ONLINE MAGAZINE/REDS VOICE
2001.8.10 Vol.45

「第2回 浦和レッズシーズン2001 を語る会」ご報告

〜8月1日会合から〜

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第1部 Q&A
 塚本高志・浦和レッドダイヤモンズ代表
 横山謙三・浦和レッドダイヤモンズゼネラルマネージャー
 進行 大野勢太郎・NACK5パーソナリティー

[大野勢太郎氏(以下、敬称略)]
 今晩は。よろしくお願いします。開幕前に「シーズン2001を語る会」がありまして、そのときに今シーズンの戦い方、あるいは10年、20年長いバージョンでの浦和レッズをいったいどういうふうに作っていくのか。そのときは前社長の中川社長と横山ゼネラルマネージャーと進行させていただきました。今回は塚本新社長が誕生いたしました。ですから浦和レッズの考え方が少々変わってくるのか。開幕前に聞きました方針がどうなっているのか、そのあたりを聞いてまいります。まず塚本新社長からごあいさつをいただきます。

[塚本高志代表]
 よろしくお願いいたします。本当にサポーターの皆さま方には、いつもいつも素晴らしい応援、サポートをありがとうございます。本当に勇気付けられております。これからもよろしくお願いします。

[大野]
 まず塚本社長に、クラブを運営していく上で、トップとしてどういう理念でやっていくのか。そのあたりをお話しいただけますでしょうか。

[塚本]
 この6月末に前中川社長を引き継いで代表に就任いたしました。その際、株主総会で株主の皆さま方に、お話しした内容を披露させていただく形で、私の考え方をお話ししたいと思います。第一は、まず強い、魅力あるチームにするということです。そのためには限りある経営資源、お金のことですが、最優先で強くするために投入する。そういう考えで行きたい、と。要するに、プロは勝たなければだめだ。勝つことによってファンを拡大していく、ファンの心を引き付けていく。そういうことがプロスポーツの原点である、と私は考えております。2番目は、事業性の確立といいましょうか、経営の自立、ということです。それを目指して頑張りたい。実は、Jリーグ各チーム大同小異で経営では苦しんでおります。その中で一番素晴らしいサポーター、ファンをいただいているこの浦和レッズが自立できなくてどうするか、ということです。現在までは親会社に「おんぶにだっこ」の状態であります。端的に言えば、わがクラブの経営は「損失補填方式」と申しまして、経営の赤字部分を全部親会社にお任せする、尻拭いをしていただく、そういう状況できておりますから、すばやいスピードのある経営判断をするとか、大きなことを自分の考えでやっていくことが、なかなか難しい部分もありますので、早く経営的に自立をしたい。ということです。そのためには収入を増やして経費を減らす。しかし増やした収入は基本的にはチーム強化に注ぎ込んでいく、そういうことです。チーム強化のためには、いわゆる補強ということも育成ということもあると思います。3番目は、専用のグラウンド、あるいはサポーター、ファンのみなさんと選手諸君が日ごろ交流できるようなクラブハウス。これの自前の物を持つように経営していきます。これはかねてからの念願でもありました。なかなか前には進まなかった訳ですが、ずっと研究は続けておりました。浦和レッズと名乗っている以上、浦和あるいは近辺でそういう施設を自前で持ちたい、ということです。これには経営のいろいろな背景がありますので、それをクリアしていかなければならない訳ですが、そういう研究も進めておりますので、今度はある程度期限を切って、年内にはどういうところにどういう内容の物を作りたいということを腹決めして、平成15年から遅くとも17年春ぐらいまでには何とかしたい。もちろんいまお借りしている大原グラウンドも併用して、ということになると思いますが、プロクラブとして使えるグラウンドが5〜6面は持ちたい。その中でも専用グラウンドとして最低でも2面は持ちたいということで計画を組み立てていきたいと思っています。

[大野]
 横山ゼネラルマネージャーにお伺いします。開幕前の「語る会」で、横山さんは「ブラジル体制になって、いつぐらいに答えが出るんでしょうか」という私の答えにニコッと笑いまして「すぐに答えが出ますよ」と答えていただきました。第1ステージ、7勝7敗1分けという成績はどう思われますか。

[横山]
 もう少し、2つぐらい勝てたんじゃないか、と思っています。やられた形が、集中を欠くとか、守備の同時性に問題があったとか、いうことで、大きく言えばそのへんのところに第2ステージの修正課題があるんじゃないかと思うんですが、あと2つぐらいは勝ってもう少し成績が上にいても良かったんじゃないか、と思っています。そういう意味では残念な結果でした。

[大野]
 磐田に追い付くのは大変だったと思うんですが、「答え」という言葉からは、どうしても優勝と考えてしまうんですが。このあたりはどうなんでしょうか。

[横山]
 第2ステージ優勝に絡めるところへ行くように、守備の面ではいま申し上げたことが課題に挙げないといけません。攻撃では攻撃の優先順位といいますか、第1ステージはパスの優先順位というのが少しズレていたんじゃないかと思うんですが、このへんがもう少し整理がついてくると、選手の力が生かされた攻撃ができるようになると思います。そのへんを反省しながら向かっていければ、第2ステージはかなり高いところへいくんじゃないかと思っています。

[大野]
 去年ああいう状況で、サポーターは1年間大変苦しんだので、今年の第1ステージ7勝7敗1分けはまあまあかな、と思ってしまうんですが、本当はもっと目標は高いものですよね。

[横山]
 はい。今も申し上げたようにもう少し勝ち点をかせぎたいという気持ちでいたんですが、春にここでみなさんとお話ししたときも「問題は守備かな」と申し上げたんですが、やはり守備に少し問題がありました。守備の同時性といいますか、みんなが同じ狙いをボールや相手に対して持っていくということですが、それが欠けていたんじゃないですか。

[大野]
 いいときと悪いときの差があまりにもはっきりしていたと思うんですが、それはチッタ監督ら指導陣の責任が大きいのか、選手たちの問題なのか。どういうふうに思いますか。

[横山]
 最初の方は、チッタ監督もレベルの高い、非常に抽象的な指導をしていたと思うんですが、だんだん具体化をして、彼に言わせれば「こんなところまで下げていいのかな」ということもあったと思うんですが、そういうやり方を取りながら、少しずつ完成されていると思います。

[大野]
 室井市衛のセレッソ大阪へのレンタル移籍。その前に田畑昭宏がジェフ市原にレンタル移籍をしています。その間にサンフレッチェ広島から川島選手がやってきました。そのあたりの補強の流れというのがよくわからないんですが。

[横山]
 選手が試合に出る、出ない、というのは監督がこの選手をどう使うか、というところで、使われなくなった選手が、チャンスを与えられて田畑に関しては、チッタは「難しいかな」と言っていたんですが、私とは感じ方が違ってまして、私はむしろ、田畑は強さもあるし使った方がいいんじゃないか、と話したんですが、ちょっと自分では使いにくい、と。これは室井くんもその1人だと思います。 そういうことで、できれば外でゲームができるところへ出してあげて実際にゲームをやった方が、絶対に本人のためにもプラスになりますし、帰ってきてうちの財産にもなる、ということで、本人はむしろ出たいという気持ちで行きました。良くなってまたうちでプレーしてくれればいいな、と思っています。

[大野]
 では、チッタ監督が見て、川島選手がほしいと言ったんですか。

[横山]
 大きい選手が欲しいということで、何人か候補を挙げて、うちで交渉可能な選手ということでチッタもOKしています。

[大野]
 川島選手が活躍すれば問題はないんですが、そうでないとどうしてもサポーターの心情にささくれだったところが出てきてしまいますから、かなりそのへんでの責任はフロントが大きくなりますね。

[横山]
 そうでしょうね。

[大野]
 エメルソン選手は正式に決定したんですか。

[横山]
 正式に浦和レッズに来ると決まりまして、明日から練習に来ると思います。

[大野]
 これは驚きました。いつも動きが遅い遅いと言われていたレッズが、今回は電光石火以上だったんですが、チッタ監督は、小野がいなくなると聞いたときに、我々の取材に対して同じポジションの選手を、と言っていました。エメルソンはFWで、小野の代役には思えないんですが。なぜ浦和レッズに来ることになったんですか。川崎がいらなくなって、売り込みがあったんですか。

[横山]
 そうです。我々は小野君の穴を埋めるということで、そのポジションの人間を捜していた訳ですが、何人か候補者がいて、その中の1人のブラジル選手に的を絞っていて、いつでも契約できる状態にあったんですが、たまたまエメルソンの話が出てきまして、監督に「こういう話があるんだけど、どうか」と聞きましたら「ベストチョイスはこっち(エメルソン)だ。それでお願いできないか」という答えでしたので、昨日なんとかOKになりました。

[大野]
 でも完全移籍で、大変な金額だったんじゃないですか。

[塚本]
 具体的にはノーコメントですが、実際には小野伸二くんの移籍金がありまして、室井君、田畑君のレンタル料、川島君のレンタル料。それらをすべて丼に入れてしまえば、ほぼチャラ、ということです。

[大野]
 ほぼチャラ!

[塚本]
 でも長い将来を見れば、うちは損ですね。小野君の人を引き付ける魅力はもう確立されていますから、グッズの売り上げにしても、観客動員にしても、痛手は大きいですね。

[大野]
 チーム作りの核というところでは有形無形のものがありますね。そこへいくと外国人は、ずっといる訳ではないということも考えると、マイナス部分がありますね。

[塚本]
 大きなマイナスですね。それとスター選手というのは、自分のところで育て上げないとできないですね。よそで出来上がったスター選手を買い取ることは日本のチーム同士では、まず不可能なんじゃないですか。外国へは日本のスター選手は行きたがる。そしてそれなりの金額が出てくる。でも日本のチーム同士でスター選手をやりとりするというのは、金額的にも規約としての制約がありますから、それで出したんでは、どのチームも損をすることはわかっていますから。 とにかく小野君を出したことは、うちにとっては大変な痛手であることは間違いないです。それをカバーしようとしても日本人選手ではカバーしきれない部分がある。それでは何がベストチョイスかとなれば、本当に勝つ戦力として取り込めるものを取り込まないとしょうがない、というのが今の選択だった訳です。まずは勝ちたい、と。勝つことによってすべてがいい回転をしていきますので、その中で選手を育てる環境を作っていったりすることができるんじゃないかと思いますね。

[大野]
 先程、社長がおっしゃった、経営資源の投入。その理念の表現の一つですか。

[塚本]
 結果はそうですね。

[大野]
 横山さん。GMの立場ではなくて、1人のサッカーファンとして考えると、気持ちの部分ではモヤモヤとしたものが残りませんか。たとえばトゥットとエメルソンのツートップとなると、永井や岡野の出番が減ってくるかと思うんですが。

[横山]
 そういうことはあるかもしれませんね。チッタ監督もおそらく前の方はブラジルの3人を中心に組んでくると思うんですね。組み方をどうするかによって、日本人が間にどう入ってくるかということもあります。監督は整理がついていると思うんですが。

[大野]
 今回のエメルソンの補強というのは、優勝という気持ちでの補強と考えていいですよね。

[横山]
 優勝ということに関しては、先程申し上げたように、それは守備力をどう強くできるか。守備のコンセプトをどう作り上げていくかということで、それがうまくいかなかったら、失敗するかもしれないですけど。いま大野さんが言ったように、ある程度のメドはついているんじゃないかと思います。



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