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PICK UP PLAYER|関根貴大
冷たい雨が降る練習場でも集中力は途切れない。鋭いアーリークロスへの反応は、アタッカーよりも速い。ボールの軌道を読み、スライディングでカット。カバーリングも抜かりない。センターバックが前に飛び出せば、すっと絞って、中央のスペースを埋める。今季、右サイドバックに入る関根貴大は、いま自身が注力しているポイントについて力を込めて語った。
「たった一つの対応ミスが命取りになるんで。すごく意識していますよ。そこをなくさないかぎり、サイドバックで試合に出続けるのは難しい。昨年、痛感しましたからね」
2025年は開幕から右サイドバックで先発出場を続けたものの、8節以降は後半途中から投入されるウイングへ。起用されるポジションがシーズン中に変わり、昨季の前半は葛藤した。今季は本職と言えるウイングで、覚悟を決めて臨むつもりだった。ただ、1月の沖縄キャンプでチームから任されたのは右サイドバック。すんなり気持ちを整理できたわけではない。「難しかったです」と本音も漏らす。もちろん、プロとして大事なのはピッチに立ち続けることである。アカデミー育ちの生え抜きは、浦和で生き抜く厳しさを誰よりも知っている。自らのプレーを見つめ直し、昨年、改善できなかったポイントにしっかり目を向けた。
「守りの選手は、守備でどれだけ結果を残せるかどうかだと思います。サイドバックに何が求められるかといえば、やっぱりディフェンスなんです」
目に見える数字だけではない。無失点に抑えた横浜F・マリノス戦後も、すぐに反省点を口にした。突破を許してしまうシーンもあったという。失点のリスクをわずかでも減らすことに取り組んでいる。
「危ないシーンをどれだけなくしていけるかがサイドバックの仕事だし、ピンチを潰すのが役割だと思っているんで。細かいズレから相手にチャンスをつくられてしまうのが、最終ラインのポジション。ゼロで終えたからOKではありません。失点する前に改善しないといけない。相手にゴールを奪われてからでは遅いんです。それではディフェンダーとして、使いものになりませんから。そうなれば、すぐに代えられてしまうのがプロの世界」
攻撃参加は彼の特長であり、チームから期待されている役割の一つでもあるが、優先するのはリスク管理。オーバーラップのタイミングは、慎重に見計らっている。ただ、ここぞというチャンスと見るやいなや、果敢に飛び出していく。横浜FM戦での初得点は、まさにそうだった。するするとゴール前に駆け上がり、チームスタッフの分析どおり、手薄になったファーサイドのスペースへ。ヘディングで力強く叩くと、GKの弾いた球もすぐさま押し込んだ。
「あのシーンは自分が入って行けると思ったし、クロスに合わせる自信もありました。それがうまく噛み合ったので、ゴールにつながったと思います」
口ぶりはどこか素っ気なかった。たとえ攻撃面を評価されても、口元を引き締めたまま。本人は攻撃面について多くを語らないが、鹿島アントラーズ戦でも自陣からのロングパスで先制ゴールの起点をつくるなど、要所で貴重な仕事をこなしている。同サイドの金子拓郎とも積極的にコミュニケーションを図り、好連係から好機をつくり出すことも多かった。ただ、関根は自らに言い聞かせるように話す。
「今季は守備にフォーカスしているので。個の能力の高い選手が揃っていますし、攻撃はシンプルにプレーし、8割は守備のことを考えています。きょうの試合は、自分の中で良くなかったと思います」
不運なハンドでPKを献上し、さらにCKから2失点を喫して逆転負けを喫したが、局面を切り取ると、守備の内容はそこまで悪く見えなかった。事実、マチェイ スコルジャ監督も認めている。
「プレシーズンから好調で、スタメン争いも右サイドバックで勝ち取りました。ここまでのパフォーマンスには満足しています。昨年と比較しても守備は向上し、とくにポジショニングは良くなっている」
鹿島戦でもカウンターを浴びたときには素早いカバーリングでピンチを防ぎ、ゴールラインぎりぎりでかき出して失点も回避。マークを離さず、相手のクロスにも対応していた。本人が反省するレオ セアラにヘディングを許した前半の場面でも粘り強く体を寄せたことで、結果的にシュートは枠から外れている。それでも、関根は首を横に振る。
「世間の目は厳しいんで。『攻撃の選手だからできない』、『関根だからできない』というイメージは少なからず、あると思っています。実際、そういう言葉、コメントももらうので。(守備で)完璧なパフォーマンスを披露しないと、このイメージは変えていけない。一つでも悪ければ、全てがマイナスになりますから。僕は当たり前のプレーをもっと当たり前にやらないといけないんです」
右サイドバックで生きる覚悟は相当なもの。パーフェクトを求める守備の課題はまだ多いという。無失点でも満足しない。90分間を通して、正しいポジショニングを取り続けることを意識している。ホームの埼玉スタジアムで迎える3月7日の水戸ホーリーホック戦では、わずかなスキも見せるつもりはない。
(取材・文/杉園昌之)
「たった一つの対応ミスが命取りになるんで。すごく意識していますよ。そこをなくさないかぎり、サイドバックで試合に出続けるのは難しい。昨年、痛感しましたからね」
2025年は開幕から右サイドバックで先発出場を続けたものの、8節以降は後半途中から投入されるウイングへ。起用されるポジションがシーズン中に変わり、昨季の前半は葛藤した。今季は本職と言えるウイングで、覚悟を決めて臨むつもりだった。ただ、1月の沖縄キャンプでチームから任されたのは右サイドバック。すんなり気持ちを整理できたわけではない。「難しかったです」と本音も漏らす。もちろん、プロとして大事なのはピッチに立ち続けることである。アカデミー育ちの生え抜きは、浦和で生き抜く厳しさを誰よりも知っている。自らのプレーを見つめ直し、昨年、改善できなかったポイントにしっかり目を向けた。
「守りの選手は、守備でどれだけ結果を残せるかどうかだと思います。サイドバックに何が求められるかといえば、やっぱりディフェンスなんです」
目に見える数字だけではない。無失点に抑えた横浜F・マリノス戦後も、すぐに反省点を口にした。突破を許してしまうシーンもあったという。失点のリスクをわずかでも減らすことに取り組んでいる。
「危ないシーンをどれだけなくしていけるかがサイドバックの仕事だし、ピンチを潰すのが役割だと思っているんで。細かいズレから相手にチャンスをつくられてしまうのが、最終ラインのポジション。ゼロで終えたからOKではありません。失点する前に改善しないといけない。相手にゴールを奪われてからでは遅いんです。それではディフェンダーとして、使いものになりませんから。そうなれば、すぐに代えられてしまうのがプロの世界」
攻撃参加は彼の特長であり、チームから期待されている役割の一つでもあるが、優先するのはリスク管理。オーバーラップのタイミングは、慎重に見計らっている。ただ、ここぞというチャンスと見るやいなや、果敢に飛び出していく。横浜FM戦での初得点は、まさにそうだった。するするとゴール前に駆け上がり、チームスタッフの分析どおり、手薄になったファーサイドのスペースへ。ヘディングで力強く叩くと、GKの弾いた球もすぐさま押し込んだ。
「あのシーンは自分が入って行けると思ったし、クロスに合わせる自信もありました。それがうまく噛み合ったので、ゴールにつながったと思います」
口ぶりはどこか素っ気なかった。たとえ攻撃面を評価されても、口元を引き締めたまま。本人は攻撃面について多くを語らないが、鹿島アントラーズ戦でも自陣からのロングパスで先制ゴールの起点をつくるなど、要所で貴重な仕事をこなしている。同サイドの金子拓郎とも積極的にコミュニケーションを図り、好連係から好機をつくり出すことも多かった。ただ、関根は自らに言い聞かせるように話す。
「今季は守備にフォーカスしているので。個の能力の高い選手が揃っていますし、攻撃はシンプルにプレーし、8割は守備のことを考えています。きょうの試合は、自分の中で良くなかったと思います」
不運なハンドでPKを献上し、さらにCKから2失点を喫して逆転負けを喫したが、局面を切り取ると、守備の内容はそこまで悪く見えなかった。事実、マチェイ スコルジャ監督も認めている。
「プレシーズンから好調で、スタメン争いも右サイドバックで勝ち取りました。ここまでのパフォーマンスには満足しています。昨年と比較しても守備は向上し、とくにポジショニングは良くなっている」
鹿島戦でもカウンターを浴びたときには素早いカバーリングでピンチを防ぎ、ゴールラインぎりぎりでかき出して失点も回避。マークを離さず、相手のクロスにも対応していた。本人が反省するレオ セアラにヘディングを許した前半の場面でも粘り強く体を寄せたことで、結果的にシュートは枠から外れている。それでも、関根は首を横に振る。
「世間の目は厳しいんで。『攻撃の選手だからできない』、『関根だからできない』というイメージは少なからず、あると思っています。実際、そういう言葉、コメントももらうので。(守備で)完璧なパフォーマンスを披露しないと、このイメージは変えていけない。一つでも悪ければ、全てがマイナスになりますから。僕は当たり前のプレーをもっと当たり前にやらないといけないんです」
右サイドバックで生きる覚悟は相当なもの。パーフェクトを求める守備の課題はまだ多いという。無失点でも満足しない。90分間を通して、正しいポジショニングを取り続けることを意識している。ホームの埼玉スタジアムで迎える3月7日の水戸ホーリーホック戦では、わずかなスキも見せるつもりはない。
(取材・文/杉園昌之)
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