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西川周作 J1リーグ通算無失点試合数新記録樹立記念インタビュー



7月10日に埼玉スタジアムで行われた明治安田生命J1リーグ 第21節 FC東京戦【MATCH PARTNER J:COM】でJ1リーグ通算無失点試合数新記録を樹立した西川周作の特別インタビューを実施。通算記録は過去の蓄積でもあるが、36歳にしてなおも成長を続ける西川に今と未来について聞いた。偉大な記録を樹立した守護神は、過去から学び、今と真剣に向き合い、そして未来を見据えている。

【西川周作】
(今季8試合目の無失点でJ1リーグ通算無失点試合数新記録を樹立したが、ジョアン ミレッGKコーチや塩田仁史GKアシスタントコーチとは記録について何か話したのか?)
「記録については全く話していません。これからも無失点を目指していくことに変わりはありませんし、歴代1位になったからといって、これまでやってきたことが変わったり、見方や考え方が変わったりするわけではありませんので、こういうときほど地に足をつけなければいけません。良いことがあった後は悪いことが起こりやすいですし、今まで学んできたこともありますので、より集中しています」

(「良いことがあった後は悪いことが起こりやすい」というと、どうしても昨季のJ1リーグ通算500試合出場の後のことを思い出してしまうが?)
「そうなんです。そういう経験があります。まさにそれです。みんなにお祝いしてもらってすぐにスタメンから外れてしまいました。あれはあれで自分にとっていい時間になりましたし、出場できない期間があったからこそ1試合1試合の危機感、『もう最後かもしれない』という危機感を持って戦えていると思います。そのときも決して無駄にはしたくないと思っていましたが、実際に無駄な時間ではなかったと思います。(鈴木)彩艶選手と牲川(歩見)選手という素晴らしいGKがいる中でプレーする。それはすごい緊張感ですし、やりがいも感じることができています」



(今季はここまでJ1リーグ22試合で20失点。西川選手はいつも1試合平均1失点以下にこだわっていると思うが、ここまでの数字についてどう捉えているか?)
「昨季からの積み重ねで、全員で守備をしていますので、オープンな試合にならなければ失点はしないイメージがあります。今季に関してはジョアン(ミレッ)GKコーチの教えで、シュートを打たれる前に自分が防ぐということにトレーニングキャンプからトライしています。クロスの対応も昔とは全く違う感覚です。今は楽しいです。身長は183センチメートルしかありませんが、今はジャンプして手を伸ばせば相手FWより高くなるという考え方になっていますので、183センチメートルでもしっかりとプレーできるというところを子供たちにも見せたいと思っています。36歳になりましたが、年齢は関係ないと思います」

(「昔とは違う感覚」や「今は楽しい」、「183センチメートルでもしっかりとプレーできる」という表現をしたということは、以前はクロス対応に関してあまり得意ではない印象だったのか?)
「自分の感覚としては、出ないといけないと思うボールも、ジョアンコーチの教えがすごく大きいです。今までそういうボールに対する出方を細かく教えてもらうことはありませんでした。ジョアンの教えはすごく納得できます。今までは自分がやってきた感覚でカバーしていましたが、じゃあ足の運び方をどうするのか、最短で向かうために細かく踏む必要はない、1歩、2歩、3歩でいけるから、ということを叩き込まれています。あとはポジションのスタート位置です。頭の中をすごく整理された感覚です。考え方がよりシンプルになりました。GKは奥が深いと思います。ジョアンコーチから教えてもらってまだ8ヵ月ですが、すごく学んでいます」



(まだ8ヵ月ということは、まだまだ成長できそうな感覚もあるのか?)
「シュートに対してのポジショニングも今までと全く違います。前にポジションを取っていても、戻り方さえ覚えていれば大丈夫だと。その戻り方もトレーニングも徹底的にやっています。そんなに複雑な動きではありませんが、反復しています。起き上がり方もそうです。僕はいずれ指導者の道に進みたいと思っていますが、この指導方法は絶対に取り入れたいと思うくらい、今はすごく自分のものになってきたという手応えがあります」

(ジョアンコーチから教えてもらい、成長することによって、他のGKの見え方も変わったりしたのか?)
「変わりましたよ。JリーグのGKは以前の僕と同じような動きをやっています。今はそんなにやらないけど、今までだったらやっていたようなこと、『あー、それをやっちゃうのは分かる』というような動きをしています。立ち位置や駆け引きは今の方がやっていて楽しいです。だからこそ、それを結果につなげ、結果でこのやり方が正しいということを証明したいというおもいが強いです」



(GKはフィールドプレーヤーと比べて選手寿命が長かったり、ピークが遅いと言われたりすることが多いが、身体能力とは別に理論で伸びるところがあるからなのか?)
「そうですね。だからGKは楽しいのかもしれません。今は以前より楽しくなっています。解決方法が頭の中にありますので、慌てなくて済むようになりました。セービングをしてセカンドボールを取られても、すぐに立ち上がるのではなく相手の状況を見ながらタイミングを図って立ち、誘って取る。それくらいの駆け引きをするトレーニングをしています。守備面での落ち着きがあれば、攻撃のビルドアップもすごく落ち着いてできます。そういうことにつながることは試合を戦っていて感じます。たとえばアディショナルタイムが3分だとしたら、『3分しかないのか』と思います。もっとやりたい。リードしていれば早く終わってほしいものですが、『何分でもやろうよ』というくらいのメンタリティーです。何分でもやればその分、失点する可能性も高まりますし、終盤に勝っていたら相手はロングボール、クロスボールが増えますが、そこに出ていく。自分が防いで終わらせる。それがやりがいですし、楽しいです」

(今シーズンは失点少なく戦えているが、後半戦は結果もついてくるようになってきたことに関してはどう捉えているか?)
「失点自体は少なくできているので、シーズンを通して崩れないようにしなければいけません。複数失点は何度かありますが、複数失点をすると勝つのは難しくなります。先に複数失点してしまうと、追いつくことはできても逆転が難しい。最悪でも1失点に抑える。1失点なら先に取られても勝つチャンスはあります。ただ、それは最低限のことで、無失点にこだわりたいです」

(今シーズンここまで無失点試合は22試合中8試合という数字についてはどうか?)
「早く10試合にしたいです。いくら記録を作ってもどんどん進んでいきますので、1試合でも多く無失点に抑えたいという気持ちが強いですし、みんなで無失点にできれば勝つ可能性も上がりますので、失点しないことは僕にとって大事なことです」



(36歳という話もあったが、同世代のGKは年を追うごとに少なくなっている。トップレベルのプレーを続けられる要因はあるのか?)
「毎年必ず目標を立てるようにしていて、自分が何のためにプレーしているのか、何のためにサッカーをしているのかをシーズンが始まる前に考えます。自分のため。家族のため。いろいろなおもいがありますが、日本代表でプレーしたいという気持ちは何歳になっても自分の中にあります。子供たちも大きくなってきて、パパの仕事がどういうものかも分かるようになってきました。それも一つのモチベーションです。浦和レッズで活躍することはもちろん、日本代表で頑張っているパパの姿も見せたいと思っています。応援してくださるファン・サポーターの方々が喜ぶ顔も毎試合見たいです。そういうことがモチベーションです。そのモチベーションがなくなったときは引退するときなのかなと思っていますが、今のところは冷める気配がありません。大好きなサッカーをできるだけ長く続けたいです。体が動く限り続けたいです」

(J1リーグ通算無失点試合数新記録を樹立したFC東京戦はお子さんも含めて家族が観に来ていたようだが、記録について何か言われたのか?)
「『パパおめでとう』ということは言われましたが、注目度は高くなかったみたいです(笑)。妻もそういう感じの人なので、記録を作ろうが、いつも通りでした。子供もいつも通り『パパ遊ぼう』という感じでした。周りの反響があって、学校でも『おめでとう』と言われたみたいですが、本人たちは不思議な感覚だったみたいです」

(まだまだ成長過程にあるという話でもあったが、これからの理想のGK像はどんなものか?)
「ずっと思っていることですが、ここぞというときにしっかりと守れるGKになっていきたいです。GKのワンセーブはフィールドプレーヤーが1点取るくらいに大きなものだと思っていますので、そのかっこよさ、楽しさを見ている子供たちにも伝えていきたいです。だからこそ守って攻めて、しっかりとプレーしている姿を見せていかなければいけないと思っています」


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