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岩尾「これから進みたい道には、ゴール、アシスト、勝利がどうしても必要」

31日、浦和レッズは、大原サッカー場でのトレーニングを抽選で当選されたREX CLUB会員の方々とメディアに公開。トレーニング後、前日の川崎フロンターレ戦で加入後初ゴールを決めた岩尾 憲がオンラインでメディアからの質問に答えた。

(昨日の川崎フロンターレ戦で浦和レッズでの初ゴールを決めた。勝利のポイントになるゴールだったと思うが、決めたときの感想は?)
「素直にうれしかったです。相手にボールを持たれる時間も長かった中、PKで1点失ってしまい、アディショナルタイムを含めると10分くらい残っていたと思いますが、空気的に少し難しい展開になりかねない状況でレッズにもう1点入ったというところは、チームとしても大きな1点だったと思います。それを決めたのが自分だったことは自信になりますし、何よりチームが勝つために2-1で終えることも重要でしたが、2-2にされる可能性があった中、3-1で終えたことはよかったと思っています」

(6月の中断が明けてからJ1リーグでは毎試合必ず1ゴール以上取っている。シーズンの序盤は3枚に変化するディフェンスラインの前にボランチが2枚いて、前に5枚という形が多かったと思うが、最近は伊藤敦樹選手を前に押し出している形になっている。チームの中でどういう変化があって今に至るのか?)
「最初はダブルボランチで戦うという優先順位が高かったのですが、リカルド(ロドリゲス)監督も試行錯誤し、選手のキャラクターを含めてアンカー気味で伊藤選手をインサイドハーフのように配置しています。当然その中で相手の出方を見ながら流動的になり、一時的にダブルボランチにすることも試合の中でありますが、大枠の考え方は1アンカーの2セントラルと、昨日の試合であればサイドの(ダヴィド)モーベルグ選手と関根(貴大)が内側を取るのか幅を取るのかというところで、前に人数をかけることと、縦のレーンで割ったときに5レーンに人がしっかりとバランス良く配置できる環境をつくった、それがまた選手の特長も含めてうまくいっているということがゴールシーンにも出ていると思います」

(そういう形で戦っていく中で、昨日の試合後の記者会見でリカルド監督が「もっとボールをしっかりと握って守備の時間を短くすることができればよかった」と話していた。勝ったことは重要だが、2-0にした後も自分たちがボールを握って相手に何もさせないようなことを目指すのか?)
「『攻撃は最大の防御』じゃないですが、ボールを握っていれば相手のチャンスは減っていきますし、そういった狙いを志向する監督ですので、そのような理想はあると思います。一方でレッズにいる選手の特長やクラブの文化といいますか、ゴールに向かっていく姿勢や迫力の間でどこに着地するのかは僕もやっていて分かりませんし、やりながらそれを作っていっているところだと思います。1つ例を挙げれば、スローインの後にキャスパー(ユンカー)選手からワンタッチでボールをもらい、シュートを打てるシーンではありましたが、僕は時間を使いたいのと同時に相手をもっと走らせたいという気持ちがありましたので、フィニッシュで終わらずに馬渡(和彰)選手に展開したシーンがありました。リカルド監督の理想で言えば、シュートを打つという選択肢は僕の中にもありましたし、見ている側からも『打て』というシーンだったと思いますが、打って入れば大きいゴールになります。一方で入らなかった場合は相手にボールが行ってしまうというところの判断で、僕はボールを握る判断をしました。

90分ある中でいろいろなシチュエーションがそれぞれの選手にあり、そこをどう判断していくか、チームとして決断していくかというところの足並みをそろえるという意味では、リカルド監督からするとボールを握るという方に比重がいけていないということがあるのだと思います。プレーしている選手たちからするとゴールに向かっていきたいというエネルギーをたくさん持っている選手が多いですし、一概に握り倒せばいいということでもないと思っています。かといって握らなすぎてボールを失う回数が多いこともリカルド監督のサッカーからすると本末転倒なところもあります。今はその両方にチャレンジしつつ、握れるところは握って、というバランスを取ろうとしているタイミングでもあると思っています。先ほども言いましたが、その間でどう着地するのかがこれから先で重要になってくると思います」

(川崎戦は伊藤選手が前に出て岩尾選手がアンカーという基本形がありながら、伊藤選手が柴戸 海選手と交代し、さらにモーベルグ選手に代わって安居海渡選手が入って前線の枚数が減ったが、その分、岩尾選手は前に出る意識が増したのか?)
「ゴールシーンを含めた質問になっていると思いますが、伊藤選手が交代したから前に行かなければいけないという意識が僕の中で強くなったということはありません。ただ、5-4-1っぽいシステムに変更になり、キャスパー選手がワントップでスローインからのシーンでしたが、うまく背後を突いたときにスピードアップできる選手は限られています。キャスパー選手の動きを見て次にスピードアップした選手が関根選手で、次にボールに近い選手が僕でした。シチュエーション的にはたまたまでした。ポジションを捨ててゴール前に入っていくことが必然的に求められるシーンでしたので、あのシーンに関しては意識というよりは状況がそうさせたという方が強いです」

(自分のポジションを捨てて前に出る怖さのようなものはあの場面に関してはなかったのか?)
「僕よりも前に3人、もしくは2人いて飛び出そうとしているところが見えたとすれば、自分がポジションを捨てて参加していくという判断はしなかったと思います。あのシーンでは前に人がいませんでしたが、つまり後ろに人がいるということですので、僕が出て行ってもリスクがありませんでした。ですので、特に迷いはありませんでした」

(岩尾選手は試合に入るとき、出るときにいつも各方向に丁寧にあいさつしているが、誰かの教えやきっかけはあったのか?)
「これを説明するときれいごとのように感じられてしまいそうで嫌ではありますが、当たり前のことは何一つないと思っています。応援されることも当たり前ではありませんし、あれだけのファン・サポーターの方々がスタジアムに入っていることも当たり前ではありません。僕がレッズでプレーできることも当たり前ではありません。月並みですが、そもそも人間は一人では生きていけません。人間は日常生活を送っていると、いろいろなことが当たり前になってきて、当たり前になるとそこに意識が向かなくなる生き物だと思っています。自分はそうでありたくない。それでも無意識になってしまっていることは当然ありますが、できる限り当たり前のことに意識を向けることで自分が何者でもないことに気付く瞬間がたくさんあります。そういう過ごし方をしていると、勝手に頭が下がります(笑)」

(プロに入った当初からやっていたのか?)
「そうですね。僕の意識ではやっているつもりです。分かりません。他の方に聞いたら『お前、昔はそんなんじゃなかったじゃん』と言われるかもしれません(笑)」

(7月16日の清水エスパルス戦後、小泉佳穂選手との関係について「(ピッチ上で)ちょっとした気遣いができるようになってきた」と言っていたと思う。徳島ヴォルティス時代について「勝つか負けるかよりも助け合えている」という話があったと思うが、ちょっとした気遣いは助け合いにつながっているのではないか?)
「僕の感覚では、まだ確信的な何かはありません。悪い言い方をすると、今は運がいいだけの可能性もある。いい言い方をすれば、自分たちがしっかりとした足跡を残してきたからこそスタイルが内容にも出てきている。そのどちらなのか、正直分からない部分が多いです。これからも試合を重ねていきますが、その中で、もしかしたら渾身のゲームができる可能性もありますし、また負けが込んで引きずり下ろされるようなこともありえると思っています。僕は前者でありたいという気持ちでトレーニングも含めて進んでいきたいと思っていますので、今の段階でどうこうというよりは、シーズンが終わったときにお話しできる内容なのかもしれないと思います。すみません、答えになっていませんが」

(徳島でチームメートだった青山 準さんが「リカルド監督のサッカーで一番難しいのはコミュニケーション」だと言っていた。それはあうんの呼吸のようなことだと思うが、そういうものが少しずつできつつあるのではないか?)
「その点でいえば、確実にあると思います」

(岩尾選手がアンカーでボールを引き出したり、さばいたりするときの受け手のアクションは「こういうところにいてほしい」ということが増えているのか?細かい質がチームとして高まりつつあるのか?)
「ビルドアップに関しては、立ち位置を含めてアクション、先ほど『ちょっとした気遣い』という言葉が出ましたが、仲間を助けるための1メートル、2メートルにこだわってポジションを取ってくれる選手はシーズンの初めよりも確実に増えたと思います。僕がボールを受けても滞りなく次に届けられるシーンが増えてきました。西川(周作)選手が僕にボールを預けてくれるシーンも開幕当初から比べると回数は相当増えていると思います。ボールをつなぐことはリスクもありますが、そこを怖がるとリスクは回避できるけどボールをつなぐことができない。そういうサッカーをしていますので、試合数を重ねるごとにビルドアップは良くなっていると思います。ただ、相手の出方やシーンによっては、もっと適正を取れるところもありますが、それはトレーニングを含めてまだまだこれから良くなっていくところだと思います。

ゴール付近に押し込んだときのボールの動かし方に関しては、時間を使いたいのか、攻めきりたいのかというところで、もう少し揺さぶって相手のブロックを横に広げたり、前や後ろに間伸びさせたりするような、動かし方でいろいろな駆け引きができるところではありますが、選手の個の能力もあるところですし、量としては仕掛けるシーンが多いと思います。ただ、それをネガティブには捉えていません。サッカーはゴールに向かっていくスポーツですし、すごくいいことだと思っています。ただ、1対1もよりスペースがあった状況でやって方がさらに有利に運べると思いますので、もう一つのオプションとしてもっと揺さぶることができてくると、ゴールの確率は上がると思っています」

(これまでの話でも岩尾選手は自身やチームを客観視、俯瞰で見られている印象であり、川崎戦のゴールについても「チームとしても大きな1点だった」と言っていたが、もっと個人的な感想としてはどうだったのか?これまでいろいろなことを考えてきて、それはもしかしたら悩みや苦悩であったかもしれないが、それを経てのゴールという意味での感想はどうか?)
「話がめちゃくちゃ長くなりそうなことを聞いてきますね(笑)。僕はいろいろと考えてしまう性分ですので、いろいろと考えさせられることはありました。考えていることを点でいえば、点をたくさん打ちながらああじゃない、こうじゃないと考えるのですが、それが一つの線になった感覚がありました。そうなってから、アシストやゴール、チームが勝つことが必要になりましたし、そうじゃないと進めないことがあるというところに落ち着きました。ですので、ゴールも欲しかったですし、もっとアシストも欲しいです。勝ったということで一つクリアしましたが、僕がこれから進みたい道には、そういったものがどうしても欲しいですし、昨日ゴールを決められたことは、僕の中では大きかったです」

(昨日の川崎戦でイベントエリアを楽しんでくれた方に書いてもらった絵馬がクラブハウスの前に掲出されていたが、それを見てどんな感想を持ったか?)
「単純に自分のことを書いてくれている方がいてうれしかったです。『館林の誇り』と書いてくださった方もいましたので、館林に何か恩返しをしたいとも思います。僕のエネルギーになります」

(昨日は川崎の選手の人数がそろわないという難しい状況でアウェイに乗り込んできたが、有利に見られるなどメンタル的に難しい状況はレッズにもあったと思う。そういう点で監督やコーチから声掛けがあったり、選手同士で話したりしたことはあったのか?)
「リカルド監督からは『川崎の状況は関係なく、自分たちがやるべきことをやれるかどうか。それだけだ』という言葉もありました。選手同士では、GKが3人ベンチに入るという見たことがないメンバー表でしたので、ロッカールームでは少しざわつきもありましたが、試合に向かっていくところでは『立ち上がりに失点すると難しくなる』という言葉や、『そんなに甘い試合にならない』という言葉が出たりしていましたし、いざ試合というシーンになれば、とりわけいつもの試合と変わらない雰囲気だったと思います」

(スタイルと文化という話があったと思うが、縦に急がなかったときにため息が出ることに駆り立てられるなど、影響を受けるのか?)
「受けます。僕自身も受けますし、周りの選手を見ていても影響を受けていると感じるシーンがあります。それが悪いわけではありませんし、あのスタジアムにはあのスタジアムの理想のフットボールが存在していて、そこに向かっていく作業を僕らはしなければいけない。リカルド監督の徳島時代を理想としたときに、理想を追求すればいい方向にだけ進むのかというとそんなこともないと思います。理想を得ようとすれば失われるものも当然あると思いますので、何を取り、言葉を選ばずに言えば何を妥協して、お客さんのニーズに合わせられるかということも大事だと思います。先ほど『どこに着地するかわからない』という言い方をしましたが、まだまだ見えにくいところに向かっています。ただ、それがハマったときにはスタジアムを含め、もっと爆発的な一体感を得られる瞬間があると思っています」

(いろいろなせめぎ合いがある中でそのバランスを取るのは難しいと思うし、いち選手が背負うことではないと思うが、岩尾選手が現時点で考えているのはどんなことなのか?)
「バランスは本当に難しいと思います。ただ、難しいと思うバランスもピッチでいろいろと葛藤していたからこそ、今ようやく取れ始めた感覚はあります。苦しんでいた時期も、苦しんでいてよかったと今は少し思いますが、これが安心や慢心になってしまうとまた話が変わってきてしまいます。良くはなってきているけれどまだ何もつかんでいませんし、何も確立できていないし、これだというところに着地もできていませんので、それを追求しながら結果も残していくことで、新たな自分にも出会えると思いますし、クラブがもっと前進していくと思います」

(チームの結果がついてきているが、岩尾選手はどんなところにはチームの良さを感じているのか?)
「いろいろな選手の中に、迷いはなくなっていると思います。改善するところはありますが、チームでどこに攻めたい、どこを守らなければいけない、という整理はついてきているという感覚があります。オートマチック性が出てきたということは、今の良いところだと思います」

(次からYBCルヴァンカップ、J1リーグを含めて名古屋グランパスとの3連戦になるが、同じチームと3連戦する難しさや大事なことなど、感じていることはあるか?)
「ルヴァンカップとJ1リーグということですが、目の前の1試合をどのように戦っていくかが最も重要です。コンディションも大事になってきますし、メンバーも含めて、同じ相手との試合になりますが色味が変わる試合になると思います。適材適所を自分たちでしっかりと判断し、最適なプレーを選択する必要があると思います。あとは夏場の連戦ですので、こちらもメンバーが変更になるなど、いろいろな変数が出てくると思いますので、誰が出てもチームが勝つことが重要だと思います」

(J1リーグ8試合負けなしで3連勝という状況だが、少し前までは決して良いとはいえず、天皇杯で負けたり引き分けが続いたりするなど、楽な状況ではなかったと思う。一人で考えたことについての話もあったが、選手同士で話し合ったことで今に影響していることはあるのか?)
「選手同士は戦術的なことも含めて、基本的にはいいときも悪いときもいろいろな話をしていますので、そこに関しては大きな変化は…ありましたね。セレッソ大阪に敗れるまでは7試合連続で引き分けていましたが、その後に勝ちに持っていけるか黒星になるかは全然違うと思っていましたが、C大阪に負けてしまい、その試合の後、2時間くらい関根選手と話をしました。どれくらい危機感を持っているのか、というような話でした。彼は自責できる選手ですので、あの試合もハンドでPKを献上してしまって難しい試合になったと思いますが、『俺のせいで』という言葉も使っていましたし、『どうしたらいいんですかね?』ということを2人で話しました」

(昨日の岩尾選手のゴールの後、関根選手に長い時間覆いかぶさられていたと思うが、何か声を掛けられたのか?関根選手の表情を見るとうれしそうだったが、彼の気持ちは伝わったきたか?)
「『(このゴールは)でかい、でかい』と言っていました。球際やゴールに向かっていく姿勢や逆に自陣に戻ってくるスピード、C大阪戦の時もハンドにはなってしまいましたが、危ないと思ったときにあそこにスプリントしているからこそ体にぶつかって、それがたまたま手だったという話で、あそこまで戻ってくることが僕の中では重要です。そういったことが報われない苦しい時間は関根選手にもありましたが、そういうところから逃げずに、常にひたむきにやっている姿も含めて、関根選手のパスからゴールを決められたことは個人的にすごくうれしかったです。変なゴールパフォーマンスというかすごいシーンにはなりましたが(笑)」

【浦和レッズオフィシャルメディア(URD:OM)】

岩尾「これから進みたい道には、ゴール、アシスト、勝利がどうしても必要」

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