開幕から連敗して迎えた第3節のASエルフェン埼玉戦。栗島朱里は「公式戦ではほとんど経験がなかった」右サイドバックで、およそ1年ぶりに先発出場を果たした。昨年6月、左ひざの大けがをしてから初めて踏み入れた公式戦のピッチ、不慣れなポジション、そして連敗中のチーム状況。多くの不安要素があった試合で、しかし彼女は、同点弾となるゴールのアシストを含め、90分間しっかりとプレーし、勝利に貢献した。以降は同ポジションで先発出場を続けている。プレーヤーとして新たな挑戦を続ける背番号22に、ここまでのプレーの手応えや、日テレ・ベレーザ戦への意気込みを語ってもらった。


【緊張感を持って試合に取り組む】

■今シーズンは、ここまで右サイドバックでの出場が続いています。
「右サイドバックはU-19の代表のときにほんの少しやったくらいでした。監督から直接言われたわけではないですが、練習でそのポジションをやることがわかってきたので、覚悟を決めて試合に臨みました。

最初のうちは戸惑うこともありましたが、周りの選手がサポートしてくれて、思い切ってプレーできるようになりました。試合を重ねながら勉強し、少し慣れてきましたが、今でも緊張感を持って試合に臨むようにはしています」

■慣れないポジションだと感じさせないプレーをしている印象です。
「今はまだチームに迷惑をかけないように、ミスをしないように、と思ってプレーしていますが、もっと積極的にプレーしていきたいと思っています」

■サイドバックをやる上で、参考にした選手はいますか。
「経験も知識もなかったポジションでしたから、いいイメージを作ろうと思って、動画サイトでフィリップ・ラーム選手(バイエルン・ミュンヘン)のプレーを見たりしました。後は、昨シーズンまで右サイドバックをやっていた(堂園)彩乃さんのプレーを参考にしています。同じポジションをやって、彩乃さんのすごさをあらためて感じました」


【仲間のおかげで、これだけ早く復帰できた】

■昨シーズンは、6月の試合中に左膝の大ケガをしました。ショックだったと思うのですが、その直後の練習でグラウンドに松葉杖をついて来て、心配かけまいとしていたのか、チームメートに自分から笑顔で声を掛けていました。
「みんなに会いたかったんです。みんなに会って笑っていたいと思っていました。心配を掛けたくなくてそうしたのかは覚えてないんですけど、みんなと会えば笑っていられるかなと。実感も湧いていませんでした。何ヶ月もサッカーができないことに」

■ケガをした際は、三谷沙也加選手に支えられていたと、以前、言っていました。
「沙也加は自分より前に同じケガをしていたので、2人でリハビリをする時間が長かったんです。その間、彼女の家に泊まったり、一緒にリハビリをしたりしているときも笑わせてくれて、元気をもらっていました。私1人だったら、気持ちももっと不安定でしたでしょうし、こんな早く復帰できたかどうかもわかりません。彼女がいてくれたからこそ、ここまでがんばれたと思います」


■サッカー面でケガをした以前と後で、変化はありましたか。
「ケガをしてから、チームを外から見る機会が増えました。そこでチームのサッカーを客観的に見て、約束事を理解しようと努め、自分が入ったときにどういうプレーをするかなどをイメージしていました。そのおかげで、復帰したときにはある程度すんなりチームに入ることができたと思います。チームの約束事はどのポジションでも一緒ですから、サイドバックでプレーする上でも、そのときのイメージは生きています」


【チャレンジャーの気持ちで、勝ちに行く】

■今シーズンに懸ける思いについてはいかがでしょう。
「昨シーズン、私はチームの優勝に貢献できませんでした。チームとしては2連覇が目標ですし、それを目指せるのはレッズレディースだけです。これからどの試合も勝って、最終的にみんなで喜びあえるようにしたいです」

■優勝を目指す上で、次節に対戦する日テレ・ベレーザは大きな壁になると思います。
「日テレは、ユースの頃からメニーナという下部組織のチームがライバルでした。今は本当に強いチームだと思いますが、私たちも全然負けていないと思います。チャレンジャーの気持ちを持って、勝ちに行きます」

■また、日テレは負傷した試合での対戦相手です。
「その試合では途中出場して6分でケガをしてしまったので、リベンジをしたい、という思いがあります。ケガをしないようにプレーをしていたら消極的になってしまうので、アグレッシブに戦い、チームの勝利に貢献したいです」

■次の試合が行われる鴻巣市立陸上競技場にも、ファン・サポーターのみなさんが来てくださると思います。
「ここまでなかなか勝利を届けられていないので、チーム全員で勝利を目指し、貪欲に一生懸命戦いたいと思います。私も一つ一つのプレーで目の前の相手に負けないよう、勝利に向かって走りますので、一緒に戦っていただけたら嬉しいです」