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ONLINE MAGAZINE/REDS VOICE
2004.7.14 Vol.55
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第2回 浦和レッズシーズン2004を語る会

吉田氏:監督にとって監督という仕事は1年目であるわけですが、ファーストステージ15試合とナビスコカップを戦ってみて、どのような点で難しさを感じられましたでしょうか。具体的にこの試合でこういう点が難しかったということをお話いただけますでしょうか。
ブッフバルト監督:まず監督という業務ですが、難しいというより、私は喜びをもってやっています。この仕事がほんとうに好きです。ゲーム中はいろいろな状況があります。たとえば1人退場になってしまったあと、10人でどうやったら11人と同じように戦うことができるかとか…そういったことをゲーム中に素早く、しかも冷静に分析して対応するということがあります。そういうことがいちばん難しいかもしれません。試合中、自分も気持ちは選手と同じように、その試合をいっしょに戦っています。当然、ミスをすれば怒りますし、点が入ればいっしょになって喜ぶということがありますが、ただ、そこに、いっしょになってできるかどうかということが、監督と選手の大きな差だと思っております。ほんとうに難しいというのは、敗戦後、そのあとどうするかだと思います。たとえば、エスパルス戦やガンバ戦ですね。リードしていたにもかかわらず負けてしまった。ただ、そのときに、試合が終わったあと、何で負けたんだろうということを、ビデオなどを使ってしっかり分析して…ガンバ戦のあとなどはとくに、こういうことができればこの試合は楽に勝てたんだということを、ビデオを編集して選手にミーティングで見せたんですね。それで、次のFC東京戦では、選手たちが同じミスを繰り返さず、試合に勝てました。これは監督としては、非常に監督冥利につきます。また、選手たちも1つのミスから、敗戦から、大きなものを学んでくれたと感じています。ですから、監督というのは、やっていてうれしい…単純に「難しいですね」と言われても「はいそうです」というようなものではないと思っています。
吉田氏:監督としての醍醐味を感じる試合があったと思うんですが、この試合はおれの采配で勝ったと思った試合はありましたか。
ブッフバルト監督:試合というのは、はっきり言って、選手が勝ってくれるものだと…試合の勝ち点は選手のものだと思っております。もちろん、試合前には基本戦術とか指示は伝えますが、それを実際にやってくれるかどうかは選手ですから、選手がいちばん大事だと思います。逆に、負けた試合については、あの交代は早すぎなかったか、あるいは遅すぎなかったか、ほかの方法はなかったのか…そういうことを考えます。1つの試合…その試合を分析することが非常に大切だと思っています。たとえ勝ったとしても、あの点についてはもっとほかのことがなかったか、もっとよくできることはなかったか、ミスもあった、ではそれをどうしたらいいんだろう。このような分析をしっかりすること、それから、選手たちがその試合で得たもの、経験というものを、はっきりと、あるいは的確に、我々監督陣が認識して、それを…たとえば、ミスを犯した選手がそのミスを犯さないためにはどうすればいいか…彼はうまくなってきたがさらによくするにはどうしたらいいか…。こういうことをするのが監督業では大切だと思っていますし、それは試合ごとではなく、毎日毎日の練習の積み重ねでできていくものだと思います。私の目標としては、個々の選手の、1人ひとりの成長をたすけてあげること…そして、個々の選手がよくなれば当然チームがよくなって、いい結果が出せると考えています。
吉田氏:森さん、今シーズンは補強を手厚くして臨んだわけですけれども、闘莉王、三都主、酒井、それから復帰した岡野。この選手が入って、何を変えることができたか。チームに及ぼした影響をお聞かせください。
森GM:選手層が厚くできたかなと感じています。いま名前が出た選手たち、それぞれ、レギュラーで試合に出てやっているわけです。岡野選手なんかも、交代要員ということを自他共に認めてそれに徹することで、いいわさびになってくれているなと…わさびというか…胡椒かな。そして、今年補強した選手はこちらが期待した程度の活躍をしてくれていると感じています。
吉田氏:監督、闘莉王という選手は、非常に気持ちの表に出る選手でリーダーシップもある。ご自分の現役時代のプレースタイルとダブるものは感じませんでしょうか。
PHOTOブッフバルト監督:闘莉王は、私が昨年森さんにお願いした、欲しい選手の1人でした。ただ、彼はJ2でプレーしていました。先ほど補強の話が出ましたが、たしかに数多くの補強はしたんですが、代表選手で獲得できたといえばアレックスひとりですね。闘莉王はまだJ2のチームでプレーしていました。酒井、岡野にしても全試合フル出場していたわけではありません。とは言いましても、闘莉王ですが、非常にパワーがあって、好きなタイプの選手だとはっきり言えます。私のプレースタイルに似ているということですが、なんで私が闘莉王のような選手が好きかというと、とにかくすべてを投げ出す、チームのためにすべてを出してくれるということ。そして、フィールドの中で、自分の役割に対して責任をもってくれる。こうしたことが私が選手を好きになるいちばん大きな要素です。彼はまだ若いですし、まだまだ潜在能力があると思います。今後間違いなくA代表に呼ばれる選手だと思っています。また、闘莉王の話ばかりしましたが、うちにはまだまだ若くていい選手がいます。たとえば長谷部にしてもそうですし、山瀬、達也…それ以外にも若い選手が育っています。今年のJリーグのファーストステージをご覧になって気づいた方もあると思いますが、何節かでは、チームの平均年齢がいちばん若かったんですね。現在のところ、ヴェルディがちょっと若い子を入れたもので、いちばん若いかもしれませんが。でも、こうした若い選手たちがどんどん、日ごとに成長してうまくなっていくのを見るのはほんとうに楽しいです。さらにそこに、若いだけではなく、そこに経験を積んだ選手が入ってくる。たとえば今回アルパイ選手が入りましたけれども、経験を積んだベテランの選手が自分の経験を若い選手に伝えていってくれる…。そうしたら、ほんとうに強いチームになってくると、私は確信しています。
吉田氏:いまアルパイ選手の名前が出ましたけれども、DFアルパイをとったんですが、昨日、坪井選手がけがをしてしまって…長くかかりそうですけれども、その辺の状況を。
森GM:そうですね。昨日テレビでご覧になっていた方も多いと思いますが、残念ながら、後ろからごんと押されて、バランスを崩して左足をついたときに、ももの裏をやりました。開幕前に闘莉王がオリンピック予選でやはり肉離れをやりましたけれども、今日状況をききましたら、それよりはもう少し重いのではないかと。新聞には4週間〜6週間という報道が出ていましたが、復帰までにはもう少し時間がかかるのではないかと思います。非常に残念なことですけど。闘莉王もセカンドステージの開幕3試合ぐらいはオリンピックでいないし、坪井もそういうことで難しいとなると…ちょっとまた…アルパイをとっていてよかったなあ、と思いますよ。とってなきゃ、ほんとうにディフェンダーがですね…それにしても…アルパイをとったとしても…ディフェンダーが2人使えないとなると…そこがまた、ギドの腕の見せ所かな、と思いますけど。
吉田氏:その辺のやりくりのこと、ディフェンダーについては監督はどのようにお考えですか。
ブッフバルト監督:ほんとうに、昨日の坪井選手のけがは残念なんですけど…とりあえず、間近に迫った試合というのはナビスコカップ…それが終わったらJリーグが始まりますので、なるべく早く帰ってきてくれればと思っております。今回アルパイをとったんですが…たしかにうちのディフェンスのところにちょっと落ちているところがあったということでアルパイをとったのですが…。今シーズンを迎えるにあたって、ゼリッチという選手…昨シーズンいましたが…彼を放出しました。そうしたら、ニキフォロフがけがをし、闘莉王がけがをした。ということで、ディフェンス面ではうまく流れていないということがありました。もう一度繰り返しますが、坪井選手のけがですね…坪井くんは日本のなかでベストプレーヤーといえるほどのディフェンスの選手です。彼がいなくなることはほんとうに痛いです。でも、だからといって、あれがいない、これがいない…どうしよう、どうしようというタイプでは、私はありません。いまの現状がこうなんですから、現状を見つめてですね…。まだまだうちには30人の選手がいます。そのなかで、たとえば堀之内選手が…大分戦だったと思いますが(ナビスコカップ・5月29日)…後半かなり長い時間出場して、しっかりと闘莉王の穴を埋めました。それ以外にも若い選手がたくさんいます。どんどん成長してきています。そういう人たちに私は信頼を寄せていますので、「いま、上が出られない。これは自分のチャンスだ」と思って、自分のプレーをさらに大きく幅を広げて、私に見せつけてくれることを私は期待しています。もちろん、長い期間代表選手が欠けるということは痛いんですけど…そんなに長くないと思いますので…その短い期間、それなりの修正、何らかの方法というものは必ず見つけられると思います。
吉田氏:ちょっとファーストステージの話に戻ってしまうのですが、開幕戦でマリノス、第3節でジュビロ…この1位・2位になった強いチームと、新戦力が入ってまだチームが熟成しないあいだに当たってしまったことは残念だったんじゃないでしょうか。もうちょっとチームができてから当たったなら、結果も違っていたのではないかというお考えはありますでしょうか。
ブッフバルト監督:マリノス戦は引き分けでしたし、ジュビロ戦も…1対1のあと、エメルソンが退場になってしまいました…10人でなく11人であれば、負けなかったと思うんですね。逆に、レッズだけでなくマリノスも、開幕戦あるいはシーズンが始まった当初というのは、やはり新しい選手が来て、選手間のコミュニケーションやコンビネーションはよくなかったと思います。マリノスも最初は厳しかったんですが、そのあとだんだん、勝ちをつなげていったと思います。1つの考え方なんですけれども、ファーストステージで我々は25点取りました。ホームはそのうち7試合、アウェーが8試合でした。セカンドはホームが8試合、アウェーが7試合です。ファーストステージでジュビロは勝ち点34、うちが25だったんですね。これが我々のホームになれば、ジュビロの点は34からマイナス3、レッズは25+3で28になりますね。もちろん、2位と3位の、あるいは1位と3位の勝ち点の差は非常に大きかったんですが、これは縮めなくてはいけませんし、ファーストステージは勝ち点を相手にプレゼントしてしまうということも何試合かありました。これは減らしていかなければいけないと思っています。ホームゲームが、セカンドステージは1試合多いわけです。ですので、我々のセカンドステージの目標は、上位との勝ち点の差、これをともかく狭めていくことです。
補足しますと、昨年のセカンドステージのチャンピオンはマリノスですが、勝ち点は26点でした。それで、今年のファーストステージで我々が取った勝ち点が25でした。ファーストステージ優勝のマリノスが36点、2位のジュビロが34点、異常なくらいよすぎると思います。セカンドステージでこれだけ多くの勝ち点を取ることは、通常…サッカーの考え方ではまずありえないと思います。この差を埋めていく…これが我々の課題ですし、それが目標になってきます。
吉田氏:森さん、ファーストステージを振り返るとですね…序盤戦はチーム作りに揺れがあったので…U-23の選手がいなかったり…仕方のない部分もありますけれど…。そのあと広島戦から3試合連続無失点があって、この辺は非常にいい試合をしていた。そして終盤またちょっと取りこぼしがあった。こういった波ができる要因というのはやはりメンタル面なんでしょうか。
森GM:要因はいくつかあると思うんです。いまおっしゃったメンタル面も…ちょっと気が抜けるというか…これは勝てるんじゃないかなと考えてしまうとかね…そういう要素も一部あると思います。コンディション自体が、ちょっと全体的に疲れがたまっているな、体がちょっときづらいなというような要因もあると思います。ちょっとこう…何といいますか…頭がぼけて戦術的な理解が不足していたとか、そういった要因がいくつかあわさって…勝ってしかるべき試合を落としたということがあったと思います。その辺を、ぜひ、選手個人個人のレベルアップといいますかね…。去年、今年のファーストステージと経験していますから。去年だってあと勝ち点3取っていればとか、あと1勝していればとかですね…惜しいところまで行っているのに、優勝に手が届かなかったと。今年のファーストステージも、勝ってしかるべき内容の試合をやっているのに落としてしまったり。そこのところを…原因は何なんだ…ということを、セカンドステージに向けて選手が感じ取って…経験していますから…。ナビスコだって、決勝に行って負けて、2年目に優勝したと。そういうものが本当の経験なので…。私はそういう意味で、このセカンドステージでは、経験を糧にして、個々のレベルアップがなされることを期待していますし、それができれば、ほんとうに優勝することができると感じています。ですから、その辺の要因を克服することがとても大事だと思います。
吉田氏:セカンドステージの目標を、まず、森さんから伺いたいのですが。
森GM:私ですか? 私はもう、優勝しかないですよ。
吉田氏:監督は? 聞くまでもありませんか。
PHOTOブッフバルト監督:もちろん、監督としていちばんうれしいのは可能な限り勝つ、あるいは頂点に立つことです。ほんとうは優勝と言いたいんですが、ほかのチームも…マリノスにしてもジュビロにしても、名古屋グランパスもですね…監督を代えたり、新しい選手をとったり…どこも同じように補強していますし、考えていることは同じだと思います。常に私が言っていますのは、優勝争いをするチームは、上位5位以内にずっといつづけるということです。たとえば、マンチェスター・ユナイテッド、世界でいちばんお金持ちのチームです。でも、今年は優勝できませんでした。レアル・マドリッド、世界最高の選手を備えています。でも優勝できませんでした。バイエルン・ミュンヘン、ドイツでもっともすばらしい選手をそろえています。彼らも優勝していません。ただ、彼らに言えることは、常に優勝争いに加わっているということです。優勝するということは非常に難しいことです。でも、優勝争いに加わっていること、これがなければ優勝はできません。いま私が言いましたように、常に5位以内…これを3位以内と言い換えることもできるかもしれませんが、いちばんの目標は、成長しつづけるということです。ファーストステージでは勝ち点25を取りました。それ以上を取る…そういうことを目標にしていきたいと思います。
吉田氏:森さん、サポーターからの質問ですが、レッズは非常にファンサービスをしているクラブだと思いますが、それでもまだ足りないという声がクラブのほうに来ているそうで…。その点、選手には指導といったらおかしいですが…どのように?
森GM:昨年の終わりごろに、新しいクラブハウスが完成いたしまして、とくにそれ以降、練習を見に来てくれるサポーターのみなさんが非常に増えたということで、選手にも励みになっているし、たいへんありがたく思っています。練習が終わったあとに、門のそばで、サポーターのみなさんが選手のサインを待っておられる。毎日、私もそういうシーンを見ています。選手には、できるだけ、車に乗って帰る前にそこへ行ってサインをして差し上げるように指導をしていますし、山田キャプテンも、選手みんなとどういうやり方がいいかという相談をしています。ただ、そんななかで…非常に残念な話ですが…あるサポーターの方からクラブのほうにいただいた情報なんですが、あそこで色紙に書いたサインをどこかで売っているやつがいる、「そんなサポーターがいるんですよ」とサポーターの方から聞いたりして…。そういうのを耳にすると、選手のほうも「なんだよ」という気持ちが起こったようなことも過去にあったりして…時々、サインをしないでぱっと帰っちゃうようなこともあったと思うんです。もちろん、選手には、私どもの立場で、サポーターの人が待っているんだから、ちょっと寄ってサインしてあげなさいと。どうしても急用で帰らなければならないとか、雨が降っているとか、これから暑い盛りに練習が終わって疲れたときとか…人数が多いものですからね…ついつい、そこへ行くのが億劫になってしまうということが、現実としてあるとは思うんです。サポーターのみなさんにも、選手の立場も理解していただきたいという部分もあるし…。私どもは選手に対して、サポーターの人々がいらして、お前たちは飯が食えているんだよ、という話をしています。そういうことで、引き続き、できるだけ、ファンのみなさんにはそういう姿勢で臨むようにという指導はしていきたいと思います。
吉田氏:もし、客席のみなさまからご質問がございましたら…。
質問者1:いま浦和では強化指定選手でMF細貝選手がいますが、その細貝選手は、浦和のほかに磐田、横浜も獲得しようとしているようでして。今年の浦和は闘莉王、三都主、酒井、岡野などと補強選手を獲得したんですが、浦和が今後も常勝強豪チームであるためには、常に3年先の補強を絶対にしなければならないと考えるべきです。今年に関しても、柏に行った小林、田中康平、広島の吉弘をとりのがして、なんとか横山を獲得しましたが、来年は常に3年先のことを考えて良い新人選手を獲得すべきだと思いますけれども、その辺のお考え方はいかがでしょうか。森ゼネラルマネジャーにぜひお願いします。
森GM:おっしゃるとおりで、毎年スカウト活動をしていますが、去年は残念ながら、新卒のそういう選手を全部よそにとられてしまったという結果になりました。名前の出ました細貝選手…うちの強化指定選手ですが…これも、強化指定選手になったからといってうちに来ることが決まったわけではありません。いま名前の出たジュビロとか鹿島とかも声をかけています。もちろん、レッズとしては、とりたいから強化指定選手にしたということもありますし、練習に参加してもらって、サテライトや教育リーグの試合にできる範囲で来てもらって、チームを知って、チームになじんでもらおうという努力を続けています。これは、絶対とりたい選手の1人です。そういう努力は常にしておりますが、昨年のようにとれなかったというと、計画どおりにいかなかったということで、スカウト活動として、結果的にまずかったということなんですね。計画はちゃんと…こいつが将来いなくなったら次はこうで…というように、3年計画、5年計画という目安で、新卒選手の補強も当然考えています。それに最善を尽くしていくということはお約束ができます。これも競争があることなんで、結果として思いどおりに行かないということがあるのも現実です。とれなかったから、結局補強でとらざるを得ないという流れになっていくわけですよね。
吉田氏:みなさん、聞きたいことはたくさんあるかと思いますが、そろそろ時間がきましたので…。お二方の話を伺って、セカンドステージはレッズは優勝するぞという気持ちになれたのではないでしょうか。今日はみなさま、どうもありがとうございました。

PHOTO山田暢久主将あいさつ

山田暢久:こんばんは。サポーターのみなさま、ファーストステージのご声援、ありがとうございました。3位になれたのも、みなさまのおかげだと思っております。しかし、我々はこの順位では満足していません。合宿を通じて、ナビスコ・セカンドステージに向けて良い準備ができました。あとはタイトルを、みなさまといっしょに戦ってとることだけです。いっしょにがんばりましょう。

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