News
Face vol.11 今だからこそ問われるものーー高橋はなの覚悟と今の思い

2025/26 SOMPO WEリーグ 第19節 RB大宮アルディージャWOMEN戦から3日後。
2日間のオフをはさみ、再開したトレーニングを終えた後、高橋はなは、インタビュー場所にほどなく現れた。
率直に聞く。
この2日間、どんなことを考えていたか、と。
高橋は、言葉を選ぶように少し間を置いて話した。
「考えることが多すぎてしまいました。言葉で具体的にと言われても難しいんですが、本当にいろいろと考えました」
大宮に敗れたことで、可能性は残すものの、リーグのタイトル争いという意味では、後退してしまった事実がある。
ただ、今季、それは積み重ねたものがないということではない。
「大宮戦に関しては、負けられない試合、ということで、チームとして固くなったところはあったかもしれません。
ただ、ここまでのシーズンで言うと、自分たちがやっていること、表現してきたものについては、良かったと思うことの方が多いです。
もちろん、いろいろなものを逃してしまっているし、リーグタイトルに向けても厳しい状況にしてしまって、悔しい思いをしていることは事実ですが、でも自分たちが向かっているものには、みんなが同じ方向を向けているし、チームとしてやろうとしているもの、表現できる時間も増えていると思っています。
チームとしてのまとまりも強くなっていると感じています」
勝ちきれないことへの思い
その上で高橋は、「ただ...」と付け加えた。
「自分たちがそこで勝ちきれないことがすべてでもあるし、もっと成長し続けなければならないとも思っています」
方向性はよいものであり、いま表現しているサッカーには、自身の成長やチームとしてのパフォーマンスの向上を感じている。
だからこそ、結果で証明しなければならないのにーーー。付け加えた言葉には、そうしたもどかしさのような気持ちが感じられた。
キャプテンとして見えているもの
高橋は、今季、キャプテンを務めてきた。
8シーズン続けた柴田華絵から受け継いだものだった。
時に先頭に立ってチームを引っ張り、時に若い選手たちを後ろから後押しした。
代表活動で、青いユニフォームに身を包んでいるときも、片時もクラブのことを忘れず、クラブがあるから代表がある根底を理解し、そして戻れる場所があることへの感謝を忘れず、さまざまなものを引き受け、背負い、戦ってきた。
だからこそ、感じていることがある。
「日常を変えなければいけない、ということです。大宮戦だけのことではなくて。
監督やスタッフが用意してくれているものを、本当に意味のあるものにできるかは、私たち選手自身の向き合い方にもあると思っています。
私自身、まだまだだから改善し続けなければいけないし、やり続けなければなりません。
その自覚をチーム全体として受け止め、日常を変えていく。そのことが、あらためて大切だと思いました」
ロッカーを出て、すぐに伝えた言葉
高橋がどれだけチームやクラブのことを考えているかを示すエピソードがある。
それは皇后杯 JFA 第47回全日本女子サッカー選手権大会で、伊賀FCくノ一三重に敗れたときのことだ。
高橋は、ロッカーで着替えた後、スポーツダイレクターの工藤輝央とすぐに話をした。
内容は、代表活動を辞退し、チームに残って11月30日のクラシエカップに出場させてほしいというものだった。
高橋は、この試合の後、長崎県で行われるなでしこジャパンの「MS&ADカップ2025」へと向かうことになっていた。
まだ優勝するアジアカップの前であり、彼女が代表でもレギュラーに定着する前の話だ。
工藤は、その思いをありがたいと思いつつも、高橋の選手としての、そして代表としてのキャリアのこと、またクラブの代表として彼女が活躍することは、クラブにとっても励みになり、残っている選手たちにも伝えられるものがあることを伝え、代表活動へ送り出した。
そのときの心境について、高橋は言う。
「自分としてはやっぱり皇后杯でのあの時点での敗退はあってはならないことだと思っていました。
自分が浦和レッズというクラブでプレーしているのに、やってはいけないことをしてしまったという気持ちがすごく大きかったです。
自分にとってこのクラブはすごく大切なクラブだから、タイトルを1つ逃してしまったからこそ、もう絶対にこれ以上は負けたくないし、次のタイトルは絶対に取りに行かなきゃいけないという気持ちもありました。
このチームで見せる必要がある、という気持ちから、工藤さんに伝えました」
家族への感謝に似た、クラブへの愛

なぜ、そこまでこのクラブに愛を注いでくれるのだろうか。
適切に表せる言葉を探すように少し時間を掛けて、高橋は回答してくれた。
「家族とか両親に対していつまでも感謝の気持ちってあるじゃないですか。それと似たものかもしれないですね。
自分がサッカーを続けてきて、1人の人としても生きてきた中で、どんなときも大事な時期、このクラブによっていろんなものすべてを身につけさせてもらい、育ててもらいました。
サッカー人生を振り返ったときも、すべてこのクラブで経験したことで今の私ができています。
このクラブに入っていなかったら代表にも行けていないと思いますし、自分自身も今のようには育ってないかなと思うので、ものすごく感謝しています」
監督が選手に伝えたこと
今週、監督の堀孝史から練習後、選手たちに伝えられたことがあった。
トレーニングの中で、この状況でもタイトルへの強い思いを持ってプレーしている者、そうした気持ちが薄らいでいる者がいることを感じ取ったからだった。
堀は、サッカー選手として、厳しいプロリーグで生きていく者としての大切な部分を選手に問い、伝えた。
ふだん、選手をリスペクトし、選手の自発性を待つ堀にとっては珍しいことだったが、それは高橋が日ごろから感じていた“日常を変えなければいけない”というものに通ずるものでもあった。
「正直に言って、堀さんからの言葉はうれしかったです。
自分たちで変えられるところと、やっぱり誰かに言ってもらって変えていけるところというのがあると思います。
監督がしっかりとチームに伝えてくれたのは、やっぱり心に来るものがあったと思うし、すごく響く選手が多かったんじゃないかと思いました」
「だからこそ、もっと自分たちが向き合わなければいけないし、よりこのチームのために、堀さんのために戦いたいとすごく思いました」
目の前の試合毎にすべてを懸ける
今節はマイナビ仙台レディースとの対戦になる。
高橋はこの試合について、次のように話す。
「残りの3試合、すべてを懸ける思いで臨む必要があります。
だからこそ、一つひとつ目の前の試合に集中しなければなりません。このマイナビ仙台戦に向けて、何ができるかということだけをこの1週間は考えてきましたし、その中で、自分たちが戦う姿勢や全力で、気持ちを入れてプレーするというところを、とにかく示すこと。
その上で、泥臭く、ガムシャラに戦っている姿を見せないといけないと考えています」
そして、続けた。
「その上で、応援してくださっているファン・サポーターのみなさんに、何かを感じ取ってもらえるぐらい表現する必要があると思っています。
私たちがやってきたサッカーを変わらずに表現しながら」
心強い味方のために
実は高橋には、入場する際のルーティンがある。
ピッチに向かう途中、必ずゴール裏をほんのわずかな時間だが、視野に入れるのだ。
「一つはピッチに入ったときに、まずは自分に誓うというか、今日もしっかりプレーしますというのを心の中で唱えるんです。その上で、ゴール裏には心強い味方がこんなにいる、ということを確認して、この人たちのためにもやるぞ、と気持ちを込めている感じです」
ピッチで表現できるのは選手
残りは3試合ーー。
首位との勝ち点差は6に開き、厳しい状況となった。だが、わずかな可能性はある。
こうした状況の中で、自分たちがどんな姿を見せることができるのか。
最後まで目標を追い求める“強さ”が、いま、求められているのだと思う。
高橋は、最後にこう話した。
「ファン・サポーターの方には悔しい思いをさせてしまっていますし、選手として非常に申し訳ない気持ちです。でも、共に戦ってくれると信じていますし、その力が私たちの力になります。
その上で、ピッチで表現できるのは選手なので、私たちがプレーで、何かを感じ取ってもらえるようにプレーしたいです」
厳しい状況に陥ったときこそ、その真価が問われるもの。
高橋はなというフットボーラーの、そして、その仲間たちの見せる姿を、ぜひ注目して見てほしい。
(文・写真/URL:OM)

この原稿は、レッズレディースパートナーであるStoryHub社のプロダクトを活用し、人とAIが共創して作成させていただいております。
StoryHubについてはこちら▶https://storyhub.jp/
【関連コンテンツ】




