じご飯を食べて、今シーズン長く過ごしてきている仲間ですし、スタッフも含めてみんなで一つになっている感があります。クラブスタッフの方々も途中から来てくれていますし、明日は興梠(慎三)さんもアメリカに入るみたいなので、クラブとして一つになれている感覚があります。これで勝っていくとさらに団結力が深まると思います」

(2014FIFAワールドカップブラジルも過去2回のクラブワールドカップも、うまくいったこともあればそうでなかったこともあったと思う。初戦にいい形で臨むために最後に大事になることはどんなことか?)
「僕がイメージしているのは、攻め込まれる場面は数多くあると覚悟していますが、自分たちがボールを持てたり、うまくいく時間が長かったりすればラッキーというくらいの気持ちで臨もうと思っています。GKとして最悪の想定はしておきたいですし、過去にマンチェスター・シティ(FC)と対戦したときもハーフコートでプレーするくらいにボールを持たれる時間が長かったので、いかに我慢強く戦えるか。ボールを持てなくても我慢できれば必ずチャンスがある相手だとも感じていますし、攻撃的なチームである上にリスクマネジメントを見てみると日本のチームほど徹底しているわけでもないので、隙があるという感覚があります。我慢するところを組織で守っていければチャンスはあると思っています」

(昨日のアル・アハリ FCvsインテル・マイアミFCの試合もそうだったが、GKが印象的な活躍を見せて結果を動かしたと思う。レッズがCAリーベル・プレートやインテル・ミラノと対戦するとなれば、決められたと思うシュートをどこかでGKが止められるかどうかということもあると思うが、そういう意識はどうか?)
「GKの活躍で試合が締まるということは、見ていても楽しかったですし、興奮させられるような試合になったと思います。僕もそういうプレーをしたいですし、言われたように2、3本絶対に止めなければいけない状況が必ず来ると思うので、そこで止めるか止めないかの違いでチームが楽になるかどうか、笑顔で終われるかどうかが変わってくると思います。GKの存在価値を証明できるチャンスでもあると思っています」

(キックは32チームになった大会でこれぞ西川周作だということを世界に見せられる場面だと思うが?)
「守るだけがGKでもないですし、うまく新ルールを利用しながら攻撃参加していきたいと思っています。ボールもJリーグとは少し違って、当たれば飛ぶし、当たらなければ失速していくという分かりやすいボールではありますが、しっかりと蹴り込んでいい調整ができているので、一発でチャンスになるようなフィードを味方につなげたいと思っています」

(クラブスタッフや興梠さんの話もあったが、2023年のときは選手も全員ではなかった一方、今回選手は全員アメリカ入りし、ハートフル活動も行っているなど、クラブの総力戦だと感じるほどだが?)
「あらためてクラブワールドカップの規模の大きさを感じられていますし、いままでになかったことでもあるので、選手もクラブの方々を知るいい機会になっていると思います。僕は長く在籍しているのでみなさんのことを理解していますが、若い選手にとってもクラブワールドカップの大きさはそういうところからも感じられていると思っています。ここで結果を残すことでさらに一つになれると思っています」

(GKの活躍についての話もあったが、ここまで目立っているのがベテランのGKだということもあると思うが)
「僕たちのグループ(E)のGKも30代後半のGK、初戦のリーベル・プレートのリーベルのGKは僕と同い年ですし、(インテル・ミラノのヤン)ゾマーも2つ下くらい、(CF)モンテレイのGKもベテランです。インテル・マイアミのGKもよく知っているGKですし、アル・アハリのGKもクラブワールドカップで対戦したGKで、『戦ったな』と話しながら見ていました。すごく刺激になります。GKは年齢を重ねた方がいい味が出てくると感じていますし、そこはGKの醍醐味だと感じています」

(ベテランが多いということもあるかもしれないが、活躍しているプレーを見ていると派手なプレーというより落ち着きがあってどっしりとしたプレーをしているようにも見えるが?)
「僕が理想としているようなプレーをしていると見ていて感じますし、ビッグセーブというよりは取れるボールをしっかり取る、弾くボールをしっかり大きく弾くといったアクションをやられていたので、見ていてもそれがノーマルだと感じましたし、僕たちがやっている取り組みも通用すると思っているので、世界のGKがやっているかやっていないかに関わらず証明していく必要があると思います。そんな大会にしたいと思っています」

(GKがボールを手で持てる時間が6秒から8秒になり、8秒を超えた際には相手のコーナーキックで試合が再開するという新たなルールの影響はそれほど出ていないと思うが、どうしても頭の片隅で意識してプレーに影響が出るのではないか?)
「オープンな展開になればそれほど持つこともないと思いますが、攻め込まれて、耐えて耐えて取りました、となって、味方が前に出ていけない、スペースがないとなったときに気を付けないといけないと感じています。僕が早く出したくても味方が動いていなければ出すところもないので、そういったときはスペースに蹴ったり、究極はスローインにしてしまう、あとは正確なフィードを味方に届けることができれば問題ないと思いますので、状況にあったキックをしていきたいと思っています」

(出しどころがないときに割り切らないといけない難しさがある)
「割り切ることは大事だと思っています。CKになるので相手にチャンスを与えるよりも、相手がいやなことをすることを考えながらプレーしたいです」

(初戦の相手であるリーベル・プレートの印象や気を付けたいこと、注目している選手はどうか?)
「気を付けていることは、サイドのローテーション、サイドハーフとサイドバックの選手がうまくローテーションして攻撃してきますし、鋭いクロスが両サイドから中に入れられてくるので、いい準備をしておかないといけないですし、まずは上げさせないことをチームとして共通理解のもと、守っていければと思っています。

注目している選手は、世界でも報道があったようにレアル・マドリードに移籍する若い選手(フランコ マスタントゥオーノ)は誰もが注目していると思いますし、僕たちはまだレアルに移籍していなくて良かったと思っています。世界の、これからという選手と対峙できるのは非常にいいチャンスだと思っていますので、そういった相手でもまずはメンタル面で負けない、そしてファーストプレーでガツンと行くという姿勢を見せていけたらと思っています」

(ディフェンスラインをセットするときに気を付けたいことは?)
「あくまでも僕たちは攻める、前から守備をするということを継続していきたいと思っているので、まずは自分たちも攻めるんだ、闘うんだという姿勢を見せることができれば、ラインを高く設定できると思います。相手をゴールから遠ざけることができれば、ピンチの回数も減っていくと思うので、そういう強気な姿勢をみんなで示していきたいです」

(浦和からもたくさんの応援に行くと思うし、日本で朝早く起きて試合を見る人もいると思う。浦和を愛する人々へのメッセージをお願いします)
「現地にもたくさんのファン・サポーターの方々が足を運んでくれるという話を聞いていますし、映画館でライブ・ビューイングをしていただける機会もあります。家で早起きして応援してくれている人もいる中で、浦和レッズが目指すところは、前回のクラブワールドカップでファン・サポーターの方々が掲げてくれた世界制覇だと思います。アジアを越えて世界に挑戦するということで自信を持って、みんなで一つになって勝ちを目指していきたいです。そのためにもたくさん応援していただけたらうれしいです」

(レッズでは3回目、サンフレッチェ広島時代も含めると4回目のクラブワールドカップ出場になるが、今回初めて出場する選手へのアドバイスはあるのか?)
「僕も経験したことがない場に行ったときはすごく緊張しましたし、頭でいろいろ考えて試合に入っていたことを思い出します。特別なことをやってやろうと意気込みますが、結局は自分がやってきたことしか試合には出ないと思うので、謙虚にやっていくことが一番大事だと思っています。特別何かをして目立ってやろうということは思わない方が自分のためだと思いますし、それがチームのためになると思います。いままでやってきたことを信じて戦うことが大事だと思っています」

(誕生日をアメリカ大陸で迎えるのは2014年以来だが、人生で一番悔しい思いをしたとも言っていた。そのときから思っていることでいまにつながっていることはあるのか?)
「自分の何かイベントと言うか、個人的なイベントがあるときにチームの試合は過去にもありましたが、自分の中ではいい思い出の方が少ないと感じているので、いまとなっては危機感しかないと感じています。いい誕生日にするというよりは、チームのためにベストを尽くす。後悔をしない。それができれば勝っても負けてもいい誕生日になると思っています。でも勝利ですね。負けはダメです。勝利して誕生日を迎えたいという欲はあります」

(野球の野茂英雄さんはいままで投げた配球を全て覚えているというが、西川選手は失点シーンやナイスセーブのシーンは覚えているものなのか?具体的にデータとして頭の中に入っているのか?)
「セーブよりどうやって失点されたかを覚えています。そちらの方が頭を使うというか、なぜこれはこういう動きをしてしまったのか、自分の感覚と映像を照らし合わせて考えるようにしているので覚えていることの方が多いです。ビッグセーブは頭の中が『無』なんですよね。予想で止めたとかではなくて、無の境地というか、そういったときは体が勝手に動いている感覚なので、覚えていないことの方が多いです」

(中には全て忘れてしまうという人もいるし、東京ヴェルディのマテウス選手は全部覚えていると言っていた。西川選手と同じようにセーブより失点シーンの方が細かく覚えていると言っていた。「年齢を重ねるごとにいい味が出る」と言っていたが、ミスの蓄積が成功の確率を高くするのか?)
「間違いないですね。失敗して成長していくのがGKですし、失敗を気にしすぎることは成長につながらないと思っているので、失敗して成長して、その繰り返しですよね。自分もいろいろなミスをしてきましたが、ミスから学ぶことはすごく大事なことでもあるので、そこは自分が大事にしてきたことでもあります。逆に自分たちの得点シーンをあまり覚えていないかもしれないです」

(西川選手は今季でレッズ在籍12シーズン目になった。今回のクラブワールドカップについて、例えば関根貴大選手は、いまいる選手やスタッフだけではなく、たくさんの仲間がたちが関わって出られる大会だと話していた。2021年の天皇杯からつながっているということもそうだが、さらに前のことから天皇杯の優勝につながったこともあるかもしれない。そういう歴史のつながりのようなことについてどう感じているか?)
「約4年前の天皇杯予選、カターレ富山戦から始まったストーリーでもあるし、さらに言えばレッズが誕生してからつながっているのではないかというくらいの勢いだと思います。いろいろな歴代の選手を含めて、浦和レッズというクラブが大きくなってきて、ファン・サポーターの方々も含めてJリーグで一番を誇る熱量だと思いますし、そういった人たちの思いも含めて、いろいろな人でつないで出場できた大会だと思います。いまいるメンバーはそういったことも考えながら、誇りと責任を持って、ただラッキーでいるわけでもないし、いろいろなめぐり合わせがあって浦和レッズがクラブワールドカップに来られたと思うので、みんなで自信を持って挑むべきだと思っています。天皇杯はいまは引退してしまった人たちもいるし、その方々の活躍もあったし、そういった仲間のことも考えると、胸を張って思い切り楽しみたい大会だと思います」

(そういう思いはプレッシャーではなく力になるものか?)
「間違いなく力です。プレッシャーというよりは、僕たちの力で勝ち取ってきたものですし、浦和レッズとは、というような、あるべきもの、目指すべきものはファン・サポーターのか方々と同じ部分が大きいので、アジアを越えて世界制覇を目指すことに一緒にチャレンジしていきたいです。だからこそ、たくさんの方々が応援してくれますし、現地に足を運んでくれると思うので、一緒に初戦をいい形で終えたいと思っています」

【浦和レッズオフィシャルメディア(URD:OM)】

西川周作「誇りと責任、自信を持って挑むべき大会」

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