NEWS

Jリーグ第12節前日 フィンケ監督


フォルカー・フィンケ監督 2009シーズンJリーグ第12節ガンバ大阪戦 前日のコメント
「今週は、先週に比べて2日間トレーニングを多くすることができ、試合へ向けていい準備ができました。私たちは今シーズンから昨年までとは違うサッカーをやっているわけですから、できるだけトレーニングを積まなければならない状況にあります。その意味では、今週2日間多くトレーニングができたことは非常によかったと思っています。
毎日のチームトレーニングに参加している選手たちは、非常に高いモチベーションと強い意志をもって臨んでいると思います。そのことは高く評価しています。
ただし現状としては、梅崎 司、ポンテ、田中達也という3人の選手が離脱しています。彼らのような主力として活躍できるレベルの選手が残念ながらいないことは、大きな痛手です。しかし、だからといって、ここで泣くわけにはいきませんし、代わりに入ってくる選手が、しっかりとした努力をして高いパフォーマンスを見せることを望んでいます。今週末の対戦相手は、日本でも最もレベルの高いチームの一つだと思います。今週末は非常にレベルの高い試合を見ることができるのではないかと思っています」

(田中達也の復帰の目処は?)
「自分がケガをしているわけではないので、詳しくコメントすることはできません(笑)。
彼にはしっかりとした準備期間を与えたいと思います。あまり早いタイミングで復帰して、またケガをしてしまうことになると、本人のためにはもちろん、クラブのためにも代表のためにもなりません。彼にはしっかりとした時間を与えて、復帰してからも、数ヵ月間ケガなく問題なくプレーができる状態になってほしいです。そうすれば、クラブのためにも代表のためにもなります。あまり早く戻ってきてリスクを冒すということは、本人のためによくないと思います。現状としては、彼はまだチームトレーニングに参加できない状態ですし、復帰するまでにはまだまだ時間がかかると思いますし、私の方から急かす、もしくは予定よりも早めに復帰させるということは一切考えていません」
(その方針に関しては、日本サッカー協会ともやり取りをしたものなのか?)
「自分は、しっかりとしたいいコミュニケーヨンを取っていると思いますが、記者のみなさんの方が日本サッカー協会に関してはもっと情報をもってるかもしれませんね」
(以前、監督は「復帰には、休んだ期間と同じくらいの準備期間が必要となる」と言っていた。そうなると、田中達也は現状で1ヵ月近く休んでおり、今後復帰することとなっても、1ヵ月以上の準備期間が必要となるということか?)
「公の場で、彼があと何週間で復帰するか、期間についてしっかりとしたことを言うことはできませんし、私はそういった期間を設定すること自体にはあまり意味がないと思っています。私はこのクラブに来る前に、田中達也が何試合、試合に出場したか、出場の期間とケガによって離脱していた期間、すべてデータを集めました。この数年間に起きたことはみなさんもよくご存知だと思います。
今回ばかりは、復帰した数週間後にまた小さなケガをしてというサイクルを繰り返させるのではなく、しっかりと治して、少なくとも数ヵ月間に渡ってまったくケガのない状態で本人がプレーできるようになることを望んでいます。彼の体の状態をリスペクトしないといけないと思いますし、無理をさせてまたケガをするというのは全関係者にとってよくないことだと思います。
彼は現在、ご覧の通り、チームトレーニングに合流できていません。個別メニューでも、それほど速いペースで走っているわけではありません。瞬発系のメニューをやっているわけでもありません。彼はあくまで持久力を維持するためのメニューをこなしているわけです。現在このような段階ですから、瞬発系のメニューをこなさないうちに、すぐまた試合に合流できる、あるいはゲーム形式のトレーニングができるというレベルではありません。
彼が戻ってきたら、もしかすると6週間よりも早めのタイミングで公式戦に戻ることができるかもしれません。しかし、順序よく復帰までの道のりを考えなくてはいけないと思います。今はまだ持久系のメニューで、これから瞬発系のメニューをして、とだんだん負荷を高めていってチームトレーニングに合流できると思っています。
今、自分たちの置かれている状況を考えますと、私は監督として、今すぐにでも田中達也がプレーできる状態になってほしいです。ポンテ、梅崎らがケガをしています。攻撃的な選手である彼らが離脱している状況ですから、達也という選手は今すぐにでも必要なわけです。しかし彼に圧力をかけるつもりはありません。
なぜなら、ケガを治すことが大切だからです。チームの事情というものはたしかにあるのですが、そこで無理やり彼を出場させるわけにはいきません。
今、若手の選手たちが出ていますが、彼らはこれからまだまだ経験を積まなくてはなりませんし、毎回毎回コンスタントにレベルの高いプレーを見せることができるわけではありません。なぜなら、まだ若いからです。なので、今シーズンに入ってから、今が最も田中達也を必要としている状況なのかもしれません。しかし、彼を無理やり復帰させることは一切考えていません。是非みなさんも今までの数年間のデータを調べてみてください。田中達也という選手は6週間まったくケガをしないで準備期間のすべてのトレーニングに参加できたことは、この数年間なかったことなのです」
(今季のレッズにとって、同様のパスサッカーを志向するガンバ大阪との対戦はどういう意味を持っているのか?)
「まず私たちがすでに、勝ち点23を取っているというのは非常に大きいと思います。ですから、ガンバ大阪から何としても勝ち点3を取らなければいけないというプレッシャーの中で今の私たちは戦っているわけではありません。勝ち点23を取ったことで、ある程度時間を稼ぐことができたと思います。私たちは、トレーニングの組み方や試合への準備、ピッチ上でのプレーの仕方などを今までのやり方からガラリと変えています。
ですから、すべての選手たちがこの新しいやり方に慣れるまで、新しいプレースタイルを自然とピッチ上で発揮できるようになるまでには、まだまだ時間がかかります。今回のガンバ大阪との試合で、もちろんできる限り多くの勝ち点を奪いにいきたいですが、どうしても勝ち点3を奪わなくてはいけないという状況ではありません。そして、本音を言わせてもらえば、Jリーグで最も強いチームとは、シーズンの終わりに戦わせてもらいたかったと思います。しかし、日程を組むのは、私ではありません(笑)。
私は昨シーズン終盤の(レッズの)試合を観ています。もし、『レッズに新しい選手が移籍してこないままで、第11節の時点で勝ち点23を取っているかどうか?』と予想した場合、私は取っている方には賭けなかったでしょう(笑)。その可能性は低かったと思っているからです」
(レッズは最終節では鹿島アントラーズと対戦するが、アントラーズよりもガンバの方が強敵という認識?)
「ここは本当に外交官的な発言にしておきたいと思います。開幕戦で鹿島アントラーズと戦ったとき、私たちはあのような結果で敗戦を喫しましたが、内容を考えると必ず敗戦するといったようなものではなかったと思っています。ですから、私は最終節にホームでまた鹿島アントラーズと対戦できるのを非常に楽しみにしていますし、それまでどのくらいチームが成長するかも興味深いことだと思っています。
先ほど聞いたことですが、昨年ガンバと4回戦って1回引き分けて3度の敗戦を喫しているわけです。ですから、私たちとしては、昨年よりはいい結果を残そうと思いますけど、今までの中でも最も難しい試合になるのではないかと思われますし、しっかりとした準備をして試合に臨まなければならないと思います。かなりの強敵と対戦すると理解しています」
(ガンバを「日本でも最もレベルの高いチーム」と言ったが、それはどのあたりに感じるのか?)
「後方からしっかりとゲームを作ることができること、それからボールを奪われたときの守備がしっかりとしていること、ゴール付近ですべての選手が仕事をこなそうとしている努力・意思が見えてくること、このあたりが非常に大きなポイントだと思います。
実際、私は彼らの試合を数回観ています。Jリーグの試合を2回とACLの試合も観ましたが、やはり彼らはどの試合でもレベルの高いサッカーをしようとしていたと思います。Jリーグではいくつか苦戦をしていた試合もありましたが、彼らが実践しているサッカーはJリーグの中でも非常にレベルの高いものの一つだと思います。特に、ボールを持ったとき、後ろからのゲームの作り方には非常に興味深いところがあると思いますし、ディフェンスのオーガニゼーションもしっかりしています。
そして、私がとても評価しているのは、相手のペナルティーエリア近くに来たときに、無理やりシュートに持ち込むのではなくて、しっかりと得点チャンスを作り出そうとしているところです。打てない状況、もしくはあまり得点の確率が高くない状況から無理やりシュートを打つということは滅多にしていません。相手のペナルティーエリアの近くでも、しっかりとしたコンビネーションから得点チャンスを作り出そうとしているところを、私は評価しています」
(ペナルティーエリア付近での崩し方については、レッズが目指すサッカーとの共通点もあるのではないか?また、ガンバとの違いは?)
「試合の前ですから、特に戦術的なことについて細かくはお話しはできません。もちろん、いくつか似ているところがありますし、実際に共通点もあると思いますし、私が見たところではいくつかの違いも存在していたと思います。ただし、忘れてはならないのは、どのような選手が自分たちのチームに所属していて、どのような選手がピッチに立てるのか、ということです。
ケガで何人の選手が離脱しているのかなど、ピッチに立てる選手の状況によって、実際にできるサッカーは若干変わってくると思います。
例えば、ガンバで言えば、ルーカスがFWから一歩下がって中盤のところから試合に出るようになってきており、彼はその仕事をよくやっていると思います。私たちのチームでは、ポンテが試合に出られるか、出られないかで、私たちのゲームの進め方は、やはり少し違ってくると思います。繰り返してみなさんにお話ししたことだと思いますが、サッカーの試合というのはいつでも自分が望んだ曲を演奏してくれるコンサートではありません。現状を見極めて、試合に臨まなくてはいけないと思います。
そして、サッカーではよく起こりえることなのですが、トレーニングで何度も何度もやっていたことが、公式戦の日になると突然うまくいかなくなることがあるわけです。それは、そのときの選手のコンディション、ケガによる離脱などで起きたりするわけですが、そのようなときでも、選手たちが高いモチベーションをもって試合に臨んだり、ファイト溢れるプレーで勝ち点1もしくは3を取ることもあるわけです。サッカーでは、トレーニングでやっていたことを100パーセントそのまま試合で実行できることはない、ということです」
(レッズとガンバの対戦は近年では「ナショナル・ダービー」とも目されてもおり、それ以外にも白熱する要因がいろいろある。そういった試合に向けた特別なやり方などは持っているのか?)
「自分としては、このカードがそこまで『ダービー』としての意味があるものだとは聞いていませんでした。実際に、昨年のアウェイのガンバ戦を観ていますが、私はピッチ上のパフォーマンスに集中して観ていましたので、ピッチ上以外でも白熱した戦いがあったりとても盛り上がったりということはあまり感じていませんでした。それに、今シーズンは、私たちにはまだまだやらなければならないことがたくさんありますし、今週も改善しなければならないポイントがいくつかありましたので、そのことについて選手たちと話したり、集中的にその仕事に取り組んでいたりしました。ですので、ダービーという注目度といった外部のことよりも、チームのことに集中したいと思っています」
(川崎戦では、暑さもあって後半体力面で苦労したようだが、改善点は?)
「おっしゃったことは、部分的には正しいと思います。実際に私たちはリードしていたわけですし、2-1とリードしたときに、もう少しゲームの進め方を考えて、もっとしっかりとボールを回していけば、勝ち点3を取ることができたと思います。しかし、あのような形で3度失点してしまったわけです。特に2失点目と3失点目に関しては、選手たちの疲労度が高くなければ、もしかしたら失点をしなくても済んだかもしれない状況でした。
あの試合というのは、最終的には負けてしまいましたが、私としては、そこまでプレー自体が悪かったとは思っていませんし、後半のプレーに関しても、もう少しゲームの進め方を考えていれば、しっかりと勝ち点3を取ることができたのではないかと思います」
(川崎戦含め、ここ数試合で失点が増えているが?)
「先ほどの質問の答えの中に、部分的には今回の質問の答えも含まれていると思います。もちろん、選手たちが守備の面でミスを犯したのは事実です。そして、疲労がたまっていなければ、ミスをしなかったかもしれません。いくつか判断のミスもありましたし、疲れによって相手よりも一歩足が出るのが遅くなったということもあったと思います。
そういったことが重なって、残念ながら数回失点してしまったわけです。ただし、それぞれの選手の状況があります。すべての試合に出ている選手は疲労がたまって、それでミスをしてしまったところがあったかもしれません。しかし、今後できる限りその点は改善していきたいと思っていますし、個人的なミスを減らしていければ、再び少ない失点で試合を終えることができるのではないでしょうか。しかし、前回のフロンターレ戦は観客のみなさんにとっては、非常に魅力的な試合だったのではないでしょうか。5得点が生まれていますし、あのような展開での逆転劇でJリーグ全体にとって、非常に素晴らしい宣伝になったのではないかと思います。数週間連戦が続いて、疲労がたまっている中でピッチに立った選手たちがあのようなパフォーマンスを見せてくれたのは、Jリーグにとってもよかったのではないでしょうか。
私たちは負けてしまいましたが、中立的な立場で見れば、非常にいい試合だったと思います。フロンターレは攻撃陣に非常に素晴らしい選手がいると思います。
あの4人の攻撃陣は素晴らしい個性を持った実力の高い選手だと思います。後半に出てきた34番のレナチーニョ選手はたった20分間でも、彼らの攻撃にすごくいい刺激を与えたと思います。そして、あのような選手が後半から出てくるということは、それだけの攻撃陣を持っているということですし、攻撃に関しては非常に優れたチームだと思います。相手への敬意を示すためにも、ここではっきりと言っておきたいのですが、フロンターレというチームはこの2、3年間、しっかりとした目を持って、そしてしっかりとした考えに基づいて優れた攻撃の選手を連れてきているのではないかと思います。あの攻撃の選手たちは素晴らしかったですし、あのような選手たちを取ってきたということは、クラブがしっかりとした考えをもって選手を獲得しているということの証明だと思います。彼らが昨年Jリーグで準優勝したことは単なる偶然ではないと思います」

Jリーグ第12節前日 フィンケ監督

PARTNERパートナー

  • ポラスグループ
  • Nike
  • 三菱重工
  • 三菱自動車
  • エネクル
  • DHL
  • チケットぴあ