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PICK UP PLAYER | 長沼洋一
埼玉スタジアムから大きなタメ息が漏れると、ぐっと唇をかんだ。4月12日の東京ヴェルディ戦。スコアは1-1だが、またしてもPK負けを喫した。長沼洋一は険しい表情で振り返る。
「PKは3回中、3回とも負けているので。このレギュレーションを分かった上で、チームとして練習もしているのですが……」
やり切れない。2月14日のFC東京戦、3月18日の柏レイソル戦でも、90分終了時にピッチに立っていただけに悔しさが余計に募る。いずれの3試合も先制しながら、追いつかれてPK戦に持ち込まれているのだ。左サイドバックでプレーする男の心情は言わずもがな。
「ディフェンダーとしては、もちろん、ゼロで抑えるのがいい。90分以内で何とかしたいです」
今季、先発したのは3試合。出場したゲームでは安定した守備を見せている。東京V戦でもマークの判断が難しい相手のウイングバックに体を素早く寄せて対応。簡単にクロスボールを上げさせていなかった。逆サイドからクロスボールが入ってきても、マークを離すことはない。目を引くのは1対1での強さ。鋭いタックルからボールを奪取し、攻撃につなげるシーンは多い。守備には手応えも感じている。
それでも、持ち味は攻撃参加。大胆にサイドを駆け上がるタイプではないものの、タイミング良く攻め上がり、味方との連係プレーからチャンスをつくる。実戦練習ではボランチの位置に入り、パスのつなぎ役を務めることもある。サガン鳥栖時代にはサイドハーフでプレーし、1シーズンに10ゴールをマーク。カットインからの右足シュートは武器の一つ。現体制では大きなリスクを負った攻め上がりは自重しているものの、シュートには自信を持っている。元来はアタッカーである。プロキャリアをスタートさせたサンフレッチェ広島をはじめ、J1でブレイクした鳥栖時代にも全体練習のあとには欠かさず、ゴールにボールを蹴り込んできた。かつては嬉々として話していた。
「自分のゴールで勝つ喜びを知っているし、それでスタジアムが沸く感覚も覚えています。ゴールへのこだわりはありますよ。サッカーは点を取るスポーツですから」
いまのレッズは攻めのバリエーションが不足し、追加点を奪えずに苦しんでいる。もちろん、1点差を守り切るパターンもあれば、ボールを保持しながら時間をうまく進める手段もある。ただ、理想はダメ押しの2点目、3点目を挙げることだろう。サイドバックの攻め上がりは、攻撃に厚みを加える一つの形になる。チャンスがないわけではない。東京V戦の終了間際には、するするとボックス内に侵入し、ゴール前の混戦にすっと姿を見せた。左足で狙ったシュートはミートできなかったが、得点を狙いに行く感覚は鈍っていない。
「決めたかったですね。いつかは、点を取りたい。まあ、取れるんじゃないのかなと思っています」
のどから手が出るほど欲しい白星のためだ。今季、長沼は途中出場を含め、5試合に出場しているが、いまだピッチで勝利を告げるホイッスルを聞いていない。最もこだわるのは、自身がピッチに立った試合では必ず勝つこと。チームに勝利をもたらす選手こそが、最も価値があるという。昨季は左サイドバックの主力として22試合に先発出場したものの、今季はベンチスタートが増えている。スターティングメンバーに名を連ねれば、当然、期するものがある。同じく控えの回数が増えた右サイドバックの石原広教と、東京V戦の前にも話していた。
「お互いに今シーズンはスタートの試合が少ないので、出たときには流れを変えたいよなって」
結果は周知の通りである。現実は厳しい。チームは2度のPK負けを含めて5連敗。責任をひしひしと感じている。
「PK負けでも、負けは負け。悔しいです」
2024年の夏に鳥栖からレッズに完全移籍で加入し、3年目を迎えている。今週末に控えた鹿島アントラーズとの一戦が、異様な雰囲気になることは肌で経験してきた。敵地のメルカリスタジアムは鬼門。2016年以降、勝利から見放されている。昨年のアウェイゲームは記憶に新しい。1点リードしながら終了間際に同点ゴールを許し、ドローで終わった。そろそろ嫌な歴史に終止符を打ちたいところ。長沼は良いきっかけにすることを誓う。
「熱い試合になると思うので、これまでの流れを忘れて、臨みたい。伝統の一戦ですし、ここで流れを変えたいと思います」
4月14日に29歳の誕生日を迎え、新たな気持ちで臨む18日の決戦。浦和の魂をぶつけて点を取りに行き、最後まで体を張ってゴールを守り抜くつもりだ。勝利で存在価値を証明する。
(取材・文/杉園昌之)
「PKは3回中、3回とも負けているので。このレギュレーションを分かった上で、チームとして練習もしているのですが……」
やり切れない。2月14日のFC東京戦、3月18日の柏レイソル戦でも、90分終了時にピッチに立っていただけに悔しさが余計に募る。いずれの3試合も先制しながら、追いつかれてPK戦に持ち込まれているのだ。左サイドバックでプレーする男の心情は言わずもがな。
「ディフェンダーとしては、もちろん、ゼロで抑えるのがいい。90分以内で何とかしたいです」
今季、先発したのは3試合。出場したゲームでは安定した守備を見せている。東京V戦でもマークの判断が難しい相手のウイングバックに体を素早く寄せて対応。簡単にクロスボールを上げさせていなかった。逆サイドからクロスボールが入ってきても、マークを離すことはない。目を引くのは1対1での強さ。鋭いタックルからボールを奪取し、攻撃につなげるシーンは多い。守備には手応えも感じている。
それでも、持ち味は攻撃参加。大胆にサイドを駆け上がるタイプではないものの、タイミング良く攻め上がり、味方との連係プレーからチャンスをつくる。実戦練習ではボランチの位置に入り、パスのつなぎ役を務めることもある。サガン鳥栖時代にはサイドハーフでプレーし、1シーズンに10ゴールをマーク。カットインからの右足シュートは武器の一つ。現体制では大きなリスクを負った攻め上がりは自重しているものの、シュートには自信を持っている。元来はアタッカーである。プロキャリアをスタートさせたサンフレッチェ広島をはじめ、J1でブレイクした鳥栖時代にも全体練習のあとには欠かさず、ゴールにボールを蹴り込んできた。かつては嬉々として話していた。
「自分のゴールで勝つ喜びを知っているし、それでスタジアムが沸く感覚も覚えています。ゴールへのこだわりはありますよ。サッカーは点を取るスポーツですから」
いまのレッズは攻めのバリエーションが不足し、追加点を奪えずに苦しんでいる。もちろん、1点差を守り切るパターンもあれば、ボールを保持しながら時間をうまく進める手段もある。ただ、理想はダメ押しの2点目、3点目を挙げることだろう。サイドバックの攻め上がりは、攻撃に厚みを加える一つの形になる。チャンスがないわけではない。東京V戦の終了間際には、するするとボックス内に侵入し、ゴール前の混戦にすっと姿を見せた。左足で狙ったシュートはミートできなかったが、得点を狙いに行く感覚は鈍っていない。
「決めたかったですね。いつかは、点を取りたい。まあ、取れるんじゃないのかなと思っています」
のどから手が出るほど欲しい白星のためだ。今季、長沼は途中出場を含め、5試合に出場しているが、いまだピッチで勝利を告げるホイッスルを聞いていない。最もこだわるのは、自身がピッチに立った試合では必ず勝つこと。チームに勝利をもたらす選手こそが、最も価値があるという。昨季は左サイドバックの主力として22試合に先発出場したものの、今季はベンチスタートが増えている。スターティングメンバーに名を連ねれば、当然、期するものがある。同じく控えの回数が増えた右サイドバックの石原広教と、東京V戦の前にも話していた。
「お互いに今シーズンはスタートの試合が少ないので、出たときには流れを変えたいよなって」
結果は周知の通りである。現実は厳しい。チームは2度のPK負けを含めて5連敗。責任をひしひしと感じている。
「PK負けでも、負けは負け。悔しいです」
2024年の夏に鳥栖からレッズに完全移籍で加入し、3年目を迎えている。今週末に控えた鹿島アントラーズとの一戦が、異様な雰囲気になることは肌で経験してきた。敵地のメルカリスタジアムは鬼門。2016年以降、勝利から見放されている。昨年のアウェイゲームは記憶に新しい。1点リードしながら終了間際に同点ゴールを許し、ドローで終わった。そろそろ嫌な歴史に終止符を打ちたいところ。長沼は良いきっかけにすることを誓う。
「熱い試合になると思うので、これまでの流れを忘れて、臨みたい。伝統の一戦ですし、ここで流れを変えたいと思います」
4月14日に29歳の誕生日を迎え、新たな気持ちで臨む18日の決戦。浦和の魂をぶつけて点を取りに行き、最後まで体を張ってゴールを守り抜くつもりだ。勝利で存在価値を証明する。
(取材・文/杉園昌之)
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