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PICK UP PLAYER|サミュエル グスタフソン

来日したばかりのころを思い出す。スウェーデン代表歴を持つ実力者のサミュエル グスタフソンは『アダプト(適応)』という言葉をよく使っていた。

「日本のサッカーは攻守の切り替えがとても速く、ハイテンポでゲームが進む。謙虚な気持ちを持って、理解しないといけない」

あれから3年。いまも初心を忘れていない。今夏から曺 貴裁監督となり、チームのサッカースタイルは変化したが、プロフットボーラーとしての責務は変わらない。顔色ひとつ変えずにはっきりと口にする。

「サッカーは集団スポーツです。チームの戦術にアダプトしながら、選手それぞれが能力をうまく発揮しないといけない。それがベストな形だと思っています」

10月7日、天皇杯3回戦のRB大宮アルディージャ戦では先発出場し、持ち味を存分に発揮した。自陣からテンポよくパスを散らし、ゲームをコントロール。要所では相手最終ラインの裏を突き、チャンスを創出した。得点、アシストの記録はついていないが、勝利に大きく貢献した一人と言ってもいい。自身のフィーリングも良かった。

「RB大宮戦で私のプレーを見てもらったと思います。いまのサッカースタイルのなかでも、持ち味を発揮できます」

真骨頂のワンタッチパスは、縦に速いサッカーとも相性がいい。大事なのは、技術力よりも判断の早さ。瞬時にジャッジするのではなく、先読みがポイントだという。明確なプレービジョンを持ち、ピッチ全体を俯瞰(ふかん)しているのだ。常に二手先、三手先を読んでいる。もちろん、独りよがりでは成り立たない。

「出し手側だけが頭で絵を描いても、パスは届きません。受け手側とイメージを共有しないといけない」

イタリアで過ごした20代前半のキャリアが大きな糧になっている。10番のポジションから『レジスタ』と呼ばれたアンカーのポジションに移り、生き抜く術を考え抜いた。伝統的に守備に重きが置かれる国のリーグである。当然、攻撃の核となるパサーへのマークは厳しかった。当時はいまより線が細く、体でブロックすることなどできなかった。そして、行き着いた末の答えが判断のスピードを上げること。約5シーズンにわたり、カルチョの国でもまれてきた経験は、いまなお生きている。もはや、スタイルの違いに戸惑うこともない。

ただ、0-3で敗れたFC東京戦はもどかしさも募った。後半途中から出場したが、足元でほとんどパスをもらえず、ゲームを組み立てる司令塔としては、やり切れない。

「2点、3点を追う状況であれば、もっとボールを持って攻撃をつくらないといけなかった」

反省点を胸に留め、気持ちを切り替えていた。中3日でYBCルヴァンカップ3回戦の横浜FC戦を迎える。すでに胸は高ぶっている。

「次のラウンドに必ず進みたいと思っている。チームから求められる役割をこなし、自分の持っている力をすべて出すつもりです」

攻撃面ばかりがクローズアップされるものの、球際で激しく体をぶつけることもいとわない。時と場合により、スライディングタックルでもボールに食らいつくが、体を投げ出すのは最後の手段。かわされた瞬間に数的不利に陥るからだ。ベストはその一歩手前で止めてしまうこと。ただ、勘違いはしてほしくない。以前、グスタフソン本人がこう口にしていた。

「私は闘うことが嫌いではありません。もしかすると、そういう激しい守備が好きではないと思っている人もいるかもしれませんね。でも、それは違う。私はどのようなサッカースタイルでも順応するように努力します」

浦和のレジスタが求めているのはチームの勝利のみ。相手を打ち負かすために戦術があり、それに適応して能力を発揮するのが選手の役割。頭脳明晰な31歳の頭の中は、きっちり整理されている。ピッチに立てば、仕事は確実にこなし、チームの成長速度も加速させるつもりだ。 

(取材・文/杉園昌之)

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