ONLINE MAGAZINE/REDS VOICE
2009. 3. 3 Vol.61
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「Talk on Together 2009」を開催
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清尾氏:どちらに聞いていいのか分かりませんが、下部組織の話で今季はユース出身選手がこれまでで一番昇格も多いですし、現在いる大谷幸輝、加藤順大、それから西澤代志也、それから残念ながらリハビリ中ですけど堤 俊輔も含めて、活躍が期待される年だと思います。これは2002年に下部組織をテコ入れして、強化してきた結果だと思うのですが、今後トップに出場する選手を育成していくためには、トップチームのスタイル、あるいはコンセプトを踏まえて下部組織も指導が行なわれるべきなのかなと思いますが、昨年までGM、あるいは強化本部長がトップチームも下部組織も統括していましたが、今回信藤さんはトップチームに限定して見られるということで、その辺の連動性はどうなるのかなとちょっと不安なところがあります。それについて教えていただきたいのと、よく質問で出てきますが、優秀な選手をジュニアユースに入れるためには、小学生のチームから選手をスカウトして、小学生年代のチームを作っていくべきなのではないかという意見がありますが、これについてはいかがでしょうか?

PHOTO藤口代表:では私の方から。2002年までの下部組織は、サッカーの場所の提供という形で取り組んできました。育成というよりもむしろ普及という面が強かったと思います。しかし、その後2002年からトップにつながる選手の育成をするということで取り組んできて、その第一期生が山田直輝をはじめとした選手たちということになると思います。
やはり育成の段階では「個」を育てるということを中心に指導してきて、最初は「サッカー選手である前に一人の人間として教育していこう」ということで人間性を重視した取り組みをずっとやって来て、その中で「個」を育ててきておりました。それで一つの成果が出てきていると思います。今後、それをベースにして、チームが「人もボールも動く夢のあるフットボール」というものを掲げていますので、こちらはユース、ジュニアユースも含めて同じコンセプトで考えております。だからと言って「個」を育てないということではありません。あくまでも育成というのはやっぱりピークパフォーマンスはどこにあるのかということを見据えて、下部組織で育てていく、そういう形はまったく変わりませんから、今までの取り組みをさらにトップチームと連動させるという意味では上から下まで同じコンセプトでやっていきます。
今までもそれがなかったのかというと、そんなことはありません。ただ、今までの考え方とすると、上から下まで同じ考え方で、同じシステムで、こういう戦い方をするというものはありましたが、それぞれジュニアユース、ユース、トップで、例えば3バック、4バックとか、いろんなことをやっていくことも逆に言えば1人の選手としてはいいのではないか、そういう考え方に沿った取り組みをしていたのも事実です。これからはベースができてきましたので、同じコンセプトを持って、一つになってチーム全体で取り組んでいこうというのがアカデミーとの連動です。信藤TDは、今年は当然トップチームに特化していますが、アカデミーセンター長ともコミュニケーションを取って、その基本コンセプトを変えずに一緒になってやっていこうと、そういう意味ではまったく問題ありません。それから経営企画室というものを設けていまして、そこではチーム全体の方向性をこれから3年後、5年後を見据えたチームの取り組みというものをしっかりと見ていくことになっています。
ジュニア(小学生年代のチーム)のことは非常に皆さんから質問をされますけれども、レッズは持ちません。それはなぜかというと、今「取られる」という話がありますよね。いい素質をもった選手を他のチームに取られるという話があるのですけれども、浦和にはたくさんのクラブチームがあります。いい指導者がいて、いいトレーニングをしているところもたくさんあります。ですから我々は、その人たちがすべて、これは欲張りかもしれませんけど、レッズの下部組織だと思いたいと思っています。ですから指導者の教育研修会とか、情報を提供するとか、そういう形で、浦和全体のクラブチームと一緒に取り組んでいきたいというのがレッズの考え方でありまして、選手を取った、取られたという形にはしたくないと思っています。

清尾氏:ジュニアユースの広報ということではないですけれども、小学生を週に1回ぐらい何十人か集めて、クリニックをやっていたと思いますが、現在でもやっていますか?

藤口代表:数は多くないですけど、今後はそういうことももっとしていきたいと思います。

清尾氏:1月12日にチームが始動して、今日で7週間かなと思いますけど、宮崎キャンプ、指宿キャンプと行かせていただきましたが、チームの裏も表もといっては変ですが、トレーニングもトレーニング外もご覧になって、フィンケ監督の指導、それから選手同士のコミュニケーション、僕らは2試合見せていただけませんでしたけど、トレーニングマッチのパフォーマンスをご覧になっていかがでしたか?

PHOTO信藤TD:トレーニングマッチも含めてトレーニングをファン・サポーターの方が見ていただいたら、フィンケ監督が描いているものが大きく出始めているのが分かると思います。でも、あと1週間というところで今こういう状態ということもあるのですが、それはフィンケ監督が12月に来日して、ミーティングをして準備をしていたところから、ものすごく緻密な準備の中から生まれてきたものであって、実際には7週間ではありません。厳密に開幕を見据えているだろうし、その先の3週間、4週間というところも見据えているでしょうけれども、常に逆算で物事を考えていって、その時々での準備を怠らないというのはフィンケ監督の最大の魅力であって、大きなものが生まれることを僕は確信しています。間違いなくもう大きな変化が生まれています。それで開幕して、それから何試合か戦ったときに、「レッズスタイル」というのははっきりと見えてくると思います。だから皆さんにはぜひ、期待していただきたいと思います。

清尾氏:言葉で説明すると、どんなサッカーが皆さんの目の前で展開されることになるのでしょうか?

信藤TD:僕が言葉で説明するのは、僕はそういうところのプロなのでポンポン言えるとは思います。ただ、足りないところがあったときにもったいないですよね。
例えば、早いボールの回し方、ワンタッチ−ツータッチ、どんどんと言ってみますよ。相手を引きつけながら展開して、ボールに向かっていくときにスピードの変化があって、サイドチェンジが的確に行なわれて、というようなことを僕がパッと口にしたときに、それはやっぱり一部なんですよ。これからピッチで表現されるものを、皆さんに感じていただく、本当にこれが「レッズスタイル」というものだと思いますので、楽しみにしていただきたいというところですね。足りなかったらもったいないんです。要素についてはまだまだ言えますけどね。今は構築中ですし、出していこうとしているところです。

清尾氏:百聞は一見にしかずということで、スタジアムに来ていただきたいところですね。

信藤TD:ぜひ来てください(笑)。(「3」へつづく)
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