-伊藤選手は今シーズンから三菱重工浦和レッズレディースに加入しました。ここまでのご自身のプレーを振り返ってみて、いかがでしょうか。

サイドハーフで試合に出ることが多く、攻撃では自分の良さを出せていると思います。でも、決定的なラストパスなどの本数は少ないと思いますし、持っているものを100パーセント出せているかと言ったら、自分としてはまだ納得がいっていないところもあります。



-加入会見のときに「レッズレディースの選手は技術がすごく高い」というお話をされていましたが、そのチームの一員としてプレーしていく中で、成長している、高められていると感じる部分については。

みんな技術が高いので、パスがずれるということがあまりないんです。練習でもパスコントロールがすごく多いのですが、私はダイレクトでつなぐところや落としの部分、ワンタッチプレーというのがあまり得意ではありませんでした。でも、それが自然と身についてきて、今は落としとかも意識しなくてもできるようになるなど、基礎的な技術はすごく上がってきています。それによって狭いところでのコンビネーションの質は高くなっていると思っています。

-チームメイトとの関係性も良さそうですね。

レッズレディースはみんな仲がいいので、誰とでも話せると言いますか、誰とでも一緒にいられるのがすごく大きいと思っています。プライベートでもいろいろな選手とご飯に行きますし、一緒にいる人が固定されることがあまりなくて、それが練習にもつながっているのかなと思います。コミュニケーションが普段から取りやすいという部分では変に気を使うこともなくて、すごく明るくて仲のいいチームという印象ですね。年上の方も積極的にコミュニケーションを取ってくれたり、一緒にふざけてくれたりするので、楽しいです。

-その中でも特に一緒にいる人や、お話しできるエピソードなどがありましたら教えてください。

よく一緒にいるのは(栗島)朱里さんです。年が近くて、昔から年代別代表で一緒にやっていたことがあって、もともと仲が良かったのでよく一緒にふざけたりします。沖縄でのトレーニングキャンプ(特別協賛:三菱重工業株式会社)でも朝に一緒に海へ散歩に行って朝日を見て帰ってきたりとか、一緒にゲームをしたりとか、ずっと一緒にいるわけではないんですけど、心地よい感じです。



-次のINAC神戸レオネッサ(I神戸)戦からWEリーグが再開します。レッズレディースとしては安藤 梢選手と猶本 光選手が怪我で離脱してしまい、チームにとって大きな存在が欠ける中で、加入1年目ではありますが伊藤選手にもチームを引っ張っていく役割が求められるのではないでしょうか。

チームに合流してからまだ半年くらいしか経っていないですけど、年齢や今までの経験値からすると、半年とか言っていられる立場ではありません。2人が引っ張ってくれていた部分を完全に埋めるのは難しいですけど、私なりにプレーなどで引っ張っていけたらと思っています。その自覚というか、責任感はより強くなりました。



-I神戸は伊藤選手にとって古巣であり、皇后杯決勝ではすごく悔しい負け方をした相手でもあるので、この試合にかけるおもいは強いと思います。

皇后杯の決勝は絶対に勝ちたかった試合でしたし、PK戦で自分が最後に外してしまったという悔しさもあるので、勝ちたい気持ちはすごく強いです。でも、気持ちだけでは勝てないというのがこの前の試合で分かりました。90分、120分の中でもう少し自分がピッチの中で何か結果を残せたら、勝ちきることができたと思います。そこの弱さをしっかり受け止めて、チームとしてもっと圧倒的に試合を運べれば、自ずと結果はついてくると思います。I神戸は後半に強く最後に点が取れるチーム、という感覚で私自身も昨シーズンまでプレーしていました。試合内容がよくなくても最後にミドルシュートやクロスから点が入る、という粘り強さがありますし、自信も持っているチームだと思います。最後まで戦ってくる相手というのを頭に入れながら、よりゲームの流れや勝ち方にこだわらないと、勝ちきれないと思います。



-相手として1試合戦って、I神戸の強さを改めて感じたところもあると思います。それを踏まえた上で、見ている人に注目してほしい試合のポイントはどんなところでしょうか。

皇后杯の試合も、レッズレディースがボールを回す時間は多かったです。I神戸はFWを起点にロングボールからサイドを使ってクロスという大きい展開やパワーのあるプレーが多かったのですが、それに対してレッズレディースはみんなでつなぎながら真ん中を崩して、何人も関わりながらゴールに向かうところが魅力的です。プレーしている選手たちもすごく楽しみながらやっていますのでそこを見てほしいですし、そのプレーから最後に決めきるところがついてくれば完璧ですよね。そこの上手さは絶対にあると思うので、クオリティーをしっかり上げていきたいです。I神戸はボールを回されるのが苦手なところがあると思うので、そこを突いていって、最後の5バックをこじ開けたいと思います。

-I神戸には強力な前線だけでなく両サイドにも攻撃力のある選手がいて、サイドの攻防も試合の見どころになりそうです。

I神戸はたぶん、サイドに重きを置いていると思います。いかにサイドのプレーを生かすかだと思うので、まずはそこにボールを供給させないことや、ウイングバックの選手を高い位置に走らせないとか、1人でプレーさせるような守備の仕方などができれば、相手のチャンスは減ってくると思います。いかに全員で相手の良さを消していくかがカギになってくると思いますし、逆に言えば、ボールを奪った後にはサイドが空く部分もあるので、強みだけど弱点になる部分も絶対に出てくると思います。そういう隙を見逃さなければ、相手の強みではありますけど、逆にそこを突いていけるかな、と思います。

-レッズレディースのファン・サポーターの印象についてもお聞かせください。以前は相手チームとして対峙する立場だったのが、今は応援を受けるようになっています。印象の変化についてはいかがでしょうか。

声援がピッチまですごく聞こえてきて、勝手に走れるというか「一緒に戦っている」という感じがしています。本当にパワーになっていますし、心強いです。ファン・サポーターのみなさんを含めて「ワンチーム」なんだなと感じています。

-I神戸戦はWEリーグ再開初戦であり、首位攻防戦、そして皇后杯の決勝で負けた相手ということもあってレッズレディースのファン・サポーターの方々がたくさん来てくださると思います。それに加えこの日は男子のトップチームもホーム開幕戦で、両方を盛り上げようということで、今まで男子の試合しか見ていなかった人もスタジアムに足を運んでくださると思います。そうした方々に向けて、試合への意気込みをお聞かせください。

この試合は本当に、シーズンのカギになる大事な試合だと思います。ここで勝って勢いをつけて勝ち続けていったら絶対に優勝というものが見えてくると思うので、ファン・サポーターのみなさんを含め、チームで一丸となって本気で勝利を目指していきたいと思っています。

そして、レッズレディースの良さとしてはコンビネーションやパスワーク、アイデアが豊富な選手が多いので、初めて試合に来られる方にはそういうところを見ていただけたらいいなと思います。また、特にディフェンスラインなどにはファイターな選手も多く、見ている人の心を動かすプレーができる選手がたくさんいると思うので、そういうところを感じていただいて、応援してくださる方が増えたらいいなと思います。熱い応援、よろしくお願いします。



みなさん、こんにちは。3月3日に浦和駒場スタジアムで行われるINAC神戸レオネッサ(I神戸)戦から、WEリーグが再開します。

今シーズンは皇后杯の決勝で敗れて悔しいおもいをしましたし、WEリーグカップも獲れませんでした。昨シーズンは2冠を獲りましたが今シーズンはまだ一つも獲れていないので、そのプレッシャーはひしひしと感じています。選手たちも、そしてファン・サポーターのみなさんも含め、今はみんなが「リーグは獲りたい」と思っているでしょう。

今シーズンの前半戦については、悪くはないと思っています。決めるところを決めないといけないという課題はありますが、昨シーズンより良くなっている部分ももちろんありますし、若手にはかなり力をつけてきた選手たちもいます。現状も2位で、いい位置にはつけているのかなと思います。

その中で、大黒柱である安藤 梢、猶本 光の2人が欠けてしまったということはありますが、残ったメンバーでいいゲームもできていますし、いい準備もできています。3月・4月は過密日程ですが、そこにやりがいを感じて、しっかりと勝ち点を取って優勝できるように頑張っていきたいと思っています。

2人の怪我があった直後は本当に「いろいろ大丈夫かな」と思いました。特に安藤は精神的な支柱になってくれていたので選手もショックを受けていましたが、個々にメンタルが強くならないといけないですし、「自分が責任を持って勝たせるんだ」というおもいでやらなければいけない、という感じになってきています。

また、猶本の強引さや決定的な仕事をするところを欠くのは痛いです。それを埋めるためにも積極的な姿勢を出さなければいけないというところは、個々が感じてきてくれています。2人がいなくなった分、前と同じようにはいきませんが、今いるメンバーによるサッカーでのフィニッシュまでの形もありますので、そういうものを出していかなければいけません。皇后杯の決勝で、彼女たちがいなくてもかなり戦えていた部分があり、それは自信になっていると思います。「いなくても頑張れるんだ」という姿を見せないと彼女たちにも失礼ですし、彼女たちのおもいも連れていきたい。変な言い方ではありますが、選手たちもかなりプラスになってきているという感じを受けています。

もちろん、安藤も猶本も替えがきかない選手なので、その穴を埋めようとしてもなかなかそうはいきません。でも、丹野(凜々香)や西尾(葉音)など若い選手がいて、あとは新加入の後藤(若葉)と森田(美紗希)がなじんできているのは大きいです。その2人に関しては、即戦力として使える目処が立ってきています。あとはそういうところに発憤して、今シーズンは少し出番が少なかった佐々木(繭)や栗島(朱里)などもかなり気合いが入っています。

3月はWEリーグで7試合を戦うことになっており、特に月の半ばからは5連戦が待っています。そこにいい状態で持っていくためにも、やはり3月3日の試合、そしてその次の試合が大事になってきます。負けが続くと本当に苦しくなってきますし、連戦でしっかりと勝ち点を取っていくためにも、3日の試合は非常に重要です。選手たちは精神的にかなり強くなってきていると信じていますし、彼女たちにとってもチームにとっても、そういう試練を乗り越えてこそというところはあると思うので、全員で全力を尽くしていけるような準備をしているつもりです。

I神戸戦については、選手たちもいろいろ感じているところがあると思いますし、自然と激しいゲームになると思います。この前の皇后杯ではPK戦になって、勝たせてあげられなかったのは残念ですが、本当にいいゲームができていたと思いますし、今回もいいゲームにする自信はあります。あとはそこで取るか取られるか、というところです。接戦になると、I神戸は最後のほうで力を発揮してきますし、うちは前半からいいチャンスを作れると思うので、そういうところをしっかり決めていければ勝利が見えてくると思います。ホームですので、必ず勝ち点3を取りたいと思っています。

3日は男子のトップチームもホーム開幕戦ということで、当日は1日フルコースでレッズを応援してもらえるとありがたいです。その日を本当にいい1日にするには、私たちが勝利を目指すだけではなく、ファン・サポーターのみなさん、初めて見に来てくださる方の応援が必要です。彼女たちもいいサッカーをしていますし、最後まで諦めない姿勢で戦っています。ぜひ3月3日をいい1日にできるよう、一緒に戦ってもらえたらと思います。

(写真:近藤 篤)








 

  • Partner

  • Partner

  • Partner

  • Partner

  • Partner

  • Partner

  • Partner

  • Partner

  • Partner

  • Partner

  • Partner

  • Partner

  • Partner

  • Partner

  • Partner

  • Partner

  • Partner

  • Partner

  • Partner

  • Partner

  • Partner

  • Partner

  • Partner

  • Partner

  • Partner

  • Partner

  • Partner

  • Partner

  • Partner

  • Partner