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PICK UP PLAYER | 肥田野蓮治

明治安田J1百年構想リーグ 地域リーグラウンド 第12節 横浜F・マリノス戦後。
肥田野蓮治の表情は硬く、浮かないものだった。
何もできなかった、というわけではない。
むしろ逆だ。

1-1と追いついた場面は、その象徴だろう。
27分、ペナルティエリアの右脇で相手選手と交錯し、彼はピッチに倒れこんだ。
しかしながら、ファウルをアピールしたりはしなかった。
すぐさま起き上がると、目の前にあるボールをさらってエリア内へ侵入。
相手選手3人を引き付けてからサポートについた石原広教へとボールをつなげた。このプレーがその後の石原のクロス、そして金子拓郎の同点弾への起点となる。

「目の前にボールがあって相手も止まっていたので、自分だけは足を止めない、前への姿勢を見せたかった」

そう振り返る肥田野の表情は、浮かないままだ。
チームが連敗の悪循環から抜け出すことができなかったのだから、当然のこととも言えた。

だが、筆者はふと思い至った。
もし勝っていたとしても、自身のゴールがなければ、この男の表情は晴れやかなものとはならなかったのではないか――、と。
それほどまでに、肥田野からは『ゴールへの欲求』が伝わってくる。
事実、彼はこう続けた。

「本当は自分で行きたかったですけど、チームのゴールにつながったので、それは良かったと思います」

肥田野が抱くゴールへの欲求は、『自分の力でチームを勝利へ導く強い意志」と言い換えてもいい。

念のため付記しておくが、彼は天狗になどなってはいない。先述の同点弾の起点となったプレーについて、彼はこう語ってもいる。

「自分はまだチームの中で一番下だと思っていますし、今できることを100パーセント、120パーセントでやるという気持ちで試合に入っています。本当は倒れずにいきたいところですけど、倒れたからといってプレーをやめることは考えていないです。どんな形でも、自分が『前へ、前へ』という気持ちを見せてチームをゴールに向かわせるのが自分の役割でもあると思うので、そういう面では、もっと貪欲にゴールに向かっていける選手になりたいと思います」

つづく川崎フロンターレ戦は、突然の指揮官交代を経て迎えた。

肥田野は70分にピッチに送り込まれ、前線で激しくボールを追った。
それは、田中達也監督が彼に求めた「味方に勇気を与えるような迫力のあるプレス」を体現するものだった。
肥田野自身はこう振り返る。

「自分が入って、もう一回前に行くんだっていうところをプレスで見せることと、背後へのランニングという姿勢は示せたかなと思います」

横浜FM戦後にくらべれば、勝利したぶん表情は柔らかかったものの、「晴れやか」と形容するには随分と遠いものだった。

「全然まだまだです。逆にむしろ、自分的には危機感というか、やっぱりFWで出てる以上は得点という結果で示さなきゃいけないので、今日、得点が取れなかったところもまだまだ課題です」

そう口にして表情を引き締めていた。

5月2日、浦和レッズはジェフユナイテッド市原・千葉をホームに迎える。
今季最初に対戦したジェフ千葉。その開幕戦では、肥田野もゴールを決めている。
その数日後に話を聞いた際、彼はサラリとこう言ってのけていた。

「レッズの『顔』になるような選手になりたいです」

思いは少しも揺らいでいない。
そして実際のプレーぶりは、その発言にふさわしいものへと、少しずつだが着実に近づいているはずだ。

青年はこれからも、貪欲にゴールへと向かいつづける――。

(取材・文/小齋秀樹)

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