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「あのときから身が引き締まる思いを持ち続けている」大槻 毅監督(定例会見 11/7)

11月7日にWEB会議システムを使って行われた会見でのコメント

【質疑応答】
(今日はユースとのゲーム形式のトレーニングだったが、今は試合に出ていない選手たちが試合の翌日にトレーニングマッチを行うのも難しい状況だと思う。あまり試合に出ていない選手たちの管理の難しさについてどう感じているか?)
「暑熱下の連戦のときは少し人を入れ替えていたりもしましたが、今は少しメンバーも固まっていますので、負荷のコントロールは石栗(建)フィジカルコーチと相談してしっかり数値を取ってやっていますが、なかなか11対11のプレーができませんので、今日のようなトレーニングの形式を取りました。先々週の空いたところでもそういった機会をできる範囲で設けていますが、回数は少ないと思っていますし、選手はゲームをしたほうがいいと思いますので、そのあたりの難しさは日程的にもあるところです」

(相手がユースということもあったが、今日のトレーニングの内容はどう感じたか?)
「前半は非常に良いプレーをしたと思います。昨日のトレーニングで少し負荷をかけているので後半は少し運動量が落ちましたが、トレーニングの一環として非常にいいものがあったと思います。30分2本でしたが、それぞれの選手たちがトライしてくれたことは良かったと思います。後半は昨日の負荷で前に出るパワーが少し出ませんでしたが、前半は非常に良かったと思っていますし、やれてよかったなと思っています」

(今シーズンは連戦があったり、急に2週空くようなことがあったり、コンディショニングの面で非常に難しいシーズンで、試合としても難しいところが出てくると思うが、次の試合までにどのように調整していきたいと考えているのか?)
「今回は変則で火曜日にゲームをやって次は土曜日という形になっていますが、1つは中2日なのか中3日なのかそれ以上なのか、ということは回復のところもあるので見てきました。

もう1つは、我々のところだけではなくて、たとえば我々が5日空いていて相手が中3日とか2日のときもありますし、ここから最後にかけてもそういう試合が多くなると思います。そういったところは気にして見ています。

ただ、自分たちにフォーカスを当てたときに、まず回復をしっかりできているかというところ、あとはここまで来て最後が見えてきましたが、途中まで、特に半分越えるまでのところではケガ人を出したくないということが非常に大きくありました。ポジションによって若干、層が薄いところもありますので、特にそういったポジションはしっかり回さないといけないということはありました。

もう1つは、どのチームもそうですが5人交代の影響で特定のポジションに関してはある程度、強度を担保できるところはあったと思うので、そういったことを加味しながらメンバーを構成したりトレーニングを組んできました」

(GKの控えは福島春樹選手と鈴木彩艶選手が入れ替わっていることが多いが、大槻監督はどういうところに着眼してベンチ入りメンバーを決めているのか?)
「開幕に関してはキャンプから見てきたことがあります。それぞれのGKを一人ずつで見ているところもありますが、もう1つ大きなことは、GKグループ全体のパフォーマンスの向上を目指さなければいけないということがあります。今のところ春樹も1試合出ましたが、スタートは基本的にはずっと(西川)周作が出ています。そこに対して何かリスクがあったときにGKグループ全体のパフォーマンスが上がっていること、ボトムラインが上がっていることが非常に求められるという考えを僕は持っています。

春樹も昨年、ACL(AFCチャンピオンズリーグ)のファイナルに出たくらいのGKです。ただ、もし何か問題があったときに、彼が一人、今まで経験があるから、というだけでは足りなくて、若い2人のGKがいます。この2人のGKもしっかりと成長の曲線を右肩上がりにして、より高いパフォーマンスを目指してプレーしなければいけません。そういう中で今は彩艶と春樹のどちらかがベンチに入るような流れを継続しています。

そこに対して、今日も見ていただけた方は分かると思いますが、石井(僚)も非常にいい状態を保つような努力を毎日しています。そういったところも含めて、GKグループ、4人のグループとして見ることを考えて4人をよく観察しようと思っています」

(ベンチに入ることによって彼らのモチベーションにいい影響はあるのか?)
「モチベーションもそうかもしれませんが、試合に絡む、絡まないことで言うと、その空間、空気にいる、いないということは非常に大きいと思います。たとえば2人のGK、先発と控えが固定されていたところになにか問題が起きてもう1人のGKが絡む。そうなったときにその空気が突然やってくるのではなく、常にグループにその空気感が共有されているような状態が必要なのではないかと思っています」

(大槻監督から見た福島選手と鈴木選手の良さはどんなところか?)
「春樹に関しては、キャラクターも含めて、声を出したりすることも含めてですが、ディフェンスラインならびにその前のラインに対して良い影響を与えられます。また、足元の技術も優れていますし、サッカーの戦術眼も優れていると思います。もちろんキックのフィード技術もいいです。もう1つは、彩艶と比べると体は一回り小さいですが、俊敏性も含めてGKとして高いレベルにいると思います。それは昨年のACLの決勝でもしっかりと見せてくれました。

鈴木彩艶に関しては、若い選手ですが、向上心、野心を非常に持って、『自分は成長するんだ』『プロとしてこの世界で』というところを見せてくれています。見てのとおり身体的に素晴らしい素質を持っていますし、もう1つ彼に備わっているのは、それを支える精神性です。非常に高い精神性を持っていて、向上心だけではなくてチームに貢献したいというものを非常に持っている選手です。日々成長しています。そこも非常に楽しみにしていますし、この2人は本当にいい形でレッズに所属してくれてありがたいなと思っています」

(ここまでやっている戦術のベースの部分で、実際に大槻監督が目指しているサッカーはカウンターと言われることもあるが、単純にカウンターということではなくて、ゴールに矢印を向けていくことが第一にあると思う。基本的な部分を改めて説明してほしい)
「効率で言うと速く攻めたほうがいいと思っていることが大前提としてあります。ただ、速く攻めると言ったときにどこから攻めるのか、自陣から攻めるのか相手陣地からスタートするのか、というところでボールの奪いどころは決まってくると思います。

当然、相手がいますから、サッカーの4局面で言いますと、攻撃の前の切り替えのポジティブトランジションをどこに持ってくるか、というような部分を大事にしなければいけませんし、そのための守備設計になってきます。できれば相手陣地でいろいろなことがやれればいいと思っていますが、そこが叶わないときにどうするか。高い位置に持っていくために最終ラインを押し上げたり、一人ひとりの選手を押し出さなければいけない作業があります。その個人戦術を高めて、そういったケースが多くなることを望んでいます。

そこのところに今いる選手の構成メンバーで目指すところを、今はもう11月まで来てしまいましたが、最初にできるだけ針を振り切って選手に伝えて、優先順位の高いところからやっていくということを目指してチーム作りをしてきましたが、当然それだけでは叶わないので、矢印を振り切った状態から必要なことをシーズン中に肉付けする作業をしてきました。それがなかなかスピードアップしなかったので苦しい部分もありましたが、そういった過程を踏んでいますし、そういった目標設定を持っています」

(5レーンという考え方がヨーロッパから来ていて、リバプールやマンチェスター・シティといった情報がある中で、そういったことをコピーするだけではなくて日本のサッカー、Jリーグ、浦和レッズへの落とし込み方についてどう考えてチーム作りしているのか?)
「所属する選手はシーズンが始まったときに決まっていました。今年は移籍のウインドウがその間に2回あり、最初のウインドーではトミー(トーマス デン)が来たりしましたが、大きなプラスアルファはなかったと思います。ですから、現有戦力の中でやろうとしていることの最大値を引き出すためにどうしたらいいかということを常に頭に入れてやっていましたが、その中でシーズンを通じてアジャストして成長している選手がいました。

もう1つは今シーズンに関しては大きな要素だったと思いますが、コンディション面を作ってくるスピード感、キャンプから2月に作ってからまた4ヵ月が空いて7月4日までにもう1回作り直すところで、かなりばらつきがあったと思っています。そこからコンディションが整ってきてゲームフィーリングが合ってきたときに徐々にメンバーが変わっていって、という流れだったと思っています。

ですから、やり方で人のできることを変えていく、グループでできることを変えていく作業と、やれる人のコンディションが上がってきて戻ってきたり入ってきた、ということが同時進行で行われて現在に至っていると思っています」

(大槻監督は現場監督というだけではなくて浦和レッズ全体のことを考えていると思う。たとえば今日はユースとゲーム形式のトレーニングを行ったが、アカデミーからレッズを支えていくような選手が出てくる。Jリーグでもレッズであれば一時代を築くこともあるし、海外にいくにしてもビッグクラブに出ていくことができるクラブだと思っている。今も関根貴大選手や橋岡大樹選手、鈴木彩艶選手などがいる一方で、期待に比べるとまだまだ育ってきていないと思うが、ユースにも携わった大槻監督はどう見ているか?)
「ちょうど今日ゲーム形式のトレーニングをした高校3年生は僕が見ていたときに中学3年生から高校1年生に上がる学年でした。地方から寮に入ってサッカーをがんばっている子たちを含めて、その下もジュニアを立ち上げてやり始めた子たち、彩艶はプロ契約しましたが、そういった子たちが10年かけて上がってきた過程を見てきています。

その前のところで僕がトップチームで関わらせてもらった若い選手たちも今は30半ば、手前くらいで、他のクラブですが複数クラブを渡り歩いて何百試合と出場試合数を重ねている選手たちもいます。

もちろんユースから新卒の選手として上がってきて、すぐ試合に出ることは素晴らしいことだと思いますが、今いる浦和レッズの所属が長くなっている選手は非常に素晴らしい選手たちが多くて、そのクオリティーを10代の選手たちが簡単に超えることは多くはないと思います。

ただ、何年かかけて、むしろ育成で育て上げてきた選手が18歳、19歳で通じるか通じないかではなくて、18、19から少し先の20、21、22くらいまで我々のところで鍛え上げて次に進めるような段取りを踏めるような仕組みができあがると非常に素晴らしいのではないかと、今のクラブの仕組みがどうこうではなく個人的には思っています。

それをやるためにたとえばトップチームだけでやるのであれば、トップチームの編成をしっかり考えるなり、年齢バランスを考える。そういったことになっていくと、次に必要になってくるのは若い選手をトップに上げる、取るだけではなくて、年齢構成のための全体のバランス、選手が出ていくようなところもうまいサイクルにならないとそれは叶わないのではないかと思います。ただ若い選手を多く抱えるだけではだめですし。

これまでもクラブ内でいろいろなやり方を話したことはありますし、『どういった手法があるのか』という話はたくさんしています。いろいろなやり方があると思います。たくさんの選手を保有して、若い選手は期限付き移籍に出して、経験を積ませて、その中からもう一度クラブに戻すような方法もあるかもしれません。現状のJリーグの環境に則した中で費用対効果だったり効率を求めた上でどのような育成をするかということは、我々だけではなくて全体がトライするべきではないでしょうか」

(大槻監督はJクラブの監督を務めるのはレッズが初めてだったと思うが、2004年からレッズに関わり、ベガルタ仙台のコーチを務めていた1年間を除いて延べ16年間レッズに所属していると思う。現場の監督としては述べ3シーズンということになるかもしれないが、監督でないころは浦和レッズの監督はどういったところに難しさややりがいがあると思っていたのか?また実際に監督になってからの違いはどう感じているか?)
「僕もさいたまに16年住んでいますが、街全体にレッズの空気がありますし、行政に行ってもそうですが、街全体の赤い色を感じながら生活できること、その象徴である現場の監督をやるということは、なる前、なった瞬間、あのときから身が引き締まる思いを持ち続けています。

その中で、いちコーチと監督との違いにもなると思いますが、常に大きな決断を迫られて、その決断をすることが仕事になってくると思いますし、それに対して責任を持って、『エイ、ヤー』ではなく、こうしたんだと裏付けがあるようなことを求めていきたいと思っています。そのための作業をしっかりしないといけないと毎日思っています。そして決断したことに対してはきちんと責任を持って前に進まなければいけないという思いを持っています。

他のクラブで監督をしたことがなく、監督としてはここしか知らないので、最初の思いを常に持ち続けたいと思っています。その思いは時間が経つにつれてますます大きくなっていますし、責任を感じながら、ということは常にあります」

(レッズは常に優勝を目標に掲げているわけではないが、上位が目標になっている。18チームの中には中位以上であればいいという雰囲気のチームもあるが、そういう雰囲気はいいなと思ったことはないか?)
「あまりそういうことはないですね(笑)。他のクラブと比べたこともありませんし、レッズで責任を感じながら毎日過ごさせてもらっていることを光栄に思っています」

(3シーズン目の監督の中で、今シーズンは初めて開幕前から準備ができるシーズンだった。途中に新型コロナウイルスの影響でアクシデントもあったが、スタートから指揮を執った感想はどうか?)
「キャンプができることは非常に素晴らしかったです。特にクラブに言って長い時間、キャンプに行かせてもらいました。最初の15日間は休みを取らずにやったりもしました。選手のベースの部分からやらせていただいたので、システムを含めて大きく変えた部分、今まで志向していたものから変えた部分があったので、選手は適応するのが大変だったかなと思いますが、非常にいい姿勢を見せてくれましたし、ああいった時間を共有できたことは素晴らしかったです。スタートからできると本当にありがたいなという気持ちがあります。

当初の予定ではオリンピック期間にもう一度キャンプができるかな、ということもあったので、そういったことも踏まえて、シーズン中にもう一度キャンプができると立て直しができたりいろいろなことを付け加えることができるだろうし、試合をやって、今年も新型コロナウイルスがどうこうではなくてオリンピックまではタイトなスケジュールが組まれていましたし、そういったことに適応する準備は進めてきたつもりです。

もう1つはアクシデントのときにこそみんなで力を合わせて適応する努力をしていくということをみんなで非常にがんばってきたので、それが数字で見える形やみなさんに喜んでもらえる形につなげられるように最後までがんばりたいと思います」

(大槻監督が志向する戦術の1つに高い位置で奪って素早く攻めることがあると思う。素早く攻めるということだけでカウンターだから守備的と捉える人もいるし、一方でボールをポゼッションするだけで攻撃的と捉える人もいる。高い位置で奪って素早く攻めることは1回の攻撃の時間は短いかもしれないが、それを繰り返していけば攻撃的ということになるはず。結局はピッチでどんなことが起きているかということにはなるが、そういう攻撃的や守備的ということをイメージで語られることについてどう思うか?)
「たとえば、相手陣地でボールを奪いたいと思ったら相手が自陣でボールを持っていてくれないと困ります。たとえば、ボールを奪われたら早く取り返したいと言ったら、相手の近くにいたほうがいいわけですよね。囲碁と同じだと思いますが、全部が全部は取れないですし、どこを取るかだと思います。自分が取りたいところが全部うまくいくわけではなくて、相手もいるので相手がやりたいことで変わってくる部分はあると思います。

ただ、そのときに元に帰るところがあって、その上で『でもこういうふうになったね』ということに対して、相手とのかみ合わせで空いてくるところは必ずあります。どこかを取りにいけばどこかが空くので、そこを理解して進めていくところまでいくことがいいんだろうなと思っています。

まだもう少し成長してみんなでチャレンジしていけば、もう少し自分たちが常に前に出続けていく部分が増えてくるとは思いますが、サッカーなので全部はできないと思います。囲碁と同じで、完全に石を取ることはできない、完全に陣地を取ることはできない中で、どこを取りにいくかということを増やしていく、その方向性のようなものを揃えていくということがやっている作業なのかなと思います。答えがシンプルではなかったですね、すみません」

(監督として結果を出すこと、戦術をチームに落とし込むことが大事だと思うが、そのための手法として大槻監督が大事にしていることはなにか?)
「1つは、やっていることの形が適応したりアジャストしていたりすることはあるのかもしれませんが、やり方とかこういうふうな仕事の仕方ということに関しては、しっかりとまっすぐに向かい合ってやっていきたいと思っています。その部分に関しては、質を求めるために人よりもハードワークして、毎日突き動かす作業をやりたいなと思っています」

(メディアの記事は見ているのか?)
「ここでいつもお話させていただいていますが、お互いにフットボールの世界で仕事をさせていただいていて、みなさまがどういう文章を書いているかはすべてをチェックすることはできませんし、分からないですが、同じ時間、同じ時代を共有して仕事をさせていただいて、浦和レッズを媒介にしてたくさんの人にものを伝える、いろいろなことを伝える仕事をされていると思います。非常にリスペクトしています。

もちろん良いニュースを届けていただいて、ファン・サポーターのみなさまに喜んでいただきたいと思っていますが、その中で数字の結果だけではなくて中身に関して非常に興味深いものがあるのがフットボールですし、そういったものにいろいろな方々の判断や感性のようなものが加わるのは当たり前だと思っています。大きなクラブですし、いろいろな人が興味を持ってくれていることは非常にありがたいことで、そこに対して様々な意見があるからこそフットボールの世界だと思いますし、そういったパワーが浦和レッズの大きさや後押しになると思っています。

だから本当にこういった記者会見の場も大事にさせていただきたいと思っていますし、みなさまのお仕事をリスペクトしています。サッカーの世界のために絶対に必要だと思っていますし、そういった思いを持ってお話させていただこうと思っていますが、なかなか話せないこともあるので申し訳ないとも思っています。また引き続きお願いします」

(今シーズンは5人交代や飲水タイムとこれまでになかったことが行われているが、新型コロナウイルスが去っても残るかもしれない。監督はどう考えているか?)
「特に日本の場合は2月、3月にシーズンが始まるので、7月、8月、9月の暑熱下で条件によっては水が飲めたり飲めなかったりということがあります。人数に関しては、(交代が)3人が5人になることはこれまでもなかったことですが、ゲームの質の担保ということで言うと、すごく大事な要素だと僕は思います。走れる選手が最後までいたほうがいいし、そういったところで相手に対応していくことがあるのはいいことだと思います。給水タイムに関しては、10月、11月はほとんど選手との意見交換や意思統一の場になっている部分が大きいと思います。

そういった面ではどちらになるにせよ全体が統一感を持たなければいけませんし、国際的なコンペティションでのルールが元になると思っています。日本だけが違うローカルルールになるべきではないと思っていますが、国際的な基準に合わせて運用されるようになるんだろうなとは思っています」

【浦和レッズオフィシャルメディア(URD:OM)】

「あのときから身が引き締まる思いを持ち続けている」大槻 毅監督(定例会見 11/7)

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