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「誰かの力を借りるのではなくて、我々スタッフと選手たちが協力して乗り越えていくだけ」曺 貴裁監督(定例会見8/21)

21日、曺 貴裁監督の記者会見が対面形式で実施され、23日(日)にMUFGスタジアムで行われる明治安田J1リーグ 第3節 FC町田ゼルビア戦に向けての意気込みなどを語った。

(力の差を見せつけられたサンフレッチェ広島戦だったと思うが、そこからメンタル面や修正の面でフォーカスしてきたことは?)
「試合が始まる前に、当然その力の差があるから、自分たちがその力の差を感じて、それに見合ったやり方がやろうということがいいことだと全く思いませんでした。むしろ僕も差は感じましたが、それは今後、自分たちがこういう試合になったときの対処をもっと詰めていかなければいけないというサインだと思います。それはトレーニングやトレーニングマッチの中で自分たちが本当に気づけたのが一番良かったと思いますが、監督も替わって間もないということはまったく言い訳にはなりませんが、広島さんの熟練したものに自分たちのやろうとしたことが、言葉で言うとずらされたというか、矢印を折られた試合になったのは間違いありません。

ただ、ガンバ(大阪)戦と比べてラインを下げたわけでも、コンパクトフィールドを築かなかったわけでも、ボールを奪った後にルートを決めていなかったわけでもなくて、広島さんの対策、浦和レッズが今年取り組むものに対する温度は、広島のバルトシュ ガウル監督も後で言われていましたが、広島の選手たちも僕が長いこと率いていたチームのやり方をなんとなく理解はしていたと思うので、開幕戦を見た中で、その練度に対して、絶対に良さを出させないという蓋をする温度が間違いなく浦和レッズを上回っていたと思います。

我々はチャレンジャーとしてどの試合も、という気持ちで、言葉だけ一人歩きするのではなく、いい意味でこのサッカーをもっと堅固なものにしていくんだという意志で臨んだことは間違いないですが、そのことによって自分たちのサッカーにおける構造の弱点みたいなのを引き出されてしまいました。それはシステムやそのかみ合わせの問題ももちろんあります。ただ、その前に広島さんの隊形に対して自分たちが本当にコンパクトフィールドを作って相手に襲いかかれたのかというと、いろいろな要素もありますが、その温度は開幕のG大阪戦より高められた試合ではありませんでした。それは監督として非常に反省すべきところですし、選手にもオフ明けミーティングで、自分たちが進むべき道や、この試合における自分たちの課題というのを話しました。

当たり前ですが、開幕戦の期待を持って来ていただいたファン・サポーターはブーイングすることは当たり前だと思いますし、そういう試合になったということをシーズンの始めに自分たちが味わったということで、ああいう現象にならないように、もしくはなってきたときにどう跳ね返すかってことをチームの枝葉ではなくて本質にしていかなければいけないと思います。戦術の詳しいことは差し控えますが、選手にとっても僕たちにとっても、という言い方が正しいのか、改めて新しくチームを作る中での当たり前にあるハードル。そういうものに間違いなく正面からぶつかっているなという感覚はあるので、それを誰かの力を借りるのではなくて、我々スタッフと選手たちが協力して乗り越えていくだけだと思います」

(次の対戦相手の町田も、広島とはまた違う形で完成度が高い。そこもまた新たなハードルだと思うが、どんなことが勝負を分けるポイントだと考えているのか?)
「町田さんと広島さんは、プレーシステムは似ていますが、ストロングになるポイントは少し違っていると思っています。広島さんもそうですが、シーズンを重ねるごとに選手も少しずつ替わって、毎年同じ選手たちがやっているように見えますが、パーツの部分は変わっています。

僕たちも町田さんと初めて戦う試合なのでやってみないと分からないというのはありますが、広島戦で自分たちが経験したものを、解消するだけではなくて、そういう現象になったときも自信を持って自分たちがボールを動かして相手コートに入っていく。そういう練度は間違いなく広島戦から一歩進まなければいけないし、ボールを奪うという作業も彼らが自分たちのそういうものを嫌がってやることに対して、じゃあどういうふうに蓋していくのかとか、どうしていくのかということを改めて、広島戦で味わった体験値が高いうちに、『鉄は熱いうちに打て』ではないですが、自分たちが表現できる場があると思っています。負けはしましたが、G大阪戦の退場する前の20分の内容、完全に自分たちの矢印を折られた2戦目の内容からいい意味でハイブリッドしたものを次の試合で見せなければいけません。

国立競技場(MUFGスタジアム)で試合をするのも僕が監督になって数試合もないですが、お互いのファン・サポーターが来られると予想される中での日曜日唯一のJ1リーグの試合ですし、みなさんの記憶に残るような試合にしていきたいと思います」

(目指すものがあり、山をどの方向から登るかみたいな話だが、プレッシングにある程度出ていくという題目があったとして、後ろがしっかり固まっているから出ていけるという考え方もあれば、まずは前に出ていくんだという意識を植えつけるとこからスタートするとか、いろいろな考え方があると思う。結果と付き合いながら、その過程において起こりやすいエラーをどうやって減らしていきたいのか?)
「答えが難しいですが結論として、優勝するとか昇格するとか、例えば勝っていく結果を残せるチームは、自分たちが信じたものをやり続けて結果が出るのではなくて、その折り合いがありますが、逆に言えば、自分たちのウィークのことを抑えながらその色は消さずに最後まで貫いていくというチームが勝ち点を積み重ねていくと思っています。

FCバルセロナは昨季優勝しましたが、その裏でかなりピンチの数がありました。でも、それを戻って防いだり、その分、得点を取ったりするから成立していた事実もあり、だからと言って、そういうものがあるということを許容しているわけじゃないですよ。でも、当たり前ですが、自分たちが今やろうとしている中で、この場面は縦に行く、この場面は横から入るということを監督、コーチが選手全員の判断を決めるわけにいかないので、それは普段のトレーニングやトレーニングマッチやゲームを重ねられている中で練度を高めていくしかない。でも、その練度を高めるための基本的な要素はトレーニングキャンプからずっと伝えていて、この前の試合の後も話をしています。

今の質問の答えになっているか分からないですが、何かをやろうとすれば何かのデメリットという言い方がいいか分かりませんが、戦術に弱みはあるし、それはどこのチームでも同じだと思うんです。だから、それを出させないようにするために、自分たちが日々向き合っている選手たちと細かいこともそうですし、取った後、取られた後のシチュエーション、最初に準備しておく練度もそうですし、そういうものを高めていくしかないと思います。

ただ、これからコンパクトにしないとか、取ったボールはゆっくりやりましょうとか、ボールを取りに行くのをやめましょうと言ってしまうと、それは練度を高めているわけではありません。新しいもので練度が高まるだけなので、それは違うと思っています。それはもちろん折り合いはつけていかなければいけないですが、そもそも大事なのはどこなのかということは選手たちには伝え続けたいし、そういう負けをしたからその練度を高めずに別の角度で行ってしまったら選手が一番困ると思っています。もちろん結果やその他のことは、監督として考えなければいけませんが、そういうことをやって勝って、みなさんに『練度が高まったよね』と言ってもらわなければいけないと思っています」

(町田は広島と違う部分もあるけど、形が3バックで似ているので起こりやすい現象に似たところがあると思う。誰がどこに行くかというところでずれやすい、ずれにくいという算数に近い話になるが、そういう部分は広島戦を経験したことで伝えやすかったり確認しやすかったりするのか?)
「数はフィールドになると一緒ですが、広島さんと町田さんがやろうとすることは同じではないです。彼らのボール持ったときの配置や彼らがボールを持たれたときの配置は、システム上は同じですが、僕はまったくそれが同じだとは思っていないので、対町田さん用にやらなければいけないこともあります。ただ、前の年のことは分かりませんので、広島戦やG大阪戦やトレーニングキャンプの中で自分たちが順を追っていた中で、直近の広島戦の印象が新しいですが、その前には試合もトレーニングもやってきたわけで、そういうものを総合して町田戦に臨まなければいけないと思います。広島戦と同じだと思って相手に臨むと、選手がそういう印象を持ってしまう可能性も高いので、同じシステムだから広島戦で起きた現象が町田戦ではないように、と言葉では簡単ですが、監督としては同じとは思っていません」

(この後は連戦になるので今のうちに聞いておきたいが、町田戦の後には天皇杯も始まる。トーナメント戦だから最後まで勝って優勝したいという思いで全チームがスタートするのは当然として、シーズンを戦う上で選手層を作っていく、チームを底上げしていくということでも上手く活用するべきものである大会でもあると思う。そういうことも含めて総合的にどのように戦っていきたいか?)
「目の前の試合がリーグなんで、天皇杯をどう戦うというのを今言うべきなのか難しいですが、当然ながら公式戦なので目の前の試合に勝って、選手がまた一つ成長する機会につなげていくというのはチームとしても大事なことです。誰が出るか、誰を選ぶかというのを今の段階で考えているわけではないですが、浦和レッズの直近の歴史、天皇杯で優勝してACL(AFCチャンピオンズリーグ)に行った、そこで結果が出せたというところで言うと、すごく大事な大会だと思っていますので、大事に戦いたいと思っています」

(町田に限らないが、ロングスローやセットプレーに強みがある相手に対して気をつけるべきことは?)
「スローインやゴールキックに関してはルールが変わったので、どのチームも上がってくる選手を待ってタオルで拭いて投げるということがなかなか難しいシチュエーションになっています。言葉で言うと、分析を重ねながらも早いタイミングで投げられることが予想されるので、これまでのシーズンよりもそういう対処や準備の仕方は必要だと思います。

逆に言うと、Jリーグが始まって、ゴールキックやスローインになってからすぐカウントされるわけではなく、常識の範囲内で始まっているような気がします。2試合を戦い、他の試合も見て、レフェリーの方が指を上げて『5、4』とやっているシチュエーションもそんなに多くないと感じます。なので、大体こんな感じだという塩梅を選手たちも分かってくるころだと思います。そんなに長い感覚で投げられないからこそ、外に出たらクイックな準備は必要ですし、これまでより早く長いボールも入ってくるよという対処の仕方、メンタル的なことも含めて、それは26/27シーズンバージョンで大事なことだと思います」


(町田や広島のように、矢印を強く向けてくるような相手に対してはどういう対策が最もいいと考えているのか?強度を強度で折るような形が最もいいのか?)
「これを言うと町田戦の前にすべて町田さんにお知らせするみたいな感じになりますが、僕が強度や戦いで負けてはいけないというのは精神論ではないです。強度や戦いに負けてはいけないというのは、噛み合わせがどうであれ、予測してファウルなしで相手より先にボールに触るというのは、選手として持っていなければいけないし、持っていた方が絶対にいいものです。それを避けて、こういう相手だからそうならないようにしようというのは一つのやり方としては尊重しますが、僕は勝利を得るために、チームが良くなっていくために、そういうことがベターになっていくと思う方ではありません。

ただ、球際に勝つ、相手より走る、声を出す、先に予測するというまったく精神論ではなくて、それはサッカーの戦術上、最も大事なことで、それが精神論で語られているうちはまだまだ選手の中に浸透してないし、そういうチームではいけないと思っています。それはすべて、自分たちが練度を高めた中で選手が自然に『このタイミングにここは潰さなければいけない』というのは、周りの練度があってその温度が上がるものです。それは浦和レッズがどうかというのは置いておいて、1人が球際で勝とうと思うチームは間違いなく上には行けないと思いますし、そういうチームとしての温度は当たり前ですが広島さんや町田さんはここ何年か上位に行くだけのものを持たれていると思います。そういうものでも引けを取らないように、むしろ上回るように、自分たちのやり方でやっていかなければいけないと思います」

(山根視来選手と瀬古 樹選手について、堀之内聖スポーツダイレクターは町田戦に間に合うように登録を進めていると言っていた。チームや暑さなどの環境にフィットするのは大変だと思うが、起用の目途が立つのはどれくらいになりそうか?)
「これも答えると町田さんにいい情報を与えてしまうだけだと思いますが(笑)、2人ともJリーグのコンベンションの中で評価されて移籍をし、その中で海外からオファーをもらった選手なので、今の浦和の選手が見たことのない、見られていない景色を実際に見てきている選手がうちに入ってきたということは非常にポジティブです。

樹と一緒に仕事をするのは初めてですが、視来に関しては湘南(ベルマーレ)で長くやっていたこともあって、例えば先ほど言った球際の強さというものが精神論ではなく、こういう構造だから引き出されるんだ、というのを体感的に知っている選手が入ってきてくれました。樹に関してもそういうものをストーク(シティFC)でJリーグにいるより認識している時間は長いと思います。

僕がやりたいことを彼らの言葉で選手に伝える、もしくは彼らが見せるもので選手が自分たちの考えをより確信に変えられるようにしてもらいたいですし、今は(合流して)数日間ですが、間違いなくそういうものの温度は高いです。やはり人間的にも素晴らしい2人ですし、目標として『チームプレーをする』とは絶対言わないだろうなと思っています。それはなぜかと言うと、当たり前のことだからです。そういう選手なので、浦和レッズのこれからの挑戦に間違いなく力を与えてくれるという印象があります。試合に出るか出ないかはその日見てください」

(山根選手が新加入会見で「自分がもがきながらどう改善していくか、というプレーについて、数試合見ただけで電話で『ここはこうじゃないか』と言われて、『やっぱり見ているんだな』と思うと同時に、『成長するためにはこの人の下ではごまかせないな』」と言っていた。どのようなアドバイスを送り、どういうところを指摘したのか?)
「彼が湘南から(川崎)フロンターレに行ったときも、僕が京都(サンガF.C.)の監督をしていたときも、会ったときはそんな話を何気なくはしていました。それから日本代表に選ばれて、(FIFA)ワールドカップに出場したけど、それからまた選ばれなくなって、という歴史の節目では少し話したことありますが、たいしたことは言っていません。ただ、気になって、(遠藤)航もそうですが、今どうしているかな、どんなパフォーマンスかなと試合見ることが他の人よりは多いと思います。

特にMLS(メジャーリーグサッカー)の試合はそういうのがない限り、なかなか目につかないところもあります。ただ、ティモ ヴェルナー(サンノゼ・アースクエイクス)やリオネル メッシ(インテル・マイアミ)がいるリーグなんだなと思って見ると、これはこれでまた違った種類のサッカーだな、という感じがするので、『どんなふうに考えているの?』と逆に質問したりするのは、まだ浦和レッズと関係がないころに何度かありました。多分そのことを言っているんじゃないかと思います」

(そういう特殊なリーグからJリーグに戻ってくるとフィットするにはまた時間がかかるのか?それともJリーグを経験している選手なのであまり問題ないのか?)
「プレーは何の問題もないと思います。ただ、気候ですね。暑熱。樹もそうですが、日本の暑さは、僕たちも沖縄に長くいたことで、こちらがかなり涼しく感じる分、もっと結果につなげていかなければいけませんが、海外から帰ってきた選手はそれが一番大きいと思います。ただ、帰ってきて1週間くらい経ち、その辺りのこともベターにはなってきていると思うので、ここからいろいろ考えて決めたいと思います」

(先ほどおっしゃった球際について掘り下げてほしいが、背が高い、スピードがある選手だけが球際が強いというわけではない。小柄でも強い選手はいるが、そういう観点から、球際の強さみたいなものをどう考えているのか?)
「僕が思うというか、背が高くて、屈強で、ヘディングが強いセンターバックの選手が、ルーズボールの競り合いで体を入れてマイボールにする選手ばかりかというと、そうではないですよね。球際一つを取ったとしても、ヘディングの競り合いとか、体を使ってキープするとか、奪い切るというのはすべて別の要素です。例えば、佐野海舟選手(1.FSVマインツ05)は、背は小さく屈強というわけではないですが、ボールの奪い合いはブンデスリーガの中でもかなり高いですよね。ヨーロッパに行く選手がよく言っていますが、日本人は競り合いが弱いから、それを避けるために戦術を作って当たらないようにしている、という考えの時代が少しあったと思います。でも、それだとヨーロッパに行くと戦うのが不可能というか。

ただ、そう思っている選手がいる中での球際は、相当レベルが高いものですし、そこはヘディングや、裏に出されたときに体を強く入れてマイボールにするのか、スライディングで外に出してしまうのか、相手が触ってから行くのかで全く違います。この一つひとつを選手がどれだけレベル高く持ってやれるかというのは全く違うことだと思います。そこにはチームの戦術が大事ですし、こういったときはこういう現象になりそうだから、と先に予測して触っていれば、タッチに逃げずにマイボールにできるよね、など、それは各チーム違うと思いますが、単純に強い、高い、大きいだけで、そういうものが満たされるというわけではないと思います」

(それは曺監督が思考するサッカーの中では、Jリーグの他のチームと比べても重要な要素になるのか?)
「他のチームの監督さんがどう思っているかは実際にトレーニングを見ないと分かりませんが、『大事ではない』と言う人はいないと思います。絶対に。『球際なんてどうでもいい。ボールを綺麗に回して、相手に全く触らせないでゴールをすることで勝つのが美学なんだ』と思っている人でも、そういうところにはやはりこだわりを持たれていると思います。僕は監督としての立場ですがそう思いますし、僕と誰々と誰々で誰が球際を大事にしているかというのは難しいですが、みなさんそれは立ち戻るところとしてお持ちになっていることだと思っています」

(偶然かもしれないが、トレーニングキャンプからずっと見ていると、コーチにトレーニングメニューを任せていることが多かったと思うが、19日の公開トレーニングではおそらく初めて、曺監督が直接指導していた。たまたまそういうタイミングだったのか?何か変化を加えたかったのか?)
「あのメニューは初めてやった練習だったんです。狙いも変えていたので、初めてやる練習で監督の意図をコーチに任せるというのは、すごく無責任というか。練習の中で狙いがあって、僕も初めてやったメニューでしたので、『こういう狙いがある中で、自分がこういうふうにやるから気づいたところをフォローして』という形で始めました。練習の狙いがコーチ陣に具体的に浸透したら、またそれはコーチ陣のアイデアも入れてもらいながらやる形でいいですが、あの日にやろうとしたことは、監督なので当然、自分が最も表現できると思ったので、そういうふうにしました。コーチ陣から役割を取ったわけではなく、それをやったらたまたまそれがつながってそう見えてしまったということです。

なので、コーチ陣に任せるのも僕がノータッチで『タツ(吉田達磨ヘッドコーチ)、任せたよ。ノブ(池田伸康コーチ)任せたよ、スギ(杉山弘一コーチ)、任せたよ』と言っているわけではなくて、聞いた上で『じゃあこういうふうにやってみようか。自分は次のトレーニングの準備をするから、ここまではやって』というふうに話していることが多いです。そういえば今日もレッズでは初めてやったメニューでしたが、それも僕がやりましたね」

(19日の公開トレーニングでは六角形にグリッドを作って、パスをもらった選手が中に入って、スペースを埋めるようなことをしていたが、あのメニューも初めてだったのか?)
「あれは似たようなものはやったことがあります。ただ、ルールや設定は、浦和レッズに来てからは初めてのものでした。狙いがあったからです。おそらくガチャガチャしたように見えるし、本当はチェンジオブペースで落として逆サイドに行くということをやった方がいいメニューですが…ちょっと喋りすぎかな(笑)。

そのときの浦和レッズの選手の、例えばマインド、メンタリティー、例えば、あのときに広島に負けてしまって、ともすれば消極的になってミスしたくないとか、『これ以上ミスをすると試合に出られないんじゃないか』とか、例えば『迷惑かけちゃうんじゃないか』というのが起こりがちじゃないですか。勝っていれば選手もスタッフも『今までやっていたことをやっていこう』となりますが、負けたときは自分に矢印が向いたり、違うこと考えたりします。なので、とにかくパスを出して動く、動いた後に行ったボールに対して、前にパス出した人がもう1回関わる。考えてやるというよりも、さっき言ったように意欲がないとできないことなので、そちらをもう1回引き出すためにこういうことやりたいというのと、いくつかある目的のためにやったつもりです。

だから、外にいる選手が休んでいるように見えて、実は休めない、でも休まなければいけないときもあるんですよね、本当は。それを言うとすべて説明しなければいけなくなってしまいますが(笑)。でも、トレーニングメニューはそういうメンタル的な狙いもあります。誰々がここにいて、こうしてこうして、というのが大事なときもあるけど、そういうのを解放感を持たせてやらなければいけない日もあると僕は思っています。サッカーは人間がやるものですから、楽しい内容だけにするわけにはいきませんが、『気づいたらボール触って動いていたな』という日もなければいけないと思いますし、それだけではいけないと思います」

(サッカーに出会ったのは小学校4年生のときにチームに入ったようなことをどこかで拝見したが、それは間違っていないか?)
「はい。間違っていないです」

(どんなきっかけだったのか?)
「小学校での転校です。そこにサッカー部しかなくて。元々やりたかったのですが、通っていた小学校では5年生からしか入れませんでした」

(京都紫光サッカークラブが全国大会に出ていた時期だと思うが、曺監督のチームは強くはなかったのか?)
「全然ですね。僕らは田舎の小学生で1学年1クラスしかなかったところでしたから。だから本当に、関東では考えられないような、京都市の左京区の外れの村でした」

(大原サッカー場の隣の中学校と同じ名称の大原中学校(京都)に通っていたが、そこも普通の学校だったのか?)
「そうです。当時はクラブチームでプレーする時代ではなかったですから。中学校、高校とか、三菱養和さんとかあるにはありましたが、クラブチームでサッカーをやる時代ではありませんでした。学校で強いところに行く人は行って、プロもなかったですし、大学でサッカーをして、何年かプレーすれば辞めて企業に入るような時代だったと思います」

(その間もサッカーに対する思いは消えていなかったと思うが、なぜそんなにサッカーに惹かれたのか?)
「正直、選手でいるうちはそんなにサッカーが好きとか、海外のサッカーを見た記憶はありません。ドイツに行ったのですが、実はサッカーのコーチになりたくて行ったわけではありませんでした。ドイツで暮らす中でやってみたいと思って、向こうでライセンスの勉強をして、取って帰ってきた中で、指導者は全く選手と違う職業だと思いましたし、サッカーのみならず、いろいろなことを学んでいかないといけない仕事なんだと思い、ちょっと恥ずかしい話ですがそれからサッカーを見るようになりました」

(ドイツにはどれくらいいたのか?)
「2年弱くらいです」

(その2年は今の曺監督を支える上では)
「かなり大事な時間だったと思います」

(何がそう思わせるのか?)
「コーチは日本だと先生の言うことを聞いて、それをやって褒められたり怒られたりしますが、向こうだとあくまでも立場が違うだけで、選手も意見を言うし、コーチも言うし、それに対してお互いがぶつかることも怖がらないし、そういうところに感銘を受けました」

(曺監督自身、そうではなかったのか?)
「そうではなかったというか、普通だと思います。だから、もう恥ずかしい言い方で、誤解のないように言うと、僕は選手のときにコーチや指導者の方に相当お世話になりましたし、今でも付き合いはありますが、『選手はコーチや指導者の方によって変わるものじゃない』と思っていたようなところがあります。なぜなら、自分がそういうふうに思わない限り何も変わりませんから。だから指導者の人がダメって言っているわけではないですよ。それくらい、選手は自分で何かを思って変わらないと誰に何を言われようが変わっていきませんし、極端に言えば、『コーチの仕事って何が楽しいんだろう?』と思っていました。だからなんでこういうふうにできるんだろうという。それは指導者になって全く変わりました」

(浦和レッズの選手時代のことについて、先日は落合 弘さんに怒られたときのことなどを話していたが、落合さんにはどんなことで怒られたのか?)
「怒られたというか、プレーのことですよ。落合さんとはポジションが似ていたので、それはありがたいという意味で怒られたということです。先ほど言ったことと矛盾しますが、プロになってから自分が言われたことで『そうだな』と思うことはたくさんありましたし、コーチという仕事で落合さんはどんなことが楽しいのかというのは想像できていなかったですが、『なるほどな』と思うことで、今でも残っている言葉、今の年齢でも忘れない言葉はたくさんあります。それはうちのコーチ陣も同じだと思いますし、コーチは今いる選手たちに影響を与えることをしなければいけないですが、実はしばらく後になって気づくこともある気がします」

【浦和レッズオフィシャルメディア】

「誰かの力を借りるのではなくて、我々スタッフと選手たちが協力して乗り越えていくだけ」曺 貴裁監督(定例会見8/21)

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