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不定期連載『Beyond』vol.9 「みんなの笑顔を見たい」石川璃音、WEリーグ残り3試合に懸ける想い
選手の思いや試合に臨む姿を伝える不定期連載『Beyond』。第9回は、はじけるような笑顔とパーソナリティでチームを明るくするフットボーラー、石川璃音選手のコラムです。
ぜひ、ご一読ください。

『早くみんなで喜ぼう!』
今シーズン、フォトグラファーから送られてきた写真を確認していたとき、石川璃音が写っている写真に、なんだかとても彼女らしいと感じて、思わず吹き出してしまったことがある。
それは昨年11月9日に行われたサンフレッチェ広島レジーナ戦のシーン。塩越柚歩の先制ゴール直後のことだ。
出場選手はもちろん、リザーブ選手も集まって喜んでいるのだが、突如、画面左から勢いよく飛び込んできた石川がゴールを決めた塩越がいる輪の中心ではない、まったく別の方向を向いて、笑顔でなにかを叫んでいる。
彼女らしくて、とてもパッションを感じるが、ちょっとその場に似つかわしくない様子に、どういう状況?...と、思わず、笑ってしまったのだ。
当の本人にその一連の写真を見せると、大きな声を出して笑った後に次のように答えてくれた。
「たぶんこれ、誰かがまだ来ていない状況で、それを呼んでるんだと思います(笑)」
「私、みんなで喜びたいんです。だから早くみんなで喜ぶよ!って誘っているんだと思います。いつもやっちゃうの(笑)」
石川らしいはじけるような笑顔と野性味あふれる瞬間を切り取った光景。
なんだかとてもよい写真だと思っていたが、理由を聞いて、レッズレディースらしさが凝縮された瞬間だからなのだと理解した。
実際、連続して撮影された写真を見ていくと、高橋はなが遅れて輪に加わり、ようやく石川も加わって、“みんな”で喜びを表現している。
そしてーー。
今回の取材を終えた後、石川がサッカーを続ける理由も、まさにこのシーンのような光景のためなのだということもわかり、なおさら、とても素敵なシーンなのだと思った。






◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
石川璃音、21歳。
秋田県秋田市出身。
パワーとスピードに優れ、いまや日本を代表するDFであり、チームの守備の要として君臨する。国内リーグ所属では数少ない、なでしこジャパンメンバーでもある。
プレースタイルは火の出るような熱いプレーが特長のファイターで、先日、サンフレッチェ広島レジーナの中嶋淑乃選手と見せた激しいデュエルのシーンは、WEリーグ公式のインスタグラムで154万回を超える再生数をたたき出した。
だが、石川の最も魅力的な部分は何か、と問われれば、そのパーソナリティを挙げるかもしれない。
少しでも彼女と接点を持ち、その気持ちの良い性格、そして気遣いや優しさに触れれば、誰でも応援したいと思うのではないかと思う。
たとえば、練習中。
フルコートのゲームメニューの準備のため、別の場所でゴールを使っていたGKチームが正規の位置にゴールを戻そうと運んでいたとする。
すると近くでフィールドプレーヤーのメニューに参加していた石川は、給水の時間であってもすぐにGKチームの方に寄っていき、ゴールの設置を手伝う。
あるいは、若い選手たちがなかなか試合に絡めず、練習中も少し表情が曇っているようなとき。石川はすっと近くに行き、声を掛け、サポートをする。
彼女を見ていると、そうしたシーンにたくさん出会うことができる。
チームメイトの目に映る石川璃音

そんな石川を、チームメイトはどう見ているのだろうか。
同い年の丹野凜々香、年長者の伊藤美紀に聞くと、総じて同じような姿を語ってくれた。
丹野は言う。
「すごくやさしいし、みんな璃音と一緒にいて楽しいと思います。基本的に、プライベートでそんなに一緒に遊ぶタイプではないんですけど、誰かが困っていると話しかけてくれて、気づいてくれたりするので、後輩もそれが嬉しいとよく言っています」
「それとムードメーカーと言われて、いつもニコニコしている印象ですけど、ちゃんと自分の考えを持っている人です。あと自分のことになると結構感情が優先するところはあるかもしれないです」
伊藤も次のように話してくれた。
「なんかもう常に人のために動いている感じです。大丈夫?が口癖で(笑)」
「でもその分、人に労力を使い過ぎて、ちょっと自分のことをいたわれないときがあるというか」
「結構、考えちゃうと身体が動かなくなっちゃうタイプなんですよね。だからそこは話をしながら、一緒に整理していくこともあります」
「感情の部分がバチッとはまっているときはプレーも乗ってくるし、みんなにも声を掛けて盛り上げてくれる。でもたぶん自分に集中しないとという部分も強くて、うまくいっていないときは悩む姿を見せるときもあります」
苦悩を乗り越え、あらためて実感したサッカーの楽しさ

実は、今季、石川自身、そうした姿を見せる時期があった。
懸けていたアジアでの大会に敗れたことが大きな要因だった。
その後、監督が交代し、リーグ優勝するために全員でやっていこうという気持ちになったが、新しく就任した堀孝史監督のサッカーを理解することに意識を割く割合が増えたことで、考える時間が増え、慣れるまでに時間も要した。
「そのときは少しサッカーが楽しめていない、という感じがあったと思います」
だが、だからこそ、そのときにあらためて、なぜ自分がサッカーを続けているのか、その理由を考えることができた。
「一番に浮かんだのは、やっぱりみんなと一緒に喜びたい、みんなの笑顔を見たいということでした」
石川がサッカーを始めたのは、小学4年生のころ。実はその前は新体操で個人種目をやっていたそうだ。
その後、1つ上の姉の影響でサッカーを始めることになるのだが、そのときに個人スポーツとチームスポーツの楽しさの違いに気づいたと言う。
「個人スポーツって、緊張してたりすると、自分が戦わなきゃって感じになるじゃないですか。でもチームスポーツだと、そういう顔をしていたら、みんなが気づいて声を掛けてくれたり、一緒に頑張ってくれる仲間がいる。そういうところが一番で、チームスポーツって本当にいいなあって」
助け合ったり、人とのつながりを感じられたりすることに、小さなころから価値を見出してきた彼女は、だからこそ、今季、自身がサッカーを続ける核心をあらためて理解することができた。
だから今は、本当にサッカーが楽しめていると言う。
「本当にサッカーが楽しいし、試合中や練習中の声掛けも増えて、自分自身も楽しめています」
「やっぱりみんなを笑顔にするには自分が楽しくなければというのはあらためて気づきました」
レッズへの愛着と未来への展望

そんな彼女に今後、どういうフットボール人生を歩みたいか聞いた。
「うーん、なんだろう...」
少し考えたあと、落ち着いた声音でしっかりと話した。
「自分の未来を考えたら、最後はレッズで終わりたいな、という気持ちはあります」
もちろん、自分が知らない世界への挑戦をしたい気持ちもある。海外でプレーしている他の選手たちを見ていると、自分もどこまでやれるのか、というチャレンジに思いを馳せることもあるのだろう。
だが、やはりレッズへの愛着は強い。
意外にも小さいころからレッズを意識していたことも明かしてくれた。
「私、小学生のころとかもレッズが好きだったんです。男子のチームを見ていて。アンダーの代表とかで、一緒になったりりちゃん(丹野凜々香)によく言っていました。いいなあ、レッズって(笑)」
「テレビのサッカー番組とかで見ていて、槙野(智章)さんとか興梠(慎三)さんとか武藤(雄樹)さんとかプレーしていて。めっちゃ憧れていました、かっこいいって(笑)」
あのころの選手たちも、サッカーをとても楽しそうにプレーしていた。彼女が大切にしている価値観と親和性があったのかもしれない。
だからこそ、貪欲に成長したいとも思っている。
堀監督になり、求められることがはっきりとした感覚がある。
「パスを出す選択肢をもっと広げないといけないと思いますし、ボールを運ぶときとパスを出すときの判断を早くできるようにもしたいです」
「チームとしてこっちにボールを運びたいから、味方にここに来てもらって、自分がこういうポジションを取ったら、チームにとって有利な状況が生まれるとか、サッカーの戦術的なことを含めてもっと学んでいかなければいけないと感じています」
残り3試合への意気込みとファン・サポーターへの思い

残り3試合の優勝争いについても聞いた。
「やっぱり試合が終わって、あのときこうしていればよかったとか、後悔をしないようにしたいです。
だから全員で引き締めて戦わないといけないというのが一番にあります。
この3試合で、見ている人をワクワクさせるプレーだったり、見ていて楽しいなと思えるようなサッカーをするためには、今のサッカーを浸透させて、自分たちも楽しく、勝ちにこだわってやれたら、結果は付いてくると思います」
「厳しい戦いの中でも楽しさを見出してやっていきたいです」
そして最後にファン・サポーターのみなさんへの思いも伝えてくれた。
「本当にどんなときでも味方でいてくれる存在だなと思っています」
「一度、勝ち点を落とした試合で、私たちが勝たせてあげられなくてごめんみたいな声掛けをしてもらったことがあるんですけど、そんなことを感じさせてしまったことがことがすごく悔しかったんです」
「だから、みんなが最後に笑顔になるシーンが本当に好きなので、そうなれるように頑張りたい。まずは新潟L戦です」
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
冒頭の写真のシーンのように、石川は取材中、何度も“みんなで”という部分を強調するような発言をしていた。
サッカーを始め、チームスポーツの楽しさを見出し、人とのつながりを大切にして歩んできた彼女は、今でもその部分を大切に、原動力にしてプレーしている。
実は石川は、レッズレディースへの加入を決める前、レッズレディースを含む3チームの練習に参加する予定だった。
だが、最初に参加したレッズレディースの練習の雰囲気がとても良く、サッカーを純粋に楽しめる環境だったから、「ビビンと来て」、「自分がプレーしている姿が想像でき」、その後行く予定だった2チームの練習参加は辞退して加入を決めた。
みなさんも知っているとおり、レッズレディースの、仲間のために戦えるチームの雰囲気が彼女が人生で大切にしている価値観とばっちりとかみ合ったのだろう。
そんな最高の仲間と共に歩む、リーグ終盤。
目の前の1試合に全力を尽くす彼女たちがどんな結末を迎えるのか。
石川璃音の声掛けと、元気いっぱいのプレーが見られるとき、きっと周囲の仲間たちも笑顔でいられる結果が付いてくるはず。
ぜひ、スタジアムに来場し、その瞬間を共にしてください。
(文=URL:OMA/写真:近藤篤)

ぜひ、ご一読ください。

『早くみんなで喜ぼう!』
今シーズン、フォトグラファーから送られてきた写真を確認していたとき、石川璃音が写っている写真に、なんだかとても彼女らしいと感じて、思わず吹き出してしまったことがある。
それは昨年11月9日に行われたサンフレッチェ広島レジーナ戦のシーン。塩越柚歩の先制ゴール直後のことだ。
出場選手はもちろん、リザーブ選手も集まって喜んでいるのだが、突如、画面左から勢いよく飛び込んできた石川がゴールを決めた塩越がいる輪の中心ではない、まったく別の方向を向いて、笑顔でなにかを叫んでいる。
彼女らしくて、とてもパッションを感じるが、ちょっとその場に似つかわしくない様子に、どういう状況?...と、思わず、笑ってしまったのだ。
当の本人にその一連の写真を見せると、大きな声を出して笑った後に次のように答えてくれた。
「たぶんこれ、誰かがまだ来ていない状況で、それを呼んでるんだと思います(笑)」
「私、みんなで喜びたいんです。だから早くみんなで喜ぶよ!って誘っているんだと思います。いつもやっちゃうの(笑)」
石川らしいはじけるような笑顔と野性味あふれる瞬間を切り取った光景。
なんだかとてもよい写真だと思っていたが、理由を聞いて、レッズレディースらしさが凝縮された瞬間だからなのだと理解した。
実際、連続して撮影された写真を見ていくと、高橋はなが遅れて輪に加わり、ようやく石川も加わって、“みんな”で喜びを表現している。
そしてーー。
今回の取材を終えた後、石川がサッカーを続ける理由も、まさにこのシーンのような光景のためなのだということもわかり、なおさら、とても素敵なシーンなのだと思った。






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石川璃音、21歳。
秋田県秋田市出身。
パワーとスピードに優れ、いまや日本を代表するDFであり、チームの守備の要として君臨する。国内リーグ所属では数少ない、なでしこジャパンメンバーでもある。
プレースタイルは火の出るような熱いプレーが特長のファイターで、先日、サンフレッチェ広島レジーナの中嶋淑乃選手と見せた激しいデュエルのシーンは、WEリーグ公式のインスタグラムで154万回を超える再生数をたたき出した。
だが、石川の最も魅力的な部分は何か、と問われれば、そのパーソナリティを挙げるかもしれない。
少しでも彼女と接点を持ち、その気持ちの良い性格、そして気遣いや優しさに触れれば、誰でも応援したいと思うのではないかと思う。
たとえば、練習中。
フルコートのゲームメニューの準備のため、別の場所でゴールを使っていたGKチームが正規の位置にゴールを戻そうと運んでいたとする。
すると近くでフィールドプレーヤーのメニューに参加していた石川は、給水の時間であってもすぐにGKチームの方に寄っていき、ゴールの設置を手伝う。
あるいは、若い選手たちがなかなか試合に絡めず、練習中も少し表情が曇っているようなとき。石川はすっと近くに行き、声を掛け、サポートをする。
彼女を見ていると、そうしたシーンにたくさん出会うことができる。
チームメイトの目に映る石川璃音

そんな石川を、チームメイトはどう見ているのだろうか。
同い年の丹野凜々香、年長者の伊藤美紀に聞くと、総じて同じような姿を語ってくれた。
丹野は言う。
「すごくやさしいし、みんな璃音と一緒にいて楽しいと思います。基本的に、プライベートでそんなに一緒に遊ぶタイプではないんですけど、誰かが困っていると話しかけてくれて、気づいてくれたりするので、後輩もそれが嬉しいとよく言っています」
「それとムードメーカーと言われて、いつもニコニコしている印象ですけど、ちゃんと自分の考えを持っている人です。あと自分のことになると結構感情が優先するところはあるかもしれないです」
伊藤も次のように話してくれた。
「なんかもう常に人のために動いている感じです。大丈夫?が口癖で(笑)」
「でもその分、人に労力を使い過ぎて、ちょっと自分のことをいたわれないときがあるというか」
「結構、考えちゃうと身体が動かなくなっちゃうタイプなんですよね。だからそこは話をしながら、一緒に整理していくこともあります」
「感情の部分がバチッとはまっているときはプレーも乗ってくるし、みんなにも声を掛けて盛り上げてくれる。でもたぶん自分に集中しないとという部分も強くて、うまくいっていないときは悩む姿を見せるときもあります」
苦悩を乗り越え、あらためて実感したサッカーの楽しさ

実は、今季、石川自身、そうした姿を見せる時期があった。
懸けていたアジアでの大会に敗れたことが大きな要因だった。
その後、監督が交代し、リーグ優勝するために全員でやっていこうという気持ちになったが、新しく就任した堀孝史監督のサッカーを理解することに意識を割く割合が増えたことで、考える時間が増え、慣れるまでに時間も要した。
「そのときは少しサッカーが楽しめていない、という感じがあったと思います」
だが、だからこそ、そのときにあらためて、なぜ自分がサッカーを続けているのか、その理由を考えることができた。
「一番に浮かんだのは、やっぱりみんなと一緒に喜びたい、みんなの笑顔を見たいということでした」
石川がサッカーを始めたのは、小学4年生のころ。実はその前は新体操で個人種目をやっていたそうだ。
その後、1つ上の姉の影響でサッカーを始めることになるのだが、そのときに個人スポーツとチームスポーツの楽しさの違いに気づいたと言う。
「個人スポーツって、緊張してたりすると、自分が戦わなきゃって感じになるじゃないですか。でもチームスポーツだと、そういう顔をしていたら、みんなが気づいて声を掛けてくれたり、一緒に頑張ってくれる仲間がいる。そういうところが一番で、チームスポーツって本当にいいなあって」
助け合ったり、人とのつながりを感じられたりすることに、小さなころから価値を見出してきた彼女は、だからこそ、今季、自身がサッカーを続ける核心をあらためて理解することができた。
だから今は、本当にサッカーが楽しめていると言う。
「本当にサッカーが楽しいし、試合中や練習中の声掛けも増えて、自分自身も楽しめています」
「やっぱりみんなを笑顔にするには自分が楽しくなければというのはあらためて気づきました」
レッズへの愛着と未来への展望

そんな彼女に今後、どういうフットボール人生を歩みたいか聞いた。
「うーん、なんだろう...」
少し考えたあと、落ち着いた声音でしっかりと話した。
「自分の未来を考えたら、最後はレッズで終わりたいな、という気持ちはあります」
もちろん、自分が知らない世界への挑戦をしたい気持ちもある。海外でプレーしている他の選手たちを見ていると、自分もどこまでやれるのか、というチャレンジに思いを馳せることもあるのだろう。
だが、やはりレッズへの愛着は強い。
意外にも小さいころからレッズを意識していたことも明かしてくれた。
「私、小学生のころとかもレッズが好きだったんです。男子のチームを見ていて。アンダーの代表とかで、一緒になったりりちゃん(丹野凜々香)によく言っていました。いいなあ、レッズって(笑)」
「テレビのサッカー番組とかで見ていて、槙野(智章)さんとか興梠(慎三)さんとか武藤(雄樹)さんとかプレーしていて。めっちゃ憧れていました、かっこいいって(笑)」
あのころの選手たちも、サッカーをとても楽しそうにプレーしていた。彼女が大切にしている価値観と親和性があったのかもしれない。
だからこそ、貪欲に成長したいとも思っている。
堀監督になり、求められることがはっきりとした感覚がある。
「パスを出す選択肢をもっと広げないといけないと思いますし、ボールを運ぶときとパスを出すときの判断を早くできるようにもしたいです」
「チームとしてこっちにボールを運びたいから、味方にここに来てもらって、自分がこういうポジションを取ったら、チームにとって有利な状況が生まれるとか、サッカーの戦術的なことを含めてもっと学んでいかなければいけないと感じています」
残り3試合への意気込みとファン・サポーターへの思い

残り3試合の優勝争いについても聞いた。
「やっぱり試合が終わって、あのときこうしていればよかったとか、後悔をしないようにしたいです。
だから全員で引き締めて戦わないといけないというのが一番にあります。
この3試合で、見ている人をワクワクさせるプレーだったり、見ていて楽しいなと思えるようなサッカーをするためには、今のサッカーを浸透させて、自分たちも楽しく、勝ちにこだわってやれたら、結果は付いてくると思います」
「厳しい戦いの中でも楽しさを見出してやっていきたいです」
そして最後にファン・サポーターのみなさんへの思いも伝えてくれた。
「本当にどんなときでも味方でいてくれる存在だなと思っています」
「一度、勝ち点を落とした試合で、私たちが勝たせてあげられなくてごめんみたいな声掛けをしてもらったことがあるんですけど、そんなことを感じさせてしまったことがことがすごく悔しかったんです」
「だから、みんなが最後に笑顔になるシーンが本当に好きなので、そうなれるように頑張りたい。まずは新潟L戦です」
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
冒頭の写真のシーンのように、石川は取材中、何度も“みんなで”という部分を強調するような発言をしていた。
サッカーを始め、チームスポーツの楽しさを見出し、人とのつながりを大切にして歩んできた彼女は、今でもその部分を大切に、原動力にしてプレーしている。
実は石川は、レッズレディースへの加入を決める前、レッズレディースを含む3チームの練習に参加する予定だった。
だが、最初に参加したレッズレディースの練習の雰囲気がとても良く、サッカーを純粋に楽しめる環境だったから、「ビビンと来て」、「自分がプレーしている姿が想像でき」、その後行く予定だった2チームの練習参加は辞退して加入を決めた。
みなさんも知っているとおり、レッズレディースの、仲間のために戦えるチームの雰囲気が彼女が人生で大切にしている価値観とばっちりとかみ合ったのだろう。
そんな最高の仲間と共に歩む、リーグ終盤。
目の前の1試合に全力を尽くす彼女たちがどんな結末を迎えるのか。
石川璃音の声掛けと、元気いっぱいのプレーが見られるとき、きっと周囲の仲間たちも笑顔でいられる結果が付いてくるはず。
ぜひ、スタジアムに来場し、その瞬間を共にしてください。
(文=URL:OMA/写真:近藤篤)
