News
ファン・サポーターのみなさまへ 2024-25シーズンの振り返りと来季に向けて
いつも三菱重工浦和レッズレディースを温かくサポートいただき、誠にありがとうございます。
2024-25シーズン終了からお時間をいただいてしまいましたが、クラブとしてのシーズン総括を以下にお伝えさせていただきます。
まず初めに、シーズンを通じて、選手、チームに対し、最後まで力強くサポートいただいたすべてのみなさまに、心より感謝を申し上げます。
また、シーズン終盤での監督交代やそのプロセス開示に関しまして、多くのみなさまにご心配をおかけし、不安な思いをさせてしまったことにつきまして、心よりお詫びを申し上げます。
2025/26シーズンに向け、三菱重工浦和レッズレディースを愛してくださるすべてのみなさまと選手、チーム、クラブが軌を一にして再び力強く歩んでいけますよう、2024-25シーズンの振り返りと、2025/26シーズンに向けた取り組みの方針について、「チーム」と「クラブ」の2つの項目に分けてお伝えさせていただきます。
*以下の文中においては、チーム名の表記を「レッズレディース」とさせていただきます。
■チーム
<2024-25シーズン チーム成績>
・2024-25 SOMPO WEリーグ: 3位(勝点46、17勝7分2敗、得点32、失点13)
・皇后杯 JFA 全日本女子サッカー選手権大会: 優勝
・WEリーグ クラシエカップ : 準決勝敗退(ベスト4)
・AFC Women’s Champions League: 準々決勝敗退(ベスト8)
2024-25シーズンを迎えるにあたり、レッズレディースは、2024-25 SOMPO WEリーグ(以下、WEリーグ)、皇后杯 JFA 全日本女子サッカー選手権大会(以下、皇后杯)、WEリーグ クラシエカップ(以下、WEリーグカップ)、AFC Women’s Champions League(以下、AWCL)という4つのタイトル、つまり出場するすべての大会において優勝することを目標に掲げました。
そしてその中でも特に重要視したタイトルが、WEリーグとAWCLでした。
すべての選手、スタッフが全力をもって臨んだシーズンではありましたが、皇后杯を除く3大会においては目標を達成することができませんでした。
4大会におけるタイトル獲得を目指すにあたっては、チーム強化方針の軸に「再現性ある攻撃の構築」を据え、「若手選手の成長」を重要着手項目に定めました。
「再現性ある攻撃の構築」をチーム強化方針の軸に据えた目的は、主に2つの環境変化への対応と、そこから派生する課題の攻略にありました。
ひとつは、前シーズンの主要得点源であった選手の移籍という内部環境の変化により生じた攻撃面での課題を、個ではなくグループ、チームの総合力によって解決すること。
もうひとつは、WEリーグも4年目を迎え、リーグ全体の技術や戦術レベルが年々高まる中、他チームも組織的に戦う力を身につけ、全体として競争力が増してきている、そうした変化に対応すること。
しかしながら、シーズンの半ばを過ぎた時点でも、チームとして意図を持って攻撃を組み立てる場面は多く見られず、攻撃が選手一人ひとりのひらめきや個人技に頼る場面が目立ちました。その結果、守備が整っていて粘り強く戦う相手に対して、チームとして効果的な崩しを見せることが難しい試合が続きました。
重要着手項目に定めた「若手選手の成長」という点でも課題が残りました。若手選手たちのトレーニングの日数や時間が限定的であり、特に経験の浅い選手にとって必要なメニューや戦術理解の時間が不足していました。成長を加速させるための環境が十分とは言えず、才能のある若手の力を試合で発揮させるには至りませんでした。
これまでのレッズレディースの強みは、2019シーズンに就任した森栄次監督(当時)が若手選手を大きく成長させ、現在のチームの素地を築いたことに端を発します。そのチームを楠瀬直木前監督が引き継ぎ、森元監督の指導によって中心選手へと成長した選手たちに多くの自由と裁量を委ねるというマネジメントスタイルが奏功したことによって、チームとしても成長、成熟していきました。
そうした、選手の個性を最大限に生かしたマネジメントスタイルは、ここ数年のチーム編成には適合していたものの、選手の年齢構成という内部環境や上記外部環境の変化を鑑みますと、変化、改善を加える必要のあるフェーズに既に入っていたと理解しております。
経験豊富な選手たちに、一定水準以上に依存する形で成立するチームであり続けることは、ともするとこれらの環境変化への対応に遅滞を生じさせかねず、それによって対応がより困難な状況を引き起こしかねません。そうした事態を回避するためにも、経験豊富な選手がピッチ上で頼れる存在であるうちに、「若手選手の成長」とそれを実現する環境の提供が必須であるという考えをもって2024-25シーズンに臨みました。
そして、シーズンを通して、変化の兆しを模索してまいりましたが、クラブが目指す方向性との間に徐々に乖離が生まれてしまったことも事実です。
リーグ全体の戦術的レベルが急速に高まるなか、チームとしては「再現性ある攻撃の構築」、中でも、「若手選手の育成」といった新たな課題への対応が求められており、クラブとしても将来を見据えた成長に向けて、大きな転換期に差し掛かっていると感じておりました。
限られたシーズンの中で、このままの形で継続することが将来的な課題の先送りにつながりかねないと判断し、苦渋の決断ではありましたが、監督交代という判断をいたしました。
この決定は、前監督のこれまでのご尽力を否定するものでは決してありません。むしろ、これまで、レッズレディースの礎を築いてくださり、多くのタイトルを獲得し、新たな歴史を築いてくださったことへの感謝と敬意を、クラブ一同、心から抱いております。
私たちは、この判断の先に「より強く、成長し続けるチームづくり」があると信じています。そしてその歩みを、引き続きサポーターのみなさまと共に進めていきたいと願っております。
2024-25シーズン終了後、クラブには、レッズレディースに関する様々な、そして大変多くのご意見を頂戴いたしました。それらの多くは、発展途上にある私どもへの情熱や愛情に満ちた、厳しいご意見、ご指摘でした。
そうしたみなさまのお声を大変ありがたく感じるとともに、今後も、誠実に向き合わせていただくことをここにお約束いたします。
監督交代後のチームの客観評価として、アナリストによるデータ分析結果においては、チャンスクリエイト数、シュート前後のゴール期待値に改善が見られています。またカウンター攻撃の回数も増加するなど、主に攻撃面でのポジティブな変化が見られております。
WEリーグ所属各クラブのチーム力向上が顕著な状況下においては、今以上に選手、チームの成長を、質とスピードの両面からあげていかなければ、再びリーグチャンピオンに返り咲くことも、AWCLを制覇することもできません。そうした強い危機感と、必ずやそれを実現するという強い覚悟をもって、レッズレディースは、堀孝史監督やコーチングスタッフ、選手等と共にクラブ一丸となり、2025/26シーズンを全力で闘ってまいります。
2025/26シーズンに向けて
2025/26シーズンに向けて、私たちは「一戦必勝」の姿勢を大切にしながらも、より高い競争力と柔軟性を持ったチームづくりを進めてまいります。
2024-25シーズンを通じて見えてきた課題や、リーグ戦をはじめとした国内大会と国際大会における競争環境の変化を踏まえ、クラブとしては、チームの構成や戦い方についても必要な見直しや強化を行っています。
チームの中には、これまで長く貢献してくれた選手たちの経験が色濃く刻まれています。その一方で、新たな個性や新しい風がチームに加わることで、これまでとは違ったダイナミズムや可能性が生まれてくることにも期待しています。
私たちはこれからも、クラブの理念を大切にしながら、多様な価値をチームに取り入れ、どんな環境でも柔軟に対応できる強さと一体感を備えたチームを目指してまいります。
そして、これらを実行していくうえでは、選手、チームスタッフ、クラブスタッフが、自らが果たすべき役割を今一度正しく理解し、その理解を行動に移していく必要があると強く感じております。
互いの理解、行動が正しく保てているか、あるいは、さらに改善していける余地はどこにあるのか、等の確認をはじめとした、選手、チームスタッフ、クラブスタッフ間でのコミュニケーションを活発化させ、"安心と挑戦の場"となるチームを目指し、ピッチ内外で一体感を持って前進していけるよう、取り組んでまいります。
2028年にはFIFA女子クラブワールドカップが開催される予定です。
レッズレディースは、日本女子サッカー界のリーディングチームとして、この大会に出場することを大きな目標とし、歩みを止めず、進化をし続けなければなりません。
そのために、まずは、国内での覇権を奪還し、アジアの舞台でタイトルを獲得することが必要になります。
その目標に向けて、とどまることなく、着実にチームづくりを進めてまいります。
引き続き、みなさまのご支援とご声援をよろしくお願いいたします。
■クラブ
続きまして、2024-25シーズンのレッズレディースのクラブ(事業面から)の振り返りと、来シーズンに向けた方針を以下にお伝えいたします。
1.2025年4月10日発信の「ファン・サポーターのみなさまへ」について
2025年3月25日の監督交代を受け、4月10日に発信いたしましたステートメントの内容につきまして、多くのみなさまより真摯なご意見を頂戴いたしました。
浦和レッズが多くのファン・サポーターのみなさまに支えられているのは、「応援する側・される側」という関係を越え、共に戦う姿勢を大切にしているからだと私たちは考えています。
しかしながら、そのような一体感を損ねるような表現となってしまい、結果として、多くの方にご不快な思いをさせてしまったことを、深くお詫び申し上げます。
監督交代という判断については、契約上の制約や様々な事情もある中で、スポーツダイレクターを中心に、経営陣も含めた複数の関係者が協議を重ねたうえで決定したものです。ただし、その説明の中で、「監督だけに責任を負わせた」かのような印象を与える表現となってしまい、多くのみなさまに不快な思いをさせてしまいました。
私たちは、チームに問題がある場合には、その原因に応じて、選手、チームスタッフ、クラブスタッフなど、それぞれ適切に責任を見極めたうえで対処していく方針を取っています。今回の監督交代も、その方針に基づいた判断でした。
浦和レッズというクラブは、勝敗や成績と真摯に向き合う中でも、誰か一人に責任を集中させるのではなく、組織としての課題を共有し、乗り越えることで、より強いチームを築いていくことを大切にしています。
今後は、みなさまに正しく伝わる、丁寧で誠実な発信を徹底し、クラブとファン・サポーターのみなさまとの信頼関係をより一層強く築いてまいります。
2.事業・集客面等の振り返り
事業・集客面では、試合日の「価値を高める」こと、そしてその「価値を広める」ことを方針とし、活動を行ってまいりましたが、2024-25シーズンのホームゲーム入場者数において、目標としていた「前期、後期で1試合ずつ5,000人以上にご来場いただく」ことについては、達成することができませんでした。
<実績>
- 前期の集客強化試合:2024年11月17日大宮V戦 4,202人(目標比-798人)
- 後期の集客強化試合:2025年5月4日新潟L戦 4,787人(目標比-213人)
<年間の平均入場者数>
- シーズン平均:2,435人(前年比-12人)
- 土日祝日の平均:2,992人(前年比+387人)
2024-25シーズンは、リーグ戦ホームゲーム11試合のうち、AWCL出場の影響等により、平日の試合が前年の2試合から4試合に増加したこと、また男子トップチームとの試合開催日の重複が、11試合中4試合あったことを考慮すると、シーズンを通じた平均入場者数がほぼ維持できていることは、一定の成果と考えています。
特に土日祝日の平均入場者数は前年比115%となり、平均人数では3,000人に迫りました。これらの結果をもたらした要因の一つは、プロモーションやアクティビティを増やした成果と考えています。
これらの取り組みは、試合日の「価値を高めること」にはつながったものと考えている一方で、「価値を広めること」という点においては、まだまだ力不足であり、拡大していく必要があると、強く認識しております。
また、パートナー企業との連携、ホームタウン活動においては、選手たちの積極的な姿勢が後押しとなって、前年を大きく上回る、46件(前年25件)のイベントの出演やアクティビティを実施しました。ホームタウンに出ていって、多くの方々と触れ合う機会を創出したい、という選手たちの誠実な気持ちが、パートナー企業のみなさまやホームタウンのみなさまとの結びつきをさらに強め、レッズレディースの認知度向上や存在価値を上げていくことに繋がっていきました。
2025/26シーズン、クラブは、ホームタウンやファン・サポーターのみなさまと、より深くつながることで、ホームゲームの価値をさらに高めていきます。
ホームタウンにおける学校訪問やイベントでの交流を増やし、地域のみなさまが気軽に試合に足を運びやすい環境をつくります。選手やスタッフが社会貢献活動にも積極的に参加し、応援する誇りを感じていただけるクラブを目指します。
パートナー企業のみなさまとも協力しながら、試合日には楽しいイベントや体験を増やしていき、ホームゲームが「行きたい場所」になるように、試合日の「価値を広める」ための様々な施策を進めてまいります。
3.ファン・サポーターのみなさまとの信頼回復に向けて
クラブは、レッズレディースを支えていただいている、ファン・サポーターのみなさまをはじめ、多くのステークホルダーのみなさまとのコミュニケーションの機会を設けて参ります。
特に、ファン・サポーターのみなさまとの定期的なミーティングの開催など、"双方向"の関係性構築をより意識した活動を実行していきます。ミーティングの詳細につきましては、現在調整中となりますので、今後、1週間以内を目安に、改めてお知らせさせていただきます。
5月4日のアルビレックス新潟レディース戦、5月11日のノジマステラ神奈川相模原戦後に実施した、REX CLUBの来場者アンケートにおきましては、「選手との距離の近さ・アットホームな雰囲気」を、レディースホームゲームの魅力に感じていただけているという回答を多数いただいており、これもひとえに、ホーム、アウェイを問わず、共に闘ってくださっている、ファン・サポーターのみなさまのクラブ、チームへの愛情の賜物と強く認識しており、心から感謝するとともに、その愛情に応えられるよう、精一杯努めて参ります。
2025/26シーズンに向けて
WEリーグ全体のレベルが上がる中、レッズレディースは、「リーディングクラブ」としての自覚と責任を持ち、選手・スタッフ・クラブ一体となって進化してまいります。
2025-26シーズンは、「国内制覇」を目標とし、「アジアの頂点」への再挑戦、そして、大きな目標である、2028年のFIFA女子クラブワールドカップ出場に向けた、大切な1年になります。
ファン・サポーターのみなさまをはじめ、ホームタウン、パートナー企業、関わるすべてのみなさまにとって誇りとなるクラブをつくっていけるよう努力を続けてまいります。引き続き、熱いご声援をどうぞよろしくお願い申し上げます。
浦和レッドダイヤモンズレディース
2024-25シーズン終了からお時間をいただいてしまいましたが、クラブとしてのシーズン総括を以下にお伝えさせていただきます。
まず初めに、シーズンを通じて、選手、チームに対し、最後まで力強くサポートいただいたすべてのみなさまに、心より感謝を申し上げます。
また、シーズン終盤での監督交代やそのプロセス開示に関しまして、多くのみなさまにご心配をおかけし、不安な思いをさせてしまったことにつきまして、心よりお詫びを申し上げます。
2025/26シーズンに向け、三菱重工浦和レッズレディースを愛してくださるすべてのみなさまと選手、チーム、クラブが軌を一にして再び力強く歩んでいけますよう、2024-25シーズンの振り返りと、2025/26シーズンに向けた取り組みの方針について、「チーム」と「クラブ」の2つの項目に分けてお伝えさせていただきます。
*以下の文中においては、チーム名の表記を「レッズレディース」とさせていただきます。
■チーム
<2024-25シーズン チーム成績>
・2024-25 SOMPO WEリーグ: 3位(勝点46、17勝7分2敗、得点32、失点13)
・皇后杯 JFA 全日本女子サッカー選手権大会: 優勝
・WEリーグ クラシエカップ : 準決勝敗退(ベスト4)
・AFC Women’s Champions League: 準々決勝敗退(ベスト8)
2024-25シーズンを迎えるにあたり、レッズレディースは、2024-25 SOMPO WEリーグ(以下、WEリーグ)、皇后杯 JFA 全日本女子サッカー選手権大会(以下、皇后杯)、WEリーグ クラシエカップ(以下、WEリーグカップ)、AFC Women’s Champions League(以下、AWCL)という4つのタイトル、つまり出場するすべての大会において優勝することを目標に掲げました。
そしてその中でも特に重要視したタイトルが、WEリーグとAWCLでした。
すべての選手、スタッフが全力をもって臨んだシーズンではありましたが、皇后杯を除く3大会においては目標を達成することができませんでした。
4大会におけるタイトル獲得を目指すにあたっては、チーム強化方針の軸に「再現性ある攻撃の構築」を据え、「若手選手の成長」を重要着手項目に定めました。
「再現性ある攻撃の構築」をチーム強化方針の軸に据えた目的は、主に2つの環境変化への対応と、そこから派生する課題の攻略にありました。
ひとつは、前シーズンの主要得点源であった選手の移籍という内部環境の変化により生じた攻撃面での課題を、個ではなくグループ、チームの総合力によって解決すること。
もうひとつは、WEリーグも4年目を迎え、リーグ全体の技術や戦術レベルが年々高まる中、他チームも組織的に戦う力を身につけ、全体として競争力が増してきている、そうした変化に対応すること。
しかしながら、シーズンの半ばを過ぎた時点でも、チームとして意図を持って攻撃を組み立てる場面は多く見られず、攻撃が選手一人ひとりのひらめきや個人技に頼る場面が目立ちました。その結果、守備が整っていて粘り強く戦う相手に対して、チームとして効果的な崩しを見せることが難しい試合が続きました。
重要着手項目に定めた「若手選手の成長」という点でも課題が残りました。若手選手たちのトレーニングの日数や時間が限定的であり、特に経験の浅い選手にとって必要なメニューや戦術理解の時間が不足していました。成長を加速させるための環境が十分とは言えず、才能のある若手の力を試合で発揮させるには至りませんでした。
これまでのレッズレディースの強みは、2019シーズンに就任した森栄次監督(当時)が若手選手を大きく成長させ、現在のチームの素地を築いたことに端を発します。そのチームを楠瀬直木前監督が引き継ぎ、森元監督の指導によって中心選手へと成長した選手たちに多くの自由と裁量を委ねるというマネジメントスタイルが奏功したことによって、チームとしても成長、成熟していきました。
そうした、選手の個性を最大限に生かしたマネジメントスタイルは、ここ数年のチーム編成には適合していたものの、選手の年齢構成という内部環境や上記外部環境の変化を鑑みますと、変化、改善を加える必要のあるフェーズに既に入っていたと理解しております。
経験豊富な選手たちに、一定水準以上に依存する形で成立するチームであり続けることは、ともするとこれらの環境変化への対応に遅滞を生じさせかねず、それによって対応がより困難な状況を引き起こしかねません。そうした事態を回避するためにも、経験豊富な選手がピッチ上で頼れる存在であるうちに、「若手選手の成長」とそれを実現する環境の提供が必須であるという考えをもって2024-25シーズンに臨みました。
そして、シーズンを通して、変化の兆しを模索してまいりましたが、クラブが目指す方向性との間に徐々に乖離が生まれてしまったことも事実です。
リーグ全体の戦術的レベルが急速に高まるなか、チームとしては「再現性ある攻撃の構築」、中でも、「若手選手の育成」といった新たな課題への対応が求められており、クラブとしても将来を見据えた成長に向けて、大きな転換期に差し掛かっていると感じておりました。
限られたシーズンの中で、このままの形で継続することが将来的な課題の先送りにつながりかねないと判断し、苦渋の決断ではありましたが、監督交代という判断をいたしました。
この決定は、前監督のこれまでのご尽力を否定するものでは決してありません。むしろ、これまで、レッズレディースの礎を築いてくださり、多くのタイトルを獲得し、新たな歴史を築いてくださったことへの感謝と敬意を、クラブ一同、心から抱いております。
私たちは、この判断の先に「より強く、成長し続けるチームづくり」があると信じています。そしてその歩みを、引き続きサポーターのみなさまと共に進めていきたいと願っております。
2024-25シーズン終了後、クラブには、レッズレディースに関する様々な、そして大変多くのご意見を頂戴いたしました。それらの多くは、発展途上にある私どもへの情熱や愛情に満ちた、厳しいご意見、ご指摘でした。
そうしたみなさまのお声を大変ありがたく感じるとともに、今後も、誠実に向き合わせていただくことをここにお約束いたします。
監督交代後のチームの客観評価として、アナリストによるデータ分析結果においては、チャンスクリエイト数、シュート前後のゴール期待値に改善が見られています。またカウンター攻撃の回数も増加するなど、主に攻撃面でのポジティブな変化が見られております。
WEリーグ所属各クラブのチーム力向上が顕著な状況下においては、今以上に選手、チームの成長を、質とスピードの両面からあげていかなければ、再びリーグチャンピオンに返り咲くことも、AWCLを制覇することもできません。そうした強い危機感と、必ずやそれを実現するという強い覚悟をもって、レッズレディースは、堀孝史監督やコーチングスタッフ、選手等と共にクラブ一丸となり、2025/26シーズンを全力で闘ってまいります。
2025/26シーズンに向けて
2025/26シーズンに向けて、私たちは「一戦必勝」の姿勢を大切にしながらも、より高い競争力と柔軟性を持ったチームづくりを進めてまいります。
2024-25シーズンを通じて見えてきた課題や、リーグ戦をはじめとした国内大会と国際大会における競争環境の変化を踏まえ、クラブとしては、チームの構成や戦い方についても必要な見直しや強化を行っています。
チームの中には、これまで長く貢献してくれた選手たちの経験が色濃く刻まれています。その一方で、新たな個性や新しい風がチームに加わることで、これまでとは違ったダイナミズムや可能性が生まれてくることにも期待しています。
私たちはこれからも、クラブの理念を大切にしながら、多様な価値をチームに取り入れ、どんな環境でも柔軟に対応できる強さと一体感を備えたチームを目指してまいります。
そして、これらを実行していくうえでは、選手、チームスタッフ、クラブスタッフが、自らが果たすべき役割を今一度正しく理解し、その理解を行動に移していく必要があると強く感じております。
互いの理解、行動が正しく保てているか、あるいは、さらに改善していける余地はどこにあるのか、等の確認をはじめとした、選手、チームスタッフ、クラブスタッフ間でのコミュニケーションを活発化させ、"安心と挑戦の場"となるチームを目指し、ピッチ内外で一体感を持って前進していけるよう、取り組んでまいります。
2028年にはFIFA女子クラブワールドカップが開催される予定です。
レッズレディースは、日本女子サッカー界のリーディングチームとして、この大会に出場することを大きな目標とし、歩みを止めず、進化をし続けなければなりません。
そのために、まずは、国内での覇権を奪還し、アジアの舞台でタイトルを獲得することが必要になります。
その目標に向けて、とどまることなく、着実にチームづくりを進めてまいります。
引き続き、みなさまのご支援とご声援をよろしくお願いいたします。
■クラブ
続きまして、2024-25シーズンのレッズレディースのクラブ(事業面から)の振り返りと、来シーズンに向けた方針を以下にお伝えいたします。
1.2025年4月10日発信の「ファン・サポーターのみなさまへ」について
2025年3月25日の監督交代を受け、4月10日に発信いたしましたステートメントの内容につきまして、多くのみなさまより真摯なご意見を頂戴いたしました。
浦和レッズが多くのファン・サポーターのみなさまに支えられているのは、「応援する側・される側」という関係を越え、共に戦う姿勢を大切にしているからだと私たちは考えています。
しかしながら、そのような一体感を損ねるような表現となってしまい、結果として、多くの方にご不快な思いをさせてしまったことを、深くお詫び申し上げます。
監督交代という判断については、契約上の制約や様々な事情もある中で、スポーツダイレクターを中心に、経営陣も含めた複数の関係者が協議を重ねたうえで決定したものです。ただし、その説明の中で、「監督だけに責任を負わせた」かのような印象を与える表現となってしまい、多くのみなさまに不快な思いをさせてしまいました。
私たちは、チームに問題がある場合には、その原因に応じて、選手、チームスタッフ、クラブスタッフなど、それぞれ適切に責任を見極めたうえで対処していく方針を取っています。今回の監督交代も、その方針に基づいた判断でした。
浦和レッズというクラブは、勝敗や成績と真摯に向き合う中でも、誰か一人に責任を集中させるのではなく、組織としての課題を共有し、乗り越えることで、より強いチームを築いていくことを大切にしています。
今後は、みなさまに正しく伝わる、丁寧で誠実な発信を徹底し、クラブとファン・サポーターのみなさまとの信頼関係をより一層強く築いてまいります。
2.事業・集客面等の振り返り
事業・集客面では、試合日の「価値を高める」こと、そしてその「価値を広める」ことを方針とし、活動を行ってまいりましたが、2024-25シーズンのホームゲーム入場者数において、目標としていた「前期、後期で1試合ずつ5,000人以上にご来場いただく」ことについては、達成することができませんでした。
<実績>
- 前期の集客強化試合:2024年11月17日大宮V戦 4,202人(目標比-798人)
- 後期の集客強化試合:2025年5月4日新潟L戦 4,787人(目標比-213人)
<年間の平均入場者数>
- シーズン平均:2,435人(前年比-12人)
- 土日祝日の平均:2,992人(前年比+387人)
2024-25シーズンは、リーグ戦ホームゲーム11試合のうち、AWCL出場の影響等により、平日の試合が前年の2試合から4試合に増加したこと、また男子トップチームとの試合開催日の重複が、11試合中4試合あったことを考慮すると、シーズンを通じた平均入場者数がほぼ維持できていることは、一定の成果と考えています。
特に土日祝日の平均入場者数は前年比115%となり、平均人数では3,000人に迫りました。これらの結果をもたらした要因の一つは、プロモーションやアクティビティを増やした成果と考えています。
これらの取り組みは、試合日の「価値を高めること」にはつながったものと考えている一方で、「価値を広めること」という点においては、まだまだ力不足であり、拡大していく必要があると、強く認識しております。
また、パートナー企業との連携、ホームタウン活動においては、選手たちの積極的な姿勢が後押しとなって、前年を大きく上回る、46件(前年25件)のイベントの出演やアクティビティを実施しました。ホームタウンに出ていって、多くの方々と触れ合う機会を創出したい、という選手たちの誠実な気持ちが、パートナー企業のみなさまやホームタウンのみなさまとの結びつきをさらに強め、レッズレディースの認知度向上や存在価値を上げていくことに繋がっていきました。
2025/26シーズン、クラブは、ホームタウンやファン・サポーターのみなさまと、より深くつながることで、ホームゲームの価値をさらに高めていきます。
ホームタウンにおける学校訪問やイベントでの交流を増やし、地域のみなさまが気軽に試合に足を運びやすい環境をつくります。選手やスタッフが社会貢献活動にも積極的に参加し、応援する誇りを感じていただけるクラブを目指します。
パートナー企業のみなさまとも協力しながら、試合日には楽しいイベントや体験を増やしていき、ホームゲームが「行きたい場所」になるように、試合日の「価値を広める」ための様々な施策を進めてまいります。
3.ファン・サポーターのみなさまとの信頼回復に向けて
クラブは、レッズレディースを支えていただいている、ファン・サポーターのみなさまをはじめ、多くのステークホルダーのみなさまとのコミュニケーションの機会を設けて参ります。
特に、ファン・サポーターのみなさまとの定期的なミーティングの開催など、"双方向"の関係性構築をより意識した活動を実行していきます。ミーティングの詳細につきましては、現在調整中となりますので、今後、1週間以内を目安に、改めてお知らせさせていただきます。
5月4日のアルビレックス新潟レディース戦、5月11日のノジマステラ神奈川相模原戦後に実施した、REX CLUBの来場者アンケートにおきましては、「選手との距離の近さ・アットホームな雰囲気」を、レディースホームゲームの魅力に感じていただけているという回答を多数いただいており、これもひとえに、ホーム、アウェイを問わず、共に闘ってくださっている、ファン・サポーターのみなさまのクラブ、チームへの愛情の賜物と強く認識しており、心から感謝するとともに、その愛情に応えられるよう、精一杯努めて参ります。
2025/26シーズンに向けて
WEリーグ全体のレベルが上がる中、レッズレディースは、「リーディングクラブ」としての自覚と責任を持ち、選手・スタッフ・クラブ一体となって進化してまいります。
2025-26シーズンは、「国内制覇」を目標とし、「アジアの頂点」への再挑戦、そして、大きな目標である、2028年のFIFA女子クラブワールドカップ出場に向けた、大切な1年になります。
ファン・サポーターのみなさまをはじめ、ホームタウン、パートナー企業、関わるすべてのみなさまにとって誇りとなるクラブをつくっていけるよう努力を続けてまいります。引き続き、熱いご声援をどうぞよろしくお願い申し上げます。
浦和レッドダイヤモンズレディース