ONLINE MAGAZINE/REDS VOICE
2003.2.22 Vol.49

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力を100パーセント発揮すれば、トップ5は望める

オフト監督に2003シーズンを聞く

★継続性。チームを強くするために重要な要素であり、これまでのレッズに欠けていたもの。2年後、3年後を見通した上での1年目が昨年ならば、1年目を土台にした上での2年目が今季だ。トップ5という具体的な目標を掲げた浦和レッズの現実はどうわれわれの前に広がっていくのか。オフト監督の「マジック」ではなく、「ロジック」を聞こう。


良い状態で練習のスタートを切った

―オーストラリアキャンプまでの約3週間の練習で、手ごたえはいかがですか。

オフト監督(以下、O) 選手たちは、ほとんど自分たちの力を出し切るようないいトレーニングができていますし、フィジカル的にしっかり効果を挙げることができました。

―今季は、選手たちは、ブラジル人を除いてみんないい準備をして練習開始を迎えたように見えましたが。

 そうですね。ほとんどの選手は非常にいい形で体調を整えてきたようです。何人かの選手はまあまあでした。3週間を終えて、そういう差は見られなくなり、みんな良い状況だと思います。

―何かホームワークの課題を出していたのですか。

 選手たちには、12月いっぱいは体を休めるよう言いました。年明け早々からランニングなど持久的な部分を上げていくように、それと筋力トレーニングを週に4回程度を行い、練習が始まる前には週に6回ほどに増やしていくように、指示しました。持久力を上げていくには時間が必要で、それがある程度できていれば、次のステップに移しやすいのです。それがスムーズにいきました。

―オーストラリアのキャンプではどういうことをやる予定ですか。

 体力的な部分に関しては、スピードを付けたりとかリアクションを早めるなどのトレーニングをやっていきます。選手たちも、それを極めていくための肉体的な準備はできていると思いますから。後はどういうフォーメーションをどういう組み合わせでやっていくかを決めたいと思います。この段階では、個々の選手のレベルを上げていかなければなりませんから、戦術の部分でポジショニングの問題とかを細かく言うことも出てくるでしょう。
 ネガティブなことを言えば、エジムンドとエメルソンがどれくらいの体調で合流してくるのかがわかりません。ポジティブなことを言えば、山瀬がキャンプの中でボールを使ったトレーニングができそうです。復帰のメドはまだ言えませんが。

最低あと1人の選手は欲しい

―昨年1年間を土台として2年目の今年はどこまでチームを持ち上げるのですか。

 昨年は、多くの成長の過程は見受けられたと思います。しかしもっと高いレベルでの安定感が必要ですし、たとえばパスの質を上げていくということなどを考えてみてもブラジル人選手の力は欠かせないでしょう。今年は最終的には年間順位でトップ5に入るところまで持っていきます。みんなが力をきちんと出し、アンラッキーなこと、ケガ人が多くなることや出場停止などがなければトップ5以上は望めると思います。しかし最低でも選手をあと1人獲得しなければならないと思っています。

―それは、どのポジションで、ですか。

 中盤かバックラインで、真ん中より左側の部分、と言っておきましょうか。

―選手の数がかなり少なくなりましたが、若い選手の育成について考えを聞かせてください。

 38人では多すぎるのは間違いないと思います。少数精鋭でなければいけないということです。そしてトップチームに入れない選手とユースの選手を合わせて練習や試合を行い、柱谷コーチの元でトップチーム入りを目指してもらおうと思っています。しかしサテライトリーグの公式戦12試合だけでは不十分です。その倍以上の、単なる練習試合ではなくプレッシャーのかかった試合が必要です。

―福田、井原のような経験があり、精神的にも柱だった選手が抜けたことをどうカバーしていきますか。

 そういうことに関してすぐに穴を埋めるというのは本当に難しいと思います。特に福田は長年にわたってチーム足跡を残した選手ですから、すぐに誰かが代われるものではないでしょう。プレーの面でのギャップは、山瀬がしっかりフィットした状態になれば埋められると確信していますし、長谷部も去年よりもっと大きく成長するとは思いますが。
 しかし福田や井原の功績というのはグラウンドの上だけではなくて、グラウンドを離れたところでのものも大きかったと思います。これは誰かが埋めるというより全員がそういう気持ちでいることを望みます。

レッズはそれぐらいの力がついた

―昨年は、少し手を伸ばせば届く目標を掲げて、それを達成したら次を目指す、という考えをうかがいました。

 去年はいろいろなことがあり、すべてのことを見回した上で、とにかく降格圏内を脱してその先が見えたらさらに考えよう、という状況でした。

―今季は初めから高い目標を掲げると。それは、レッズはそれぐらいの力がついたということですか。

 もちろん、そうです。今年は自分たちが立てた目標に到達するということをしていかなければならないと思っています。

―勝ち点でいうとどのくらいが5位以上の目安になりますか。

 それはわかりません。今季は優勝候補として、ジュビロ、アントラーズ、ガンバ、マリノスなどが挙げられると思います。これだけでも、もう4つですね(笑)。その中にレッズが入っていくと考えれば良いのですが、そういう意味では4チーム、5チームで優勝が争われるようになれば、Jリーグのクオリティも上がるでしょう。その結果、勝ち点が何点になるかはまだわかりません。

―昨年後半の連敗に見られたメンタル面の弱さは克服できるでしょうか。

 メンタル面が弱いとは思いません。去年は選手たちにとっていろんな出来事が多すぎました。勝ち続けて首位にも立ったり、ナビスコカップの決勝も戦うなどして、自分たちの力を出し切ってしまったということだと思います。しかし、それは若い選手たちにとっては非常にいい経験だったはずです。

―実際にピッチ上で展開されるサッカーは、昨年と変わったものになるのでしょうか。

 選手同士、お互いのやることに共通理解が高まって、ファイナルパスがもっといい形で出てくるようになるでしょう。

―選手に要求することは何ですか。

 プロの選手としての姿勢を見せてほしいです。疲れたらマッサージをする、グラウンドでコーチの話を聞く。そういうときだけでなく、24時間サッカーのことを考え生活するような。選手たちは自分のスペシャリティを仕事にしている訳ですから、常にそういうことを頭において気を使いながら生活していくことです。

―レッズの監督を1年間続けてきて、一番楽しいことはなんでしょうか。

 選手たちの成長の過程を見ているのが大変楽しいです。個々の選手が上がっていくことによってチーム力も上がっていく訳ですから。


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