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PICK UP PLAYER|安居海渡

ペナルティーエリア外でボールを奪取すると、勢いそのまま低い弾道のミドルシュートをゴールネットへ。敵地のゴール裏は静まり返り、アウェイ席を赤で染めるファン・サポーターの大歓声が沸き上がった。インパクトのある一発は、安居海渡の持ち味が凝縮されたワンプレーだった。あれから15ヵ月――。

「ミドルもそろそろ、決めたいですね」

しみじみ話す言葉には実感がこもる。得点の形にこだわっているわけではない。求めているのは、目に見える結果だ。J1百年構想リーグで決めた2得点では、物足りない。2026/27シーズンの開幕前に掲げた個人の目標は『2桁』。ゴールとアシストを合わせ、「10」以上の数字を残すことである。今季は4-3-3のインサイドハーフで主に起用され、従来のボランチより1列目前でプレー。ゴールへの意識はさらに高まっている。いくつものバリエーションをイメージする。ミドルシュートだけではない。フリーランで相手最終ラインの背後に飛び出すパターンもあれば、クロスに飛び込む形もある。

「得点に直結するプレーを増やしていきたいです」

そして、ようやく数字を一つ残せた。9月29日YBCルヴァンカップ 1stラウンド 2回戦のカターレ富山戦で待望の今季初アシストをマーク。得点シーンは鮮明に覚えている。敵陣中央で一人かわし、顔を上げた瞬間に走り出すFWが視野に入った。ゴール前には相手が密集し、狭いスペースしかない。それでも、迷わなかった。針の穴を通すようなスルーパスで、肥田野蓮治の決勝点を演出する。

「蓮治の前に(オナイウ)阿道君もいたので、そっちに出そうと思いましたが、『通せるかな』と思いました。パスコースは狭かったのですが、蹴り込んだ感じです」

終盤の時間帯はフォーメーションの形が変わり、ダブルボランチだったこともあるが、いままで以上に視野が広がっている。富山戦では良い感触を得た。
「あのプレーを一つ前でできれば、なおいい。まだ自分の伸ばせるところはあります。ゴール、アシストも数字を増やしていきたい」

フォーカスしているのは攻撃だけではない。アンカーとバランスを取りながら、後ろのスペースをケアするのも仕事の一つ。試合を重ねるごとに守備のコンビネーションは向上している。昨季以上に球際のバトルでは、得意のボール奪取力も存分に生きる。相手がヘッドダウンした瞬間に間合いを詰めるタイミングは絶妙。同じポジションでプレーする後輩の植木 颯も参考にしている部分だ。
野心あふれる26歳は長所を生かすだけではなく、新たな課題にも取り組んでいる。日本代表の9・10月シリーズをチェックしながら、あらためて刺激を受けた。同じボランチの佐野海舟のプレーには、どうしても目がいくようだ。

「年下の選手ですが、見習うべき点はあります。守備に関しては、インターセプトの数が多い。でも、僕は彼と同じではダメなんです。あそこを超えていかないと、代表には入れない。いまの代表チームを見ていると、点が取れるボランチは少ないのかなって」

得点に絡んでいく潜在能力は持っている。海外組のタレントにも負けているつもりはない。一人のサッカー選手として、代表はいまも目指すべき場所だ。横浜F・マリノスの谷村海那が28歳で初選出されたこともあり、希望が持てたという。

「自分の年齢(26歳)を考えると、まだまだチャンスはある。代表の試合を見ていても、『自分があのピッチに入ってもやれるだろうな』という自信はあります。そのためにも結果を残さないといけない」

代表ウィークの中断明けとなるリーグの相手は5位のFC東京。昨年7月は味の素スタジアムで逆転負けを喫した苦い記憶もあるが、安居らしいミドルシュートを叩き込んでいる。きっかけはつかんだ。10月10日は、15ヵ月ぶりの一発で勝利に導く。

(取材・文/杉園昌之)

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