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曺 貴裁監督 沖縄トレーニングキャンプ囲み取材 「全ての状況でできるだけ主導権を握れるように、そして自分たちが自信を持って臨めるように、このキャンプで作っていく」

15日、曺 貴裁監督が現在沖縄県の金武町で実施されている「2026/27シーズン 夏季トレーニングキャンプ Supported by Juice」の現時点までの手応えなどについて、メディアからの質問に答えた。

(沖縄らしい季節になってきたが、ここまでのキャンプの手応えは?)
「個人的にも、夏に沖縄でキャンプをしたことが初めてです。それこそシーズン移行の中で他クラブがヨーロッパに行ったりしていますが、僕が(監督の就任が)決まった頃には、沖縄というのはある程度決まっていました。こういう暑い天候の中でも集中力を保ってやるというメリットを、シーズンに最大限生かさなければいけないと思います。戦術的なこと、特に相手がボールを持っているときにどうするか、ということに集中して取り組んでいますけど、それだけでなく自分たちがスローインのときもボールを持っているときも、全ての状況でできるだけ主導権を握れるように、自分たちが自信を持って臨めるように、このキャンプで作っています。

選手は今まで求められた以上のことを求められることに、しっかり取り組んでいるように僕の中で感じています。もちろん、まだまだ足りないところはありますし、他のチームに比べれば少ないスカッドになっているかもしれないですけど、今いる戦力でJ1に臨むのは、非常にポジティブな気持ちであります」

(プレスのかけ方のところで、前から行って連動してということに取り組んでいるが、連動性や距離感、判断については?)
「もちろんゲームが始まったら、相手の分析とか、いろいろなところの微調整は必要ですけど、とにかく相手がボールを持っているときにも攻撃に行くという考え方は、別に僕がオリジナルで持っているわけではありません。今やっているFIFAワールドカップではアメリカの暑さとかで、そこを最初から敢行しているチームはほとんどなかったですけど、秋春制のヨーロッパのリーグを見たときに、そういうことを主に置いているチームがリーグの上位を引っ張っている、今はそういう時代になっていると思います。レッズがここ数年、上位争い・優勝争いをできなかったところですが、ひとつ違う色のポジティブな特長みたいなものを作っていかないと、選手自身の気持ちも新しくならないと思います。そこの能力はある意味、非常に高いなと思っています」

(ボールを奪いに行くことだけが目的ではなく、主導権を握ることや、相手を思うようにプレーさせない、全体の支配ということについて、スタートの段階では選手の考え方やセンスについて、いい感覚を持っているのか?)
「そうですね。別に僕が言ったことを初めて言われたわけではないと思います。プレッシャーをかけることが目的ではなくて、プレッシャーをかける付近、真ん中に人が多いことがメリットのひとつなので、その後に人を見つけやすく、そこで点が取れると、1-0、2-0から始まります。

選手にも言いましたけど、前半を0-0で様子を見て、後半に相手の足が止まったときに交代選手で1点を取って勝つ、という時代はもう終わりました。やはり前半から先手を取れるチームでないとなかなかリーグを勝ちきれないと、僕自身は思っています。マインドとしては攻撃的に、その中で失点するリスクをできるだけ避けて、チームとして共有することが大事だと思います。選手は本当に、よく取り組んでくれているなと思います」

(攻撃的に行くからこそ、今は守備から取り組んでいる、という流れか?)
「昨年のデータを洗うと、レッズはボールを奪ってからシュートまで行く時間がリーグの中でもかなり長くて、その結果、もちろんボールを1分、2分持って相手を崩し切ってシュートするのもサッカーですけど、確率的にはそういうゴールは多くありません。やはり、相手がそろう前に攻めたほうが得点できる確率は上がります。ただ、それは『ボールを持つな』ということではなくて、何を第一にするかということを選手が理解した上で2番目3番目を出していかないと、チームの得点力につながっていかないと思います。その辺の選手の意識自体を変えることは、上塗りするような感じで、持っていけるかなと思います」

(ディフェンス練習について、歴代の監督を見てきた中でも数的不利、守備側の人数が少ない厳しい状況というのが多く見える。これは曺監督のポリシー、特徴になってくるのか?)
「数が足りない中で守っていたら、数が足りているときは楽ですよね。数が足りない中でも守れる方法はあると僕は思っているので、練習では高めて、試合になってある意味楽になるようにというか、それが生かされる、それが練習だと思っています。

いい意味で、練習とか練習試合でいろいろなエラーが出てチームが積み上がってくるほうがいいと思うので、単純に練習試合で勝った、負けただけではなく、そういうものの積み上げのためにここに来ているというのは間違いないですから、今は誰が出るかも分からないですし、そういう意味での競争というのは、スタッフも選手も変わっているところであるのかなと思いますし、そこの空気感は大事にしていきたいと思います」

(誰が出るか分からない中で、選手によってはユーティリティー性を生かして複数のポジションにチャレンジさせたりしているが、その手応えや狙いは?)
「僕の中で『こういうところをやらせたいな』というのはありますし、本人たちがやってみたいところもありますけれども、今はそういうことは、試すというよりも、チームの強みを生かすためにポジションを変えながら、というふうに思っています。そういう意味では『こういうこともできるんだ』という驚きがある場面も増えました。決してシステムありきのサッカーではなくて、今、どのメンバーを使ってどういう形でやれば相手に対して一番脅威なのか、ということを1試合1試合、ぶつ切りに考えていかなければいけないところもあります。

よくある『この前の試合で勝ったから、次の試合はこのメンバーで決定だよね』という考えは、間違いではないと思いますけれども、僕はそれよりも、その試合より次にはより強くなるチームを作って臨むというふうにやってきましたし、レッズでもそういう要素をゼロにして戦いたくはありません。今はまだ先発メンバーを誰にするかは一切決まっていないですし、次の練習試合のメンバーを考えるのも大変だなと思っていますけど、選手の今のやる気とか意気込みは、最後まで色あせないようにしたいなと思います」

(浦和レッズの強みについて、どのように感じているか?)
「この前も選手に話しましたが、鹿島アントラーズさんが2025シーズンで9年ぶりに優勝しましたけど、その9年間は基本的には3位、2位、4位、5位と、上位をキープした中で優勝しました。浦和レッズは残念ながら、その9年間で5位以内に入ったことがおそらく1回しかありません。もちろん天皇杯やACL(AFCチャンピオンズリーグ)を獲ったということはありますけど、リーグの中で上位に行くためには、これは僕自身が監督になって良くなるかどうかを保証するものではないですけど、今いる選手たちが新しく自信を持てるものを持たなければいけない時期だと思いますし、十分そういうことにトライして勝ちに持っていけるポテンシャルはあると思っているので、これから元々保っている技術の高さとか頭の良さ、コンビネーションの良さが、見ている人がアグレッシブに思えるようなサッカーにつながっていってほしいですし、つなげていきたいと思っています。

今、過去の浦和レッズの強みと言われても、僕はそこにいないのでちょっと分からないですけど、そういう順位の変遷とか歴史だけを見ると、そういうものを新しく上塗りしていって、新しく上塗りしていくことは全く違う方向に反比例していることではないと自分では思うので、そこは選手の様子とか、目の前で起きていることで軌道修正をしながらやっていきたいです。

プレスに行くことが目的ではなくて、あくまでも勝つことが目的なので、その勝つ確率を上げる練習をボールを持っているときも持っていないときもやっていくことが一番大事だと思います。

(ワールドカップで)スペインが決勝に行きましたけど、『スペインってどんなスタイルなの?』と言われたら、別に前ほどボールを回さないですし、ハイプレスするときはしますけど守りも固いし、僕からすればどちらかと言えば一人ひとり攻撃より守備の固さが目立ちます。じゃあ『スペインの特長って何ですか?』と言われたら、言葉で言えば全部になってしまうんですよ。その『全部』という意味が、色がない『全部』ではなくて、安定感を持って全部できるチームがやっぱり強いと思いますし、そこに近づける段階ですが、今レッズの選手に『全部をやりなさい』と言ってもちんぷんかんぷんになると思うので、まずはこういうところにトライして色付けをした上で全ての部分を上げたい、というのは、僕が考えていることのひとつです」

(渡邊凌磨選手が、『個人の目標として日本代表を目指しなさい』と曺監督から言われ、どんな年齢であってもトライしていくことの大事さを感じたと話していたが、そういったところの意識・マインドの変化が大事になってくるのか?)
「(渡邊)凌磨だけではないですけれども、彼がどういうふうに考えてやっているのか、そうは言っても全部を望めるわけではないですけど、やっぱりレッズから日本代表の選手が出て、レッズのサッカーをやっていれば選手が成長する、それが若い選手に伝達して、いろいろな意味でサイクルが回るというのが、クラブのあるべき姿だと思います。そのためにも凌磨が、ただ自分ができることを次の試合でやるのではなくて、自分がまだ見ない景色とか、到達しなかったところにトライすることによって一回りも二回りも大きくなって、それが結果として日本代表につながれば、チームとしても個人としても素晴らしいことだと思います。

彼もまだ昨シーズン含め、今までのレッズの在籍の中で『自分はもうやりきった』という気持ちでは間違いなくないでしょう。一人ひとりに目標値をもっと高く持たせてやらせるのは監督として当たり前のことだと思いますし、結果、選ばれるか選ばれないかは分からないですけど、そういうつもりでいつもやってほしいなと。それは凌磨だけではなくて選手全員に対して、U-21もそうですし、和田武士みたいにU-17、U-19に出る選手もそうですし、そのように感じます」

(今日の練習でもいろいろなところを歩き回って、その都度コーチやトレーナー、スタッフに声をかけていたが、このスタイルは湘南ベルマーレ時代からずっと続けているのか?)
「別に意図を持って歩いているか、とかは分からないですけど、今は優秀なスタッフがいるので、僕が指揮してやるときと、彼らに任せて少し俯瞰して見ているときをちゃんと分けられています。俯瞰しているときは個人に対して少し気づいたことをしゃべるようにしていますし、全体で僕がやるときは個人の裁量に任せることになるので。ただ、僕がやっているやり方が正解で、誰かがやっているやり方が間違いとか、そういうことではないと思います。でも、監督である以上、他の人が『いい』ということをただやるわけにはいかない、自分が『いいな』と思うことをやっていかないと伝わらないと思いますし、その『いいな』というのは思いつきではなくて、経験とかいろいろなものを精査した上で出さないといけないと思いますから、特に意図を持って歩いているわけではないですけど、選手のことは知らなければいけないと思っています」

(コーチ、スタッフ陣が多いが、スタッフの規模感については?)
「選手のスカッドが少ないように映るので『スタッフと同じじゃん』と、マンツーマン、プライベートコーチみたいになっている雰囲気に見えるかもしれませんけど、今、チームを良くしようとしたら仕事の細分化がすごく大事で、今ノブ(池田伸康コーチ)とかサコ(前迫雅人コーチ)とかシオ(塩田仁史GKコーチ)とか、あとは友己(長谷川友己コーチ兼分析担当)とか健太郎(永井健太郎分析担当)とかいった分析担当たちが、昨年まで浦和レッズが見せていた傾向とか、どうだったかということを話しながら練習を作っています。京都サンガF.C.から来たコーチとの融合を含めてすごくうまくいっているというか、そこは本当にスムーズです。僕とかスギ(杉山弘一コーチ)とか、元々レッズでお世話になったスタッフもいますし、そういう意味では数が多くて2人ぐらい手持ち無沙汰で何もしていないということはありません。選手にとっては本当に、いつもどこでも見られているというか、目が離せない、そういうような雰囲気になっています。

本当はそれではいけないと思います。選手だけでやれるようになったほうがいいと思いますけど、それはある意味不可能に近いことでもあると思います。でも、僕の中では必要なスタッフがいてくれているな、という印象です」

(相手に対して優位に立つためには、ボールを持っているときも持ってないときも自信を持ってプレーすべきだと思うが、今の日本代表はボールを持っていなくても相手に危機感を与えられていると思う。昨シーズンまでのレッズの選手からはボールを持っていないときに不安が感じられたが、曺監督はレッズでどういう意識づけさせていきたいか?)
「自信を持っているとか持っていないで状況を全部切り分けるのは、切り替えが早くなっているからこそ難しいところがあります。ただ、ボールがないときに、組織とかグループではなく個人が考えていることを優先してしまうと、ボールを持った瞬間は個人の判断によるしかないですが、ボールがないときの自分たちの距離感が組織として出来上がると『取ったらだいたいここに人がいる』ということを選手が理解できます。プレスというのは本来、それが目的です。ボールを取ることではなく、点を取ることが目的なので、僕が選手に言うのは『相手がレッズのプレスを嫌がって違うことをするということは、それは普段やっていないことだよ』ということです。それがうまくいくことはイコールではないですが、そういう確率で言うと、それができないよりできたほうがいいですよね。できないことをできるようにするというよりは、僕からしたら、選手がまだ意識を傾けていないところを引き出しているだけなので、彼らができないということではありません。先ほども言いましたけど、彼らを目の前で見て、こういう能力が高いなと、前の選手のチェイス能力とか後ろの押し上げる能力とか、そういうものは試合に誰が出る、出ないに限らず、非常にアジャストする時間が短いな、という印象があります」

(今日も話していたが、選手たちにヒントみたいなものを与えている、ということか?)
「そうですね。今日で言うと『ゴール前のどこで打たれたら失点するのか』ということは、全世界、どのサッカーをやっても、ゴールのエリアのど真ん中、ゴールの幅の中で打たれたらやられてしますので、そこに入らせないようにするためにどういうポジションを取るのか、というのは理屈や確率で言ったら絶対に合っています。もちろん極端な話、ハーフウェーラインから打たれて失点することもありますけど、確率としては低いです。なので、確率の高いほうを抑えながら試合に勝つ確率を上げていったほうが効率的だと思っています。ただ、それが一番難しいですけど、数字とかデータを使うと、選手の中にはほとんど何も考えないでやっている選手がいますから、『そうなんだ』というような印象を受けることで、ちょっと効果があるかなと思います」

(攻撃では攻守の切り替えが早く、そこからのアイデアは選手たちのコンビネーション、フリーの考え方になるのか?)
「ボールをGKからつないで、右サイドで何かをして、そこから逆に振ったときにこういう形で崩していこう、というようなボード上のアイデアはたくさんありますし、選手にももちろん伝えています。でも、今のレッズの選手に必要なのは『こうなった場合はこうだ』ということの複数のパターンを覚えるより、自分たちが、相手がボールを持っていると攻撃した距離がそのまま攻撃につながる、という体感を得ることが大事だと思っています。

人間には右脳と左脳がありますけど、やっぱり考えて動くと一歩遅れてしまうので、考えないで動く動きの中で得点できることが一番です。そういう意味では指導者とか監督は、考えていることというよりも、選手が点と点でつながってゴールに向かうようにしなければいけません。

古い話ですけど、僕が現役のときに、ウーベ(バイン)が持ったときに福田(正博)さんが走って出すって。別にチームで決まっているわけではなくて、もう無意識に福田さんが走って、彼が走るから、じゃあ福田さんが走ったらその手前は誰が使うとか、岡野(雅行)がこっちに行ったら、みたいなのはチーム戦術ではなくて、自然に出来上がってきたものです。その『自然に出来上がる』ということが僕は一番強いと思うので、自由にやらせるということではなく、選手のそのときの判断を尊重して奪わないように、チームの約束事はあるべきではないかと思っています」

(信頼、ということか?)
「それは間違いなく必要です」

(その信頼が守備でも攻撃でもここ数年は少し足りないと見て取れていて、もっと信頼し合えればいいのに、というところがあったが、それを築くのは日々の練習になるのか?)
「本当に、それに尽きると思います。選手にも言いましたけど、『チームは家族なんだ、ひとつのファミリーなんだ。だからみんなでやるのが必要なんだ』とよく監督は言いますけど、僕はあまり好きではありません。ファミリーになるには、やっぱり努力をしないといけません。努力をするということは信頼関係を高める行動だったり、発言だったり、練習だったりを積み上げないとファミリーにはなれません。でも、本当に優勝するチームというのは、誰が出ても、どういう状況でもチームがひとつになっているのは間違いないと思うので、それを今日、明日と作っていく努力をし続けるだけだと思います」

(毎年、キャンプが終わって開幕までの間にキャプテンが発表されるが、監督としてキャプテンやキャプテングループに求めたいことは?)
「この前の練習試合も、『キャプテンをやったことがなさそうなやつがキャプテンマークを巻いて』と言いました。そうしたら1本目は(長沼)洋一でしょ、2本目は(根本)健太、3本目が(肥田野)蓮治、彼らがキャプテンマークを巻いてくれたから。
ルール的に、キャプテンを決めないといけないかどうかは知らないですけど、まだ考えていないですよ」

【浦和レッズオフィシャルメディア(URD:OM)】

曺 貴裁監督 沖縄トレーニングキャンプ囲み取材 「全ての状況でできるだけ主導権を握れるように、そして自分たちが自信を持って臨めるように、このキャンプで作っていく」

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