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Web Little Diamonds vol.24

浦和レッズの育成部門に共通するテーマ、各カテゴリーの現状などについて、大槻 毅・強化部育成ダイレクターに話を聞いた。

■浦和レッズの育成部門全体のテーマは何ですか。
「安定して良い選手が上のカテゴリーに出て行くことです。『上』というのはトップチームが一番ですが、それに限らず、違うチームや大学も含めて、そういうところに良い選手を輩出できるような安定した育成組織になることを、育成のスタッフは目指しています」

■サッカーでの育成はもちろんですが、人間的な部分はどうなのでしょうか。
「むしろ、そこがないとサッカーでも成長は望めないと思っています。人づくり、ということは常に意識している部分で、ジュニアやジュニアユースのカテゴリーから、指導者たちは口をすっぱくして言っています。それはこれからも変わりません」

■それぞれのカテゴリーでの課題、目標を伺います。まずジュニアはいかがでしょうか。
「サッカーで言えば、ベースとなる技術を身に付けたり、体の動かせる部分の幅を広げたり、よく見ることや見るタイミングを覚えたり、という素地のところを身に付けさせることです。人との関係では、挨拶をしたり他人を受け入れたりということですね。『箸の持ち方』ではないですが、そういう基本的なところを反復してやっていきます。あとはゲームの楽しさをしっかりと経験させたいです。

また今年、5月に『レッズランドカップ』という、U-10(小学4年生以下)の選手を対象にした招待大会を開催しました。ああいうふうに、自分たちが試合の機会を作りながら選手たちに経験を積ませていきたいと思っています。

■あの「レッズランドカップ」はどういう趣旨で開催されたのですか。
「小学4年生の大会というのがあまりないので、レッズがそういう大会を作って、浦和地域のチームを招待しました。また今回は横浜F・マリノスにも来ていただきましたが、それによってレベルの高い試合も提供することができました。これが地域に良い影響を及ぼすことができれば、と思います。ジュニアの選手もみんなこの地域の子供たちですし、やはり浦和地域のレベルアップということを考えていきたいです。またレッズランドを使って行うということも、我々にとっては大きな一歩だったと思っています」

■ジュニアは、昨年できたばかりの部門ですが、他のカテゴリーと違うところはありますか。
「昨年は、6年生が12人、5年生が10人、4年生が2人でしたので、4年生だけの活動というのはできませんでした。2年目の今年は8人制の試合ならできるようになりました。学年で分けて活動しているわけではないですが、ときに学年別の大会への参加というのが可能になったのは、幅が広がったと思います。

ジュニアは近い地域の子供たちばかりで、レッズの育成の入口のところですから、良い選手に来てもらうためにも、ソフトの部分もハードの部分も充実させて、早く認知されなければならないと考えています。

また工藤輝央コーチのアイデアですが、夏休みに4年生たちが横浜FMの選手たちと合同で、ホームステイしながら静岡、大阪、広島、北九州へ遠征に行きました。滅多にない貴重な経験ができたと思います」

■ジュニアユース部門はいかがでしょうか。
「中学3年生が中心のAチームでは、昨年の関東リーグ1位や高円宮杯優勝など、大会での結果が出てきています。しかし、結果は出るに越したことはないですが、ジュニアユースで大事なことはそれだけではなく、ユースにつながる年代ですから、先ほどジュニアのところで挙げたベースの部分をさらにブラッシュアップする必要があります。また技術だけでなく、判断力も高めていかなくてはなりませんが、それを個人だけではなく、グループでやれることが重要です。味方と目を合わせたり相手の位置を見たりして、どういうプレーをするかということです。この年代は体格に差が出てくるのですが、その差というのは年齢が進むとなくなってきます。そのときに必要になる判断の力というものを身に付けようということを大事にしています。

また中学生になると生活環境も変わってきます。いろんなことを学んでいく時期ですので、生活指導もきちんとやっていかなければなりません」

■ユースのテーマはいかがですか。
「ユースはトップチームに一番近い部門で、まずはトップに昇格することが選手たちの目標になります。さらに昇格するだけではなくて、トップで活躍できるような選手になるにはどうしたらいいか、ということですが、それには精神性が大事になってくると思います。ですからユースの選手をトップチームのキャンプに派遣するなどしていますが、技術を学んでくるだけではなくて、プロの選手たちと同じ空気を吸って何かを自分で勝ち取ってきてほしいと思っています。

しかし全員がトップに上がれるわけではありません。昇格する選手はごく少数であって、それ以外の選手たちがどういう道を進むかが我々にとって重要なことだと思っています。選手たちに言っているのは、試合に出る出ないに関わらず、やるべきことは常にあって、日常的には変化や波がありますが、やるべきことだけは見失わないように、ということです。環境がどうだったとか、メンタル的に落ちていたとか、いろいろ言い訳をしたくなりますが、そういう状況にあってもやるべきことは変わりません。それを支えるものは、自分の目的意識だと思います」

■3つのカテゴリーの連携はどうなっていますか。
「カテゴリー間にブリッジをかける、という言い方をしていますが、指導者のところでは、遠征やキャンプに違うカテゴリーの指導者が参加したりしています。選手のところでは、ユースで出場している中学3年の選手がいますが、そういう選手がどんどん出てきて欲しいと思っています。ユースの選手も先日、山田暢久の引退試合に出場しましたが、そういうケースを増やしていくことが大事だと思います」

■原口元気選手がドイツへ渡りました。育成の選手たちにとって目標、励みになりますね。
「もちろん、そうですね。原口のような選手がこれからも出てきてほしいです。また今季ユースから昇格した関根貴大ですが、彼が交代でピッチに登場すると埼スタのスタンドが沸くのがわかります。山田直輝が紹介されるときの声援の大きさなどもそうですが、育成出身の選手へのサポーターの期待、後押しというのは大きなものがあることは、よくわかっています。そういう期待を集めるような選手を1人でも多くトップに送り出すために何ができるか、ということを考えてやっていきたいと思います」

■シーズン後半に向けては何かありますか。
「夏の大会が終ったところで、各カテゴリーがどういう形で進んでいるのか、目標の再設定だったり、情報の共有をしていきます。選手に何かをやらせる前に、指導者たちが同じ方向を向いていくというのが大前提だと思いますので、指導者間の意思統一をしっかりして活動していきたいと思っています」(了)

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