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PICK UP PLAYER|金子拓郎

J1リーグで単独トップの記録である。今季から7番を背負う金子拓郎のアシスト数は、6節時点で「4」。すでに2025シーズンに残した数字に追いついている。開幕のガンバ大阪戦から右ウイングのクロスボールが冴え渡った。小森飛絢のゴールをお膳立てした形は、いまやレッズの貴重なゴールバリエーションの一つ。右足で切り返し、得意の左足で上げるボールは、仲間の頭にピタリと届く。第5節のアビスパ福岡戦でも、ほとんど同じようなパターンでマテウス サヴィオの得点を演出している。キックの正確さは目を引くものの、アシスト数が伸びている理由はそれだけではない。

「キックの精度は変わっていないと思います。昨季と比べて、中に入る人数がすごく増えているので、合わせやすいんです」

あらためて、リーグ6試合を振り返ると、ペナルティーエリア内に入ってくる人数は多くなっている。少なくとも1トップのFWを含めて3人、多いときにはウイング、ボランチ、サイドバックまで加わり、5人がゴール前へなだれ込むことも珍しくない。クロスの出し手となる金子は、常にターゲットを絞っているわけではないと言う。

「誰かを狙うこともありますが、基本的には危険なゾーンにクロスを蹴り込んでいます。もともと得意なパターン。それがいまは一番、得点につながると思っています」

アシストした得点者は、いずれも異なる。小森、渡邊凌磨、マテウス サヴィオ、オナイウ阿道。これでは相手も的を絞れないだろう。クロスを上げるのは、得意の左足だけではない。福岡戦では右足のクロスからもゴールにつなげている。切り返しを警戒されれば、縦に突破して局面を打開する。レッズ最大のチャンスメーカーは、一筋縄ではストップできない。カットインし、左足でシュートを放つ回数は少なくなっているが、それも賢明な選択をしているからだ。

「最近は、どのチームにも2枚のマークを付けられているので。横着せずに良い判断を心がけています。僕に2人が来れば、簡単にはたけば、他の選手がフリーになれますから」

ただ、ゴールへの欲も持っている。得点能力の高さは、J1リーグでも証明してきた。2023年には北海道コンサドーレ札幌で21試合に出場し、キャリアハイの8得点をマーク。左足のパワフルな一発で強烈なインパクトを与えてきたが、いまはそれだけではない。気持ちの乗った豪快なダイビングヘッドで、今季初ゴールを決めた開幕戦の活躍は記憶に新しい。本人も意識している形だ。

「曺さんの体制になり、そこは言われているので。これからも味方のクロスを信じて、中へ入っていくだけですね」

鹿島アントラーズ戦では2シャドーの一角を務め、中央からもゴールに迫った。2列目から積極的に飛び出し、裏を突く動きも見せる。相手の最終ラインと中盤の間でパスを呼び込んで、振り向きざまに放つミドルシュートも脅威となる。スピードとパンチ力は申し分ない。引き出しは、いくらでも持っている。アシストだけで満足するつもりはない。10ゴール10アシストの『ダブルダブル』も視野に入れている。

「そういった個人の結果も意識しながら、取り組んでいきますが、一番はチームのためにしっかり貢献することです」

178センチのたくましい背中は、試合を重ねるたびに大きく見えてくる。すっかり新しい背番号も板に付いてきた。レッズで長らく7番を背負っていた功労者は、いまはチームスタッフだ。秋の気配が漂う練習場できびきびと動いている。梅崎 司コーチが見守るなか、大黒柱になりつつあるレフティーは9月13日のファジアーノ岡山戦に備えて、最後までどん欲にシュート練習に励んでいた。今シーズンはレッズで大きく飛躍する1年になるかもしれない。

(取材・文/杉園昌之)

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