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Jリーグ第15節前日 フィンケ監督

フォルカー・フィンケ監督 2009シーズンJリーグ第15節ヴィッセル神戸戦 前日のコメント
「前回の横浜F・マリノス戦では非常に残念なパフォーマンスをお見せしてしまいました。離脱していた選手がいたこともありましたが、今日、やっと11人対11人のゲームをすることができました。啓太も今週になって初めて今日、チームのトレーニングに合流したわけですし、坪井は残念ながら今週末の試合に出場することができなくなってしまいました。
ですから前回の試合のときには代表選手が戻ってきたことがあったので、チームの中でもさまざまな変更があったのですが、次の試合に向けてもまた大きく入れ代わりがあることになりそうです。そして、F・マリノス戦の後に私の方から出した建設的な批判というものが、選手たちの間でもきちんと理解されて、彼らもしっかりとその課題に取り組んできました。
もちろん次の試合では前回の試合、特に前半30分以降のパフォーマンスよりは優れたものを次の試合で皆さんにお見せしたいと思っています。そして皆さんも今日のトレーニングでご覧になったと思いますが、離脱していた選手たち、例えば近藤、ポンテらが戻ってきました。そしてポンテに関しては先週もとても密度の高いトレーニングをこなしていましたので、完全にチームに合流して試合に出るまでにはもうあまり時間はかからないのではないかと私は思っています」

(F・マリノス戦で前半30分以降のパフォーマンスが悪かった要因をどのように分析しているのか?)
「その質問にはとても簡単にお答えすることができると思います。ハーフタイムにロッカールームへ戻ったときに、マリノスの選手たちが私たちに与えたメッセージというのは、『自分たちが勝てる』というものでした。最初の35分間を考えると、マリノスの選手たちが本当に勝ち点3を奪えると思っていた、とは思えません。なぜかというと私たちの方が圧倒的に優れた試合をしていたからです。しかしその後、突然私たちのパフォーマンスが悪くなってしまい、最後の5分間には2度の決定的な得点チャンスを相手に与えてしまいました。それによって、私たちはマリノスの選手たちの自信を回復させてしまったと思いますし、彼らに対して今日ならばレッズに勝てるという気持ち、確信を与えてしまったと思います。
これが、心理的な面で私たちが不利になってしまった一つの理由だったと思いますし、相手の得点チャンスが私たちの守備での戦術的な動きが正しくなかったということがあって生まれてしまったということは皆さんもご覧になったことだと思います。もちろんこれはとても残念なことなんですが、サッカーではよくあることです。選手たちが自分で、自分の自信を試合中に弱めてしまう。いくつかの戦術的なミスを犯してしまうことで逆に自分たちの自信を弱めさせながら同時に相手の自信を強くしてしまうということはよくあることです。このようなことが前回の試合でも起きてしまいました。私たちの守備でのいくつかのミスによって、相手の力をさらに強くしてしまったと私は思っています。しかし、これはサッカーの一部ですし認めなければいけないことです。ですから私たちはこの課題にしっかり取り組んで今後、できる限り似たようなことが起きないように努力をしていきたいと思っています」
(今日のトレーニングでは阿部と闘莉王がセンターバックを組んでいたが、その意図は?)
「このチームでは、あのポジションを埋めるためには2つ、3つのオプションがあると思っています。あくまでその1つのオプションが、今日皆さんがトレーニングでご覧になったものです。実際にこのようなことについてお話をするときには気を付けなければいけません。なぜかというと、これはとても複雑なテーマだと思うからです。一つ、大切なことは、あるポジションを埋めるために他の選手を他のポジションから連れてくる。そうなると他のポジションをまた違う選手で埋めなければいけないことになってしまう。そのときに自分は、ある選手にどこのポジションでプレーをしてほしいかを考えなければいけないと思います。
例えば、一人の選手をずらしたことで他のポジションが空いてしまう。でも自分としてみれば本当はこの選手はもともとのポジションでプレーをしてほしい、そのようなことを考えると最終的にどのような解決案があるのかということが理解できると思います。
私は単純に一つのポジションをどの選手で埋めるかで判断するわけではなく、同時に他のポジションでどのような影響があるのか、他のポジションが空いてしまったときには、そのポジションをどの選手で埋めることができるのか、そういうすべてを考慮して、オプションを考えだすわけです。そうして2つ、3つのオプションがあるわけですが、そのうちの一つが今日の、阿部をあのポジションでプレーさせるというものでした。
しかし、今回、彼をセンターのポジションで使うというのは比較的、解決案を見つけるのは楽でした。なぜかというと4週間くらい前の方が大変だったからです。そのときはセンターバックがおらず、ヤマ(山田暢)を使うという、その決断の方が私にとっては難しいものでした」
(坪井慶介の状況は?)
「公の場で医学的に詳しいことをお話ししたいとはあまり思いません。しかし、前回の試合の前半で彼がケガをしてしまったのは事実のようです。ハーフタイムに坪井がメディカル部門のスタッフと話をして、もしかしたら交代した方がいいんじゃないかという話がありました。本人はプレーを続けたいということがあったので、ピッチに送り出したのですけれども、本人からのシグナルはなかったのですが私が見ている限り、本来の動きではないと思いました。ですからピッチから戻しました。
さまざまな検査を受けたのですが今のところ、お話しできる範囲としては腱に近い部分で筋肉系の問題が起きているということです。実際にその場所は一昔前に坪井がケガをしたところだということでしたので、私たちのメディカル部門のスタッフも彼の体のこと、腱のことに関してもとても詳しいわけですから、私はメディカル部門のスタッフを信頼して今後もしっかりとした形でチームに戻ってこられるように、選手とメディカル部門のスタッフと話をしていきたいと思っています。
そしてこれはポジティブなこととして、はっきりとお話をしたいと思います。私はいつもここのメディカル部門のスタッフは優れた仕事をしていると思っていますし、彼らは長い期間にわたってこのクラブで、選手たちと仕事をしていますので、彼らほど選手たちの体を詳しく知っている人間はいないと思います。ドクター、トレーナーも含めて、彼らは選手の体のことをよく理解していて、過去にどのようなケガをしていたかについてもすべてしっかりと記録されています。ですから私も彼らとともに安心して、信頼して仕事ができるものだと思っています」
(ヴィッセル神戸の印象については?)
「これは浦和レッズだけではなく、全クラブに関して言えることだと思いますが、サッカーでは一つの大切なルールがあります。それは、いつも次の対戦相手がもっとも厳しい対戦相手だということです。私たちは同じリーグのチームと対戦するわけですから、相手をリスペクトするだけではなく、120パーセントの高い意志を持ってこの試合に臨む必要があると思います。そうでなければ、しっかりとした結果を残すことはできません。なぜかというと同じリーグでプレーをしているプロのチームと対戦するからです。
そしてもちろん、次の試合がもっとも厳しい対戦相手であるということを考えると、私たちはしっかりとした準備をしてこの試合に臨むのは当たり前のことだと思います。さらに突っ込んだ話をすれば、選手たちに関して言えることですが、ピッチ上で試合中に次に起こることがもっとも難しいことになります。
ですから、試合に向けての準備、それからピッチの上での試合中でも一切相手のことを侮ることなどはせずに、高い集中力を持ってすべての状況に臨まないと最終的ないい結果を得ることはできないと思っています。もちろん、私はこの間の神戸とサンフレッチェ広島の試合を見ました。再び、大久保という選手が戻ってきたので選手の質はさらに上がったと思っています。しかし実際に彼らが順位表で上の方に出てこない、下の方にいるというのはそれなりの理由があると思いますし、その理由についても私はさまざまな情報を得ています。もちろん、そのようなことをこの場で大きく語るわけにはいきません。
今、私たちが置かれている状況を考えると、対戦相手というよりも、まず大切なのは私たちが優れたプレーを見せることだと思います。前回は敗戦もしていますし、特に後半のパフォーマンスに関してはとても褒められるようなものではありませんでした。だからこそ、私たちは自分たちのパフォーマンスを改善することに力を注がなければいけないと思います」
(スペイン代表がコンフェデレーションカップでは敗戦したが?)
「もし私たち浦和レッズが、35試合連続無敗という記録を打ち立て15試合連続勝利という結果を収めることができれば、16試合目に一度、敗戦したとしても私は喜ぶと思います(笑)。
実際に敗戦したときでもスペイン代表のパフォーマンスも悪いものではありませんでした。スペイン代表はここ2年間、素晴らしい結果を残してきたと思いますし、試合内容も本当に褒められるべきものでした。ですから私が今ここでスペイン代表がなぜアメリカに負けたかという敗戦の理由を探してお話しするのは恥ずかしい、失礼なことだと思います。皆さんもご存じかと思いますが、サッカーの世界では、守備的なサッカー、カウンターのみを狙うようなサッカーの方が短期的には優れた結果を残すことができます。そして建設的な、試合をコントロールしながらのコンビネーションサッカーというのは作り上げるまでには時間がかかるかもしれませんが、長期的に見て、結果を残すことができるわけです。これは、プレーの質がまったく違うと思います。もしスペイン代表がアメリカ代表と20回対戦すれば、18回はスペイン代表が勝つことでしょう。
しかしこのスポーツでは、何度も何度も起きることですが、本命と言われていたチームが負けてしまう。その理由が、今まで自分たちよりも優れていないんじゃないかと言われていたチームの方が、運動量で勝ったり、彼らの方が幸運に恵まれたり、もしくはコンパクトな守備の戦術を選んだ、それによって攻撃をしていたチームがなかなか決定的なチャンスを得られなかった、さまざまな理由で敗戦を喫してしまうことがあるわけです。チームとしての目標が2部に落ちないこととか、とても小さなクラブで中位にいることができれば素晴らしい結果だと評価を得られるようなクラブだったら、守備的ないわゆるカウンターを狙うようなサッカーでも正しいのかもしれません。
ただし、長期的に見て、優れた結果を残したい、優れたチームを作り上げたい、上位でコンスタントに結果を残したいということを考えれば、それだけでは足りないわけです。ゲームを支配することを考えなければいけません。もちろんこのようなサッカーをしながらも、相手のチームがとても守備が強く、壁を作り上げてしまって、なかなか決定的な得点シーンを作り出すことができないことが、あるかもしれません。しかし、私たちは長期的に考えなければいけないと思っています」

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