ONLINE MAGAZINE/REDS VOICE
2000.3.10 Vol.38

「浦和レッズシーズン2000 を語る会」ご報告

〜3月3日会合から〜

7/8
(1)
中川代表
(2)
横山GM
(3)
斉藤監督
(4)
第2部
(5)
Aブロック
(6)
Bブロック
(7)
Cブロック
(8)
Dブロック
−Cブロック−

〈大野氏〉

 「選手の補強やコーチングスタッフの編成を組む上で、去年レッズが降格した要因を、どのように分析したのでありましょうか。Jリーグ発足してから7年で一度もタイトルを獲得できないのはなぜなのか。優勝を目指す目的はあっても、フロント、選手に本当の意味でのプロ意識が欠けているのではないだろうか。それを改善できないクラブの体質の問題ではないでしょうか」。

〈中川代表〉

 私が社長になったときに、前社長から引き継いだことは、「浦和レッズはよそのクラブから、仲良しクラブと言われている」と言われました。これは、チームの雰囲気が良いということもあるでしょうが、これは決していい言い方ではなくて、あまり競争がなくて、ぬるま湯的だと見られているのではないかと思います。

 体質的なことを申しますと、三菱重工のチームがプロ化にあたり三菱自動車に移管されたましたが、三菱重工チームがそのままプロ化された形ですから、外国人監督を除けば監督はすべて三菱サッカー部OBです。つい3年前までは三菱自動車が100%の出資をしていましたし、3年前から県と市に5%ずつ出資いただいていますが、今後もっと地域のクラブとして変わっていかなればならないと思っております。

 去年のチーム状況が悪いときに、他のチームから中村、路木、中谷という他のチームからの選手を採りましたし、今年も鹿島から2人を採りました。やはり他人の血といいますか、純粋培養ではなくて、そういう血ももっと入れた方がいいと思います。原監督を支えたコーチングスタッフはよそから来た人でした。今季にそういう素地にはなっていると思います。

 降格の要因については私が思うに、あまりにVゴール負けが多かったということは、もう少し選手があと数分守れれば、あるいは点を取れば勝てた、という試合がいくつもあった訳です。30試合のうち13試合が延長で、7試合がVゴール負け、5試合が引き分けでした。そういうことでみなさまからご指摘があるように、スタミナが切れたとか、脚が止まったとかいうこともあったと思います。基礎的な技術の問題でパスやシュートの精度が悪いとかいうことも、あったと思います。

 そういうことをなくしていくためには監督、コーチの指導力ということが、あります。それが勝敗に絡んでいる訳ですが、フロント責任ということになれば、指導者を決めているのはフロントですから、最終的にはフロントの責任だと認識をしています。

〈横山GM〉

 責任問題は私に一番の責任があります。  負けた要因というのはいろんなところにあると思います。補強が悪かったとか、監督が悪かったとか、グラウンドが悪かったとか、結果が悪ければ全部悪い訳ですから、それについて言い訳する気はありません。しかし一つ、マッチデープログラムにも書きましたけど、チームの中にリーダーを欠いてしまったというのがチームにとって非常に痛手だったと思います。リーダーになりうる選手というのがちょうど中堅どころにいなかったというのが、これも私たちの責任なのですが、チーム編成をする上で、もっともっと気配りをしなければならなかったと思います。

 たとえば土田とか西野ら、チームを引っ張っていく力のある選手が2人ともゲームに出られなくなってしまった。若手で、と考えたと思うんですが、あまりそれがうまくいかなかったということですね。今年はそういう面で、若いけれども小野伸二とか石井あたりが本当の意味でチームを支える力になってきてくれたということで、去年よりもそういうものがありますし、アントラーズから来た室井君なんかはそのタイプの選手で、そういう仕事をしてもらう期待度は高いですね。

〈大野氏〉

 室井選手は指宿の合宿でもよく声を出して、ディフェンスラインを統率していましたし、プレーだけでないところで、我々が予想した以上の存在になりそうですね。

〈横山GM〉

 彼自身が自分がそういう選手だという認識を持っていますし、そういうタイプの選手として、浦和で精いっぱいやりたい、という気持ちだろうと思いますから、非常に期待するところです。

〈大野氏〉

 そのほか「クラブチームとして、最終的な到達点はどのように考えておられるのでしょうか。浦和レッドダイヤモンズの目指すものは、たとえばバルセロナやマンチェスター・ユナイテッドのような世界トップレベルのサッカークラブ、実力面で常にJリーグの上位にランクされるサッカークラブなのか、それ以外なのか、いずれなのでしょうか」というものですが。

〈横山GM〉

 考え方として、形じゃないと思うんですね。最初にお話ししましたように、大きな理念というものが実現できるかどうかというのは、何年か先を考えたとき、勝つということが非常に大きな力になっていくと思うんです。だから、そういう面での強化というものはどうしてもやっていかなければいけない。ゲームは勝つためにやる訳ですから、勝つことに全精力を傾けなくてはならない。クラブのイメージというのは、マンチェスターはマンチェスターの100年の歴史があって出来上がってきた訳ですね。今日本ではスポーツはクラブでやった方がいいとか、学校半分でやった方がいいとか言われていますが、それらはみんな真似事だと思うんですね。もう少し日本の社会の中で、スポーツというものをどういうふうにとらえていって、スポーツが生活のなかにどういうふうに納まっていくのが一番いいのか、ということを考えていかないと、今ヨーロッパはこう、南米はこう、どっちを選ぶんだということじゃなしに、もうしばらく日本流のスポーツというものがうまく定着して、社会と結び付いていく時間が必要です。よく、地元とうまく絡み合って、と言われますが、地元とうまくいくとか、いかないとかいうのも言葉で出てきたことで、そこにクラブが存在するというのは地元にある訳ですから、そこにいる方々がどのくらいクラブに脚を運んでスポーツを一緒にしたりコミュニケーションを取ったりする場があるのかということです。場そのものも、どういうものがいいのかということも含めてスポーツ全体を見つめていく時間が必要なんじゃないかと私は思っています。

〈大野氏〉

 これは10年、20年で解決できる問題ではないですよね。このコーナー最後にもう一つ。「J2に降格した責任を取り、フロントのみなさんは残った訳ですが、来年無事責任を果たされて戻ったあかつきにはフロント、および監督、コーチはどのようにされるつもりなのでしょうか。また昇格できなかった場合は、どのように責任を取るつもりでしょうか」。

〈中川代表〉

 1年先のことですから、まだ何も決めていません。そのときにならなければ判断できないと思います。

〈横山GM〉

 私は上げるために残ったんですから、上がれなければ当然クビになるだろうと思っています。

〈参加者〉

 オジェック元監督の通訳をされていた方から報告があって、ドイツでは、監督というのは1年でチームが作れるものじゃない。2年、3年という時間あかかるんだ。そのためにその監督にチームを愛する気持ちがあるならば、フロントは一丸となってその監督をフォローして、2、3年後に良い結果を残せるようにする。そういう中長期的なビジョンを浦和レッズには持っていてほしいし、斉藤監督には3年かかってもいいからJ1で優勝するチームを作ってもらいたい。そのためにはフロントが監督を何が何でも守っていってほしい。サポーターと意見の食い違いがあるならば、フロントが泥をかぶって監督を守ってほしい。しかし監督に愛がなくなったら1日でやめてもらう。それくらいの厳しさが必要だと思いますが。

〈中川代表〉

 私が先ほど申し上げましたのは、その時点で3人の身分がどうなるか、ということでしたから決めていませんと申しました。普通であれば、J1に昇格した監督にそのまま引き続きやってもらうのが当たり前だと思います。

 みなさんのご意見にもありますれど、単にJ1に上がるということだけじゃなくて、J1に上がった直後からすぐに優勝を狙えるようなチーム作りをしてくれと言われています。我々自身もそう考えているつもりですし、戦力補強なども、そういうことを考えて動いているつもりです。

〈横山GM〉

 今の方がおっしゃられた通りで、そういう考え方でクラブはやっていかなくちゃいけないというのは、はっきりしています。ですから、そういう考えでやっていきます。



Copyright(c) 2000.URAWA RED DIAMONDS