ONLINE MAGAZINE/REDS VOICE
2000.2.4 Vol.36

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「屈辱は必ず晴らす!一気にJ1優勝を」
横山謙三ゼネラルマネージャー語る


 2000年はJ1復帰を果たすだけのシーズンではない。それだけではこの屈辱は晴らせない。21世紀に向け、一気に優勝を狙う。もう後悔はしたくない。横山GMが本音で語る「タイトル奪取宣言」。

●レッズが99シーズンでJ2に降格してしまった原因は、どこにあるのでしょうか。


チームリーダーの不在

横山  チームを引っ張っていくリーダーの不在というものが大きかったと思います。
 これまでは選手の補強も、割にうまくいっていたと思うんですが、その中でもチームのリーダーになっていく選手がいませんでした。土田と西野がそういう役柄にあったと思うんですが、この2人がケガで戦列を離れたことで、試合を戦う上でチームリーダー的な選手が不在だったということが大きかった。

 もちろん選手の力の点で、このポジションにこういう選手がいれば、ということもあったとは思いますが、戦力として一番大きかったのはチームリーダーだと考えています。みなさんもメンバーの顔ぶれを見て、他のチームにくらべてそれほど落ちるとは思えなかったのではないでしょうか。

 ケガ人が出たことは、負けた大きな原因ではないと思っています。そのために途中の補強もしたのだし。しかし一番大きな問題はチームリーダーです。中村忠を獲得したのには、そういう期待もありました。今から思えばもっと早く、1stステージの途中からでもそういう選手を入れた方が良かったということになりますが、その時はなかなか踏み切れませんでした。

 振り返ると勝てる試合がいっぱいあったと思うんです。なぜ2部に落ちたかという問いに答えるなら、その中の一つ勝っていれば落ちなかったし、名古屋に負けるにしても8点も入れられないで、4点ぐらいで止めておけば落ちなかった訳です。結果で言えば。

 もちろん選手の補強の点で、永井をドイツに出したり、岡野をアヤックスにやったのも、将来のことを考えてやった訳ですが、それも結果的にはチームの戦力としてはマイナスになった。若手が期待通り育ってこなかったということはあったかもしれないですが。


監督交代はどうだったのか

 もう一つ、これは私の個人的な考えですが、原監督を途中で替えたということが大きいと思います。98年に原監督を立てたのは、日本人の監督を育てたいということでした。これはJリーグでもぜひやってほしいと言っていることです。

 1年目(98年)はもっと成績が悪いと思っていたんですが、案外良かった。それは良かったんですが、いずれはどこかでひずみが来るんじゃないかと思っていました。そういうときに、我々が彼をバックアップして、乗り越えていかなければなりませんでした。

 1stステージの終わりごろが特に厳しかったようです。原監督自身が、自分の考えているものとちょっと戦い方が違うということで、迷いがあったのではないかと思います。そこを乗り切るのにはコマが必要でした。それも後ろの方に。あそこで路木を入れたり中村を入れたりということで、後半に希望が持てたと思うんですね。

 そういう困難な時期があっても乗り切らなければ、監督として大きくなれないし、Jリーグにとっても非常に遠回りしてしまうことになる。彼を監督に決めたときに、そう考えていたのですが、結果的に遠回りになってしまいました。

 私は、後半盛り返せただろうと思っていますが、たとえ結果的に失敗しても、原監督自身もレッズも、得るものは大きかったはずです。そういう意味ではものすごく大きな損をしたと思います。我々は、もちろんレッズを強くしたかった訳ですが、同時に日本人の監督を育てながら強くなろうとしていた訳で、それが方針通り貫けなかったことを非常に悔やんでいます。


●今シーズン、チームを強化した、と言えるポイントを挙げてください。


新監督、移籍補強、新加入

横山  J2で優勝するためには、チームが一丸となってやっていかないといけません。目的に向かってまっしぐらに突き進みます。

 まず監督を決めるときに、いろいろ考えたのですが、意思の疎通というか、監督の言うことがみんなにきっちり伝わっていくということが大事なのではないかと。

 外国人も含めていろんな候補者が挙がって、やはりJ2を戦い抜くには日本人の方が良いと判断しました。そこで日本人の中で数人候補が挙がった中で、斉藤監督に決定した訳です。彼は言葉づかいは柔らかいですが、非常に気持ちが強い人で、こういう時期にはふさわしいと思います。さらに今のレッズを理解して発展させられる人だと思います。これが強化の一つです。

 選手では鹿島から阿部敏之、室井市衛の2人を獲得しました。阿部は攻撃的な中盤として、室井はセンターバックあるいは守備的中盤として、重要な戦力ですが、先程挙げたチームリーダーという点でも期待しています。もちろんこれまでの選手の中でも石井などはリーダーシップを発揮してくると思います。斉藤監督は小野をキャプテンに指名しましたが、その彼を支える存在になってくれると思います。

 新人選手は早川知伸、鈴木啓太、千島徹の3人です。3人とも素質十分で、いずれも今シーズン、戦力として期待できる選手たちです。

 外国人選手はピクン、ペトロヴィッチの2人以外に枠が1人ありますが、その枠をどうするか、どのポジションに必要かということを斉藤監督と話し合って決めたいと思います。今の段階では確定していません。

●99シーズンの開幕前の選手補強は新人だけでした。今年は3人の新人のほかに阿部、室井両選手を獲得しましたが。方針が変わったのですか。


基本は新人中心だが

横山  基本的には、あまりよそのチームから取らなくていいと思っているんです。若い選手を育てていくということをレッズの基本にしています。今、世界では即戦力の選手を買ってきて、という傾向が多いのですが、地元密着型ということからしても、未知の力を秘めた若い選手がレッズの中で素晴らしい選手に育っていく、という方が良いと思うからです。そういう方向性を持っていないといけないと思っています。特別に99シーズンだけではなくて、これまでもあまり外から連れてきていないはずです。

 しかし、今シーズンは絶対に1年でJ1に上がらなければならないし、来シーズンはJ1で優勝する、という目標もあります。そういうことを実現していくのが我々の仕事ですから、まったく外から選手を取らないなどという方針はありません。

●2000シーズンは34人前後でのスタートになりそうですが、選手を多く抱え過ぎではないか、という声がありますが。


横山  99年の屈辱は、それを味わったメンバーで晴らしたいというのが、一番の理由です。新しい選手も入りますから、全員残留という訳にはいきませんでしたが、極力残ってもらいました。また当初は、サテライトゲームに参加する予定でいたこともあります。

小野伸二選手との契約について、どう考えますか。

“小野抜き”は考えていなかった

横山  小野を2000シーズンの構想からはずして考えることは一切ありませんでした。ですから、残ることを決めてくれて喜んでいます。今年16試合ほど彼が抜けるときにどうするかという問題はありますが、小野のポジションに誰かを置くのか、戦い方自体を少し変えるのか、それも含めて斉藤監督が戦術を練っているところです。


●J2を戦う中で最大のポイントは何だと考えていますか。


レッズの“スタイル”が必要


横山  他のチームとの力関係でいうと、相手の対策を取る必要があるのは5チームぐらいで、残りの5チームは、レッズが自分たちのやり方で強くいけば勝てる相手だと思います。そういう意味では、シーズンを通して、こうやる、というスタイルを持ってやっていったほうがいいのではないかと思います。

 レッズに対してディフェンシブに戦うチームが増えると思いますが、そうなると相手の狙いはカウンターの速攻です。そういう面で速攻に対する守備の意識が大事になってきます。

 また相手が守備的になったときにどう点を取るかということですね。盛田のような高い選手を使うのか、岡野のような速い選手を生かすのか、これからやっていかなければならないことですが、これらは何もJ2に限った特殊なやり方ではなくて、J1に上がったときに生きてくることです。

 気持ちの問題では、先程話したように、チームが一丸となってやって、目的に向かってまっしぐらにやっていくことです。


●ユース出身の選手でレギュラークラスになっている選手がまだいません。この原因は何でしょうか。レッズのJrユース、ユースはトップ選手育成という目標を持っていないのでしょうか。また少年部門がいまだに開設されないのはなぜでしょうか。


プロ養成だけが目的ではない


横山  たとえばジュニアユースからユースに上がるときに、選手を選抜して振り落とすクラブがありますが、私はこれはいけないことだと思っているんです。

 いまレッズのジュニアユースは60人、ユースは40人ぐらい選手がいます。これをすべてプロ選手に育てようとすれば、全国から選手をスカウトしてきて、それでも何人プロになれるかというところでしょう。それをやっているクラブもありますが、レッズはそうしていません。埼玉から他県のクラブチームに行って、落とされたり辞めたりしてサッカーをやめてしまった子がいますが、レッズはそういう子を作りたくないのです。

 レッズは地域の大勢の人がサッカーを楽しむクラブになっていくのを本来の目的にしていますし、それこそがレッズが浦和にある意義だと思っています。施設などの問題で、なかなか実現できませんが、そのコンセプトに反することはしたくありません。

 もちろんレッズのユースからもJリーグで通用する選手がどんどん出てきてほしい、という気持ちはありますが、それが下部組織の主目的ではない、ということです。これは、はっきり言っておいた方がいいと思います。

 小学生についても、施設や地元のサッカー少年団との関係でなかなか進みませんが、ぜひやりたいと思っています。多くの小学生がサッカーをやりながら、レッズの試合を楽しんでもらいたいし、ジュニアユースにつながる年代を指導するということは強化という点で非常に興味があります。


●今の浦和レッズのクラブに「三菱」色が強く残っていると思いますか。


クラブの自立と自律


横山  レッズを運営している三菱自動車FCは三菱自動車が下部の9割を所有している会社ですから、三菱色というよりも、三菱一色と言っていいでしょう。

 レッズはサッカーをやるクラブですから、サッカーをやりやすい環境を作っていく必要がある訳ですが、そのためにはサッカー会社としての自立、自律を考えなくてはならない。自分で経営が維持していけるという自立、自分で物事が決められるという自律です。

 それを考えたときに三菱自動車というのは非常に大きな協力をいただいていると思います。スポーツに対して深く理解をしていただき、感謝しています。親会社というよりパートナーです。

 ここまでサッカーをやりやすい環境を作ってもらっているのですから、我々としてはもっとクラブからいろいろなことを発信していきたいと思っています。レッズというクラブを日本を代表するサッカークラブにしていくのに、何が必要で、何をやっていくんだ、ということをもっと自分たちから明確に打ち出していきたいと思います。突き詰めれば、レッズというクラブがあることによって、この地域と人がどれくらい豊かさを味わえるのか、ということなんです。一人一人が豊かさを感じなければ、レッズが存在する意味がない。そのために何をするんだということをもっと明確に打ち出すと同時に、多くの人に理解していただかないといけない。それをレッズ自体がもっと発信していく必要があります。


●94年当時、打ち出されたレッズのビジョンについて、どう実現してきたかを振り返る時期だと思います。特にチームの強化について、「当面はドイツのサッカーに学び、将来はレッズ流を確立して、日本人だけでも十分やっていけるようにしたい。そのステップとして、まず2年ぐらい先をメドに優勝が狙えるチームを作る」とおっしゃっていますが。戦力は整ってきた


横山  5年前にお話したことは、基本的には何も変わっていません。

 優勝を狙うということでは、95年から98年の間には、もしかするとという時がありました。もちろん、絶対的な強さで勝っていた訳ではないし、今こうして2部に落ちてしまっては弁解の余地がありません。

 しかし優勝を狙える戦力確保ということは、できてきたと思います。若い選手も確実に伸びてきています。その中で何度も言いますが、本当にチームを引っ張っていく人材を入れられなかったというのが、我々の大きなマイナスだったと思います。


●今年、J1復帰の自信はありますか。さらに来年J1復帰後すぐに優勝を目指す自信がありますか。


復帰だけで満足などできない


横山  この屈辱を晴らしたいという気持ちは強くありますし、J1に復帰して、次の年にまた降格争いをするのじゃ話にもならない。一気にJ1での優勝へ、ということを考えていかなければならないと思っていますから、今からその準備をしないといけません。

 では優勝を狙えるメンバーというのは、どれくらいのものなのかな、ということをポジションごとに考えていくと、私は今のメンバーでかなりの部分を任せられると思っています。数年前にくらべて、タイトルを取れる可能性というのは極めて高くなったと言っていいでしょう。そしてやや不安なところや、もっと良い選手がいる、という場合はシーズン中でも選手を獲得していきたいと思っています。


21世紀初のタイトルはレッズが


 これはたしかに先程まで述べてきたクラブ像からは、かけ離れています。しかし私たちがやろうとしている理念の実現のためには、タイトルというのはものすごい拍車になります。タイトルを取ることだけが最終目的ではないけれど、最終目的のためには何が何でもタイトルを取りにいくという時期があってもいいと思うのです。

 2001年の最初のタイトルは第80回天皇杯です。21世紀初のタイトルはレッズが取るつもりでいます。その前にJ2のリーグを制するのはもちろんです。そして2001年のJ1リーグを狙えるような準備を今からしたいと思っています。そういう面で最初の補強が室井と阿部です。大きなチーム改革に近づいたという気がします。

 今年のリーグが始まってもいないのに、こういう大きいことを言うのはおかしく聞こえるかもしれませんが、これは実現可能なことだと思っています。今年のJ2を戦いながら、2001年のタイトルに結びつくような戦力を整えていこうと思っています。



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