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「情熱を持って、100パーセント出し切る」ペトロヴィッチ監督(質疑更新)

18日、埼玉スタジアムボールルームにて、ゼリコ・ペトロヴィッチ監督の就任会見が行なわれた。
定刻の18時、濃いグレーのスーツに同色のネクタイ、首から浦和レッズのマフラーという出で立ちで会場に現われたペトロヴィッチ監督。同席した橋本光夫代表の「これまでの改革を継続しながら、Jリーグ優勝を目指して戦ってまいります」という力強い宣言、柱谷幸一GMの「ペトロと一緒に優勝目指して戦っていきたい」という言葉に続き、ペトロヴィッチ監督の挨拶へ。マイクを前にした監督は現役時代のプレーを彷彿させるような熱さを込めた語り口で、質疑応答を含めて1時間以上にわたってまさに『熱弁』となるメッセージを発し続けた。

ゼリコ・ペトロヴィッチ監督
「まずはじめに、私にはとてもうれしいことがあります。プレーヤーのときに携わっていただいたジャーナリストの方々、フォトグラファーの方々など、知っている方々が何人かいらっしゃって、ものすごくうれしいです。私はプレーヤーのときと同じように、メディアの方々と一緒によりよい関係で働いていくことを望みます。選手のとき、私は皆さんのインタビューに対して常にオープンな気持ちで対してきました。今もその気持ちは変わりありません。
私はこの浦和レッズの監督になれたことを、とても誇りに思っています。レッズでの選手生活を終えて10年後にまた戻っこられたということを、とてもうれしく思います。そして、クラブにとても感謝しています。私のことを信頼してくれて、チャンスを与えてくれたクラブにとても感謝しています。そしてもちろん、私の代理人にも『ありがとう』と言いたいです。そして、私はすべての力を注いで、浦和レッズが立つべき位置に戻したいと思います。ベストに近づく、あるいは、ベストになれるように一緒に戦えるチームにしたいと思います。
私はとても、いい感触を感じています。橋本代表、GM、そのほかのスタッフの方々、自分がプレーしていたときに関わっていた方々が今も働いていて、その方々とともに働けることを、とても快く思っています。彼らと一緒にいい結果を残せると思います。
私たち浦和レッズはとても大きなクラブです。日本で一番かもしれません。その価値にあった戦い方、その価値にあった地位を築きたいと思います。
サッカーの試合は、すべてが私たちのものではなく、応援に来てくれた方のためでもあります。すべてを、応援に来てくれた方々にも捧げたいと思います。私たちは、できる限りすべての力を注ぎ、今年の最後に楽しく笑って終われるようにしたいと思います。もちろん、常に100パーセントで私たちを支えてくれるサポーターのために、よりよい結果を残したいと思います。ファン・サポーターの方々に、是非もう一度多くの人数で応援に来ていただきたいと思います。なぜなら、ファン・サポーター抜きでは、この浦和レッズは成功には至らないと思っているからです。
最後に、ここにお忙しい中ここにいらしていただいた皆さんに、『ありがとう』という言葉を伝えたいです。是非一緒に、この浦和レッズを盛り上げましょう。私は常にオープンマインドで接していきたいと思います。ありがとうございます」

【質疑応答】
(監督が目指すサッカーはどういったものですか?)
「攻撃的で、アグレッシブで、そして、すべての情熱を注ぎ込んだサッカーをしたいと思います」

(最近のレッズの試合のDVDをずいぶんと見てきたということも聞いていますが、継続していくべきこと、改善が必要なことは何でしょうか?)
「今までに30試合ほど最近の試合を見てきました。残念ながら昨年の最後の2試合は見ていませんが、私は先ほど言った自分のやりたいサッカーを目指してやろうと思います。過去の出来事や過去の監督たちのことをコメントする気はありません。ただ、浦和レッズがビッグクラブであるためのプレー、ビッグクラブというのは力強くプレーしなくてはいけないと思います。何人かの選手が出て行き、何人か新しい選手が入ってきました。最初はお互いが慣れる期間が必要だと思います。しかし、私は今のチームにとてもいい感触を持っています。今年はいい結果が残せると信じています」

(現在のチームに、すでにだいぶ詳しいようですが、現在の浦和レッズには華麗なパス回しのサッカーとシンプルなパスでゴールに向かうサッカー、どちらが似合うと思いますか?)
「もちろん私は今のチームの状況、選手の能力を、よりよく把握しています。今の選手は性格のいい選手が多いというのも知っております。自分がオランダで学んできたサッカーは、ボールを常に支配して、パスをしながらゴールを目指していく、どちらかと言えばポゼッションサッカーに近いでしょう。
ただし、ロングボールが駄目というわけではなくて、ポゼッションしながら前にボール運ぶのに、ときにはロングボールが必要な場面もあると思います。なので、どちらが、ということには答えることはできません。華麗にパスを回しながらとおっしゃいましたが、華麗にパスを回しながらシンプルにゴールを狙うこともできると思うので、私はこの質問には答えませんが、自分の希望、自分がやりたいものは、ボールをキープしながらシンプルにゴールを奪うというサッカーです」

(社長とGMからは「優勝」という言葉がありましたが、昨年までの監督はこういう場所でそういう言葉が出るのを嫌う傾向にありました。しかし、ここでそうした発言が出たということは、そういう部分についてのコンセンサスがすでにあり、監督も認識しているということでしょうか?それと、「もう一度大勢の人に応援に来てほしい」ということをおっしゃっていましたが、監督として、そのためにできることは何だとお考えですか?)
「まず最初の質問にお答えします。昨年の監督は指導者の仲間でもありますし、それについては何も触れませんが、代表とGMが優勝するという目標を掲げたことは、私も十分に理解しています。みんなチャンピオンになろうと思っているはずです。これほどのポテンシャルのあるチームであれば、Jリーグで優勝争いをする4から5チームの中に入れると思います。そのために、私たちはすべてを注いで優勝争いに参加できるよう、努力します。もちろん、2位や3位になったからといって満足ができないわけではないですが、ケガ人や病気、出場停止といったいろいろな要素がシーズンを通して優勝争いには関わってきます。なので、必ず優勝できるとは限らないということは、私も分かっています。
ただし、サポーター、チームスタッフ、クラブで働く人たち、これらのすべての人が浦和レッズがまた上位に上がって優勝争いすることを望んでいると、私は思っています。私は自分の選手時代からもそうでしたが、勝つために試合をやるということが一番重要だと思います。私は6位とかの順位になるために、ここに来たわけではありません。それは、もう私の中にキャラクターとして(確固たるものが)入っています。
2番目の質問に対してですが、シンプルに、監督として何ができるかというのは、チームがいい結果を残すしかないだろう、と。一番自分が大事に思っている、選手が100パーセント自分ができる限りのことを出し切る、ということについて念を押したいと思います。浦和レッズのサポーターの方々は、浦和レッズらしいサッカー、100パーセント全力を出し切るということを求めていると思います。もちろん、すべての試合に勝てるわけではありません。勝てるときもありますが、負けるときもあります。ただし、ハードワーク、情熱をもって100パーセント出し切るということは、私は監督として常に選手に要求したいと思います。たとえ負けたとしても、選手がすべてを出し切って、100パーセントでやってくれれば、私はその試合については満足すると思います。ただし、少しでも、100パーセントを出していない選手がいたら、私はもう45歳ですが性格上、絶対に許すことはできません」

(指導者として最も影響を受けた人物は誰ですか?)
「浦和レッズでプレーして、引退した後から、自分は指導者として学び始めました。2年間、マーティン・ヨルさんの下でアシスタントコーチをやりました。その後、フェイエノールトでフリット監督のアシスタントコーチをし、その後もボアビスタFCやハンブルガーSVに行って指導を学んできました。いろいろな指導者を見てきましたが、私はペトロヴィッチであって、他の誰でもありません。モウリーニョはモウリーニョ、ヒディンクはヒディンク、ファン・ハールはファン・ハールです。そして私はペトロヴィッチです。いろいろな指導者から少しずつ自分の糧になることは得てきたと思っています。
大事なことは、1日1日、自分が指導者としてよくなろうということを心掛けることだと思っています。なので、特定の誰かに影響されたというよりは、広く言えばすべての指導者から学んできました。監督として、私のことを若いと言う人もいるかもしれませんが、いくつかの世界的に有名なリーグの中で私は指導を勉強してきましたし、指導者としての経歴は十分に満たされていると思うので、自信があります。まったく恐れるものはありません。プレーヤーのときも、私は何も恐れることがなかったのと同じように、今も何も恐れてはいません。
これは例えの話ですが、私は名古屋でアーセン・ヴェンゲルのようにものすごく経験のある指導者が監督をしていたのを見てきています。そして、そんな人でも、そこまでいい結果を残せなかったということを見てきています。しかし、指導者になって1日、2日しか経っていないようなストイコビッチが名古屋に来て、いきなり優勝したということも見ると、いくら経験を積んだと言っても、それだけでいい監督になっているとは言えないのではないかと思ってしまいます。私は常にプレーヤーのころと一緒で、情熱と熱い気持ちをもって、よりよいチーム作りをしていきたいと思います。
そしてもう1つ、私は浦和レッズから若いタレント、才能のある選手たちが将来日本代表に選ばれて活躍してくれれば、非常に誇りに思えると思います。浦和レッズの中でも、ユースからトップチームに何人も選手が上がるということがあれば、それはクラブとしてよりよい結果を残している、と言えることができると思います」

(ストイコビッチ監督の名前が出ましたが、彼の成功というのはペトロヴィッチ監督の拠り所になっていたり、何か影響を与えていたりしますか?また、彼と監督同士として対戦することに、特別な思いはありますか?)
「選手時代、ストイコビッチさんとの対戦は、私にとってはとても簡単なものでした(笑)。彼は、私が今まで接してきた選手の中で一番、もしくはユーゴスラビアの中で一番の選手だと思います。彼はサッカー選手が必要な能力というのをすべて持っていました。走ること、パス、クロス、シュート、さまざまなことで優れたものを持っていました。ただし、私を相手にしたら、いつも難しくプレーをしていました(笑)。監督になって、これから名古屋とも戦うことになりますが、それは、私とストイコビッチの戦いではなく、浦和レッズと名古屋グランパスとの戦いです。私はそこまで意識をせず、チームが名古屋に勝つように準備をして戦いたいと思います。そして、私は、自分の同じ国の仲間が日本で優勝したということを誇りに思っています」

(RKCワールウィク時代、監督は4-3-3システムで大量得点を挙げていましたが、浦和ではどのようなシステムで臨みますか?また、この2日間、時間をかけてミーティングをされたそうですが、監督からはクラブにどのような要求をされたのでしょうか?)
「RKC時代には、18人の主力選手がいなくなって、ユースから上がってきた選手を使わざるをえなかったのですが、77の勝ち点と84の得点を挙げました。ただし、得失点差で3点足りずに、上のリーグには上がれなかったということがありました。では、浦和レッズに来て、同じ4-3-3をやるかと言ったら、それはないと思います。システムを決める要素として、選手の能力を踏まえて考えることが一番大事だと思います。選手が4-4-2に慣れているのであれば4-4-2を、4-3-3に慣れていれば4-3-3を使うかもしれません。一番大事なのは、どのような選手がいるのかを分析してから、その選手たちに合ったシステムを選ぶことだと思います。浦和レッズの選手の高いクオリティを見れば、4-3-3でも4-4-2でも、どちらでも対応できるのではないかと、自分は理解しています。
2つ目の質問に対してですが、この2日間でいろいろな人たちとミーティングをしました。その中で、私が一番重要だと思っていることは、お互いのコミュニケーションです。コミュニケーションがスムーズにいかなければ、チームの結果もスタッフの仕事もよくない方向に進んでしまいます。ですから、常にオープンであること、言いたいことを言い合えることが一番大事だと、私は皆さんに最初にお話ししました。私は監督でありますが、グラウンドの上だけが仕事ではありません。グラウンドの外でも仕事をしないといけません。ときには新聞に載ったり、ときにはテレビに出たり、そういうこともあります。そんなときでも、私は常にオープンなコミュニケーションをしていきたいと思います。チームの代表ともGMとも用具係とも、浦和レッズに関わるすべての人たちとオープンにコミュニケーションを取りたいと私は思っています。
ちなみに、この2日間で一番衝撃的でうれしく思ったのは、3年間選手として過ごしたときに昼食の際などに使っていた選手寮を訪問したときに、当時働いていた『ママ』と『パパ』がものすごく元気よく私を出迎えてくれて、それに私はものすごく感動して、さらにエクストラのエネルギーをもらうことができました。
もう1つは、一体感。みんなが一緒に1つの目標に向かっていくということ。昨年はフィンケ監督がいて、今年、私が来ました。私が去った後にどんな監督がまた来るかは分かりませんが、クラブというものにおいて監督がどんどん変わるというのは当たり前のことです。
しかし、全員が1つになって、鼻の先を同じ方向に向けて進むことができれば、どんな監督が来ようと、クラブとしてブレることなく仕事ができるのではないかと、私は思っています。自分は中のことをそんなにいろいろといじったり、変えたりすることはしません。日本に来たのだから、日本の文化に従って、それに順応して、いい結果を残したいと思います」

(ヘッドコーチになったボヘルスコーチについて。どういったコーチなのかということと、なぜ彼をコーチとしたかについて、聞かせてください)
「アドリーと私は、RKCのユースアカデミーで一緒に働いて、私がトップチームの監督をやったときに、アシスタントコーチとして一緒に仕事をしました。彼は私と同じようなキャラクターの持ち主で、24時間全力を尽くして自分の仕事を全うすることができる。積極的に意見を話し、ディスカッションすることができる。そして、何よりも、ものすごくサッカーに対しての知識が多い指導者であります。私はもちろん、アドリーの情熱を買って、ここに連れてきました。六本木や表参道、富士山などに遊びに行ってしまうような指導者は、私は絶対に連れてきません(笑)。
質問はアドリーさんだけに関してでしたが、少しコメントさせてください。私はスタッフを差別、もしくは区別する気はまったくありません。スタッフ全員が1つのチームです。GKコーチのツッチーさん、アシスタントのヒロ、そしてアドリー。すべてが1つのチームとして、今年1年間戦っていきます。全員に同じような目で接していきます。もちろんメディカルスタッフや用具係、そういったチームの周りのスタッフも、全員に同じ扱いをしたいと思っています。なぜなら、チームで戦うことが一番大事だと思っているからです」

(監督は選手に100パーセント出し切ることを求めるとおっしゃっていましたが、メンバー選考にあたって、それ以外に重視するところは何ですか?また、重視するポイントが複数ある場合は、どのような優先順位になりますか?)
「まず、私は今の浦和レッズの選手に満足しています。とてもうれしく思っています。キャラクター、メンタリティがものすごく高い選手が多いと感じています。ほかに何を選手に求めるかというのは、もちろんいくつかのものが挙げられると思いますが、それはなるべく外には出さずに、選手と私の中で話し合って、向上していきたいと思います。昨年10位に終わったのですから、誰がどう見ても、何かを変えないとそのまま10位で終わってしまいます。私は10位で終わるために、ここに来たわけではありませんので、多少のことは変える必要があると思います。その中で、常にオープンマインドで選手同士の話し合いをする。文句を言ったり、例えばメディアに対して名前を挙げて『誰々が駄目だった』、『こうだから駄目だった』というようなことではなくて、常にオープンマインドで、チームで勝ってチームで負ける。自分がどうだったからという話は後にして、まずチームのことを考えるということを強調したいと思います」

(一次キャンプが迫っていますが、そこで重点的に見ていきたいところがあれば、教えてください)
「キャンプに入るにあたって、まずは自分は新しく来た人間であるので、選手もそうですが、まずお互いを知るということを最初に心掛けたいと思います。そのために、キャンプの最中に選手一人一人とミーティングを行ない、チーム全体でもミーティングも行ない、初めの印象やどういった状況なのか、選手のコンディションなど、細かく確認したいと思います。もちろん、先ほども言いましたが、100パーセント全力を出し切る、いいコミュニケーションを取る、チームで戦うということも、初めから強調していきたいと思います。私のいつものキャンプの入り方なんですが、最初の1日目は軽めに、楽しい練習から入って、2日目からはいきなり100パーセントで臨むというスタイルでやってきているので、それを今回のキャンプでも行なっていきたいと思います。
そして、自分がものすごく好感を持っているのは、まだ練習もはじまっていないのに、練習場に行くと新加入のマルシオ リシャルデスが自主トレを行なっていて、他にも2人、3人とすでにトレーニングをはじめている選手がいることです。そういうところを見て、私は選手か大きな信頼を与えられていることを感じます」

(100パーセントのファイトを求めるということを再三おっしゃっていましたが、あなたはそういうファイターとして浦和のサポーターから共感を得ていました。今度は監督として来て、いくら戦うのは選手だと言っても、不甲斐ない試合に終わったときには最終的な責任は監督にあるわけですからサポーターやメディアから批判をされる場合もあるでしょう。そういった批判を受ける覚悟はありますか?)
「まずは、メディア、ジャーナリストが結果がよくなかったときにネガティブな記事やコメントをすることは、もちろん皆さんの自由であります。それに対し、私は何もすることはできません。ただし、私は常に、どんなときでもオープンマインドで皆さんに接する気持ちでいます。もし、皆さんが私のことをよくない監督だと思ったならば、そう書いていただいてまったく構いません。
サポーターについて、私自身は、結果が悪かったらサポーターが怒り出す、もしくは自分に対してネガティブな発言をするということは、少し信じられません。もちろん、残念に思うことはあるかもしれませんが、私がどれだけ浦和レッズに情熱を注いできたかについては、サポーターが一番分かっていると思います。選手のときも、足の骨が折れていようが、情熱でそのままプレーしたのを、サポーターの方は覚えてくれていると思います。ですので、どんなに結果が悪くても、サポーターは私の後ろについていてくれると信じています」

【浦和レッズオフィシャルメディア(URD:OM)】

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