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21.12.09

レッズレディースを支える人たち 立石典久GKコーチ インタビューVol.1



レッズレディースを支えるひとりが、着任3シーズン目となる立石典久GKコーチ。
女子サッカーに携わるのは初めてだったがここまでのキャリアで培った選手たちと本音の対話を大切にして、チームとともに成長を続けている。育成年代を渡り歩きながら得た指導者としての矜持を胸に今、レッズレディースでできること。


選手がいるから指導ができる。自分が成長して得たものを還元していきたい

2019シーズンからレッズレディースのGKコーチに就任して、3シーズン目になりました
「それまでは女子サッカーとの接点がほとんどなく、本当にわからへんかった。就任当時は池ちゃん(池田咲紀子)や先日対戦したマイナビ仙台レディースにいるまっちゃん(松本真未子)に『こんな感じでやったらええの?』って聞きながら練習などをやっていました。練習の強度もわからなかったので、『これはしんどい』『これは大丈夫』って選手たちと話し確認しながら進めてきた感じですね」

そんなレッズレディースとの出会いや就任の経緯を教えてください
「浦和レッズのスタッフの方から話をいただいた形でした。知り合ってからずいぶん時間が経っていましたが、『こういう仕事に興味ない?』という感じで声を掛けてもらったんですよね。最初は彼も本気やなかったと思いますし、僕も『ええわ』っていう感じで軽く返答をしていて。でも、ちょうどそのときにコーチをしていた尼崎市立尼崎高校サッカー部(以下、市尼)が全国高校サッカー選手権大会の予選で敗退して。その試合後やったかな。偶然電話が鳴って、話を受けることに決めました」



立石GKコーチはもともと高校の部活などでコーチを歴任されていますよね
「小学生のころに街クラブでGKをしていたのがサッカーの出発点で、中学のころに漠然とサッカーを教える人になりたいって思っていました。高校入学後も、GKをしながらチーム全体の練習を考えたりすることもあって。その後は大学を途中で退学して母校に教えに行ったり。当時はコーチという職業が確立されていなかった時代なので、アルバイトをしながらいくつかのチームで教えていました。それがコーチとして生活をできるようになったのは、市尼時代。30歳を過ぎたあたりです。でも当時も市尼以外に、高体連(全国高等学校体育連盟)や大学など複数のチームを掛け持ちしていました」

そのキャリアの中で男子の育成年代から女子のトップチームに来ることになりました
「市尼で最後に見ていたチームは、いい選手が集まったいい学年やったんです。人間的にも好きな選手がたくさんいて、とても楽しかったです。サッカーも一生懸命がんばっていました。そのチームでの活動も終わったときに、ちょうど浦和レッズから電話が掛かってきました。一度Jクラブを見てみたかったですし、個人的には、自分も指導者として、育成年代でもJクラブでも、街クラブでもいいですが、チーム全体を見ることができる監督やヘッドコーチをしたい。そういう夢があるので、レベルの高い人たちと一緒に仕事をしてみたいという気持ちになったんですよね」



現在はGKコーチですが、チーム全体を見るコーチとしての活動も考えているんですね
「市尼でもヘッドコーチという立場でやらせてもらいましたし、やっぱりサッカーが好き。GKをしていた経験があって、GKコーチをしていますが、サッカーにしっかりと関わりたいという思いがあります。例えば、ヨーロッパのサッカーも見ますが、チームとしてどう攻撃をしてどう守るか。個々のポジションに役割があって、それをチームとしてデザインしてやってるんやろうなという風に見てしまうんですよね。そのためにトレーニングをオーガナイズして選手たちに落とし込んでいく。そして、ゲームで表現してもらう。それを1週間ずつ積み上げていくと、できひんかったことができるようになったり、今までやっていない戦い方ができるようになったりする。選手一人ひとりの頭の中が変わっていくことや価値観を変えていけるのがトレーニングやと思いますし、指導者として最終的にそういうことをやりたいという想いがありますね」

その考えは、レッズレディースに関わるスタッフが抱いている想いと通じているように感じます
「そうやったらうれしいですが、ここはやっぱりトップチームなので、そこは考えています。これまで僕は育成年代に携わってきて、多少、選手に強く言ってでも気づかせてあげたほうがいいことや思うことはいっぱい伝えてきました。でもレッズレディースでは、そういうことよりも、みんながやりやすいようにすること。同時に、選手たちがメンタル的にも身体的にも調子良く、ケガなくやってもらうことが大切なので、そちらに重きを置いています」
(Vol.2へ続く)

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