Join
ONLINE MAGAZINE/REDS VOICE
2004.7.14 Vol.55
VOICE INDEX
[語る会 トップに戻る]

第2回 浦和レッズシーズン2004を語る会

第2部

PHOTO吉田氏:日本経済新聞の吉田と申します。私は新聞記者ですから書くのが仕事で、こういう席で話すのはうまくいかないかもしれませんけれども、チームも、そしてサポーターのみなさんも元気の出る会にしたいと考えておりますので、よろしくお願いいたします。 さっそくなんですが、監督のほうから、ファーストステージを評価していただきたいんですけれども…7勝4分4敗で勝ち点が25、この成績をどのように受け止めていらっしゃいますでしょうか。
ブッフバルト監督:(日本語で)こんばんは。ファーストステージに関してなんですけど、私たちの目標としては、アグレッシブで美しいサッカー、そして、結果の残せるサッカーをやりたいと思っていました。得点は30点入れることができました。ホームゲームではJリーグに関してですが一度も負けていません。ファーストステージで勝ち点25を取った。これは過去最高の勝ち点と聞いております。最初の時期なんですけれど、闘莉王とニキフォロフがけがで出場できなかった。このようなマイナス点もありました。もう1つ加えておかなければならないのは、シーズン前の大切な大切な準備期間に、オリンピック代表選手、それからA代表選手…そういった人たちが参加できなかった、あるいはいっしょに練習することができなかった。そういうなかで、チームとしてはひとつの統一感というものをつかまえて、いいチームになってきたと思います。監督である私の考えでは、非常にいいサッカーもできてきたのではないかと思いますし、結果、順位は3位ということで、満足はしております。ただ、そうは言っても、まだまだ改善点はあると思っていますが、総括すればいいステージだったのではないかと評価しています。
吉田氏:森さんにも伺いたいんですが、優勝したマリノスと勝ち点差が11。この結果をクラブとしてはどのように評価されていますか。
森GM:3位という結果についてはよかったと評価しています。ただ、いまおっしゃったように、3位と2位・1位の差が開きすぎているのが、ちょっと不満ですね。もう少しマリノスとジュビロにくっついた3位というのと…ちょっと開きすぎたということがあるんで…セカンドステージはぜひ…どこが上に来るかはわかりませんけれども…要は、ほんとうの意味での優勝争いを最後までやりたいなと…やってほしいなという気持ちはあります。ただ、内容を振り返ってみますとね、非常にいいゲームもあったし、昨シーズンより魅力的なゲームもあったし、反面、なんでこれ負けちゃったのというふうな試合もあったり…。そういう、非常に不安定な部分も残っていたなという気がしますので、それもセカンドステージに向けての課題だと感じています。
吉田氏:非常にアグレッシブなサッカーを通されたので、サポーターの心にも訴えるものがあったし、Jリーグ全体に活力を与えることもできたのではないでしょうか。
森GM:もちろん、うちがいい試合をやったときのゲームというのは、ほんとうに見ていて楽しいという声を、いろいろな人から聞くので…。そういう意味では、攻撃的な、目指すサッカーができたときのレッズのゲームはすごく魅力的なゲームになっているなと思います。
吉田氏:監督に伺いますけれども、ご自分のやりたいサッカーを、選手に浸透することができましたでしょうか。どのぐらい、監督の考えていることを体現できるようなチームになっていますでしょうか。
ブッフバルト監督:選手の理解度なんですが、私が目指していた、常に前へ前へということ、それから、バリエーションを多くしたサッカー…決められた選手だけがゲームをつくるというわけではなくて、だれでもチャンスがあれば上がっていっていい、攻撃しにいっていい…こういうサッカーをやりたいということを、選手たちは素早く身につけてくれたと思います。もちろん、全員が前掛かりになってしまうのではなくて、だれかが上がったらその穴はだれかが埋めるということ…こういうことができなければいけないとは言っております。ただ、そうは言っても、もっともっと改善していかなければならない点というのはあります。その1つとしては失点を減らすということですね。PHOTOたしかに、闘莉王、ニキフォロフという選手が2人とも欠けていたということはあります。そのうちの1人はいるだろうと思っていたんですけれども、残念ながらけがということで、2人とも欠けてしまったということは大きな影響がありました。また、もうひとつ、気をつけなければならないのは、レッドカードですね。ファーストステージで4敗していますが、そのうち、11人が最後まで残っていて負けた試合は1試合しかありません。早い時間にレッドカードをもらってしまって…ジュビロ戦のエメルソン、清水戦の鈴木啓太、グランパス戦の坪井選手ですね。この3試合で11人全員そろっていたら負けなかったと思うんです。ただ…ほんとうに…これは要望なんですが、審判の方には忠実な笛を吹いていただきたいと思います(拍手)。たとえば鈴木啓太選手のハンドについて、テレビでほかのJリーグもやっていますので私もよく見ますが、あれはイエローで終わっているということがほかの試合でありましたし、エメルソン選手の2枚目のイエローに関しては、ほとんど何もやっていない、あるいはやったあとににちょっと何か言っただけですぐにイエローで退場になってしまう。Jリーグの試合はほとんど全試合テレビで放映されていますし、私も見ていますので…みなさん見ていると思いますので、審判の方には忠実な笛を吹いていただきたい。とくにセカンドステージは公平になってもらいたいということを要望したいと思います(拍手)。
吉田氏:審判の問題なのですが、サポーターの方々からも森さんに質問してもらいたいという声がありまして。ジェフ戦のPKなどはリーグに異義の申し立てをされているようですが、どのような回答がきているのか、また、審判問題について、クラブとしてはどのようにお考えなのか伺えますか。
森GM:みなさんが試合をご覧になっていてあの笛はおかしいじゃないかと思うものは、私たちも同じようにおかしいじゃないかと思っているんですよね。それで、その判定に対しては、試合が終わったら、その試合のビデオをつけて、Jリーグの審判委員会に対して「この判定に対しては異議申し立てを行いたい」と出すわけですが…。いわゆる審判委員会の姿勢というのは…姿勢というか、ルールですけれども…1つの判定に対してこれは正しいとか誤りだとかいうことをコメントしてはいけないという…これはFIFAの世界レベルの方針にのっとった、日本サッカー協会の審判委員会の考え方ということです。あれは間違いだったとか、そういう回答はいただけなくて、「ご提案ありがとうございます。次の審判研修会に大いに活用させていただきます。」と。だいたい、そんな回答なんですよ。近い話ですと、最終戦でしたかね、ジャッジがあまりにもアンバランスで、しかもどこに判定基準があるんだみたいなのが…あまりにひどかったんで、あのときもマッチコミッショナーに、終わってから話をしました。こういうレフェリーがJリーグのレフェリーとして笛を吹くのはまずいんじゃないですかと。ただ、指摘をすればレフェリーがすぐうまくなるかというと、そうではないんですね。そこが問題なんですよ。これは最近の問題ではなくて、何十年も同じことを繰り返している問題なんですね。私なんかの立場でいまいちばん感じることは…。レフェリーというのは非常に聖域化されていまして、試合が終わってもレフェリーには近づけない仕組みになっているわけですよ。何かあったら…判定に異義を唱えたいとかですね…あるいはサポーターの方もそうでしょう…明らかにおかしいので、このやろうと思ってね、石でもぶつけてやろうかなんて…人もなかにはいらっしゃると…。そういうこともありうるので、レフェリーをケアして近づけないようにしているんですよ。それはそれで、試合のときにはみんな興奮していますから、しょうがないと思いますが、一歩離れたときに…監督とか、現場の…チームのスタッフと、笛を吹いているレフェリー…審判委員会の委員長とかではなくてですね…もう少しざっくばらんに話のできる、そういう雰囲気が何とかできないかなと私は感じています。PHOTO話ができれば、もう少し…何というのかな…。試合のとき、レフェリーもけっこうプレッシャーを感じているんですね。ぱっと見ても、ぱっと目をそらすとかね。何か言われるんじゃないかと感じているように見えるんですよ。それをね…「あのときの笛はおかしいんじゃないか」「あれは、ほんとね、ごめんなさい。あれは間違いだった」と言えるような雰囲気になれば、もう少し、ほんとうの意味で現場の意見が本部に伝わって、それを受け入れられるような…そういう雰囲気が何とかできないものかなと感じていまして…。最終戦のあとにもそういう話をマッチコミッショナーにしたんですが、いろいろ…実行委員会…代表が集まる会なんかでも、レフェリーの判定に対する異義がわあっと出てきてですね…うちの代表なんかとくに言ったと思いますが、そういう雰囲気になったものだから、じゃあ審判委員会と話をしようとなったときに、出てきたのが審判委員長とか、レフェリーを指導している立場の人だったので、それではやっぱりね…形式的な話だけだったでしょ。まあ、私は個人的にはそう感じています。これはまた起こりますよ。その都度、みなさんには我慢してもらわなければしょうがない。そういう追いかけっこといいますかね、続かざるをえないのではないでしょうか。あきらめているわけじゃないですけれども、そういうふうに私は感じています。
吉田氏:レフェリーの話になると森さんも監督も熱くなりますので、この辺で次の話題に行きましょう。先ほど監督から失点が多くなってしまうというお話がありました。失点について比べると、マリノスより11点多い24。攻撃的なサッカーをしている以上、これは仕方のないことなんでしょうか。監督に伺います。
ブッフバルト監督:失点に関してなんですけども、攻撃的にやっていると失点が多いというわけではないんです。これは避けられることだと思っています。避けなければ…どんどん失点を減らしていかなければならない。それが我々の改善の第1ポイントだと思っています。ただ、失点の多さですが、その失点がカウンターで取られたのではなく、多くの点がセットプレーで取られたということ…これについてはちょっとよかったなと思っています。というのはですね、このような失点は意外に簡単に避けることができます。いままでに7点ぐらい、コーナーキックやフリーキックから入れられています。それはそのセットプレーのときに…なぜかわかりませんが…マークしている選手がいなくてフリーの状態でヘディングで入れられたりということがあるんですね(笑い)。1対1で、相手の攻撃の選手がよくて抜かれて入れられたというのではなくて、ほんとに、「おかしいな。あいつにはこいつがマークについているはずなんだが、なんでフリーなんだろう…」ということがあったわけです。これは避けなければいけないですし、逆に、避けることが意外と簡単にできると思います。実際、ファーストステージでも、最初に比べると、最後のほうにはそういう点もだんだん改善されてきたと思います。それからもうひとつ、残念ながら個々のミスということがありました。ゲームを組み立てて、これから攻撃にいくぞ、というときにミスを犯してしまって、失点をしてしまったということがありました。これも、個人的なミスですので避けることができると思います。我々がほんとうにゲームで攻撃的にきて、そのなかで、流れで逆襲をくらって失点したことは少ない。選手たちがチーム戦術ができなくて失点したというわけではなく、そういうものはできている。単なる、ちょっとした個人的なミスで取られているということがあります。これはもう選手が集中してやれば避けられると思います。攻撃的なサッカーをどんどん続けていきたいと思いますし、攻撃的なサッカーをやっているために失点が多いのではないことは証明されていますので、避けられる失点はどんどん避けていかなければならないと思いますし、先ほど触れましたように、それがセカンドステージの改善点の第1点だと思っております。
吉田氏:監督、おれがピッチにいれば防げたのになんて思うことも何度もあったんじゃないでしょうか。
ブッフバルト監督:すいません、選手をやめちゃったんで、選手のことはあまり言いたくないんですけれども…。監督として言いますと、選手たちは…いろいろミスもありますが…がんばっていると思います。練習でもみんなよくついてきてくれていますし。ただ、1つだけハンディキャップがあったとすれば…何度も名前が出てきていますが…ニキフォロフと闘莉王という身長のある選手…単純に高さがなかったということが、ちょっとハンディにはなったと思っております。
吉田氏:森さん、セカンドステージも引き続き攻撃的なサッカーを監督はされると思うんですけれども、ファンが楽しいサッカーを展開するという点については、フロントとして理解されていると、当然考えていいわけですね。
森GM:もちろんです。前期の反省を踏まえて…いま、いくつか反省点が出ていましたけど…それがなくなれば優勝ですよ(拍手)。
吉田氏:昨年よりここが確実にアップしているというのはどのような点だとお考えですか。
森GM:監督からもありましたが、攻撃に関してアグレッシブにということと、攻撃のバリエーションを増やしていこうということが、昨シーズンよりも良くなったと思います。これは戦い方の基本的なベースの違い…前監督と現監督との違いというものがありますから、当然、考え方の違いがそのまま試合の戦い方に出ているなと感じています。
吉田氏:けが人が出たり、代表選手…フル代表と五輪代表が離れることも多かったりして、チームづくりは大変だったと思いますけれども、森さんは、チームと代表、両方やらなくてはならないということについてはどのようにお考えなんですか。
森GM:とくに今年は、ギド新監督…今年から監督をやってもらっているということで…準備にも、シーズン入って試合をこなしながらも、1つのチームとしての共通理解を得るのが非常に難しかったと思うんですね。そういう難しさが非常にあったと思います。それと、オリンピック予選とか…これからも続きますが…ワールドカップ予選とかですね…来月にはオリンピック本大会ということで…代表選手がいないというリスクがありますが…。ただ、強いチームになれば代表選手も増えるし、それはやっていかなければいけない。したがって、代表選手になったら、代表に入っていない選手よりも…Jリーグの合間をぬって予選があるとか、当然試合数も多くなって、働く場が多くなって、疲労もたまりやすい環境になっていくんだけれども、代表選手はやはりそれを乗り越えて、自分のクラブでプレーするときも、自分のトップパフォーマンスを発揮できるように、精神的な部分とか、あるいはコンディションの維持管理、体調の管理ということも含めてできるようにならないと、ほんとうの代表選手、一人前とはいえないと思うんです。ですから、いまうちに代表選手がいますが、このファーストステージを見て、やはりそういうところがまだ足りないという気がしますので、これからセカンドステージに向かって、彼らに、がんばんなきゃだめなんだよ、ということを話そうと思っています。
[BACK]  [NEXT]   [語る会 トップに戻る]


Copyright (C) 2004.URAWA RED DIAMONDS