ONLINE MAGAZINE/REDS VOICE
2003.8.18 Vol.52

「浦和レッズ シーズン2003を語る会 第2回」ご報告

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第3部

伊東氏:引き続き進めていきたいと思います。今度は、現場のほうから、ファーストステージをどのように戦ってきたか、そして、セカンドステージ...先ほど、犬飼代表が「優勝」という目標をはっきりと掲げました...それを受けて、セカンドステージをどうやって戦っていくかを中心に話を進めていきたいと思います。先ほど代表にもお伺いしましたが、前回の「語る会」が今年の3月4日にあり、その半月後にエジムンド選手が突然退団しました。そういうショッキングなニュースがあったわけですが、まず、ファーストステージを語るうえで、これは欠かせない事件だと思います。先ほど犬飼代表は「ホームシック」という理由をあげられました。そして、家庭環境などについての事前調査にやや不足な点があったのではないかと、率直な反省の弁を述べられました。その点について、森GMからもう少し詳しく事情を伺いたいのですが。
森GM:そうですね。ホームシックというのもありましたが、はっきりしないところがあるんです。私も本人と何回か話したんですが、これが理由とはっきり言える理由は見当たらなかった。もちろん、家族も来ていないから、彼にしてみれば...家も真っ暗で、そこへぽつんと帰るのは、これはちょっと...練習が終わって帰ってきたら寂しい気持ちになりそうだな、ということはありました。そういう意味で、ホームシックというのは大きな理由の1つだとは思います。しかし、私が思うには、要は、練習にしても自分がやりたいことをやりたいようにやりたい、という気持ちが非常に強かった。でも、チームですからね、サッカーは。ひとりでやるスポーツではないので。そこに葛藤があったと思うんです。そんなことができるわけがないじゃないか、というのがこちらにはある。そういうことも理由としてあったと思います。さきほど代表が反省の弁を述べましたが、そういう間違いがないように、事前に...去年の12月ははじめだか、11月末ぐらいから交渉をもっていたんですが...本人をこっそり浦和に連れてきて、監督とも会わせて、サッカーの話もして...。そういう、契約をする前の下準備というんでしょうか...感触をみるといったステップは、当然踏んでいたんです。そういう準備もして、大丈夫だろうということで契約を結んだのですが、結果的にはあのようなことになってしまった。ある意味では、彼は今年のチームの中心というか、彼を中心として、もっといい、もっとバリエーションのある攻撃のできるチームにしたいと、あの速いエメルソンに、いかにいいタイミングでいいボールを出せるか...出してくれるだろうと期待していましたから、ものすごく残念でした。だけど、そういう気持ちになった本人の状況を見たら、これはもうどうしようもない、と思いました。だから、これは早いほうがいい、早く踏ん切りをつけて次の準備をしなければならないと考えたんです。実際、彼がそういうことを言い出したのが開幕直後でしたから、ほんとうにずっと...思い出すとまた非常に残念な気持ちがよみがえります。
伊東氏:外から見ると、チームの柱が抜けてしまったのだから...あれだけの選手がいるのかなあと思いますけど...そこに別の柱を持ってきて同じ立て方をするのではないかと思うのですが、そういうやり方をしなかったのは、エジムンドに代わる存在はいないということだったのでしょうか。
森GM:いい選手をぱっと見つけて、ぱっと獲得できればいいのですが、なかなかそう簡単にいくものでもない。結果的には非常に残念だったけれど、若い選手が試合に出るチャンスが増えて、その部分ではよかったのかなとも思います。ただ、計算していたチームづくりが最初の段階で崩れたということについては、それが大きな痛手だったということは間違いないですね。
伊東氏:それを立て直すうえで、現場のオフト監督と森GMがどういうふうに話し合われたのか、差し支えなければそれを聞かせていただきたいのですが。
森GM:エジムンドを中心に考えていたのに彼がいなくなってしまったから、また同じような選手を連れてくるということは、その時点では難しかった。私も、監督も、そこであわてて外れの選手をとるようなことはよくないというような話をしました。じっくりと...チームが始まってからつくり始めたというようなところがありますが...チームの状況を見ながらね。私も、3回ほど海外へ行って、状況を見ながら、最終的にはセカンドステージをにらんで、今はミッドフィルダーではなくディフェンダーを優先すべきだと判断して、ニキフォロフ選手を獲得することにしたのです。
伊東氏:ニキフォロフ選手については、はじめからディフェンダーの選手を獲得したいという希望でとったわけですか。
森GM:ええ、ディフェンスが手薄であるということは、最初からありました。日本人選手のディフェンダーの補強ということも考えたのですが、それは結果的には、よそのクラブにとられてしまった。
伊東氏:ああ、それは開幕前ですね。
森GM:開幕前です、もちろん。たとえば、坪井がけがをするような事態になったらほんとうに困る、そういう状態でスタートしていましたから、ディフェンスの強化はチームのニーズだったのです。
伊東氏:わかりました。エジムンド選手の件はもう忘れましょう。
森GM:ぼくはもうとっくに忘れていたんですよ。また、思い出さされてしまいましたよ。
伊東氏:いや...前回の「語る会」からの流れでね...。先ほどのビデオにも最初に出てきていましたからね。先ほども代表と話していたのですが、笑える過去になっているのかな...そういう意味で、現在の成績がまずまずだという証しなのかなと思いました。
では、こんどはオフト監督に伺いたいのですが、ファーストステージを終えてハッピーですか。(場内笑い)
オフト監督:いろいろなことがあったわけですが、そういったところからの切り替えがうまくいったということについて、ハッピーです。タイミングは非常に悪かった。というのも、ゼリッチ選手もけがから復帰できず、山瀬選手の復帰もまだ見込めない状況でした。若手の選手も伸びつつあるものの、予想としてはゴールデンウィークあたりだろうと考えていました。でも、彼らが非常に早く切り替えをしてくれて、パサーがいないなかで、そういう状況をうまくつくり直してくれました。長谷部選手などの成長がそういうことをもたらしてくれたわけで、そういう点では非常によかったと思っています。
伊東氏:パサーという意味では、先日の市原戦で見せたエメルソンへのパスが長谷部選手の成長を示していましたね。もちろん、いいゲームも悪いゲームもあったと思いますが、オフト監督にとってのファーストステージ15試合のベストゲームはどの試合でしょうか。
オフト監督:90分トータルではなく、部分的なのですが、FC東京戦の前半は、パスの通りもよく、よかったと思っています。それにマリノス戦の後半もよかったと思います。
伊東氏:鹿島戦の後半は?
オフト監督:それもよかったと思っています。しかし、負けてしまいましたからね。
伊東氏:セレッソ戦のあと、大原に取材に行ったことがあって、「ベースボールゲームみたいで面白かったよ」と私が言ったところ、監督の目がまじで怒っていました。思い出したくないのは、あのゲームですか。
オフト監督:いや、忘れてはいけないゲームだと思っています。あれだけ早いうちに3−0でリードしておきながら結果的には負けてしまうというのは、私が指導しているグループの選手たちが何らかの悪いシグナルを送っているということだと受け止めなければなりません。3−0でリードした時点で、私がベンチから立ち上がって指示を出さなければならないほど、選手たちの様子がおかしかった。何人かの選手はもう「大丈夫」と満足しきってしまって、集中を欠いていました。そういうことではいけないし、あってはならないことでした。
伊東氏:たとえば、ジュビロにいたドゥンガのような選手がいたら、ああいうことは絶対に起こらないのではないかと思うのです。リーダーというか、ゲームの中で戦局を読める選手がいないということは大きな問題ではないですか。
オフト監督:状況によってはそうだと思います。リーダーがいれば、調子が悪いときには悪いなりに戦ってなんとかハーフタイムまでもたせて、そこで後半に備えるということができるでしょう。ただし、あの試合においては、リーダーがいなかったということより簡単に集中を欠いてしまったことが問題だったと思っています。そういったことを確認して、集中を欠かさないで戦うということを身につけていかなければなりません。ときとして、調子が悪くて悪いゲームをやってしまうということはあります。しかし,集中が欠けたからというのを言い訳にしてはいけない。調子が悪くていいゲームができないとしても、集中は欠いてはいけないのです。
伊東氏:その教訓は生きていると思いますか。その後あのようなゲームはしていないのですが、そういうところで、進歩が見られていますか。
オフト監督:ええ。間違いないと思います。
伊東氏:どうも、大阪のチームが苦手なのかなという気がするのですが...その後も、ずいぶん面白い試合がありました。(場内笑い)ガンバ戦のああいった展開については、原因は集中力ということではなく、ほかにあったのでしょうか。
オフト監督:とにかく90分最後まで戦わなくてはいけない。でも、忘れてはいけないと思うのは、我々のチーム、グループには若い選手が多く、経験が少ないということです。彼らに学ばせなければいけないわけですが、学ぶには経験をしなければなりません。ですから、いろいろあたふたする部分もありますが、若手の成長という点では、グループとして成長していると思っています。
伊東氏:わかりました。それでは、今のお話も踏まえて、セカンドステージはどうやって戦うか、新外国籍選手についても含めて話を進めていきたいのですが...ぼくが1つ気になっていることがあります。エジムンド事件の陰に隠れていますが、エメルソンも来日や合流が遅れたり、コンディション不足だったりということがありました。その話をあるクラブの関係者としたところ、うちでは考えられない、必ず期日までには来る、それが契約というものだし、仕事というものだということでした。それは考えてみれば当たり前のことなんですが、選手、とくにブラジル人選手の管理という点で何か問題はないのかなと思うのですが、それについてはどうですか。
森GM:あります。問題が。だから、しょっちゅう、苦労していますよ。
伊東氏:やはり、言うことをきかないのですか。
森GM:ほんとうに、自分が悪いことをしたという意識が...そのときにはあるのでしょうが...ころっと忘れるようですね。(場内笑い)開幕に遅れたときも、罰金をほしいわけではないが、取らなければということで...取りました。それでも、この間の中断のときも結婚式で帰って、また遅れて帰ってきて、また罰金を取らなければならなかった。本人はちょっと罰金を安くしてくれなどと言いましたが、そうはいきません。そういう繰り返しをやめてくれと、罰金を取ることではなく遅れないようにすることが大事なんだよと、何回も言うんですが、繰り返すんですね。その後も、練習にも2回ほど遅れたことがありました。それで、いたちごっこのようですが、その都度話していくしかないと思っています。まだ若いということもあります。ブラジル人だからとは、私は見ていません。ブラジル人がみんなそうだということはけっしてなく、ブラジル人だって、集団生活をするうえで立派な選手はいくらでもいる。ただ、いま言ったようなことが、改善されないという現実はあります。
伊東氏:少しはよくなっていますか。
森GM:まあ...ちょっとはよくなっている...と...思います。
オフト監督:ちょっと話していいですか。彼に言ったのです...目覚し時計は、たぶん1000円ぐらいで買えると思います。罰金は2万円ぐらいかもしれません。どっちが安くつくか、ちょっと考えたらそんなに難しいことではないと思います。
伊東氏:そうしたら、彼は何と言いましたか。
オフト監督:ううううう〜〜〜ん。(場内爆笑)彼は21歳の若者ですから。そういう選手を教育していくのも我々のキーポイントだと思いますし、社会性を身につけさせることも我々の責任だと思っています。子どもたちがみんな同じかといったら、そうではないと思いますし。
伊東氏:わかりました。では、エメルソンの話も忘れましょうか。(場内笑い)
森GM:彼はいいものをもっています。プレーヤーとしてのね。それを存分に生かしてもらいたいという気持ちは当然あるのです。ただ、行儀が悪いという点もあわせもっていますので、その点を、私としても、こちら側に向けていかなければいけないと思っています。
伊東氏:セカンドステージの話に移りたいと思います。その前に、ファーストステージの、7勝5敗3分けの6位という成績については、オフト監督はまずまずと考えていますか。
オフト監督:いろいろあったなかで、それからの切り替えとしたならば、よくここまで立ち直ったと思います。そういう部分での立ち直りはよかったと思います。そういう意味でもセカンドステージはファーストステージ以上の成績を収められるようにがんばりたいと思います。
伊東氏:そのうえでロシア代表のディフェンダーであるニキフォロフ選手を獲得したわけですが、監督ご自身は彼についての情報は持っていたのでしょうか。
オフト監督:たくさん持っていました。去年、ロシア代表が合宿をしていたJステップにも行きましたし、そういったところにおいての情報も持っていました。そのときにも話をしたのですが、その時点では移籍は不可能でした。みなさんの知らないところでは、いろいろとそういう動きをしていたわけです。
伊東氏:そうすると、彼は監督の意中の人だったということですね。
オフト監督:そうです。彼は速いし強いしバランスがいいし、精神的にも安定した選手です。欲しかった選手です。
伊東氏:それでは、単に1人のディフェンダーの補強というだけでなく、精神的な強さとかさっき言ったリーダーといった存在になれる選手なのでしょうか。
オフト監督:そうですね。我々としては、いい選手というだけでなく、性格がどうであるかがとても重要だと考えています。彼は性格的な部分においても若い選手たちの手本になれるような選手だと思います。ほかにも、若いけれど精神的に安定している選手の代表として坪井選手がいると思うのですが、そういう選手たちの精神的に安定した部分というのは手本になるところではないでしょうか。
伊東氏:ニキフォロフ選手はナビスコカップから出るのでしょうか。
オフト監督:様子を見てですね。(場内笑い)チャンスは大きいと思いますが、土曜日に練習試合を組んでいますので...まあ、台風が来るか来ないかにもよりますが(場内笑い)...そこでフィットしているようであれば、水曜日に試合に出る可能性は高まると思います。ナビスコカップ自体も、我々にとっては1つのボーナスだったと思います。今年のナビスコカップの戦い方を見たならば、ここまで来るのはかなり難しかったですから。
伊東氏:そのナビスコカップの準々決勝の試合のあと、いよいよセカンドステージですが、セカンドステージの開幕戦、今新外国籍選手の話もしましたが、チームのメンバーはファーストステージと何か変わってきそうですか。まあ、こんなことは正直には話してもらえないと思いますけれども。きょう、ここにいる人たちだけにね、変わりそうだよというところがあれば、話していただけませんか。(場内笑いと拍手)
オフト監督:(小声で)メイビー。
伊東氏:1人だけ名前をあげてしまいますが、ゼリッチ選手の使い方というのは、今後はどうなるのでしょうか。
オフト監督:ゼリッチ選手は、来日当初のことから考えると、けががあったりで不運に見舞われていたわけですが、今の調子を見たらこれまでと同じポジションでプレーする可能性もあると思います。ですから、別の言葉で言うと、選手層が去年に比べるとかなり厚くなって、16人から18人の中から選手を選べるぐらいになりました。それによって、ライバル心をもち、ポジションにかける意気込みも変わってきていると思います。そういう部分も含めて、ポジションが変わる可能性もあるかもしれないし、いままでのポジションのなかで、いろいろな可能性をもった戦い方ができるようになると思います。
伊東氏:去年の2月に、鹿児島のキャンプで話を聞いたとき、「坪井は2年後に代表になる」という話をしました。その予測よりずいぶん早くジーコ監督のもとで代表になったわけですが、山田選手、永井選手も含めて、チームから代表選手が複数出ているということについては、チームにとって好影響というのはあるのでしょうか。
オフト監督:坪井選手が加入したとき、この選手は1年半とかいった早いうちに代表になるだろうとは思っていました。その課題をこなす早さ...ものの覚えが非常に早い選手です。そうやって代表に呼ばれて彼らが得るもの...長い期間を経なくても...があります。いろいろな相手と試合をやることで、タイプの違うサッカー、タイプの違う相手、汚いプレーのなかでプレーしなければならないことなど、いろいろな体験ができて、それをまたチームでのプレーで生かすことができると思います。逆に、悪い部分もあると思います。代表から自分のクラブに戻ったときの切り替えは、1つのボタンをポンと押せばいいというようなわけにはいきません。自分のクラブでプレーをするうえでの集中力を高めるにはそれなりに時間がかかります。それはジュビロで選手を送り出したときに感じたことがあります。コンフェデレーションズカップが終わったとき、各選手に何を学んだかを尋ねてみました。そのとき、いの一番に返ってきた答えは,「早く判断すること」というものでした。「判断をすると同時に、そのプレーを決断することが早くなければいけない」と言っていました。それに加えて、2つないし3つ先のプレーを考えていなければいけないということでした。
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