MENU

NEWS

ミシャ監督 北海道コンサドーレ札幌戦試合後会見

明治安田生命J1リーグ第8節 vs北海道コンサドーレ札幌 試合後のコメント

「勝利するという、我々の目的は達成されたと思います。いいゲームをできたと思っていますし、試合の中で多くのチャンスが作れたと思います。札幌が2-3という際どいスコアで戦った、その結果だけを見れば、みなさんは札幌ががんばったと思われるかもしれませんが、内容を見れば、我々のチームが違いを見せられたゲームだったのではないかと思います。

相手がしっかりとブロックを作って、自陣に引いて守ってくる中で、得点チャンスを作るのは、決して簡単なことではありません。その中でも我々は十分に、得点できるチャンスの数は作ることができていました。それらを決めきる決定力も、今後は上げていかないといけないと思いますけど、試合の内容だけを見れば、7-0で勝った仙台戦に近いものがあったと思います。レッズに対して失うものがない戦いを挑んできた札幌に対して、これだけの試合を見せられたのは、私自身はよかったのではないかと思っています。

昨日の記者会見でもコメントしましたけど、Jリーグは、各チームの力が非常に拮抗しているリーグです。毎試合、どこのチームがどこのチームと対戦しても、どちらが勝利するか分からないような戦いが常に繰り広げられ、どちらが勝利するか分からないような結果が出てくるのが、Jリーグです。今シーズンは、FC東京や鹿島が少し、選手の質、あるいは選手層で抜けている感があります。そして下の5チームくらいは、もしかしたら選手層や質で少し劣る部分があるかもしれません。ただ、残りの10チーム、11チームは、各チームの力が同じだと思いますし、10パーセントも違っていないと思います。そういうところを見れば、いかに毎試合毎試合が非常に厳しいゲームなのかが分かると思いますし、今節の結果をご覧になっても、理解できるのではないかと思います。

札幌は、広島にもFC東京にも勝利し、川崎にも引き分けている、強いと思われるチームに対してもいい結果を残しているチームです。選手のクオリティー、選手層の違いというのを、走ること、戦うことで十分補っていると思います。Jリーグというのは、その部分で言えば、本当に各チームの力が拮抗していると言えます。甲府も、非常に優れた外国籍選手、経験のある日本人選手がいます。J1というのは、どこを見渡しても、それぞれのチームにしっかりとした戦術があり、しっかりと走り、戦うことをしてくるチームです。だからこそ今日のゲームも、我々にとっては決して簡単なゲームではなかったと思いますし、そういう中で、今日の目的が達成されたことは、よかったのではないかと思っています。

浦和レッズの強さは、チームのコンセプトの元に、選手それぞれが自分の役割を担っているところにあります。それぞれの選手が自分勝手なことを始めてしまったら、我々の強さはなくなってしまうでしょう。武藤選手は以前、仙台ではあまりレギュラーとして出られていなかった選手であり、駒井選手はJ2から来た選手です。そういう選手であっても、自分の努力で、今の浦和レッズのレベルまで成長していますし、チームの戦術を理解し、自分の役割をそれぞれの選手が果たすことによって、レッズの強さが生まれると思います。我々の選手に、他のチームの選手と比べてスーパーな質があるかと言えば、私はそうは思いません。ただ、それぞれの選手がチーム戦術をしっかりと理解した中で、自分の役割を担っていくからこそ、個が評価される状況が生まれているのだと思います。我々のチームで、自分がいい選手だと思って、自分勝手なことを始めれば、おそらくチームはバラバラになって、我々の強さが発揮されることはないでしょう。

相手がしっかりと守って、ブロックを作って守備を固める中で、全員が意図的に連動して動き、ボールを動かし、崩して得点していく、チャンスを作っていくというのは、見ているほど簡単なことではありません。それはやっている選手たち自身が、一番分かっていると思います。たとえば、サイドチェンジから宇賀神選手が折り返したボールが相手GKにいってしまったシーンがありました。しっかりと折り返せていれば、おそらく得点になっていたと思いますが、そういう形を意図的に作り出したことに、私はすばらしさがあると思います。その中で、精度よく決めきる場面も、もちろん作れると思っています。ただ、大事なのは、みんながしっかりと同じ絵を描きながら、攻撃を組み立て、崩していくことだと思います。

今日はたくさんのチャンスがありました。その中で、決めなければいけないようなシーンも、もちろんあったと思います。ただ、ああいうシーンをたくさん作れていることが重要だと、私は評価しています。

たとえば、手でパスをつないで攻撃を組み立てようとしたとしても、相手の守備を簡単に崩せることはあまりないでしょう。私がかつて出会ったすばらしい指導者は、そう表現していました。それを我々は、手を使わずにやっているわけですから、時々ミスが起こったり、疲れている中で精度が落ちてしまったりすることも、もちろん出てきます。ただ、そういう中でも自分たちが意図的に、みんなが連動して、あれだけのチャンスが作れています。おそらく今日は7回くらい決定機があったかと思いますが、それぐらい優れていることについて、私は選手をリスペクトしていますし、今日は非常によくやってくれたと、褒めてもいいのではないかと思います」

【質疑応答】
(前半は差を見せられたと思うが、後半はバタバタする時間が長かったと思う。今日の後半は少し規律に問題があったのではないか?)
「今日のゲームは、選手たちもイライラの募ったゲームだったのかなと、印象に残っています。私も長く監督をやっていますが、こうした相手、こういった試合展開の中で、チャンスを作っているのに得点を重ねられない、あるいは自分が動き出したところでミスが起こってボールが出てこないことというのは、試合の中ではあります。その中で選手がナーバスに反応してしまう、イライラしてしまうことはもちろんあるでしょう。そこは選手に理解を示していますし、その中でもしっかりと結果に結びつけたことは、私は評価していいと思います」

(札幌は引いて守るだけでなく、ボールにかなり食いついてきていたが、レッズはその裏をうまく使って攻撃していた印象があった、そのイメージについては?)
「まず、我々の日々のトレーニングが、今日の試合の中でも生かされていた、ということです。毎日のトレーニングの中で、繰り返し繰り返し反復するシチュエーションが、今日のような状況をうまく生かすことにつながっています。選手にとって、それを繰り返してやっていくことは、簡単ではないと思います。味方が落ちる、その選手に相手が食いついたスペースに出て行く。それはボールの出し手とのタイミングがあり、早く動きすぎても、遅く動きすぎてもいけません。そういうことは、選手たちの共通理解がないと生まれません。もちろん、我々は試合前に、相手の3バックが比較的ボールに食いつき気味にくることを理解していましたし、相手の3バックの選手にそこまでスピードがないことも分かっていました。その中で、いかに意図的に相手の3バックの選手を引き出して、その裏を使っていくかについては選手たちに伝えていました。その中で、選手たちがうまくチャンスを作っていた部分もあったと思います。ただ、それも状況です。もし来なければ、ターンして前を向くように指示も出していました。そういった状況判断は、トレーニングの中で生まれています。練習ではうまくいったからといって、それをすべて褒めることはありません。たとえば関根選手がトレーニングの中でシュートを決めたとしても、もっといい状況の選手が見えていたか見えていないかというところを、私は選手に問いかけます。もし見えていなければ、私はそのシュートは、決していい判断だったとは言いません。もちろん、シュートはいいんです。ただ、両方を見えた上で、しっかりと正しい判断をしなさいと、選手には求めています。トレーニングの中で、結果がよければそれでいいということは求めていません。その状況の中で、最善の選択肢はどこにあったのかを、常に選手に問いかけています。選手自身はそうした状況判断をしっかりとした上で、自分のプレーを選択しないといけません。

見えていた上での判断です。シュートなのか、パスなのか、選手の判断はリスペクトしますが、見えていないでその選択をしたのでは、それは決していい判断ではなかったということです。

選手がより選択肢を持ってプレーできるというものを、私は監督として選手に与えなければいけないと思います。その中で、選手がどれを選択するかは、選手自身のものであり、そこにリスペクトしています。それがいいのか悪いのかは、外から見ている私が、選手に対して常に問いかけていかないといけません。そうした状況判断が、試合の中で生かされると思います。

仙台戦で、森脇が関根にパスを出し、関根が折り返して(興梠)慎三がゴールを決めたシーンがありました。森脇の判断はすばらしかったと思いますし、関根の折り返しもすばらしい判断だったと思います。森脇がボールを持ちだして、いかにもシュートを打つようなモーションの中で、左足で関根にスルーパスを出したと思いますが、それに対してボールを引き出す動きをしていた関根もすばらしいし、判断した森脇もすばらしいと思います。あれは、彼が複数の選択肢がある中で選んだものです。私はああいったプレーが、サッカーを見ていて幸せになれる瞬間なのだろうと思います。

私は、見ている観客が意外性のあるパスで首が痛くなるようなシーンが多いサッカーの方がすばらしいと思います。最後の勝負のところでの、見ている人の予測を外すような意外性のあるパスが、サッカーを見る上での醍醐味かもしれません。観客が、試合が終わった後に『首が痛い』と思うようなシーンが多い試合は、見ていておもしろいのではないでしょうか。

ストッパーである森脇がそうしたパスを出せるのはすばらしいクオリティーだと思います。それぞれ、見る方によってサッカー観はあると思いますが、私はそうしたものが多い試合の方が、見る者を魅了するのではないかと思います」

【浦和レッズオフィシャルメディア(URD:OM)】

ミシャ監督 北海道コンサドーレ札幌戦試合後会見

PARTNERパートナー

  • ポラスグループ
  • Nike
  • 三菱重工
  • 三菱自動車
  • エネクル
  • DHL
  • ミンカブ・ジ・インフォノイド
  • チケットぴあ