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「経営状況および新たな取り組みについて」立花代表
10日、立花洋一代表がWEB会議を使ったメディア取材対応を行い、現在の浦和レッズの経営状況や今後の施策などについて語った。
【立花洋一代表】
「いつも本当に熱いご協力というかご支援いただいているメディアの方たちに、私の方から浦和レッズの経営状況を中心にお話をさせていただきたいと思います。
4月24日に株主総会をやって、そのあとに、みなさんに昨シーズンの経営状況などを説明させていただきました。その際に、みなさんからのご質問が、『今年はどうなんですか?』ということでした。私の方からは、『年度の計画を見直しています』というお話をさせていただいて、このコロナ禍の影響をどういうふうに取り組むのかまったく見えない中で、この約2ヵ月間、1ヵ月半になりますが、我々のクラブとして、今年度の経営計画の見直しという作業をしてまいりました。
やはり大きなコロナ禍の影響があるというふうなことを申し上げましたし、それは、ここにいるみなさんも当然のことながら浦和レッズというクラブの事業構造から、非常に厳しい状況ではないのか、ということを心配されていたことも踏まえ、今日はお話をさせていただければと思っています。
今、我々がやらなければいけないことは、やはり、まずはコロナ禍によってサッカーというものが普通にある日常を過ごせていないレッズファミリーのみなさま、ホームタウンのみなさま、そういう方たち、あるいは、休校が続いてきた子供たち、そういう方たちに少しでも明るい話題を提供するとか、夢を持っていただくとか、そういったことをやらなければいけない浦和レッズ、そういう認識のもとにこの休止期間の間に、いろいろな活動をしてまいりました。こういったことで、少しでもみなさんの気持ちが、浦和レッズの活動によって明るくなったり、前を向いていただけたということであれば、本当にありがたいことだと思っております。
これから再開が決まって、スタジアムで観戦いただけない試合で始まるとか、あるいは、何千人という中で制限のある試合であったりとか、何十パーセントという形で制限のある試合ということが話としてございますけれども、埼玉スタジアムで、満員のスタンドで、というところがなかなか見通せない、そういう状況、これがやはり私たちの経営としては、非常に課題となっているということでございます。ここの収入面でのインパクトに関しましては、昨年82億という過去最大の収入を得た実績があるんですけれど、今現在では、約20億円の収入減、減収をいうような形が想定されます。また、損益面でも、やはりいろいろなことをやっておりますが、現状では、やはり10億前後の赤字というものが可能性としてあるという、そういう状況です。
前回お話をさせていただいたときに、収入をいかに減らさないかであるとか、費用をいかに削減するかとか、プロジェクトを立ち上げたりとか、発信強化タスクフォースチームを作って、いろいろな露出を増やすような活動をしています。そういうことの成果があっての今の状況でございます。
しかしながら、まだこれから新しい取り組みができる可能性もあり、そういったことをやることによって、収入も増やせる、あるいは支出も削減できるということになっていくと思っています。
ユニフォームを含めたeコマース(EC)に関しては、前回も伸ばせるのはここだ、という話をさせていただきました。ECの受注に関しては、今年の高い計画に対しましても、4月・5月の実績で、40パーセント以上の伸びを示しています。こういったところを確実の伸ばしていくことによって、より良い事業成績を残せる形に持っていきたいと思っています。
費用の削減につきましては、いろいろなことをやりますが、今の危機感をクラブで共有するということの重要性に鑑みまして、私たちの役員報酬の一部をカットであるとか、クラブスタッフの一時金の削減であるとか、そういった身を削るような施策もやりながら、この未曽有の事態を全員で一丸となって乗り越えていきたいということです。そういった状況を、今日の午前中にクラブのメンバー全員でミーティングを開いて共有をし、決意を新たにしたところでございます。
こういった今の状況を乗り越えるためには、日頃からご支援、ご声援をいただいておりますファン・サポーターのみなさま、パートナーの方々や地域のみなさまに、本当にお力添えをお願いできればと思っております。
今日もすでにクラブの方からリリースを出しておりますが、シーズンチケットの払い戻しのこと、あるいは、今度のFC町田ゼルビアとのトレーニングマッチでの、オンラインライブイベントであったり、ギフティングであったり、さらには、これからクラウドファンディングであったり、ECを中心として、ユニフォームをさらに販売する再強化する事等、そういうことを展開していきたいと考えております。
この状況下で再開するにあたって、何度もお話しますが、やはりレッズファミリーが一つになって、勝利の喜びを分かち合いたいと思います。浦和レッズの未来のために、引き続きよろしくお願いします」
【質疑応答】
(最悪10億円の赤字を見込む可能性があると話していたが、これは、最初はスタジアムで観戦できない試合で始まり、7月の半ばくらいから5千人くらいから徐々に入っていくことを見込んだ上での数字なのか?)
「そうです。これは決まった訳ではありませんけれども、我々として想定しているスタジアムで観戦いただけない試合があって、更には、5千人の試合があって、その先に50パーセントの試合があるという想定で、YBCルヴァンカップの試合日程や組み合わせが変わりましたので、通常ですと、我々の試合数は年間23試合から25試合を想定するのですが、今年の場合は、最大で20試合という状況になる中で、実際に50パーセント本当にやれるのかというのもありますけれども、今はそれを想定してやっております。従って、状況が変わって、もちろん良くなって100パーセントになることを願っておりますけれども、そういう意味で言うと、(新型コロナウイルスの)2波、3波という話もあります。そういったこともこれから考えなければいけないという意味で、10億の予想を出していただきました」
(収入の面では、入場収入とパートナー収入が大きな柱となってくると思うが、パートナーの収入の面では、今のところ大きくマイナスになるというか、パートナー側のリアクションはどう受け止めているか?)
「パートナー企業さんにも、いろいろな会社がございます。そういう意味でいうと、数がすごく90社以上になるので、それぞれ担当の営業の者がこういう中でも、いろいろなお話をしながら、なんとか今シーズン、パートナー企業さんからの広告収入が減らないように、いろいろな努力をしています。一番は、試合数がどうなるのかというところが、みなさん興味があって、試合があればDAZNさんですね、露出もありますよねという話だとか、そういうところがありました。現状では、何度もお話しますが、リーグも全試合行われる予定となっていますので、広告収入に関しては、最小限に減少を食い止められると思います。もちろん、我々新しいパートナーとの契約というのも考えての計画でしたので、逆のそこのところが難しい状況にはあります」
(ファン・サポーターの多い浦和レッズということで、入場料が収入どれくらい占めているのか?そして、スタジアムで観戦できない試合の場合、入場料収入や中での飲食を含めた損失で見込んだ額は?)
「まず、先程の前提で試合が行われた場合に、どれだけの入場料収入があるかというところでいうと、前年(2019年)が23億円の実績できたけれども、今の予想では、そこが13億円になりそうだということです。10億円位の減少予想になってます。スタジアムで観戦いただけない試合になったときの、損益、インパクトのところに関して言いますと、要は収入がないわけですから、いかにその試合をコストミニマムで運営するかというところだと思います。そこについては、できるだけコストが掛らないようにやるということなんですけれども、通常ですとやはり1試合やるときに、もちろん試合毎に入場者数が違いますので、そういう意味でいうと、我々は最低でもやはり5千万前後の収益を考えておりますので、スタジアムで観戦いただけない試合ですと、もちろんそれだけ収益がなくなります。我々としては、たくさんのファン・サポーターの方々に入っていただきたいということがございます」
(シーズンチケットの払い戻しという話があるが、順調にいけば、7月10日以降は、来場者を入れて開催できるということだが、初め5千人という数字が出ているが、その5千人を今後どういうふうに決めていくのか?)
「もちろん、今5千人という話が出ているので、そういった場合に、どういう方々を対象にというお話なんですけど、今、検討段階で決まっておりません。但し、まずはシーズンチケットをご購入いただいている方々には、リリースを出して、まずはそれをお返しするという形であるとか、みなさんから温かいお気持ちをいただいていまして、それは戻さなくていいですというお話もあります。そういったところから入っていく中で、シーズンチケットを持っている方を優先するやり方ですとか、あるいは、パートナー企業さんがたくさんいます。そういった方たちも限られている人数ですので、来ていただくとか、いろいろなことを今検討して、みなさんにご納得いただけるような形で最終的には決めたいと思っています」
(試合が再開された後のスタジアムの使用料が通常あると思うが、スタジアムで観戦できない試合の場合、5千人の場合、50パーセントの場合で、例年比べて変化はあるのか?)
「埼玉スタジアムの使用料は規定がございますので、それにのっとってという話になると思います。もちろん、観客がどういう形で入るかというところで、いろいろな使用料に関して、一律ではございません。それに応じて、もちろん平日だとか、休日だとか、ナイトゲームだとか、そういったものを含めて、細かい料金設定になっておりますので、我々は今スタジアムの方とお話をさせていただいております」
(スタジアムで観戦できない試合と上限5千人が設けられる間、浦和駒場スタジアムを使用する選択肢は考えているのか?)
「埼玉スタジアムが、もともとオリンピック・パラリンピックが今年ある予定でしたので、ほとんど使えない状況でした。逆にオリンピックで使うということですので、これが延期になって、ある意味その間のスケジュールが空いて使えるようになったということがあります。我々、もともと埼玉スタジアムが使えないときは、アウェイ遠征をするとか、今お話があったように、浦和駒場スタジアムを使うというような計画をしてシーズンに臨もうとしていましたが、今の時点では、我々が試合をするにあたって、スケジュールを浦和駒場や埼玉スタジアムにおいて、スタジアムで制約を受けることはありません。したがって、我々の方では、どちらを使ってやることがいろいろな意味でいいのかということを検討しております。
今現在は、埼玉スタジアムで統一してやるということです。これは、広告の電飾看板だとか、そういったものを動かしたりすることは、非常に費用や手間が掛かります。なにより、大きなところの方が、ウイルス感染という意味でいうと、3密にならない形の運営ができると思います。そこを優先することがまずは臨まれているのかなと思っています。そういった形で今進めようとしています」
(週末のトレーニングマッチでギフティングのシステムを導入されるが、公式戦再開後にしばらく入れていくことも検討しているのか?)
「もちろん導入を検討する中での、いわゆるテストみたいな形と考えています。それが本当にうまくやれるのかどうなのか、結果的にどうなるのかというところを見ながら、そういう意味合いで考えて今回やることにしました」
(現状でシーズンチケットは何枚売れていて、その中で、今のところ寄付と言っているファン・サポーターはどれくらいいると考えているのか?そして、シーズンチケットによる入場料収入が13億円くらいになるというお話だったが、そのそれが何パーセント占めているのか?)
「シーズンチケットを持っていらっしゃる方は、浦和レッズがJリーグの中で一番多く、今、2万人くらいの方がいらっしゃいます。そういう中で、その方たち一人ひとりがどういうふうにお考えであるかというのは分からないので、何人になりますかとうのは、正直言って分かりません。そういう状況になります。そういうふうに理解をしていただくといいと思います。それで、そこのシーズンチケットで運用されている部分というのは、単純に考えていただくと分かると思いますが、4万人くらいの平均で、2万人になるので、半分くらいがシーズンチケットで来られている方なのかなという本来のイメージを持っていいただければいいと思います」
(シーズンチケットをいかに寄付のような形で残してもらえるかが入場料収入にとって大きい部分になるのか?)
「もちろんそうですが、まずは今まで試合日程が決まらなかったですし、全員がシーズンチケットで入場できるか分からない状況で、各クラブもお返ししますが、具体的にどういう形でお返しするかはアナウンスしていませんでした。今回、スタジアムで観戦いただけない試合になったり入場制限があるということで、シーズンチケットを持っている方が100パーセント観に来られないということになりました。それを踏まえて今回このような形でリリースを出させていただきました」
(先ほど投げ銭システムの話もあったが、今後の収入増加策として具体的にやっていきたいことはあるのか?投げ銭システムも公式戦の放映権はDAZNが持っているが、クラブごとに投げ銭システムを入れてもいいということなのか?)
「まず、Jリーグ自体の検討課題があるので、それについては今回のテストもそういった条件をクリアできる形で実施します。リーグやその他の試合でできるかどうかはこれから詰めなければいけないところです。収入を増やすためには、先ほども申し上げましたが、今日はまだ具体的に細かいところまで決まっていないのでリリースは出していませんが、クラウドファンディングは我々でもいろいろな提供ができるようなシステムですので、それに賛同していただければ収入につながると思っています。あとはECと言いましたが、我々はレッドボルテージというショップもありますし、試合が始まると飲食やグッズのお店がどうなるのかがプロトコル上で気になっていたところですが、今はそういったお店も開けられるような方向に進んでいます。それが具体的に開けられるようになるとグッズの販売をさらに加速させられると思っています」
(厳しい状況は選手も理解していると思うが、立花代表から選手たちにどのような声を掛けたのか?)
「もちろん私どものクラブの社員に今の状況を説明して、なおかつ『みんなで努力してがんばろう』という話をした内容については選手とも共有しています。ご存知のように、選手にもこれまでの休止期間で様々な協力をしてもらっています。私はこの期間、浦和レッズとして新しい取り組みがいろいろできたのではないかと思っています。特に選手の協力には頭が下がる思いです。そういったことは今シーズン引き続きやってほしいという話もしていますし、何よりも私はこの休止期間で浦和の街に寄り添う必要性を強く感じました。それを実現するためにいろいろなことをやってきたつもりです。それと同時に浦和レッズというクラブの存在をもう一度見つめ直す期間になりました。やはりファン・サポーターに支えられている部分がいかに大きいか。入場料収入もそうですし、パートナーのみなさまが協賛してくださるのも、埼玉スタジアムの熱気と言いますか、浦和レッズが他のクラブと差別化されているような価値をパートナーのみなさまも評価して協賛してくださっている。それはやはりファン・サポーターの方たちの熱い応援なんです。そういうことを再認識しましたし、ファン・サポーターの方たちのためにやらないといけないという、事業面というよりも精神面の話を選手たちにはしました」
(スタジアムで観戦いただけない試合になるとスタジアムの外に集まってしまう危険性もあると思うが、その辺りの対策やファン・サポーターへの呼びかけはあるか?)
「浦和レッズとしてスタジアムで観戦いただけない試合とにかく避けたいと思っていました。ファン・サポーターあっての浦和レッズである以上、ファン・サポーターを迎えての試合をしたいとずっと言ってきました。そういう中でJリーグのチェアマンからも『最後の最後のところに来てしまった』という話の中で、再開からしばらくはスタジアムで観戦いただけない試合ということになりました。これがJリーグのクラブの総意であるならば私たちもそれを受け入れるということになりました。当然、ファン・サポーターの方たちともいろんな話をする中で、スタジアムで観戦いただけない試合をするということについては受け入れてもらえているのかなと感じています。今のコロナ禍でたくさんの方がスタジアムに集まってしまうということは禁じられていますので、そういったルールも理解していただいていると思っています」
(NPBとJリーグの対策会議を含めて、次の大きなテーマはお客さんを迎え入れたときのリスクをどう軽減するかに向かっているように思うが、埼玉スタジアムにお客さんを迎え入れる場合、埼玉高速鉄道や国際興業バスなど、これまでのように満員というのは難しくなると思うが、そういう点に関してどう考えているのか?)
「埼玉高速鉄道さんに関しては、リーグが始まるときはいろいろな話をさせていただきましたが、途中で新型コロナウイルスの状況によって状況が変わりました。ファン・サポーターの方々がスタジアムに来る際はそれぞれ時間がずれますが、試合後は一斉に帰りますので、そういう中で密にならないようにするためには、たとえば本数を増やしてくださいという話を申し入れたり、逆に埼玉高速鉄道さんからは『消毒をします』ということや『窓を開けて換気します』など、対策の話をいただいております。したがって、これから実際にゲームが始まる前に、具体的にどうすればより安全な形で運行できるか、そういうことを考えていかないといけないと思っています。プロトコルの中で全クラブ共通の課題ではないかと思います。公共交通機関の安全対策はしっかりやらなければいけない課題だと思っています。バス会社や鉄道会社の方々にお任せするのではなく、連携をしっかり取っていかなければいけないと思っています」
(入場制限がある際に入場できる方々の決め方は検討中だと言っていたが、ファン・サポーターが気になっている部分だと思う。それはいつごろ決まるか見通しはあるのか?)
「入場できる方々の決め方についてはまだ正式にスケジュールは決まっていません。まだ何人入れるのがいつなのかということが決まっていませんが、6月15日(月)には8月までのスケジュールが発表されるかもしれません。具体的なことが出てきたところでできるだけ早く方針を出さなければいけないと思っています」
(収入を増やす一方で支出を減らすことも必要だと思うが、支出の多くを占めるのは人件費だと思う。日本でも北海道コンサドーレ札幌が選手から年俸の一部返納の申し出があり、海外でもいくつかのクラブが年俸の一部削減を協議している。レッズとしてそういう協議をする可能性はあるのか?)
「Jリーグ全体としては何としても我々と同じように固定費に手をつけないようにクラブの事業を存続させたいという気持ちでスタジアムで観戦いただけない試合をしないように導いてくれてきたと思います。それでも政府や自治体の方針でスタジアムで観戦いただけない試合をやらなければいけません。そういう意味では入場料収入が減ることに関してはやむを得ません。我々の役員や社員の費用削減という厳しい判断をしましたが、選手やチームスタッフに関しては今、織り込んでいませんし、具体的に交渉をしているわけではありません」
(一時金の削減や役員報酬の削減は具体的な目安が決まっているのか?)
「そこはまだ提案段階と言いますか、役員報酬のところは一律15パーセントカットというようなことを考えています。一時金については最終的には公表しているわけではないので、具体的な話はまだできない状況です」
(役員報酬の削減はどれくらいの期間になるのか?)
「今シーズンです。シーズンは2月から1月のサイクルなので、来年1月までになります。スタートはこれからです。今は試合が再開する7月からと考えています」
【浦和レッズオフィシャルメディア(URD:OM)】
【立花洋一代表】
「いつも本当に熱いご協力というかご支援いただいているメディアの方たちに、私の方から浦和レッズの経営状況を中心にお話をさせていただきたいと思います。
4月24日に株主総会をやって、そのあとに、みなさんに昨シーズンの経営状況などを説明させていただきました。その際に、みなさんからのご質問が、『今年はどうなんですか?』ということでした。私の方からは、『年度の計画を見直しています』というお話をさせていただいて、このコロナ禍の影響をどういうふうに取り組むのかまったく見えない中で、この約2ヵ月間、1ヵ月半になりますが、我々のクラブとして、今年度の経営計画の見直しという作業をしてまいりました。
やはり大きなコロナ禍の影響があるというふうなことを申し上げましたし、それは、ここにいるみなさんも当然のことながら浦和レッズというクラブの事業構造から、非常に厳しい状況ではないのか、ということを心配されていたことも踏まえ、今日はお話をさせていただければと思っています。
今、我々がやらなければいけないことは、やはり、まずはコロナ禍によってサッカーというものが普通にある日常を過ごせていないレッズファミリーのみなさま、ホームタウンのみなさま、そういう方たち、あるいは、休校が続いてきた子供たち、そういう方たちに少しでも明るい話題を提供するとか、夢を持っていただくとか、そういったことをやらなければいけない浦和レッズ、そういう認識のもとにこの休止期間の間に、いろいろな活動をしてまいりました。こういったことで、少しでもみなさんの気持ちが、浦和レッズの活動によって明るくなったり、前を向いていただけたということであれば、本当にありがたいことだと思っております。
これから再開が決まって、スタジアムで観戦いただけない試合で始まるとか、あるいは、何千人という中で制限のある試合であったりとか、何十パーセントという形で制限のある試合ということが話としてございますけれども、埼玉スタジアムで、満員のスタンドで、というところがなかなか見通せない、そういう状況、これがやはり私たちの経営としては、非常に課題となっているということでございます。ここの収入面でのインパクトに関しましては、昨年82億という過去最大の収入を得た実績があるんですけれど、今現在では、約20億円の収入減、減収をいうような形が想定されます。また、損益面でも、やはりいろいろなことをやっておりますが、現状では、やはり10億前後の赤字というものが可能性としてあるという、そういう状況です。
前回お話をさせていただいたときに、収入をいかに減らさないかであるとか、費用をいかに削減するかとか、プロジェクトを立ち上げたりとか、発信強化タスクフォースチームを作って、いろいろな露出を増やすような活動をしています。そういうことの成果があっての今の状況でございます。
しかしながら、まだこれから新しい取り組みができる可能性もあり、そういったことをやることによって、収入も増やせる、あるいは支出も削減できるということになっていくと思っています。
ユニフォームを含めたeコマース(EC)に関しては、前回も伸ばせるのはここだ、という話をさせていただきました。ECの受注に関しては、今年の高い計画に対しましても、4月・5月の実績で、40パーセント以上の伸びを示しています。こういったところを確実の伸ばしていくことによって、より良い事業成績を残せる形に持っていきたいと思っています。
費用の削減につきましては、いろいろなことをやりますが、今の危機感をクラブで共有するということの重要性に鑑みまして、私たちの役員報酬の一部をカットであるとか、クラブスタッフの一時金の削減であるとか、そういった身を削るような施策もやりながら、この未曽有の事態を全員で一丸となって乗り越えていきたいということです。そういった状況を、今日の午前中にクラブのメンバー全員でミーティングを開いて共有をし、決意を新たにしたところでございます。
こういった今の状況を乗り越えるためには、日頃からご支援、ご声援をいただいておりますファン・サポーターのみなさま、パートナーの方々や地域のみなさまに、本当にお力添えをお願いできればと思っております。
今日もすでにクラブの方からリリースを出しておりますが、シーズンチケットの払い戻しのこと、あるいは、今度のFC町田ゼルビアとのトレーニングマッチでの、オンラインライブイベントであったり、ギフティングであったり、さらには、これからクラウドファンディングであったり、ECを中心として、ユニフォームをさらに販売する再強化する事等、そういうことを展開していきたいと考えております。
この状況下で再開するにあたって、何度もお話しますが、やはりレッズファミリーが一つになって、勝利の喜びを分かち合いたいと思います。浦和レッズの未来のために、引き続きよろしくお願いします」
【質疑応答】
(最悪10億円の赤字を見込む可能性があると話していたが、これは、最初はスタジアムで観戦できない試合で始まり、7月の半ばくらいから5千人くらいから徐々に入っていくことを見込んだ上での数字なのか?)
「そうです。これは決まった訳ではありませんけれども、我々として想定しているスタジアムで観戦いただけない試合があって、更には、5千人の試合があって、その先に50パーセントの試合があるという想定で、YBCルヴァンカップの試合日程や組み合わせが変わりましたので、通常ですと、我々の試合数は年間23試合から25試合を想定するのですが、今年の場合は、最大で20試合という状況になる中で、実際に50パーセント本当にやれるのかというのもありますけれども、今はそれを想定してやっております。従って、状況が変わって、もちろん良くなって100パーセントになることを願っておりますけれども、そういう意味で言うと、(新型コロナウイルスの)2波、3波という話もあります。そういったこともこれから考えなければいけないという意味で、10億の予想を出していただきました」
(収入の面では、入場収入とパートナー収入が大きな柱となってくると思うが、パートナーの収入の面では、今のところ大きくマイナスになるというか、パートナー側のリアクションはどう受け止めているか?)
「パートナー企業さんにも、いろいろな会社がございます。そういう意味でいうと、数がすごく90社以上になるので、それぞれ担当の営業の者がこういう中でも、いろいろなお話をしながら、なんとか今シーズン、パートナー企業さんからの広告収入が減らないように、いろいろな努力をしています。一番は、試合数がどうなるのかというところが、みなさん興味があって、試合があればDAZNさんですね、露出もありますよねという話だとか、そういうところがありました。現状では、何度もお話しますが、リーグも全試合行われる予定となっていますので、広告収入に関しては、最小限に減少を食い止められると思います。もちろん、我々新しいパートナーとの契約というのも考えての計画でしたので、逆のそこのところが難しい状況にはあります」
(ファン・サポーターの多い浦和レッズということで、入場料が収入どれくらい占めているのか?そして、スタジアムで観戦できない試合の場合、入場料収入や中での飲食を含めた損失で見込んだ額は?)
「まず、先程の前提で試合が行われた場合に、どれだけの入場料収入があるかというところでいうと、前年(2019年)が23億円の実績できたけれども、今の予想では、そこが13億円になりそうだということです。10億円位の減少予想になってます。スタジアムで観戦いただけない試合になったときの、損益、インパクトのところに関して言いますと、要は収入がないわけですから、いかにその試合をコストミニマムで運営するかというところだと思います。そこについては、できるだけコストが掛らないようにやるということなんですけれども、通常ですとやはり1試合やるときに、もちろん試合毎に入場者数が違いますので、そういう意味でいうと、我々は最低でもやはり5千万前後の収益を考えておりますので、スタジアムで観戦いただけない試合ですと、もちろんそれだけ収益がなくなります。我々としては、たくさんのファン・サポーターの方々に入っていただきたいということがございます」
(シーズンチケットの払い戻しという話があるが、順調にいけば、7月10日以降は、来場者を入れて開催できるということだが、初め5千人という数字が出ているが、その5千人を今後どういうふうに決めていくのか?)
「もちろん、今5千人という話が出ているので、そういった場合に、どういう方々を対象にというお話なんですけど、今、検討段階で決まっておりません。但し、まずはシーズンチケットをご購入いただいている方々には、リリースを出して、まずはそれをお返しするという形であるとか、みなさんから温かいお気持ちをいただいていまして、それは戻さなくていいですというお話もあります。そういったところから入っていく中で、シーズンチケットを持っている方を優先するやり方ですとか、あるいは、パートナー企業さんがたくさんいます。そういった方たちも限られている人数ですので、来ていただくとか、いろいろなことを今検討して、みなさんにご納得いただけるような形で最終的には決めたいと思っています」
(試合が再開された後のスタジアムの使用料が通常あると思うが、スタジアムで観戦できない試合の場合、5千人の場合、50パーセントの場合で、例年比べて変化はあるのか?)
「埼玉スタジアムの使用料は規定がございますので、それにのっとってという話になると思います。もちろん、観客がどういう形で入るかというところで、いろいろな使用料に関して、一律ではございません。それに応じて、もちろん平日だとか、休日だとか、ナイトゲームだとか、そういったものを含めて、細かい料金設定になっておりますので、我々は今スタジアムの方とお話をさせていただいております」
(スタジアムで観戦できない試合と上限5千人が設けられる間、浦和駒場スタジアムを使用する選択肢は考えているのか?)
「埼玉スタジアムが、もともとオリンピック・パラリンピックが今年ある予定でしたので、ほとんど使えない状況でした。逆にオリンピックで使うということですので、これが延期になって、ある意味その間のスケジュールが空いて使えるようになったということがあります。我々、もともと埼玉スタジアムが使えないときは、アウェイ遠征をするとか、今お話があったように、浦和駒場スタジアムを使うというような計画をしてシーズンに臨もうとしていましたが、今の時点では、我々が試合をするにあたって、スケジュールを浦和駒場や埼玉スタジアムにおいて、スタジアムで制約を受けることはありません。したがって、我々の方では、どちらを使ってやることがいろいろな意味でいいのかということを検討しております。
今現在は、埼玉スタジアムで統一してやるということです。これは、広告の電飾看板だとか、そういったものを動かしたりすることは、非常に費用や手間が掛かります。なにより、大きなところの方が、ウイルス感染という意味でいうと、3密にならない形の運営ができると思います。そこを優先することがまずは臨まれているのかなと思っています。そういった形で今進めようとしています」
(週末のトレーニングマッチでギフティングのシステムを導入されるが、公式戦再開後にしばらく入れていくことも検討しているのか?)
「もちろん導入を検討する中での、いわゆるテストみたいな形と考えています。それが本当にうまくやれるのかどうなのか、結果的にどうなるのかというところを見ながら、そういう意味合いで考えて今回やることにしました」
(現状でシーズンチケットは何枚売れていて、その中で、今のところ寄付と言っているファン・サポーターはどれくらいいると考えているのか?そして、シーズンチケットによる入場料収入が13億円くらいになるというお話だったが、そのそれが何パーセント占めているのか?)
「シーズンチケットを持っていらっしゃる方は、浦和レッズがJリーグの中で一番多く、今、2万人くらいの方がいらっしゃいます。そういう中で、その方たち一人ひとりがどういうふうにお考えであるかというのは分からないので、何人になりますかとうのは、正直言って分かりません。そういう状況になります。そういうふうに理解をしていただくといいと思います。それで、そこのシーズンチケットで運用されている部分というのは、単純に考えていただくと分かると思いますが、4万人くらいの平均で、2万人になるので、半分くらいがシーズンチケットで来られている方なのかなという本来のイメージを持っていいただければいいと思います」
(シーズンチケットをいかに寄付のような形で残してもらえるかが入場料収入にとって大きい部分になるのか?)
「もちろんそうですが、まずは今まで試合日程が決まらなかったですし、全員がシーズンチケットで入場できるか分からない状況で、各クラブもお返ししますが、具体的にどういう形でお返しするかはアナウンスしていませんでした。今回、スタジアムで観戦いただけない試合になったり入場制限があるということで、シーズンチケットを持っている方が100パーセント観に来られないということになりました。それを踏まえて今回このような形でリリースを出させていただきました」
(先ほど投げ銭システムの話もあったが、今後の収入増加策として具体的にやっていきたいことはあるのか?投げ銭システムも公式戦の放映権はDAZNが持っているが、クラブごとに投げ銭システムを入れてもいいということなのか?)
「まず、Jリーグ自体の検討課題があるので、それについては今回のテストもそういった条件をクリアできる形で実施します。リーグやその他の試合でできるかどうかはこれから詰めなければいけないところです。収入を増やすためには、先ほども申し上げましたが、今日はまだ具体的に細かいところまで決まっていないのでリリースは出していませんが、クラウドファンディングは我々でもいろいろな提供ができるようなシステムですので、それに賛同していただければ収入につながると思っています。あとはECと言いましたが、我々はレッドボルテージというショップもありますし、試合が始まると飲食やグッズのお店がどうなるのかがプロトコル上で気になっていたところですが、今はそういったお店も開けられるような方向に進んでいます。それが具体的に開けられるようになるとグッズの販売をさらに加速させられると思っています」
(厳しい状況は選手も理解していると思うが、立花代表から選手たちにどのような声を掛けたのか?)
「もちろん私どものクラブの社員に今の状況を説明して、なおかつ『みんなで努力してがんばろう』という話をした内容については選手とも共有しています。ご存知のように、選手にもこれまでの休止期間で様々な協力をしてもらっています。私はこの期間、浦和レッズとして新しい取り組みがいろいろできたのではないかと思っています。特に選手の協力には頭が下がる思いです。そういったことは今シーズン引き続きやってほしいという話もしていますし、何よりも私はこの休止期間で浦和の街に寄り添う必要性を強く感じました。それを実現するためにいろいろなことをやってきたつもりです。それと同時に浦和レッズというクラブの存在をもう一度見つめ直す期間になりました。やはりファン・サポーターに支えられている部分がいかに大きいか。入場料収入もそうですし、パートナーのみなさまが協賛してくださるのも、埼玉スタジアムの熱気と言いますか、浦和レッズが他のクラブと差別化されているような価値をパートナーのみなさまも評価して協賛してくださっている。それはやはりファン・サポーターの方たちの熱い応援なんです。そういうことを再認識しましたし、ファン・サポーターの方たちのためにやらないといけないという、事業面というよりも精神面の話を選手たちにはしました」
(スタジアムで観戦いただけない試合になるとスタジアムの外に集まってしまう危険性もあると思うが、その辺りの対策やファン・サポーターへの呼びかけはあるか?)
「浦和レッズとしてスタジアムで観戦いただけない試合とにかく避けたいと思っていました。ファン・サポーターあっての浦和レッズである以上、ファン・サポーターを迎えての試合をしたいとずっと言ってきました。そういう中でJリーグのチェアマンからも『最後の最後のところに来てしまった』という話の中で、再開からしばらくはスタジアムで観戦いただけない試合ということになりました。これがJリーグのクラブの総意であるならば私たちもそれを受け入れるということになりました。当然、ファン・サポーターの方たちともいろんな話をする中で、スタジアムで観戦いただけない試合をするということについては受け入れてもらえているのかなと感じています。今のコロナ禍でたくさんの方がスタジアムに集まってしまうということは禁じられていますので、そういったルールも理解していただいていると思っています」
(NPBとJリーグの対策会議を含めて、次の大きなテーマはお客さんを迎え入れたときのリスクをどう軽減するかに向かっているように思うが、埼玉スタジアムにお客さんを迎え入れる場合、埼玉高速鉄道や国際興業バスなど、これまでのように満員というのは難しくなると思うが、そういう点に関してどう考えているのか?)
「埼玉高速鉄道さんに関しては、リーグが始まるときはいろいろな話をさせていただきましたが、途中で新型コロナウイルスの状況によって状況が変わりました。ファン・サポーターの方々がスタジアムに来る際はそれぞれ時間がずれますが、試合後は一斉に帰りますので、そういう中で密にならないようにするためには、たとえば本数を増やしてくださいという話を申し入れたり、逆に埼玉高速鉄道さんからは『消毒をします』ということや『窓を開けて換気します』など、対策の話をいただいております。したがって、これから実際にゲームが始まる前に、具体的にどうすればより安全な形で運行できるか、そういうことを考えていかないといけないと思っています。プロトコルの中で全クラブ共通の課題ではないかと思います。公共交通機関の安全対策はしっかりやらなければいけない課題だと思っています。バス会社や鉄道会社の方々にお任せするのではなく、連携をしっかり取っていかなければいけないと思っています」
(入場制限がある際に入場できる方々の決め方は検討中だと言っていたが、ファン・サポーターが気になっている部分だと思う。それはいつごろ決まるか見通しはあるのか?)
「入場できる方々の決め方についてはまだ正式にスケジュールは決まっていません。まだ何人入れるのがいつなのかということが決まっていませんが、6月15日(月)には8月までのスケジュールが発表されるかもしれません。具体的なことが出てきたところでできるだけ早く方針を出さなければいけないと思っています」
(収入を増やす一方で支出を減らすことも必要だと思うが、支出の多くを占めるのは人件費だと思う。日本でも北海道コンサドーレ札幌が選手から年俸の一部返納の申し出があり、海外でもいくつかのクラブが年俸の一部削減を協議している。レッズとしてそういう協議をする可能性はあるのか?)
「Jリーグ全体としては何としても我々と同じように固定費に手をつけないようにクラブの事業を存続させたいという気持ちでスタジアムで観戦いただけない試合をしないように導いてくれてきたと思います。それでも政府や自治体の方針でスタジアムで観戦いただけない試合をやらなければいけません。そういう意味では入場料収入が減ることに関してはやむを得ません。我々の役員や社員の費用削減という厳しい判断をしましたが、選手やチームスタッフに関しては今、織り込んでいませんし、具体的に交渉をしているわけではありません」
(一時金の削減や役員報酬の削減は具体的な目安が決まっているのか?)
「そこはまだ提案段階と言いますか、役員報酬のところは一律15パーセントカットというようなことを考えています。一時金については最終的には公表しているわけではないので、具体的な話はまだできない状況です」
(役員報酬の削減はどれくらいの期間になるのか?)
「今シーズンです。シーズンは2月から1月のサイクルなので、来年1月までになります。スタートはこれからです。今は試合が再開する7月からと考えています」
【浦和レッズオフィシャルメディア(URD:OM)】