ONLINE MAGAZINE/REDS VOICE
2000.8.11 Vol.39

WALK ON TOGETHER
「第2回 浦和レッズシーズン2000 を語る会」ご報告

〜7月20日会合から〜

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第2部 Q&A
 中川繁・浦和レッドダイヤモンズ代表
 横山謙三・浦和レッドダイヤモンズゼネラルマネージャー
 清尾淳・浦和レッズオフィシャルマッチデープログラム編集長(埼玉新聞社)
 進行 大野勢太郎・NACK5パーソナリティー

[大野]
 今日は浦和祭りですけど、この中は祭りじゃない雰囲気でやりたいと思います。前回の3月3日は、中川代表と横山GMと斉藤監督がみなさんに名刺を渡した段階だと思うんです。今日は名刺を渡しません。ふだん考えていることを、どんな素朴なことでも構いませんから、ぶつけていただきたいと思います。

 この席に斉藤監督を、という声もあったんですが、今呼んで、斉藤監督の人柄からしてこういう席に来るとたぶん駄目になると思います。これ以上負けられると困りますから、お呼びしません。シーズンが終わったところで、ということも考えております。

 では早速行きます。前半21試合が終わったところで総括したいと思います。星の上では15勝4敗2分け。この数字について、お一人ずつ分析と感想をお聞きしたいと思います。

[中川]
 もちろん満足はしておりません。一巡目は思ったよりスイスイ行くなあ、という感じが率直なところでした。ところな二巡目に入ってご承知のような結果になってきました。しかも、内容的に押していて負けた試合も2つありますが、内容が悪くて負けた試合もあります。戦い方が悪くて、結果的に4敗という、特に最近の状況は不満に思っています。

[横山]
 正直言って不満足ですね。最初の10ゲームを悪くても9勝1敗くらいでいくだろうと思っていたんですが、20ゲームで4つ負けたというのは、2つ3つ多いかなと、引き分けもありますしね。そういう意味で結果としては不満足ですし、内容も、戦い方としてもっと圧倒的な、点差ではなく、危なげない戦い方でやっていかないといけないと思っていたんですが、わりと危ないシーンがいっぱいありました。攻撃的に戦っているといるんですが、その裏返しで危ない場面が非常に多いという、内容的も不満の残る21ゲームだったな、と思います。

[清尾]
 10試合ずつ分けて考えると、二巡目の6勝3敗1分けのうち、たとえば20試合目の鳥栖戦の負け方、これは3戦だったのですが、1試合目、2試合目の相手からして、向こうのホームですからガンガン来るだろうな、という予想はついたのですが、それに対する対応というのは3試合目にしては、ほとんどできていないな、と思いました。一巡目は9勝1敗でまずまずだったと思うんですが、二巡目、相手がレッズ対策を作ってくるだろうときに、次のこちら側の対策があまりできていなかったな、というのが一つです。それとアウェイでの立ち上がりが非常に悪くて、あまり攻めて来ないところはいいんですが、新潟とか仙台とか鳥栖とか、立ち上がりからガンガン来るところには、まず得点されてしまうことが多い、というのが特徴だったと思うんですね。

[大野]
 斉藤監督にまつわることについて少しやりたいと思います。寄せられた意見を読み上げます。

 「どの試合も共通して言えるのは、中盤での守備の甘さ、監督の言う中盤での速いパス回しの不徹底、戦術の浸透ができていないというには時間がたち過ぎていると思います。これは監督の戦術がはっきりしておらず抽象的すぎて選手が理解していないのか、それとも選手が理解できないのか、分かっていてもやらないのかどうなのか」。

 「この現状を変えるには斉藤監督とコーチ陣の更迭しかないと考えます。理由の1つ目として、浦和レッズは今年2部で優勝して来年1部で優勝を狙うと公約しています。2部優勝、1部優勝という安定した好成績を残すには、守備の安定が絶対に欠かせません。それなのに2部リーグにおいて1試合平均1失点以上しているのは、昇格を狙うには多すぎると思います。なぜ失点が多いか、それはチームにどうやって守るかという意志統一がされていないから。今のレッズは組織で守るのではなく、1対1で守るという形です。試合を見ていれば分かりますが中盤でのスライディングタックルが非常に多くなっています。それでも無理な体勢からのものが目立ちます。理由の2番目として、選手のコメントに“1部に上がりたかったら、自分たちでやるしかないでしょう”というものもありました。これに代表されるように、選手がマスコミに出すコメントに監督や監督の戦術を信頼するという内容のものがまったくありません。シーズン前あるスポーツ新聞に、“斉藤さんが監督に昇格するのならチームに残るのではなかった”というコメントが出ていました。現在も同じなのではないでしょうか。理由の3番目。チームの中に規律がありません。永井選手の件もそうですが、監督は選手のメンタル面をコントロールできないといけないのです」。

 「オジェックが去ってから、一貫した基準で監督を選んできたのですか、その場限りで選んではいませんか。また、ほかのチームではユースから選手が育っていますがレッズはどうなのでしょうか。千島選手がトップに上がっていますが、それで十分なのでしょうか」。

 「J1に上がったとしても斉藤監督の体制では勝てないし、またすぐに落ちてしまうでしょう。今のレッズはJ2という下部リーグ、低レベルで戦っているため、選手もだいぶ能力が落ちてきていると思います。とてもJ1で戦えるレベルではないと思います。我々が望んでいることは、J1での優勝、初タイトルで、そのためにはもっと強いチームになってもらわなければ駄目です。となると、やっぱり監督なんです。斉藤監督はJ1で戦えるぐらいの能力がないと思います。それと選手にあまり厳しさを与えていないということ。J1で上位を狙うのだったらもっと選手に闘争心を与えることのできる優秀な指導者を連れてきてもらいたい。それならば日本人より外国人がたくさんいる。

今シーズンは仕方ないけれど、来年監督の交代をぜひとも要求したい」。

 「ジョアン・カルロスになってからグランパスはいきなり強くなった。監督はチームの要。斉藤監督の手腕もいろいろと議論されています。J1に上がっても今の体質、斉藤監督のままでは、またすぐに落ちてしまうでしょう。J1に上がったら体質改善も必要だと思います。私は本当は横浜のアルディレス監督のような、規律の厳しい指導者がレッズには必要だと思います」。

 そのほかにも、たくさん来ておりますが重複しますので省略します。

 よくわからないのは、斉藤監督がどういうことを今年やろうとしているのか。それが表現できているのか。これが手応えとして感じられないのが21試合の感想だと思います。横山さんは、斉藤監督の戦術をどういうふうに理解して分析しているのか、おうかがいしたいのですが。

[横山]
 まずシステムの問題としては、中盤をダイヤモンド型にしている訳ですが、攻撃の問題でいえば、シーズン当初から監督は「ボールを早く動かして、相手の薄いところから突破を試みる、というサッカーをやりたい」ということで、それを意図する練習をずっとやっていると思います。流れの中で、薄いところを突こうと思ったときに、選手が判断を間違えてまたボールを戻してしまった、と。すると次には薄いところがなかなか出てこない。それを作りだすためにはパスの精度とか、速さを変えるとか方向を変えていくとかが必要になってくるんですね。そこのところがうまくいっていない部分というのはかなりあったと思うんですね。

 たとえば左から右へ展開していく。左から右へ展開するということは、相手の右サイドが薄くて、そこから攻めを仕掛かっていくぞ、というときに、どんどん右からいけばいいのですが、判断を間違えてまた左に戻してしまったとか、直接前にいってしまって、流れのリズムが変わってしまうということがかなりあったな、と思うんです。これは反省の材料にしなくてはいけません。

 斉藤監督はそういう流れというものと、相手の薄いところを見るためにボールを早く動かそうという狙いがある。それと中盤をダイヤモンド型でやっているというのはサイド攻撃を相当仕掛けられる形を作っていきたいという狙いがあると思います。

 守備について、中盤の守備がおろそかなのではないか、ということに関しては私もそう思います。それは一つには攻撃型の選手を多く使っているということに原因があるんじゃいかと思うんですが、これももう少し相手の攻撃を「こういう場合はこう来るだろう」という研究が必要で、たとえば左から右へ流れていく、その途中の一番具合の悪いところで取られてしまうということもゲームの中であると思うんですが、そういうときに備えてどうするのかということが、攻撃型の選手が多くて、悪い言葉で言えば、相手をなめてかかるというか、そういうところがなきにしもあらずじゃないかと思います。ですから、そういうところで失敗したときの備えが少し薄いということが出ているのではないかという感じがします。

 10試合が終わったときにもやったんですが、20試合目が終わった時点でもそういう反省をしまして、だいぶ練習内容も変わってきていると思いますし、選手の意識が攻撃と守備の両方どうしたらうまくいくかということを具体化した形で考え方とトレーニングを合わせて取り組んでいるところです。20試合戦った中では、一番大きな問題は、監督のやろうとしていることは、外側を破るために中盤の選手を外側に配置して、後ろから飛び出ていく選手、あるいは中盤から前を突く選手ということで破っていくことを狙っていると思います。そのためには、できないときのサイドチェンジ、そのためにボールを早く動かすという狙いを持ってやっていると理解しています。結果的にうまくいかなかったゲームが何試合かあったことは事実です。

 守備についてもトップから最終ラインまで守備の意識を高めていく。そのためには中盤での守備の能力を高める必要があって、特別練習で個人の能力を高めていくこと、守備のできる選手を配置していくこと、そういうことを考えていかないといけない訳ですね。

[大野]
 ただ21試合終わったところで、常に言われてしまうのが中盤を支配されてしまうということで、こちらが支配する場合もありますが、予想以上に支配されてしまう。では、今やっていることは1年間続けても本当は無理なことをやっているんじゃないかと思われても仕方がないんじゃないか。横山さんから監督に、ここらへんがおかしいのではないかと、お話になることはあるんですか。

[横山]
 もちろん毎試合私なりに「ここが悪かったんじゃないか」と話しています。

[大野]
 それは、本人は分かっているんですか?

[横山]
 もちろん、よくわかっていると思います。

[大野]
 分かっていてなぜできないのか。5試合、6試合なら言いませんが、先日の鳥栖戦をテレビで見ていて、びっくりするほどひどかったので、これは言わざるを得ないなと思ったんですが、選手が頭が悪いんですか?監督の言うことが間違っているんですか?

[横山]
 監督の言っていることが間違っているとは思いません。

[大野]
 では、選手が監督の言うことを信頼して戦わざるを得ない訳ですが、あのダイヤモンド型で、石井俊也君が1人で縦に動くやり方だと、彼はあまり横に動けませんから、何回やってもあそこは取られちゃうんじゃないですか?

[横山]
 今度の20試合の結果を意識して、監督は当然そこのところを変えてくるだろうと思います。



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