Match Day Information

26.08.29

MDI 2026/27 WEリーグ 第2節 vs ノジマステラ神奈川相模原【MATCH PARTNER デンキチ】

INTERVIEW
三菱重工浦和レッズレディース
MF 5 伊藤 美紀

 

周囲を生かし、自らも生かされる。その関係性の中で、伊藤美紀は自分のプレーを磨き続けてきた。若き日に澤穂希や近賀ゆかりから受け取った言葉や姿勢は、今の彼女の振る舞いにもつながっている。チームの中心選手として攻撃をけん引しながら、仲間にも目を配る伊藤が語る、自身の成長と現在地、そしてその先に描く未来とは。 (取材・構成/田中直希)


 

「誰とでも合わせられる選手」になるということ 


――加入後、4シーズン目に入りました。始動から堀孝史監督の下で戦うという意味では2シーズン目ですが、チームの変化をどう感じていますか。


「昨季も1シーズンを通して戦術を落とし込んでいきましたが、相手が対策してきたときに、ピッチ上でうまく変化できないという課題がありました。堀さんは『相手がこうしてきたら、こういう形もある』と言い続けてくれていたんですけど、試合中に判断してアクションに移すことがなかなかできませんでした。


1年間、そうして積み重ねてきたぶん、戦術が浸透して、堀さんから『もっとこうして』と言われた瞬間に変化できるようになってきました。その変化を楽しみながらサッカーができれば、もっといい方向に向かっていくと思っています」


――今季はアンカーの位置ではなく、インサイドハーフでプレーする機会も増えています。昨季の7得点という数字をさらに増やしたいですか。


「増やしたいです。どれだけディフェンス陣が守ってくれても、攻撃の選手が得点を取れなければ勝てません。前線にいる以上、そこには責任があります。自分が決めることも、攻撃の形を作ることも含めて、もっと得点に関わりたいです」


――では、ゴールを取るためにアップデートした部分はありますか。


「ペナルティーエリアの中に入っていくことをすごく意識しています。以前はスルーパスを出したり、サイドに散らしたりしたところで満足していたんです。ワンタッチのシュートも苦手という意識がありました。


それではダメだと思って、メッシのプレーを見たんです。メッシはいろいろなところでボールを受けてそこから散らしていきますが、最後は絶対にゴール前にいます。そこにいなければボールは来ないし、決めるからこそ味方も出してくれる。それに気づいてから、ただペナルティーエリアに入るのではなく、自分がシュートを打てる空間を作ることまで意識するようになりました」


――周囲とうまく連係できることも伊藤選手の大きな特長です。チームメートからも「一緒にプレーすると自信を与えてくれる」という声があります。


「私は体も小さいですし、ドリブルでどんどん持ち上がるタイプでもなかったので、ずっと周りに助けられているという意識がありました。だから、自分はいろいろな選手とプレーを合わせて、自分を生かしてもらう必要があると思っていたんです。


特にINAC神戸レオネッサでプレーしていた若い頃は、なでしこジャパンで世界一になった方々がたくさんいました。その中で試合に出るには、誰と組んでもプレーが合わなければいけない。だから『誰とでも合わせられる選手にならなきゃいけない』と思うようになりました」


 

 

先輩たちから受け取ったものを、今度は自分が


――その頃の経験で、今につながっているものはありますか。


「澤穂希さんとボランチを組んだときに、『好きにやっていいよ。全部私がカバーするから』と言ってもらったことがあります。『ミスしても大丈夫』って。その言葉で不安が取れて、いろいろなことにチャレンジできるようになりました。


でも実際にカバーしてもらうと申し訳ないし、『じゃあ自分も誰かの力になれることはないかな』と考えるようになったんです。


近賀ゆかりさんも、自分が頑張っている姿を見てくれていて、落ち込んでいるときに『練習でもちゃんとやれているし、頑張っているのを見ているから』と声を掛けてくれました。悩みながらやっているときだからこそ、そういう言葉がすごく響きました。


先輩たちが自分をのびのびプレーさせてくれる環境を作ってくれていたと気づいて、自分も経験を積んで中心選手になったときには、そういう選手になりたいと思いました。それは、やってもらってうれしかったからです。その経験が今につながっていると思います」


――実際、チームメートの変化にもよく気づくそうですね。


「元気がない人を見るのがイヤなんですよ(笑)。『今日、元気ないな』と思っても、すぐに声を掛けるのではなくて、一度様子を見ます。次の日にケロッとしていたら『まあ、いっか』って。でもそれが続くようなら『大丈夫?』と声を掛けます。


みんなが自信を持ってプレーできたほうが、自分も生きるし、みんなも楽しいし、チームにもいい影響があると思うので」

 

 


「昨日の自分より今日、今日より明日」 

 

――前向きな考え方は、昔からですか。


「ポジティブだとは思います。でも、全部をポジティブに受け止められるわけではないです。できないことは悔しいし、一度は落ち込みます。でも、なぜできないのかを自分で考えて、『じゃあ今やることはこれだ』『これができたら一つ成長できる』と変換する作業をずっとやってきました。


できない壁にぶつかることも楽しいんです。それがあとで絶対に自分の力になると分かっているから。昨日の自分より今日、今日より明日の繰り返しで、壁にぶつかっても後ろに下がったわけではなくて、そこで止まっているだけだと思うようにしています」


――その考え方はどこから来たのでしょう。


「父の教えが大きいです。『古い考えをアップデートし続けなきゃいけない』とずっと言われてきました。自分がやってきたことにこだわって新しいものを拒んでしまえば、そこで成長が止まってしまいます。


それと、『否定は自分を成長させてくれる』とも言われてきました。否定されたり、『これができないのか』と言われたりしても、それは自分を成長させてくれるものだと。その言葉はずっと心にあります」


――今、新たに伸ばそうとしているものは?


「昨季はシュートレンジを広げることに1年間取り組んで、意識も結果も変わりました。それはもう自分のベースになっています。


だから次は、ドリブルで相手を引き付けられる選手になることですね。相手を引き付けられれば、自分のパスももっと生きるし、相手にとって怖い選手になれると思っています。


『自分はそういうプレーヤーじゃない』と思ってしまったらできないので、自分なりの抜き方、持ち運び方を探しています。自分のできることが増えれば、チームにも新しい攻撃の形ができる。大きな目標に向かっていると、『あ、これもやりたい』って、どんどん増えていくんですよ(笑)。でも、それが楽しいんです」


――リーグ出場200試合を超えました。キャリアの先に設定しているゴールはありますか。


「固定したゴールは、たぶんないと思います。ずっと足りないものを一つずつ、一つずつという感じでやってきたので。大きな目標を立てて、そこに向けて小さなプレーの目標を積み重ねていく。昔はノートにも書いていましたけど、今は全部自分の中にイメージとして持っています。


だから、楽しくサッカーをずっと続けていくことが、今の自分にとって大事なのかなと思います」


――今季、その先に欲しいものは?


「昨シーズンはタイトルを一つも獲れず、それがすごく悔しかったです。負けたあともファン・サポーターのみなさんが温かい言葉を掛けてくれましたが、やっぱり全員で勝って、みんなで笑って、ファン・サポーターのみなさんと喜び合いたい。


それを毎試合積み重ねていった先に優勝があると思っています。最後は全員でカップを掲げて、喜びを分かち合いたいです」

 

MatchPreview

チームメイトが語る、伊藤美紀 〜 Who is Miki ITO 〜


 

MF 14 菊池 まりあ

「誰に対しても面倒見が良くて、周りが見えている人」

「美紀さんは、誰に対してもすごく面倒見が良い人です。INAC神戸レオネッサで一緒だったときも、自分が落ち込んでいる様子を見せていないのに、すぐに変化に気づいてくれました。周りがよく見えているんだと思います。

 

美紀さん自身もいろいろな経験をしてきたからこそ、若い選手が頑張っている姿勢をしっかり見て、評価してくれる人でもあります。一方で、やらなければいけないことができていないときには、ちゃんと言ってくれる。上下関係を大事にする体育会系な部分もありますし、覇気があるときはすごいですよ(笑)。でも、美紀さん自身がやっているから、言われた側も『自分たちもやらなきゃ』と思えるんです。頼れる先輩ですね。

選手としては、とにかく気が利くし、何でもできる。それは以前から変わりません。どのチームでも、どのポジションでもできて、監督や周囲から信頼を得られる選手だと思います。サッカーに対してすごくクレバーで、求められていることを示せるし、それ以上のこともできる。本当に良い選手だと思います。

 

INACで一緒だったころと比べると、より点を取れるようになりましたし、中心選手であるという自覚も感じます。チームのみんなが美紀さんに期待していることも伝わってきます。
 

自分と美紀さんの連係について期待してもらうこともありますけど、私が美紀さんを理解しているというより、美紀さんが誰にでも合わせられるんです。私だからできるというより、ほかの選手ともできる。美紀さんが合わせてくれている感覚のほうが強いですね。

意外な一面でいうと、物を捨てられないんです(笑)。INACのときは私が整理してあげることもありました。全体としてはきれいなんですけど、いろいろ持っていて断捨離ができない。今でも『なんでこれ捨てないんですか?』って言っています(笑)。

 

プライベートは以前からあまり変わっていません。私は予定を前もって決めたいタイプなんですけど、美紀さんは急に『今日ひま?』って誘ってくるタイプです(笑)」
 


 

MF 20 高塚 映奈

「近くにいてくれるだけで安心できる存在」

 

「美紀さんが近くにいてくれるだけで、私にとって一つ安心できるポイントになります。何かあれば助けてくれますし、自分も少しでも美紀さんのためになればと思ってプレーしています。近くにいるだけで見本になる、本当にありがたい存在です。

 

サッカーでは、すごく細かいところまで意識しています。ファーストタッチ一つを取っても、体の向きだったり、ボールをどこに置くのかだったり。状況によって変わりますけど、そういう細かな部分の積み重ねが美紀さんのプレーになっていると思うので、近くで見て、真似して、学ぶ。その繰り返しをさせてもらっています。

 

一緒に居残り練習をしたり、話したりする中では、考え方の部分でも学ぶことが多いです。チームがうまくいかないと、どうしてもほかの人やほかのところに矢印を向けてしまいがちです。でも美紀さんと話していると、まず自分に矢印を向けて、『あの場面で自分には何ができたのか』『自分は何をやらなければいけなかったのか』を考えることが大事なんだと感じます。

 

意外な一面としては、忘れ物がちょっと多いです(笑)。だから私がちゃんとカバーして、美紀さんが忘れたことにならないようにしています(笑)。

 

普段は明るくて、すごく前向きでポジティブ。でも、厳しくやらなければいけないところはしっかりやる。メリハリもあります。本当にすべてにおいて学ぶところがたくさんあるので、私もまだまだ美紀さんに近づいていかなければいけないと思っています」
 


MF 19 サンシャイン フォンテス
 

「日本を“第二の故郷”のように感じさせてくれた人」

 

「美紀と一緒にプレーしていると、自信を持つことができます。周りの選手の良さを引き出せる選手だからです。ボールを持っていないときには、守備で何をすべきかを声で伝えてくれますし、攻撃ではラインとラインをつないで、私とほかの選手との間もつないでくれる。
 

美紀がピッチにいると安心感があります。ボールを持ったときも簡単には失わないと分かっていますし、本当に素晴らしい選手です。

 

昨季は平川陽菜選手が負傷して、美紀がその役割を担うために少し低い位置でプレーする必要がありました。その影響は攻撃面にもあったと思います。今季は美紀がより前のポジションでプレーすることで、もっとたくさんのゴールやチャンスが生まれると思っています。
 

美紀は素晴らしいサッカー選手である以上に、もっと素晴らしい人だと思っています。私がこのチームに来たとき、最初に温かく迎え入れてくれた一人が美紀でした。言葉の壁がある中でも、わざわざ翻訳してメッセージを送ってくれたんです。それは、これから自分がどれだけ長くサッカーを続けても、どこへ行ったとしても、ずっと忘れないことだと思います。美紀は、私にとってずっと忘れない人です。

 

サッカーの話もしますけど、それ以外にも『いつディズニーランドに行く?』とか、『いつチョコレートクロワッサンを食べに行く?』とか(笑)。一緒にいて楽しいし、話していて楽しい人です。美紀のおかげで、日本を“第二の故郷”のように感じられるようになりました。

 

美紀はすごく優しくて、誠実な人です。そして、いつも自分より周りの人を優先している。周りの人のために時間を使い、そばにいて、その人の良いところを引き出してくれるんです。

 

一言で表すなら、とても献身的な人。美紀のことを話し始めたらいくらでも話せますね。本当に素晴らしい人だと思います」

 

(取材・構成/田中直希)

 

試合情報

 

2026/27 WEリーグ  第1節 vs RB大宮アルディージャWOMEN戦 マッチハイライト

 


MDIの原稿は、レッズレディースパートナーであるStoryHub社のプロダクトを活用し、人とAIが共創して作成させていただいております。
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