ONLINE MAGAZINE/REDS VOICE
2003.2.22 Vol.49

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トップ下の補強で攻撃が多彩になる!大関になって優勝を狙う力をつけよう

森孝慈ゼネラルマネージャーに聞く

1年目の土台作りは進んだのか

―去年の目標であった、チームの土台作りというものは、1年でどこまで進んだと見ますか。

 レッズには、チームの規律がしっかりできることがまず必要でしたし、こういうサッカーをやるぞということを選手にしっかり理解させることが大事でした。その点は進んだと思います。選手は、オフト流をほぼ理解してくれました。逆にそれにそぐわない選手は外れていった。そういう1年だったと思いますね。
 選手もプレーの基本がわかってきて、身についてきたと思います。去年はチーム戦術をあまり多くやらないで、その前段階のグループの意識とかを中心にやってきましたが、今年は、そのチーム戦術というものが一歩進むと思うんですね。だから土台作りという意味ではまあまあの成果が挙がったと思いますね。

―昨年の勝敗や成績に関しては、どうご覧になっていますか。

 成績については、勝ち点でもう10点ぐらいは取りたかったですし、取れた可能性は十分あったと思います。順位では、年間7位ぐらいは、としていたんですが11位ということで、少し足りないな、という部分が残っています。
 1年間を見ると2ndステージの9節まで負けないでいって、一時はトップにも立ち、これはもしかしたら優勝争い、という期待感を持たせる時期がありましたが、それから逆に6連敗してしまいました。当然、要因についていろいろ考えますが、経験の足りなさというものもあったでしょう。長丁場の中で気持ちをいかに高い位置で維持していくかということですね。それが9節をピークにだんだん落ちていった。ちょうどあの時期にナビスコの決勝が重なって、選手たちも何とか優勝したいという気持ちが強かっただけに、ああいう結果に終わった反動というのもあったでしょう。

大量放出と大型補強。この背景は

―今季の補強ポイントは何だったのでしょうか。

 今年は攻撃にバリエーションを付けなければならないし、当然それができる選手を取らなくてはならないというのがポイントでした。パサーとして局面が見えてトップを生かせるということで、エジムンドとトゥットを換えた方がチームとして、より良いバランスが保てるだろうと考えました。もう一人は山瀬で、日本人選手として将来非常に期待できる若手ですし、彼を何とか取りたいと思いました。そのポジションの補強に大きな精力を傾けました。
 さらにDFもMFももう少し厚くしなければならないということがありましたが、そこがまだ成功していません。補強という面では悔いが残るところなので、今シーズン中も常に狙っていきたいと思います。

―昨年末、レッズとしては異例とも言える大量の選手放出を行いました。この背景は。

 トップチームは少数精鋭にしていこうという考えがあります。去年は36人いた訳で、全員がいっぺんに練習するには厳しい。足切りが出てしまいます。それをサテライトと位置づけて別にトレーニングしていた訳ですが、昨年はそういう姿が最初からわかっていたので、それでやるしかなかった。しかし本来は少数精鋭でやりたいということです。
 これまでのようにサテライトの選手を1チーム分くらい抱えるか、というと、今のサテライトリーグはクラブによって取り組み方がまちまちで、ユースの選手ばかり出してくるところもあるし、試合数も10試合ちょっとしかない。若手を育てるときにもっとモチベーションを上げやすいような環境があればもう少し選手の数を増やしてもいいのですが、それは難しいですね。

―選手の質と量という二つの観点から、現状のままで今季1年間戦い続けられますか。

 今年に関しては30から32人くらいを考えていたのですが、何人か狙った選手が取れずに結果的に28人になっています。ですからオフト監督に、少し足りないなと思わせる結果になっています。ケガで何人かが出場できなく場合もあるし、後半は五輪の予選で選手を抜かれるということもはっきりしていますからね。そういう面からも、シーズンが始まってもさらに補強はやっていきます。

ポスト福田・井原。チームの核は

―中長期的なチーム強化の方針はいかがですか。

 移籍による補強は、その選手が来ることによって必ずチームにプラスになるような選手、「代表クラス」と言ってもいいですが、そういうレベルを基準にしていきます。緊急避難的な補強は別にして。
 やはり柱となるのは若手を自前で育てていくことです。ユースを充実させて自前の選手をトップに入れていきたい。レベルがもっと上がれば、場合によってはユースの選手がトップに出られるような、そういう図式に持っていきたいのです。しかしこれには何年かかかります。これまでのように、練習に通える範囲に住む選手だけでやっていては、上につながる選手がそう簡単に増やせるわけではない。能力のある選手を県外からでも連れて来るということです。そのマネージメントも含めて軌道に乗せていきたいという考え方があります。
 高校や大学から取る選手は、1年後くらいには戦力として確実に計算できる選手に絞っていきます。2002シーズンのように10人も新人を取るということは考えていません。

―福田、井原というベテラン選手がいなくなり、チームの核はどう考えていますか。

 これは、今年にせよ来年にせよいつか必ずそういう時期が来る訳ですが、本当に名実ともにチームの核が抜けたということは、今年のチームに足りないものとして、誰がそこに座ってくれるかという心配はあります。キャプテンをどうするかということで、オフト監督には腹づもりがあるようですが、レッズの場合は福田、井原の次の年代が少ない。また、その年代の選手がチームを引っ張っていくタレントとして適任かと言われればそうでもない。しかし下の年代にはそういう意識のある選手も見られます。ですから、ある1人の選手がリーダーになってみんなを引っ張るという図式とは違った形になることもありますね。

―福田、井原がいるうちにそういう存在を作っておけなかったのか、という声もありますが。

 今の環境になって初めて、そういう要素を持った選手が芽生えてくるということがあります。選手にはリーダーを支えるフォロアーというタイプと、年齢に関係なく「チームはこうあるべきだ」と言って引っ張っていくリーダーのタイプと、二通りがあるんですね。本来のフォロアーはずっとフォロアーなんですが、リーダーになれるものでも、他にリーダーがいるとフォロアーに甘んじている。しかし今のリーダーがいなくなると、そういう要素が芽を吹いてくるということがあるんです。

今季は何を目標とするのか

―今季の目標を「チームの成熟」と「成績」の観点から挙げてください。

 前者から言いますと、チームが優勝に向かっていく自力を付ける、ということです。言うなれば、まず大関になろうと。今が小結なのか前頭なのかわかりませんが、大関になって年間トップ5になれる自力を付けたい。5位以内に入るということは優勝を狙うチャンスが必ず出て来る訳で、4つのタイトル(Jリーグの各ステージ、ナビスコカップ、天皇杯)のうち、どれかは狙えるレベルです。「毎年優勝を狙う」と誰もが確信を持って言える横綱のレベルにならなくてはならないのですが、2003年に関しては大関になるのが目標で、それを順位で言うと年間5位以上ということになります。

―3年後に優勝、という目標は昨年の今頃うかがった訳ですが、犬飼代表は昨年6月の就任直後に「3年も待てない。来年だ」ということをおっしゃいました。つまり今年優勝ということなんですが、それとの整合性はいかがですか。

 とにかく優勝を狙えということで、補強などに関するバックアップは本当に大きかったですね。欲しい選手をリストアップすると予算が少し足りない。そういうときに、「よし、行け!」と決断してくれたのはありがたかったです。犬飼代表はそういう風を吹き込んでくれたと思います。結果として百点ではありませんでしたが、何とか一つはタイトルを取りたいという姿勢で今季の強化に臨んだことは間違いないです。

―今季のレッズはどんなサッカーが見られるでしょうか。

 守備に関しては数字的にも一昨年と比較してみて、安定してきたといえます。最後に6連敗したときも失点はほとんど1でした。守備がズタズタになったことはありません。しかし逆に攻撃で言えばもうちょっと局面を変えるバリエーションをプラスしたいというのが今年の課題でした。ですから今年はエジムンドが入ってきて、途中から山瀬が復帰してくる。トップ下の選手が入ってきたことによって、バリエーションが必ず増えてきますから、攻撃面で面白いサッカーを見せてくれると期待しています。オフト監督ももちろんそう考えています。


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