【ハートフルクラブコーチによるハートフル体験記】vol4(コラム)


ハートフルクラブコーチ陣がリレー方式でこれまでハートフルクラブでおこなった活動の経験談や体験談、コーチが大事に思っていることなどをハートフルクラブ掲示板で配信いたします。

4回目は「島田(とら)アシスタントコーチ」です。」

「ハートフルクラブスクール生からコーチへ」

新型コロナウイルスの影響で東京五輪の延期、スポーツ界だけでなく世界中の人々が不安と恐怖に追われながら生活せざるを得ない状況が続いています。みなさまはどうお過ごしですか? ゲーム・YouTubeばかりの生活になっていませんか? ハートフルクラブは2月下旬から活動休止という形を取らせていただいております。楽しみに待ってくれていたスクール生、保護者のみなさまに申し訳ない気持ちでいっぱいです。

1日も早く、みなさまの笑顔を見られる日が来ることを待ち望んでいます。

スクールで担当した子供たち、保護者のみなさまの中でご存知の方もいるかと思いますが、僕はハートフルクラブが3年目を迎えた2005年の後期(当時4年生)から小学校を卒業するまでの2年半の間、スクール生として通っていました。今の自分からは想像もできないほど人見知りで控えめな性格だったあの頃から、現在アシスタントコーチとして、元スクール生という自分ならではの目線で伝えられることをお話しようと思います。

学生時代の大半を東京で過ごしていた僕がハートフルスクールに参加することとなったきっかけは、地元で同じサッカー少年団に所属していた友人の親(レッズファン)からの誘いでした。当時の本音を言うと、まったく知らない人たちの中でサッカーをすることに不安しかありませんでした。人見知りでうまくもない、ただただサッカーをすることが大好きな少年だったからです。

いざ、スクールが始まっても二人組で行うトレーニングや、女の子と手を繋ぐこと、同じチームメイトに大きい声を出して応援すること等が、当時の僕には初めてのことばかりで戸惑いや遠慮がちな面があり、心の底からサッカーを楽しむことができていませんでした。今でも忘れられない出来事があります。半年に一度行われる親子サッカーでのこと、毎回のように父が参加していました。ウォーミングアップで親子二人一組となり協力して成功させるといったメニューをしてから、子供対親でコーチから言われた人数がコートで試合を行う人数ゲームが始まりました。先頭の子供たちから、勝ってうれしそうに戻って来る子もいれば、負けて悔しそうに戻って来る子もいます。とうとう自分の出番が回ってきました。相手チームには父がいます。コーチからボールが渡り試合が始まると思いきや、一目散にボールに反応し、あっという間にシュートを決め、子供以上に喜びを爆発させて仲間の元へハイタッチを求めに行く一人の親の姿がありました。言わずとも分かるでしょう、このシュートを決めたのは父でした。悔しさがあった中で『何でそんなに喜んでるんだよ!』と言う恥ずかしさもどこかにありました。

でも、そのときの感情が間違っていたことに直ぐに気付かされたのです。その日の帰り際に落合キャプテンが『お前の親父、最高だな!あの場にいた誰よりもサッカー楽しんでたな!』と声を掛けてくれたのです。その場にいた他のコーチたちも次々に父に感謝の言葉を掛けていくのです。そのとき、初めてハートフルクラブが掲げる3つのキーワード(仲間を信頼し思いやるこころ・互いに楽しむこころ・何事も一生懸命やるこころ)の意味が理解できたのです。サッカーは独りではできない、相手がいて仲間がいて成り立つものであり、楽しむのもただ楽しむのではなく何事も一生懸命に取り組むことで本当の楽しさが感じられるのではないか、当時の僕からしたら衝撃的な発見でした。今までのサッカーへの取り組み方、向き合い方を変えないといけない、子供ながらにそういう考えを持つことができました。この経験がそれからのサッカー人生に生きていたのだなと常々感じる事がありました。

ハートフルクラブ・コーチ達に出会えてたからこそ、自分自身を見つめ返す経験ができ、両親・家族の支えがあり、今の自分があります。

この経験を活かし次は僕が子供たちにサッカーの楽しさを伝える番であり、背中を押してあげられる存在にならなくてはならない立場になりました。

ハートフルスクール生とハートフルコーチ、この二つの視点から考えられることができるのが僕の一番の強みであり、武器であります。今までもそうですし、これから出会うたくさんの子供たち一人一人にサッカーのすばらしさや「サッカーってこんなに楽しいんだよ」、でも「仲間・相手を思いやることも大事なんだよ」という醍醐味を伝えていきながら、笑顔でボールを追いかけていきます。(プレーではまだまだ負けません!笑)

冒頭でも言いましたが、緊急事態宣言が発令され学校に行けず、今まで当たり前のように送っていた生活が一変してしまうこの現状は、誰もが想像もしていませんでしたが、ネガティブに捉えることはないと思います。今だからできること、見つめ直せることがあると思います。家事の手伝いや、読書、どこかに自分を変えるきっかけがあるかもしれません。僕もこのコラムを通じて、忘れかけていた思いを改めて考え直すことができました。思いやりのこころを持ち、互いに助け合い、今このときを共に乗り越えましょう。