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20.10.16

浦和レッズレディース『WEリーグ』参入決定記者会見に立花代表、安藤、南が出席

15日、一般社団法人日本女子プロサッカーリーグより2021年9月に開幕するWEリーグに参入するクラブが発表され、浦和レッズレディースがWEリーグの一員として参入することが決定しました。

この決定を受けて、WEB会議システムを使って記者会見を実施し、立花洋一代表、安藤 梢、南 萌華が出席しました。

浦和レッズレディース、日本女子サッカーにとって非常に重要な1日となったこの日、三者が会見で発したコメントは下記のとおりです。

【立花洋一代表】
「みなさん、こんにちは。立花でございます。日頃は浦和レッズ、そして浦和レッズレディースのためにいろいろとご協力、ご支援を賜りまして、ありがとうございます。本日14時に岡島喜久子チェアから発表がありましたとおり、浦和レッズレディースが来年秋に始まるWEリーグに参入することが決定いたしました。今日はこの参入決定に至るプロセスや我々がどういった形で浦和レッズレディースを運営していくか、あるいは浦和レッズレディースをこれからどのように発展させていくかについて私から説明させていただきます。

まず今回の参入に対しては17チームが手を挙げたと思います。その中で浦和レッズレディースも我々として判断をして手を挙げました。私もこの春から何度かみなさんにお話しさせていただいていますが、浦和レッズというクラブとしては新型コロナウイルスの影響を受けて経営的に厳しい状況にございます。そういう状況でJリーグやなでしこリーグを戦っている中で、来年始まることが決まったWEリーグに参入します。

これまでの浦和レッズレディースをサポートしていただいている数多くのファン・サポーターのみなさんやパートナー企業のみなさん、あらゆるステークホルダーの方のおもいや気持ちを考えたときに、やはり浦和レッズレディースは強くなければいけませんし、未来永劫存在しなければいけないということをクラブのメンバーと話しました。

私はこの参入に至っては、『小さく産んで大きく育てよう』という話をさせていただきました。今回、11クラブでスタートするにあたって、それぞれいろいろな特徴を持ったクラブだと思いますが、今までなでしこリーグで戦ってきた浦和レッズレディースがプロリーグに参戦するということの重みや、そこでやらなければいけないことは、我々は最も理解していると思います。

この新しいプロリーグの厳しさの中で戦っていく。そういった覚悟を決めて参入申請を出しました。今日、岡島チェアから電話をいただき、男女のトップチームを持って安定した経営基盤を持っている浦和レッズ、そういったこれまでの歴史で築いたものに関する評価がすごく高いということもありましたし、これからプロリーグに向けてさらなるグレードアップに取り組んでほしいという話もありました。

浦和レッズ、そして浦和レッズレディースという2つのトップチームを持つ中で共通することはやはり、アジアや世界で活躍していくクラブにすること。また理念においても我々の『豊かな地域社会を作っていく』ということと、WEリーグが表現しようとしている『女性活躍社会を牽引していく』というところでは、非常に重なるところがありました。

浦和レッズレディースは2005年から地元の女子チーム、さいたまレイナスを引き継いで現在に至っておりますが、女子サッカー界の発展と普及に努めてきたという歴史と経験を持っています。そういう中で、我々が誇りとする数多くのファン・サポーターに支えられています。

最近のなでしこリーグの動画配信を見ても圧倒的に浦和レッズレディースの試合の視聴者数が多いことや、昨年の皇后杯の決勝、NACK5スタジアムでのあれだけのファン・サポーターのみなさん、そういったことを見て、我々は必ずWEリーグに参加して、日本の女子サッカーを盛り上げていかなければならないといった使命を負っているんだと感じていました。それをこれから始まるWEリーグにおいて、我々がどういう形で表現していくかということが非常に重要であると考えています。

女子サッカーのここ数年の成績を見ると、日テレ・東京ヴェルディベレーザさんやINAC神戸レオネッサさんがすごく良い成果を上げられています。今年のなでしこリーグについては現在、我々が首位というポジションにいますが、こういった良い流れをぜひとも新しいWEリーグにつなげていければと考えています。

また、事業という面では、先ほども申し上げましたように、非常に厳しい状況ではありますが、私は今のクラブの中でこういった新しいチャレンジをすることについては非常に大きな可能性を感じています。女性活躍社会の中で新たなパートナー企業、そして新たなファン・サポーターのみなさんを獲得できるのではないかと考えています。そういったことを行うためにも事業を今の男子のトップチームとレディースチームをはっきりと区別した中で運営していきたいと考えています。

本日こうして記者会見をするにあたり、みなさんがおそらく質問されるであろう事業に関しましては、我々としてはいろいろなことを考え、浦和レッズレディースにとってピンチをチャンスに変えていくための大きなイベントであり、浦和レッズ、浦和レッズレディースがこれから大きく飛躍していく大きなターニングポイントになるのではないかと考えています。引き続きご支援賜りますよう、心からお願い申し上げます」

[質疑応答]
(なでしこリーグ全体として、もっといろいろな人に見てほしいリーグだと思う。ひたむきさや一生懸命さ、巧さが魅力だと思うが、子供たちや裾野まで届いていない印象もある。もっといろいろな人に知ってもらうためにやりたいと思っていることはあるのか?)
「もちろん今日のこういった参入の発表をメディアの方にたくさん取り上げていただくことで、WEリーグの知名度は上がると思います。そういった中で興味を持っていただける方が増えることも当然あると思いますが、浦和レッズレディースの場合は地元の方にいかにたくさん応援に来ていただけるかということが重要だと思っています。

男子のトップチームは埼玉スタジアムで試合をしていますが、レディースチームは浦和駒場スタジアムを使っています。浦和駅から歩いて試合を見に行く姿に憧れるような、街と一体となった運営をしていくことをまずはやりたいと思っています。

それと同時に、若い女性や少年少女を含めて、新しいファン層、サポーター層を開拓していかなければいけないと思っています。そういう点ではいろいろなものをレッズレディースとして立ち上げていくにあたって、やれることはたくさんあると思っています。レッズレディースに関するいろいろな商品の販売は多くはありませんので、ありとあらゆることにチャレンジしていきたいと私は思っています。

それとは別の視点ですが、やはり女子サッカーのプロチームができると、おそらく子供の夢も広がると思います。特に女の子が憧れてサッカーを始めるのではないかと思います。そういったところもいろいろなことを考えながら増やしていきたいと思います」

(プロ化するということ今所属している選手は基本的にプロ契約に切り替えていくという捉え方でいいのか?また、岡島チェアの会見の中では「各クラブに外国籍選手もぜひ獲得してほしい」という話もあった。そういった強化にどれくらいの予算を使えるのか?)
「ご存知のようにA契約5人、B・C契約10人ということで15人のプロ契約選手を保有するという規定になっていますので、それはもちろんです。今戦っている選手が全員プロになるのかという意味で言いますと、そこはいろいろな考え方の選手がいますので、他のクラブもそうですが事前に選手と話し合い、プロ化に向けてどうしていくのかというお話しをさせていただいています。そういう中で、できるだけ多くの選手にプロになってもらうことが一番いいと思います。

外国籍選手枠の話もありますが、浦和レッズレディースには外国籍選手がいません。過去においては外国籍選手を取ったこともありますし、他のクラブで外国籍選手を取っているのも見ます。ただ、日本のサッカーと海外のサッカーという意味で言うと、なかなかすぐにフィットできるということがなかったり、いろいろな障害があるかもしれません。そこは予算ありきという考えではなく、いかに浦和レッズレディースのフットボールに合うかという視点と、それが強化にどうつながるかということも考えながらやっていくことになるのではないかと思います」

(男子のトップチームと区別するというのはレッズレディースも独立採算になるということなのか?)
「はい。独立採算制と言いますか、自主自立と言いますか、そういった形でやるということは当たり前だと思いますし、そういった形でやらなければクラブとして男子チームと女子チームの切り分けができないと思いますので、それはぜひやりたいと思っています」

(今の女子サッカーリーグは世界中でブームになっているが、日本はなでしこジャパンが高く評価される一方でなでしこリーグは海外であまり注目されていない。WEリーグが世界から評価されるためにクラブとしてやらないといけないことはなにか?)
「私どものクラブからも数名がなでしこジャパンに選出されています。もっと下のカテゴリーでもユースやジュニアユースから良い選手が育ち、各カテゴリーの代表選手になっています。なでしこリーグで上位にいるのもそういった良い選手が育ってきているからだと考えています。

いかにそういった選手を育てる環境を作っていくか。そういったことで言うと、このプロ化によってドライブが掛かっていくのではないかと考えています。そういった選手がたくさん輩出されることになれば、なでしこジャパンの強化にもつながると思いますし、海外にどんどん出ていくような形になる可能性もあります。その逆も当然あるのかなとも考えています」

(Jリーグ全体も新型コロナウイルスの影響を受けているが、そのことはWEリーグ参入に影響があったのか?なかったとしてもこの状況を不安に思うことはあるか?)
「当然、事業計画を作ってWEリーグに提出し、それを認めてもらえなければ参入はできません。我々が今こういう形でやっていることで、たとえばなでしこリーグで良い成績を残しているから、ということではありません。したがって、しっかりとして計画を作り、それを実現するということを評価していただいているという意味で言うと、我々がいろいろなことを考えて自主自立、独立採算という形でしっかりとしたチーム作り、クラブ作りをしていけるというところを見ていただけたのかなと思っています。

幸いなことにまだ1年近くあります。新型コロナウイルスがどういった形で収束するか分かりませんが、もともとWEリーグが平均5,000人のお客様を想定されている中で、我々としてはそれに足りる十分なスタジアムを持っていますし、入場制限などがあったとしてもある程度の収入が見込めるということも含めて計画しています。

そういった自信がなければ参入しません。新型コロナウイルスの影響が大変でこれからどうなってしまうのかという意味での不安はありましたが、やる以上はしっかりとした経営をしていきたいと考えています」

(独立採算制という話を何度かしているが、浦和レッドダイヤモンズ株式会社とは別に法人化するということか?)
「それは可能性としてはあると思いますが、まずは今の浦和レッドダイヤモンズ株式会社の中で検討していることは、レディースを1つの部門として独立させてやっていく、さらにその先にはたとえば分社化、子会社化ということもあるということです。他のクラブさんではそういった形でやられているところと、トップチームとレディースチームで一緒にやっているところもあります。そういったことも含めて、我々としてはよりはっきりさせていく、事業としてトップチームとプロのレディースチームが分かれているということをはっきりさせていくことが大事だなと思っています」

(規定の条件として役職員の50パーセントを女性にしなければいけないと思うが、現状の浦和レッドダイヤモンズ株式会社の社員の人数を入れると女性を相当増やさなければいけないと思うが?)
「担当については『こういう担当を置いてください』という話はしていて、その担当の中で女性が何人いますということで50パーセントという話や、3年以内には役員も女性で、という話があるので、それに向けては当然やらないといけないと思っています」

(プロ契約15人ということだが、選手年俸は今より上がるのか?)
「間違いなく上がります」

(B・C契約でも上がるのか?)
「私ども今のクラブには数少ないプロ契約選手しかおりませんので、そことの比較にはなりません。新たに契約する選手が増えるということですので、当然のことながら選手の人件費が増えます」

(なでしこリーグの観客動員数は平均で1,200人ほどだと思うが、何人くらいの集客で採算は取れると考えているのか?)
「計画上はそこまで多くありません。というのは、新型コロナウイルスの状況で入場制限がありますし、入場制限がある中でスタジアムに足を運んでくださる方はいつもよりも減っている状況です。その人数を増やしていかなければいけないということよりも、観客数以外の部分、たとえば女性活躍社会の理念や浦和レッズレディースが持つ魅力というところで
パートナーのみなさんの協賛金を増やすということをまず考えて計画を作っています」

(新型コロナウイルスの影響を差し引いて、5,000人という集客目標をどう考えているのか?)
「5,000人というのは、WEリーグ全体の平均としてそこを目標にしたいと発表されていると思います。それに向けて我々は5,000人という目標を設定してやらなければいけないと思いますが、逆に今のWEリーグに参加するクラブの中で浦和レッズレディースが持っているファン・サポーターの数もそうですし、地域との関わりということを考えると、5,000人は最低の目標であって、スタジアムがいっぱいになるくらいの熱狂的な試合ができればベストだと思っています」

(今回11チームの参入が発表されたが、同じ埼玉県内で大宮アルディージャとちふれASエルフェン埼玉が加わることになった。埼玉県内で3チームということで地域全体で盛り上げるというプラス面もあれば、人材や需要が食い合ってしまうというマイナス面もあると思う。率直に埼玉から3チームが入ったことについてどう感じているか?)
「大宮さんにしてもちふれさんにしても、現在なでしこリーグで戦っているチームをベースにして積み上げていくのだろうと思っています。何より埼玉が持っているサッカーに対する期待度という意味で言うと、11チームの中の3チームが埼玉というのは『サッカーどころ埼玉』ということを認識する、意識付けする効果があるのではないかと思います。『○○ダービー』といろいろありますが、そういった戦いが数多く見られることを含めて、ファン・サポーターのみなさんが浦和や大宮ということで試合会場に足を運んでくれるのではないかと感じます」

【立花洋一代表】
「今日はお忙しいところありがとうございました。浦和レッズレディースは今、レッズランドというところでトレーニングをしています。昨年のちょうど今頃です。台風19号の影響を受け厳しいで水没したその環境の中で、たくましく練習を重ねて、昨年はリーグで惜しくも2位、あるいは、皇后杯も残念ながら準優勝決勝戦で敗退とと、そういうところまで持っていってもらいました。そして、今年、こういうコロナ禍の中で戦っています。そういう中戦いながらで、なでしこリーグでトップの位置にいられる。こういったことを考えると、やはり浦和レッズレディースにとって、みんなが考えているのは、『浦和を背負う責任』なのかなと感じています。そういったところを来年から始まるWEリーグにおいて、ぜひみていただきたいと思います。よろしくお願いします」

【安藤 梢】
「今日はありがとうございました。私たち浦和レッズレディースがWEリーグ、女子サッカーを引っ張っていくように、日々の練習からみんなでがんばっていきたいと思います。これからも応援よろしくお願いします」

【南 萌華】
「今日は本当にありがとうございました。まずは今年まだなでしこリーグが残っているので、しっかりと順位をキープして、優勝できるようにチーム一丸となってがんばることと、このなでしこリーグでたくさんの方にサッカーを観見ていただけることがWEリーグにつながると思っています。まずは今シーズン、全員で全力で戦っていけたらいいなと思います。ありがとうございました」






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