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PICK UP PLAYER|福井光輝

レッズのゴールが決まれば、ベンチから一番に飛び出していく。ビブス姿で派手に喜ぶ姿は、見慣れた光景になりつつある。張本人のGK福井光輝に水を向けられると、ふと口元を緩める。

「あれは僕が好きでやっているんです。素直にめちゃくちゃうれしくて」

純粋な気持ちが一番。ただ、ベンチに座ることが多い選手の思いもあるようだ。

「いざ僕が試合に出たときにも、チームメートに応援してもらいたいので。後押ししてほしいし、力を貸してほしい。僕らは仲間なんで」

経験豊富な西川周作の高い壁に阻まれ、今季のJ1リーグ出場はファジアーノ岡山戦の1試合のみ。絶対的な守護神は超えたくても、簡単には超えられない。福井がゴールマウスに入るのは、主にYBCルヴァンカップ、天皇杯。もちろん、カップ戦の出場機会が約束されているわけではない。新井栄聡もいれば、西川がそのままメンバーに入る可能性もある。難しい立場ではあるが、備えだけは怠らない。

「試合に出るために毎日を過ごしています。後悔のない準備をして、臨みたい」

日ごろの練習から守備陣とは細かい点まですり合わせている。特にセンターバックとは頻繁に言葉をかわし、ポジショニングなどを綿密にチェックする。浦和には、浦和の守り方があるのだ。昨季まで在籍していたセレッソ大阪ともまた違う。DFの立ち位置が少し変わるだけで視野は変わってくる。初めて経験することも少なくないという。

「試合中にチームメートへ指示し、すぐにうまくいけばいいですけど、なかなか難しい。やっぱり、練習からなんです。シュートブロックもこっちの方向から行ってほしいなど、前もって確認しておかないと」

GKはコミュニケーションが命。チームに加入してはや3ヵ月が過ぎた。少しずつレッズにも順応している。天皇杯2回戦の山梨学院大学戦に続き、YBCルヴァンカップ3回戦の横浜FC戦でも先発出場して無失点勝利に貢献。4-0の大勝だったものの、ピンチがなかったわけではない。3点リードで迎えた55分には相手の鋭いミドルシュートを左手1本で弾き出した。さらに目を引いたのは68分のシーンだ。ペナルティーエリア内で至近距離からゴールを狙われたが、足でビッグセーブ。コーチングで目の前の長沼洋一を動かし、連係で防いだものだった。

「(長沼に)前に出てもらったことで、視界が開けました。だから、あの反応ができたのかなって。ディフェンダーが体に当ててくれれば、それはそれでOKでした」

その横浜FC戦以降は出場機会に恵まれていないが、虎視眈々とチャンスをうかがっている。J1リーグのV・ファーレン長崎戦から中2日で迎える、YBCルヴァンカップ4回戦の名古屋グランパス戦。たとえ、メンバーがローテーションしても、いつもと変わらないメンタルで臨むつもりだ。

「僕自身、タイトルを目指して闘っていますし、フィールドプレーヤーのプラス1として何ができるのかを考えています。キーパーは『普通』が一番。もしもピッチに立てば、チームの勝利のためにプレーしたいです」

大学生のころから目標にしてきた西川は、まさにお手本。責任あるエンブレムを胸につけ、2014年から浦和のゴールマウスを守り続けている。チームの浮き沈みがあっても、動じない。変わらない日常を過ごし、日々の練習に打ち込む。そして、試合になれば堂々とした立ち振舞いを見せるのだ。同じGKチームで練習をこなし、ベンチから試合を眺めていると、あらためて尊敬の念を抱く。

「GKは失点するポジションですが、周作さんは毎日、変わらない。ずっとひたむきに取り組んでいます。あの一喜一憂しないメンタルは学ぶべきところ。浦和の歴史を築いてきたキーパーですから。そういう選手を超えてこそ、ここに来た意味があると思っています。僕も負けていない部分はあるので、試合の中で見せていきたいです」

ゴールマウスに入れば、派手なことをするつもりはない。ポリシーは“普通が一番”。さりげなく3度目のクリーンシートを目指す。

(取材・文/杉園昌之)

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