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PICK UP PLAYER|渡邊凌磨
渡邊凌磨は、頬を膨らませるほどに大きく息を吐いたあと、チームメートにこう伝えた。
「この2試合、ボールを奪われたあとの切り替えがめっちゃいいから。それをちゃんと続けないと俺らの試合はできないから。それだけ忘れずにいこう。立ち上がりにいい攻撃ができれば絶対に勝てるからこの試合。しっかり声を出しながらチームとして闘おう」
2月21日に行われた明治安田J1百年構想リーグ 地域リーグラウンド 第3節 横浜F・マリノス戦の試合前のことである。
試合は立ち上がりこそ渡邊の期待に反して耐える時間が長かったが、走行距離、スプリント数とも相手を上回り、2-0で勝利。昨季は苦手としていたアウェイ3試合を2勝1分(1PK戦負け)とし、勝ち点7を積み上げた。
今季からキャプテンを務める渡邊だが、スタンスは変えないようにしている。今までキャプテンを務めた経験がないうえ、あくまで自覚として「今までキャプテンを務めてきた選手と比べると、選手としてもパーソナリティーとしても劣っていると感じる」から。キャプテンでなかったこれまでも責任や覚悟を持ってプレーしていたという思いもあるだろう。
それでも、今季の渡邊のプレーを見ていると、責任や覚悟がさらに増していると感じざるを得ない。
開幕3試合で放ったシュート総数が7本でチームトップであるのに加え、総走行距離は38.3キロメートル。この数値はチーム内どころかリーグ最長を誇る。
横浜FM戦の走行距離に至っては13キロメートルを超えた。両チームで2番目に多かった横浜FMの山根陸が11.832キロメートルと渡邊よりも1キロメートル以上少なかったことが、その数字の凄さを物語る。
「ボールを奪われてからのトランジションや相手のカウンターより早く自分たちが戻ることなど、基礎的な部分が強度高くできているのも一つの要因だと思います」
開幕3試合でまずまずの成績を得た理由についてそう話したが、トランジションや強度においてもチームをけん引しているのが渡邊である。
また、プレー以外での言動にも変化が感じられる。
横浜FM戦のあとには、勝ったにもかかわらず厳しい表情を見せながら、安居海渡や二田理央と身振り手振りを交えて確認作業を行う姿があった。開幕戦となった千葉戦の時点で「チームのことがすごく見えてくるようになったのは事実」と話していたが、メディアの前では個人よりもチームについて話す方が圧倒的に多い。
それも本人からすれば意識的に変えたわけではないのかもしれない。ただ、キャプテンにふさわしい振る舞いなのは間違いないのである。
そんな渡邊にもわからないことがある。なぜ昨年苦手としていたアウェイで結果を出せているのか。それよりも、昨年アウェイで勝てなかった理由と言った方がいいのかもしれない。
「昨年アウェイで敗戦が多かったとか、ホームで勝てていた要因が自分の中では見つからないし、必ずしもホームだから勝てていたというわけではないとは思うし、そもそも安定したサッカーができていないから、たまたまアウェイで負けていた可能性もある」
それでも、この3試合で自分の力を尽くして結果を得たことにより、おぼろげながら勝つために必要なものは見えてきている。
「ホームだから強度を出せるのは少なからずあるし、今年は強度で3試合勝っていると思うから、もしかしたらそういうところが大事なのかもしれないですね」
次はいよいよ今季初、渡邊にとってはキャプテンとして初めて闘うホームゲームだ。相手は鹿島アントラーズ。渡邊にとって、浦和レッズ加入後まだ一度も勝利できていないチームである。
今から5ヵ月前、9月20日の鹿島戦後、埼玉スタジアムの取材エリアで渡邊は落胆しながら次のように話していた。
「全てにおいて今の僕らの弱さが象徴されたような試合だったと思います」
ならば、今度は今の自分たちの強さが象徴された試合にしたい。
「なかなか勝ち切れなかった相手なので、ここで勝ったら違う景色が見えてくると思う」
鹿島を破り、違う景色が見えるのならば、その先には悲願の場所がある。
2024年にレッズに加入した渡邊は、昨年FIFAワールドカップには出場したものの、他クラブ在籍時も含めてAFCチャンピオンズリーグ(ACL)を経験していない。だからこそ、のちにFIFAクラブワールドカップに再挑戦するのはもちろん、百年構想リーグ開幕前から優勝してACL出場権を得ることを強く望んでいた。
その思いは、千葉戦でファン・サポーターが送ったメッセージやチャントでさらに強くなった。
「選手も本当にそれしか狙ってないし、僕らは本気でそこに取り組んでいる。ああいう形でファン・サポーターの方が後押しをしてくれるのは、ものすごい力を借りられているので、しっかりと結果で恩返ししたいです」
2月28日の鹿島戦。ファン・サポーターの圧倒的な声援を受けながら、勝利のために声を出し、走り、闘う渡邊の姿が埼玉スタジアムで見られるはずだ。
(取材・文/菊地正典)
「この2試合、ボールを奪われたあとの切り替えがめっちゃいいから。それをちゃんと続けないと俺らの試合はできないから。それだけ忘れずにいこう。立ち上がりにいい攻撃ができれば絶対に勝てるからこの試合。しっかり声を出しながらチームとして闘おう」
2月21日に行われた明治安田J1百年構想リーグ 地域リーグラウンド 第3節 横浜F・マリノス戦の試合前のことである。
試合は立ち上がりこそ渡邊の期待に反して耐える時間が長かったが、走行距離、スプリント数とも相手を上回り、2-0で勝利。昨季は苦手としていたアウェイ3試合を2勝1分(1PK戦負け)とし、勝ち点7を積み上げた。
今季からキャプテンを務める渡邊だが、スタンスは変えないようにしている。今までキャプテンを務めた経験がないうえ、あくまで自覚として「今までキャプテンを務めてきた選手と比べると、選手としてもパーソナリティーとしても劣っていると感じる」から。キャプテンでなかったこれまでも責任や覚悟を持ってプレーしていたという思いもあるだろう。
それでも、今季の渡邊のプレーを見ていると、責任や覚悟がさらに増していると感じざるを得ない。
開幕3試合で放ったシュート総数が7本でチームトップであるのに加え、総走行距離は38.3キロメートル。この数値はチーム内どころかリーグ最長を誇る。
横浜FM戦の走行距離に至っては13キロメートルを超えた。両チームで2番目に多かった横浜FMの山根陸が11.832キロメートルと渡邊よりも1キロメートル以上少なかったことが、その数字の凄さを物語る。
「ボールを奪われてからのトランジションや相手のカウンターより早く自分たちが戻ることなど、基礎的な部分が強度高くできているのも一つの要因だと思います」
開幕3試合でまずまずの成績を得た理由についてそう話したが、トランジションや強度においてもチームをけん引しているのが渡邊である。
また、プレー以外での言動にも変化が感じられる。
横浜FM戦のあとには、勝ったにもかかわらず厳しい表情を見せながら、安居海渡や二田理央と身振り手振りを交えて確認作業を行う姿があった。開幕戦となった千葉戦の時点で「チームのことがすごく見えてくるようになったのは事実」と話していたが、メディアの前では個人よりもチームについて話す方が圧倒的に多い。
それも本人からすれば意識的に変えたわけではないのかもしれない。ただ、キャプテンにふさわしい振る舞いなのは間違いないのである。
そんな渡邊にもわからないことがある。なぜ昨年苦手としていたアウェイで結果を出せているのか。それよりも、昨年アウェイで勝てなかった理由と言った方がいいのかもしれない。
「昨年アウェイで敗戦が多かったとか、ホームで勝てていた要因が自分の中では見つからないし、必ずしもホームだから勝てていたというわけではないとは思うし、そもそも安定したサッカーができていないから、たまたまアウェイで負けていた可能性もある」
それでも、この3試合で自分の力を尽くして結果を得たことにより、おぼろげながら勝つために必要なものは見えてきている。
「ホームだから強度を出せるのは少なからずあるし、今年は強度で3試合勝っていると思うから、もしかしたらそういうところが大事なのかもしれないですね」
次はいよいよ今季初、渡邊にとってはキャプテンとして初めて闘うホームゲームだ。相手は鹿島アントラーズ。渡邊にとって、浦和レッズ加入後まだ一度も勝利できていないチームである。
今から5ヵ月前、9月20日の鹿島戦後、埼玉スタジアムの取材エリアで渡邊は落胆しながら次のように話していた。
「全てにおいて今の僕らの弱さが象徴されたような試合だったと思います」
ならば、今度は今の自分たちの強さが象徴された試合にしたい。
「なかなか勝ち切れなかった相手なので、ここで勝ったら違う景色が見えてくると思う」
鹿島を破り、違う景色が見えるのならば、その先には悲願の場所がある。
2024年にレッズに加入した渡邊は、昨年FIFAワールドカップには出場したものの、他クラブ在籍時も含めてAFCチャンピオンズリーグ(ACL)を経験していない。だからこそ、のちにFIFAクラブワールドカップに再挑戦するのはもちろん、百年構想リーグ開幕前から優勝してACL出場権を得ることを強く望んでいた。
その思いは、千葉戦でファン・サポーターが送ったメッセージやチャントでさらに強くなった。
「選手も本当にそれしか狙ってないし、僕らは本気でそこに取り組んでいる。ああいう形でファン・サポーターの方が後押しをしてくれるのは、ものすごい力を借りられているので、しっかりと結果で恩返ししたいです」
2月28日の鹿島戦。ファン・サポーターの圧倒的な声援を受けながら、勝利のために声を出し、走り、闘う渡邊の姿が埼玉スタジアムで見られるはずだ。
(取材・文/菊地正典)
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