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阿部、レッズへの感謝とレスターでの決意

9月1日、大原サッカー場クラブハウスにて阿部勇樹の記者会見が行なわれた。
ヨーロッパの移籍期限最終日だった昨日8月31日に、イングランド リーグチャンピオンシップ、レスター・シティFCへの完全移籍が決定した阿部が「小さい頃からの夢」と語っていた、海外でのプレー、イングランドの地へ旅立つ直前の心境と抱負、そして3年半を過ごした浦和レッズでの思い出など語った。

阿部勇樹
「昨日の夜、向こうでビザが取れたというのを聞いて、正式にレスターに移籍することが決まりました。小さいころからの夢でした。もちろん厳しい環境にいくことは十分考えたうえで、結論を出したので、頑張っていきたいと思っています。
浦和レッズには、3年半いましたが、本当に多くの人に助けられて過ごせたなと思っています。いろいろと悩みましたが、自分にとってはその道がいいかなと思って、いろいろな方にも相談しましたし、一緒にやれないっていうのは寂しいですが、向こうに行ったら、どこから来たかということで浦和レッズの名前が出ると思いますので、その名を落とさないようにしっかり頑張っていきたいと思います。ありがとうございました」

【質疑応答】
(浦和レッズには3年半在籍しましたが、浦和レッズで、阿部選手がどんな3年半を過ごしてきたのか振り返ってください)
「2007年に入って、リーグ戦もそうですが、ACLという舞台があって、オジェック監督とともにレッズに来て、オジェック監督は2回目でしたが、いろいろなことを経験できてすごく充実していた1年だったと思います。その後の年はどんどん早く感じて、あっという間に3年半が経ってしまったという気持ちです。すごく楽しい思いをさせていただきましたし、レッズってこういうクラブなんだなっていうのを感じられたので、レッズはすごくいいクラブだと思いますし、実際にこのチームに来て、選手やチームで働いている方々の温かさを感じて、すぐにレッズが優勝した理由はこれだな、と思いました。本当にあっという間に経ってしまったので、正直、3年半もいたのかなっていう感じもします。それだけ充実していたのかなと自分では思っているので、このチームに来てよかったと思います」

(その中で一番思い出深い試合っていうのは?)
「結構ありますが、本当だったらACLの優勝といいたいのですが、レッズとして初めて出た試合(2007年2月24日ゼロックススーパーカップ・ガンバ大阪戦:国立)と、この間の湘南戦(8月21日:平塚)が思い出に残っています」

(今回、オファーをどういう形で受けて、一番最初はどういう気持ちになったのでしょうか。また現地に行かれたと思うんですが、現地をご覧になってどういう印象を持ちましたか?)
「話を聞いたのは、2週間ぐらい前、湘南戦の前あたりだと思います。聞いたときは、素直にうれしかったですし、ジェフにいたときからそういった夢を持っていたので、素直にうれしかったです。現地に行って、どういったクラブなのかな、どういう街なのかなと。実際に見に行きましたけど、よかったです」

(ここでやっていくんだという、思いが強くなった?)
「やれたらいいなと…。実際に試合も見たので、そういう思いは強くなったと思いますが、その時点では何も決まっていなかったので、だけど、見ているだけで、サッカーしたいなって思いました」

(今回、その一報を聞いて、サインを正式にして、思い出しますか?ここでいよいよやるんだということを?)
「スタートラインに立ったと思います。でもまだ、そのラインに立っただけですし、ここから先が大事だと思うので、そういった環境でできる喜びもそうですが、簡単にはいかないという厳しさもやっぱりあると思うので、そういうのを感じながらやっていければいいと思います」

(試合をご覧になったということで、結構、チャンピオンシップというのはタフだと思うんですが、ご自身ではどうですか?)
「もちろん、タフだと思いましたし、試合数も多いので。見ていて、早くゲームをやりたいと思ったので、向こうの人に負けないようにやっていきたいと思いました」

(監督さんからは何か?)
「はい、多少」

(どんな準備をしてほしいと?)
「諸々、言われましたけど、はい。とりあえず、ビザのことを言っていました」

(レスターの方から高い評価を受けていると思いますが、その点については何かありますか?)
「うーん、どうですかね。正直、あまり分からないです。自分は、選手なので、向こうに行ってからやらなければ意味がないし、それだけだと思っているので。しっかり戦えるようにやっていきたいと思います」

(先ほどまだスタートラインに立ったばっかりといっていましたが、次に目指すゴールは?)
「考えていないです(笑)。でもチームの目標も、もちろんあると思うので、まずそれをやれるようにしていきたいと思います」

(なかなか答えにくいとは思いますが、今回の移籍に関して、阿部選手のどういった部分が評価されてこの移籍になったと?)
「分かりません(笑)」

(ワールドカップの活躍などが評価につながっていると感じる部分は?)
「分からないです、聞いていないので(苦笑)」

(ワールドカップが明けてから、浦和でプレーしながら、移籍できるにしろ、できないにしろ、気持ちが落ち着かなかったというところはありましたか?)
「いや、終わってからは、そんなになかったのですが、多少なりともいろいろ考える時間はあったのかなと思います」

(どんなことを考えた?)
「やっぱり、また新たな道というか、目標に向かって進んでいかなければいけない中で、いいことも悪いことも考えていかなければいけなかったし、リーグ戦が何試合かあって、自分の中でのプレーの考えっていうのが、なんか、うまく、ワールドカップのときと比べたら、なにか違いがあって、自分にイライラしていた部分があったので、このままじゃちょっと自分的にもまずいし、正直、このまま浦和でやっていてもチームには迷惑をかけるかなという考えを持っていたんで、そういった意味で、いろいろ考える時間はあったと思います」

(パウロ・ソウザ監督のイメージ、現役時代も知っていると思いますが、会って話してみてどんな人という印象を受けましたか?)
「プレーしていたとき同様、格好いい人でした(笑)」

(どんなふうに?)
「なんていったらいいか分からないですが、皆さん、お会いしたら、『ああ、なるほど』っていうのは分かると思います」

(スターっていう感じ?)
「そうですね、やっぱりいろいろなことを経験されている監督で、実際のプレーを見たこともあったので、不思議な感じはしました。すごく落ち着いている方かなって思います。ゲーム中はどうなるか分からないですが、そういう印象はあります」

(レスター・シティはイングランド2部なんですが、移籍するにあたって、イングランド2部の印象を教えてください)
「どこのチームも上に上がれるチャンスはあるし、逆に上から落ちてきて参加しているチームもあります。試合数も多いし、そういった中で結構、この間見たゲームはタイトなゲームだったと思うし、やってみたらおもしろそうだなって思えたので、楽しみです」

(2部というのはあまり関係なかった?)
「今、2部ですけど、そんなに、気にはしなかったです」

(気にならなかったというのは、海外に行けるチャンスだからということ?)
「もちろんチャンスもそうですが、自分がどうして海外に行きたいのかを考えたときに、こうだから行きたい、こうプレーしたいっていう結論がやっぱり出ると思うので、そんなに深くは考えてなかったです。2部だからとかそういうことは、考えていないです」

(自分の中ではあんまり考えなかった?)
「やっぱり、自分が何かに挑戦できるし、チーム自体も上に上がることに挑戦していることだと思います。2部だからとか、そんなのは考えなかったです」

(その上にはプレミアという舞台があって、そこへ当然、これから挑戦していくことになると思うんですが、そのプレミアに対する思いというのは何かありますか?)
「チームはそういった目標に向かってやっている中で、それよりも、まず先に、自分がどうなのかっていうのがどうしても重要になると思うので、しっかり、まずそこを見失わないように。チームの目標はもちろんですが、そこで自分がしっかりしなければ意味がないと思うので、まず自分のことをやっていければいいと思います」

(今回の移籍は阿部選手にとって2回目の移籍になりますが、今だから言える、移籍の大変さとか、苦労したこととかを教えていただければ)
「ここへ来たときは、特にないですが(笑)、移籍してみて、道を覚えるのがちょっと大変だったなと(笑)。いまだにさいたまの道は、名前がちょっと分からないです。それくらいですが、でもチームがまったく違って、環境も違って、同じ日本の中でも多少なりとも感じることがあります。それは、疑問符の『どうなんだろう?』っていうより、楽しみな『どうなんだろう』『こうなのかな』っていうの気持ちが大きいですし、すごく楽しいのかなっていう感じはしています」

(クラブ間で基本合意して、ビザが下りるまでに結構、時間がありましたけど、その間にどういうような気持ちで、吉報を待っていましたか?)
「本当に、ビザが取れるかっていうところが最後だったので、合格発表を見るような…。違うか(笑)。でも、取るのが難しい、厳しいっていうのは聞いてましたし、他の国の選手で取れなかった選手がいたというのも聞いていたので、周りの方がすごく祝福してくれるような感じでしたが、ビザ取れていないから何も決まっていない中で、ちょっと複雑な部分もありました。いろんな方に助けてもらって、今回取ることができたので、それを聞いてうれしかったです」

(先ほど、印象に残っている試合の1つに湘南戦を挙げていましたが、あのときはちょっとコンディションを落としていて苦しい状態だったと思うのですが、それでも出場を直訴していたということを聞いたんですが、湘南戦に対して、あるいはレッズサポーターに対して何か思いがあった?)
「あのときは、湘南に勝ちたい、ただそれしか考えていなかったですし、先ほど話したように、自分の中でのイライラっていうのがプレーとかにも出てしまって、迷惑をかけた部分もあったと思うので、そっちの考えの方が大きかったかなと。それは、出るって言ったからには自分にも責任があるし、それをうまくピッチで表現できず、すごく申し訳なかったと思います。後半、ベンチで見ていて、素直に勝ってよかったってあの試合では思っていたので、あの試合だけは本当に、後先関係なく、勝てればいい、としか思っていなかったです」

(レッズサポーターも移籍することは残念だと思っていますけど、ただ、応援しているということも聞いているんです。そういうサポーターに対してメッセージを)
「レッズのサポーターの方には、毎試合素晴らしい応援をしていただいていましたし、ときに厳しく意見を言ってくださった方もいますが、やっぱりそれだけ、このチームを愛している方がいっぱいいるんだと素直に感じました。あの埼スタの雰囲気はなかなか経験できないものだと思います。それを、3年ちょっとですが、一緒に経験できたのはすごくよかったと思いますし、だけど、あのピッチで戦えないっていう寂しさもありますが、向こうで元気な姿を見せることが恩返しになるのかなとも思います。しっかりやっているよっていうのをメッセージで残すのは簡単ですが、プレーとかで少しでも見せることができたらいいなと、今は思っています」

(Jリーグと浦和レッズで何百試合というすごい経験を積んできて、その中で培ったどんなところを海外で見せたいかを教えてください)
「正直、見せたいとかそういうのはあまりないんですが、ただがむしゃらにやれればいい、ということしか今は考えていないので、がむしゃらにやっていきたいと思います」

(小さいときからの夢、ということだったんですけど、一番最初に海外に行きたいと具体的に意識したのは?)
「いつかなあ?小さいとき、です」

(ジェフの下部組織に入ったとき?)
「下部組織に入って、もう引退した元選手とボールを蹴る機会があって、大人げなく中学生の僕をこてんぱんにやっつけて、そういったキックを見たら、ああ違うんだなあって思えたので、そのときくらいからだと思います」

(ある選手というのは?)
「リトバルスキーです」

(先ほど、ワールドカップの後で、自分の中での考えと違っていてイライラしたとおっしゃいましたが、それをもう少し具体的に)
「動きだったり、帰ってきて何かがちょっと違うというか。どういうふうにうまく表現したらいいのか分からないですが、何かちょっと、差というか…。なんか変な感じがあったので、それにちょっとイライラする部分があったと思います」

(それは自分の中でさらに新たなチャレンジを求めていくということと関係があること?)
「それもやっぱりあったと思います」

(ザッケローニ監督が新しく日本代表の監督になって、海外から日本代表を目指すことになると思いますが、日本代表に対してはどんな気持ちを持っていますか?)
「どの選手も、どの年代の選手も、あの青いユニフォームを着てやりたいと思うので、まずしっかり向こうでやることがそういった道にもつながると思うので、それはレッズにいたときもそうですし、ジェフにいたときもそうですし、考えは変わりません。まず自分がいるところでしっかり頑張っていきたいと思います」

(ザッケローニさんに対するイメージは何かお持ちですか?)
「いやあ、イメージってなると新聞とかを見て、そういうことしかたぶん言えないと思うので、はい。自分のイメージも、聞く話でしか持っていないので」

(イングランドという国、イギリスという国にはいろいろあると思いますが、イギリスの好きなところは?)
「好きなところ?」

(行ってみたいところだったり?)
「行ってみたいところ…。調べてみます(笑)」

(言葉に関して不安は?)
「そうですねえ、ないと言ったら嘘になると思うので、多少ありますが、言葉の部分は監督も重要だということをおっしゃっていたので、しっかり対応できるようにやっていければと思います」

(以前から準備をしていた?)
「いや、特には。ゆっくりめでしゃべってくれると、だいたい分かりますが、向こうに行くと、早いから…(笑)。それがちょっと大変かなと思いますが、それも聞いていけば、その早さにも慣れると思うので、まずはそういったものに慣れていけばいいと思います」

(イングランドサッカーに対する印象を教えてください)
「激しくて、つなぐチームはつなぐし、ロングボールを前線に蹴って、っていうチームもあると思いますが、すごくコートが狭く見えるという印象もあります。何よりサポーターが、結構、見る目が鋭いっていうか、なんか怖いなっていう感じはしますが、そういったことも楽しみです。すごくサッカーに対しての見る目があるというか、歴史があるので、それは感じます」

(もうヨーロッパには行けないのかなと、夢をあきらめそうになったときはありましたか?)
「そうですね、それがすべてじゃないと思っていますし、そのためだけにやってきたつもりもないですし、それ以前にいろいろな目標があってやってきたので。もちろん夢ではありましたが、絶対に、それだけの夢しかないのかっていったらそうでもないし。でも、タイミングや年齢的にいったら遅いかもしれないですが、オファーをもらって、本当にうれしく思えたし、楽しみだと思えました。今までやってきたこともそうですし、今まで教えてもらった監督や関わってきた人に、感謝しないといけないと思います」

(年齢的にという話だったんですが、やっぱりこれが最後かなというような印象を持たれていたんでしょうか?)
「その先は自分次第だと思いますが、チャンスはそんなに多くないし、絶対にそれは考えの中にありました」

(レッズで一番うれしかったことは、ACLの優勝だと思いますが、他にとても印象に残ったことがあれば)
「このチーム、なんでこんなに仲がいいのかなと、来たときに(笑)。おかしいんじゃないかっていうぐらいすごい仲がよくて。でもこれがレッズの強さ、優勝した理由なのかなって思ったので。ジェフとレッズしか経験していないですが、またジェフとは違った雰囲気だったので、そういった中に入れたことが、うれしかったことです」

(いつも自分に厳しい、悩んでいる印象があるんですが、レッズの中で一番、もどかしかったことは?常に課題、課題と言っていますが)
「完璧にうまくいくシーズンなんて、正直、ないと思っているので、何かしら課題を見つけてやっていましたが、そういうことを相談できる環境でしたし、逆にそれをためていたらどうなっていたか、爆発していたんじゃないかっていう状況もあったので、相談できる環境、相談できる人物がいた事はすごくよかったと思います」

(3年半で多くの若い選手ともプレーしていますが、改めて若い選手のいいところや期待するところなどは?)
「若い選手同士で話しているときのトーンと、僕ら上の年代が入るときのトーンがだいぶ変わるので、そこはちょっとやめてもらいたいなと(笑)。同じくらいのトーンで話しかけてくる選手もいれば、ちょっと何人か入るとトーンダウンしてしまう選手もいるので、そこをちょっと直してほしいと思います。僕もそうでしたが、どうしても上の選手に言わない、指示する、しない、やっぱり僕自身も出せない時期はありましたし、それは一緒に練習してきて、僕自身がそれじゃ遅いと思っているくらいだから、同じことはしてほしくないということで、それは気になる選手には言ってきたので、特に心配していないです。でも、僕は外から来ましたが、レッズは、すごいクラブだと思うし、あれだけのサポーターが入るじゃないですか。それが当たり前だと感じないようにしてもらえればいいと思います。こんなクラブは滅多にないですから。当たり前だと思ってほしくないです。…冗談っぽい感じで言っておいてください(笑)」

(レッズでリーグ戦、カップ戦合わせて18ゴールを挙げていますが、一番印象的なゴールと、その理由を教えてください)
「(腕を組んで考え込む)うーん…。レッズでの初ゴールがちょっと思い出せないのでACL決勝のゴールと、リーグ戦でジェフと対戦したときにFKを決めたゴール、にしておきます」

(阿部さんといえばポリバレントとかどこでもできる、ユーティリティという言葉でよくいわれますが、レッズでもボランチが多かった、向こうでもボランチでやりたいという認識でいいですか?)
「そうですね。そこでやっていければいいなと思いますし、そういう強い意志を持ってやっていければいいと思います」

【浦和レッズオフィシャルメディア(URD:OM)】

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