NEWS

PICK UP PLAYER|小森飛絢

8月29日の横浜F・マリノス戦には、並々ならぬ決意で臨んだ。しかし、今季リーグ初勝利に安堵する一方で、心の底から喜ぶことはできなかった。

だからこそ、9月2日のアビスパ福岡戦に向けた思いは、より一層強くなる。

そもそも、小森飛絢が横浜FM戦に覚悟を持って臨んだ理由は、その一節前のFC町田ゼルビア戦にあった。

1-3で敗れた試合において、先制点を招くミスを犯してしまったからである。相手のFKの流れから自陣ペナルティーエリアのすぐ外でこぼれ球を拾った小森は、ボールを大事にするあまり味方につなごうとしたのだが、パスを出した瞬間には見えていなかった相手にボールを奪われた。

立ち上がりの8分だったため、振り返ってみれば安全策を取るべきだったという反省もある。そして、チームを勝利に導くゴールを奪えなかったことが、ミスの後悔をさらに深くした。

「だからこそ、今日は自分が勝たせたいという強い気持ちで試合に臨みました」

その思いはプレーに表れていた。横浜FM戦後の小森が何かを言う前から、「今日はいつも以上に気合いが入っていたのではないか?」と聞きたくなるほどだった。

前線からの守備を筆頭によく走り、走行距離はセンターフォワードながら渡邊凌磨の12.9キロメートルに次いで両チーム合わせて2番目となる12.2キロメートルを記録。その上で、チャンスではゴール前に何度も飛び込んだ。

そして、記録には残らないものの、得点にもしっかりと絡んでいる。

西川周作のフィードが前線に届いた1点目の場面では、ゴールへの意欲が強ければ強いほどボールに近づきたくなるものだが、オフサイドポジションであることからプレーに関与しないという選択をした。CKから生まれた2点目の場面では、ゴールを決めた根本健太やチームメートと固まった位置からニアサイドに走り、相手を引きつけた。

そして、決勝点となる3点目の場面では、結果として相手のクリアが南野遥海へとこぼれたが、マテウス サヴィオの縦パスを呼び込んでいる。

それだけ走り、チームに貢献した上で勝利したのだ。試合終了のホイッスルを聞いたとき、まずはホッと胸を撫で下ろした。

しかし、次の瞬間には全く異なる感情が沸き上がってくる。

小森は試合後の取材エリアで、普段よりもやや感情を乗せ、そのときの心の内を表現してみせた。

「やっと勝った、けど悔しい」

そして、寡黙なストライカーは照れくさそうに笑ったあと、表情を締めて続けた。

「勝ててホッとしたけど、やっぱり点が欲しいというのが正直なところです。守備や走ることで貢献できたとは思いますが、自分のプレーには全然満足できていません。一つひとつのプレーのクオリティーをもっと高くしたいし、もっとボールに絡みたいし、もっとシュートシーンを増やしたいです」

試合終了直後、両手でガッツポーズを作ったあとに天を仰いで喜びを示しながらも、チームメートと顔を合わせるまで笑顔を見せなかった。前者にはチームの勝利の喜びが、後者には自身がゴールを得られなかった悔しさが表れていた。

町田戦を含め、自身が迎えるチャンスや打てるシュートの数がチームのチャンスの数に比べて少ないことを自覚している。

では、もっとボールに絡むために、もっとシュートシーンを増やすためには、どうすればいいと考えているのか。

「ゴール前はファーストチョイスとして見てほしいですし、『あいつにパスを出せば決めてくれる』という信頼感をもっと得ないといけない。もっと要求していかないといけません」

一方、小森はただ要求すればいいわけではないことも分かっている。

「いくら要求してもゴールを決めなければ説得力はないと思います。だから、どんな形でもいいから決めたいです。次こそは、絶対に決めたい」

連戦であるため、続けてスタメン出場するか、途中から出番を得るかは分からないが、どちらにせよ変わらない。自身の力でチームを勝利に導くために、さらにチャンスやゴールを増やすために、少しでも早く次のゴールを奪う。その思いを強めながら、小森は福岡へと向かい、ベスト電器スタジアムのピッチに立つ。

(取材・文/菊地正典)

PICK UP PLAYER|小森飛絢

関連記事

PARTNERパートナー

  • ポラスグループ
  • Nike
  • 三菱重工
  • 三菱自動車
  • エネクル
  • テイケイ
  • DHL
  • チケットぴあ
  • JUICE